国会質問

<第190通常国会 2016年03月18日 環境委員会 4号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 環境再生保全機構の改正案について質問をいたします。
 本法律案は、環境研究総合推進費に関する業務を独立行政法人環境再生保全機構に移管をするものです。
 環境省にお尋ねしますが、この環境再生保全機構の主な業務が何かについて、まず教えていただけますか。

○三好政府参考人 環境再生保全機構の主な業務でございますけれども、機構は、良好な環境の創出その他の環境の保全を図ることを目的といたしておりまして、例えば、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく公害健康被害補償業務、民間団体が行う環境保全に関する活動を支援する助成事業及び振興事業、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく石綿健康被害救済業務などの業務を行ってきているところでございます。

○塩川委員 環境再生保全機構は、公害健康被害補償法や、また、石綿救済法などに基づいて、大気汚染や石綿健康被害等に対する補償のための資金の徴収や補償給付の配分等を行う実務機関であります。
 こういう重要な業務を担う機構でありますが、主務官庁である環境省は、独立行政法人の機構に対して中期目標を示し、それに基づき機構が中期計画をつくることになっています。
 この点で環境省に確認をしたいんですが、政府は、機構を含む独立行政法人全体について、独立行政法人改革等に関する基本的な方針の中で、法人に対し、国から交付される運営費交付金を適切かつ効率的に使用する責務を課し、主務大臣が中期目標において効率化目標を指示することを定めています。機構の中期計画では、業務運営の効率化として、計画的に経費等の縮減が求められ、国から交付される運営費交付金などの計画的な削減が規定をされています。
 中期目標、中期計画、こういうふうになっていると思うんですが、それでよろしいですか。

○三好政府参考人 先生御指摘のとおり、中期目標におきまして削減の目標を示し、その達成を求めているという状況でございます。

○塩川委員 そこで、幾つか具体的な話でお聞きしたいんですが、第二期の中期計画、今第三期ですが、その前の第二期の中期計画が、二〇〇九年度、平成二十一年度から二〇一三年度、平成二十五年度の五年間でありました。この第二期中期計画における業務運営の効率化の数値目標とその実績を三つに区分して、一般管理費と業務経費とそれから人件費に分けてそれぞれ説明していただけますか。

○三好政府参考人 先生御指摘の独立行政法人環境再生保全機構の第二期中期計画における業務運営の効率化の数値目標でございますけれども、まず、一般管理費につきましては、平成二十年度比で一五%を上回る削減、業務経費につきましては、同比五%を上回る削減とされておりました。
 平成二十五年度の実績でございますけれども、一般管理費で二二・九%、業務経費で二九・一%ということでございます。三つに区分ということで、人件費についてのお尋ねがございましたけれども、人件費に関しましては人員数による指標を掲げております。削減率といたしましては、九・〇九%の削減率を達成したところでございます。

○塩川委員 この五年間で、一般管理費は二割以上、業務経費は三割という大幅な削減であります。人件費については九・〇九%というお話でありますが、これは二〇〇六年から始まりました行革推進法に基づいて、非常に大きな純減を求められるということで、そういう中で強いられた削減でもあったわけであります。
 続けて、今現在の第三期の中期計画でありますけれども、二〇一四年度から一八年度の第三期中期計画に基づいて、一般管理費及び業務経費の削減目標は幾つか、人件費についての削減の目標がどうなっているのか、この点について確認をしたい。

○三好政府参考人 お答え申し上げます。
 第三期中期計画でございますけれども、一般管理費でございますけれども、人件費を除きましてその削減率は、初年度の平成二十六年度比六・五%を上回る削減、業務経費、これも人件費を除きまして、における削減率は、同比四%を上回る削減とされているところでございます。
 平成二十六年度予算における運営費交付金十六・九億円のうち、業務経費は十三・八億円、一般管理費は三・一億円でございまして、そのうちの人件費は六・一億円ということでございます。

○塩川委員 一般管理費は六・五%を上回る削減、業務経費は四%を上回る削減という目標があり、人件費についての直接の言及はありませんでした。
 人件費は、私が伺っているところでいえば、運営費交付金とまた各勘定の経費、その双方から充てられているということで、運営費交付金における扱いについて、係数がどうなっているかとかわかりますか。

○三好政府参考人 ちょっと今手元に資料が十分ではないのでございますけれども、これまでの機構の人員数の計数ということで申し上げますと、平成十八年度の機構の人員数が百五十六名であったものに対しまして、平成二十七年度の人員数は百四十名ということになっておりまして、十六名の減員ということになっている状況でございます。

○塩川委員 今直接のお答えはありませんでしたが、人数という点でいえば今お話しのとおりのところで、石綿に係る業務が加わりました二〇〇六年四月時点の常勤職員数が百五十六人で、直近の昨年の二〇一五年四月で百四十人ということですから、やはり一割を超える削減であります。もともと世帯が大きくありませんから、そういう中でのやりくりを考えても、一割を超えるような削減というのがこういう短期間で行われるというのは大変大きな業務への支障が出るのではないかという懸念を強く思うところであります。
 それと一体に、一般管理費や業務経費についても、削減についての係数がかかって、削減目標に沿った対応が行われているということは、なかなか実態としても厳しいものがあると受けとめております。
 それで、第三期中期計画においての常勤職員数については、機構はどういうふうにそれぞれ示しているんでしょうか。

○三好政府参考人 第三期に関してでございますけれども、現在、第三期の中期目標上の定員といたしましては百四十名ということでございますけれども、今般の法改正をお認めいただけましたら業務が追加になりますので、若干名の増員を予定しているところでございます。
 今後、その目標上の定員をどうするかということに関しましては、法改正成立後、それを踏まえまして、中期目標の改正とあわせまして検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 今答弁ありましたように、中期計画、期初、期末、百四十人ということで常勤職員数は変わらないということで、ただ、今回の業務の追加がありますので若干名の増員を予定している、それは中期目標を書きかえるという形での対応というお答えでありました。
 もともと全体としてこの間一割以上削ってきて、それだけで常勤職員をふやす計画になっていないというところで、若干名ふやすという話でしたけれども、具体的に、環境省から推進費の配分業務が機構に移管されるのに伴って機構の人員配置はどういうふうになるのかについても、もう少し説明していただけますか。

○三好政府参考人 お答え申し上げます。
 機構におきましては、今回の推進費の配分業務が移行いたしましたら、新たに室を設けまして、追加業務に係る事務を実施する予定といたしておるところでございます。
 新規増員と機構内での配置がえということをあわせて措置するわけでございますけれども、当面、五名程度でその室は発足させたいというか予定と聞いているところでございまして、引き続き機構と実質的な業務に支障が出ないように相談をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 五名程度で室を新たに設けるということで、新規増員と機構内での配置がえというお話でしたけれども、それぞれ、新規の増員は何人で、機構内の配置がえは何人なんですか。

○三好政府参考人 お答え申し上げます。
 新規の増員に関しましては、研究の指導とか監督をする専門的な知識を有する人間を二名程度増員したいというふうに考えているところでございまして、それ以外の、資金の配分等に関しましては、既存の業務の中からの配置転換等で確保したいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 そうすると、五引く二で、機構内の配置がえは三人ということでよろしいんでしょうかね。

○三好政府参考人 先生おっしゃるとおり、三名の配置がえということを進める予定というふうに承知をいたしております。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
 もともと、機構におきまして、多様な、特に公害患者の方にかかわるような重要な業務を担っておられる。そういったときに、さまざまな、効率化というかけ声のもとで一般管理費や業務経費の削減が続き、人件費について、別枠でということであっても、二〇〇六年以降の行革推進法に基づく純減ですとか、それ以降についても実際に減らされてきているところであります。
 そういったときに、新たな業務が追加をされる、そういうことの際に、もちろんその業務に必要な新規採用というのがあるでしょう。ただ、機構内での配置がえでも担当するということになると、今でさえ非常に業務として詰まってきているときに機構内の配置がえで対応するということになると、これまでの機構の業務にしわ寄せが出るんじゃないのかという懸念というのを覚えるわけですけれども、この点については大臣はどのように受けとめておられますか。

○丸川国務大臣 新たに追加をいたします研究開発関係の業務につきましては、今先生御指摘いただきましたとおり、機構の既存の業務から人員を割り当てることも検討しておりますけれども、これはまず、その業務の状況がそれを許すかどうかということであるとか、あるいは事務処理の効率化を図って、それを踏まえた上で配置がえを行っていくものでございまして、既存業務の質を低下させるものにならないようにすると理解をしております。
 また、今般新たに研究開発関係の業務を追加することにしていることが、これまで取り組んできた重要な業務、公害補償業務や石綿救済業務の重要性を下げるものではないのでありまして、今後とも引き続きしっかりと取り組まれるように環境省としてもしっかりと関与をしてまいります。

○塩川委員 大気汚染公害、ぜんそく患者の方ですとか、アスベスト、石綿の健康被害の方、そういう方々にとってみても、さまざまな補償にかかわるような業務、予防事業についても要望も寄せられているわけですよね。率直に言って、現状についても、今の体制について十分とは言えないという声をいただいているわけなんです。
 石綿健康被害に取り組む市民団体の方にお話をお聞きしますと、私たちとしては機構の体制の強化が必要だと考えている、石綿健康被害に対する補償業務に当たっては被害者の立場に立った丁寧な姿勢が必要だけれども、現状の機構ではそれが十分にできているとは言えない、例えば、高齢の被害者の方が必要な書類を集めるのは大変なことだけれども、被害者の方からは、機構に電話で相談したけれども、対応が冷たくてどうしたらいいのかわからない、そういう相談が来ると。以前は申請から認定まで二カ月で結果が出ていたが、今は長いと半年を超える、認定の前に亡くなる方も多い、体制の強化が必要だということを訴えておられました。
 これまでも、現行においても、機構の業務の体制強化こそ求められていたのに、運営費交付金の削減目標がかかっていることに加えて、こういった新たな業務の追加で、そこに人員の配置がえも行わざるを得ない。そうすると、これまでのこういった公害患者の方に対する支援業務がさらに後退することになるんじゃないかというのが率直な声なんですが、どう受けとめておられますか。

○丸川国務大臣 まずもって、被害者の皆様の立場に寄り添っていくということは、省においても、またこの機構においても重要なことであるという認識をしております。
 その上で、今先生が御指摘いただいたようなことについて、あるかないかということを事実関係も含めてきちんと現場の声を聞きながら、業務がどの程度効率化できて、またどのような状況にあるのかということをしっかり把握しながら、新しい業務に対応できるような体制を構築してまいりたいと存じます。

○塩川委員 そういう事実はあるわけで、支援業務がさらに後退することになりかねないという懸念を拭えないということは申し上げておくものです。
 石綿健康被害やぜんそくなどの公害被害は深刻であり、その解決、予防への対策の拡充こそ求められているにもかかわらず、機構に推進費の配分業務が追加をされることで、人員面でも財政面でも公害健康被害対策が後退することになりかねないということを指摘するものであります。
 そこで、そもそも機構においてやはりこういった取り組みをやってほしいという声も寄せられているんですけれども、公害健康被害の予防事業における調査研究などですね。
 例えば、ぜんそく公害患者の会の方のお話を聞くと、機構にはぜひぜんそく患者の実態調査を行ってほしい、全国のぜんそく患者数というのは二百万人とも言われているけれども、これは厚労省が行ったサンプル調査に基づく大ざっぱな数字でしかないんだ、医師会に問い合わせるなどして実態調査を行って、ぜんそくの被害状況を正確につかんでほしい、こういう要望も出されております。
 ですから、こういった要望も踏まえた公害健康被害予防事業の調査研究、調査の対象としてこういうものもぜひ実施をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○三好政府参考人 公害健康被害の予防事業ということで、大気汚染の影響による健康被害の予防に寄与するような、ぜんそく等に対する対策や住民の健康確保に関する目的に関する事業を実施させていただいているところでございます。
 どのような事業が患者の皆様のニーズに合っているかということにつきましては、引き続きしっかりと検討し、適切な対応を図れるようにしてまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 また、要望として、この前も石炭火力発電の質問をいたしましたけれども、石炭火発の新設計画というのが地域住民の方に十分な情報発信も行われないまま進んでいる、大気汚染の懸念や大量の温水を流すことによる周辺の水環境や農業への影響も心配をされる、一般的には日本の大気汚染は既に解決済みだと考えられているが、実際は石炭火力や車の排ガスの問題というのは依然未解決のままであり、そうした研究、情報発信を機構にはやってほしいという声も寄せられているところです。こういうのもぜひ受けとめていただきたいと思います。
 しかし、中期計画を見ると、公害健康被害予防事業の調査研究費総額を平成二十四年度比で一〇%以上削減するということも書かれているわけですね。そういう点でも、調査研究に当たっての公害患者の皆さんの声と逆行するんじゃないのかと率直に言って思いますけれども、この点についてはいかがですか。

○三好政府参考人 お答え申し上げます。
 公害健康被害予防事業の調査研究費でございますけれども、平成二十四年度の実績では一億三千四百万が、平成二十六年度実績では八千百万円。第三期中期計画の期末における見込み額は八千百万円ということでございます。
 削減の理由でございますけれども、公害健康被害予防事業の原資でございますけれども、これは基金の運用益の収益を見込んでいるところでございまして、昨今の金利情勢の観点から減収していくトレンドにあるということで、調査研究費につきましても、公害健康被害予防事業の中ということでございますので、重点化を図りつつ削減をしていく必要があるという状況にあるということでございます。

○塩川委員 やはり必要な事業はしっかりと手当てをしていくということが必要で、そもそも、大臣、お尋ねしますが、この独法に対して中期目標を主務大臣がお決めになって、それに基づき法人が中期計画を立てるといった際に、どうしても、効率化という形での指標を設けることによって、この五年間におけるさまざまな数字を示すことで、実際に業務の執行に係る経費が削られていくというのが実態であります。
 私は、やはり、こういった一律なやり方というのはおかしいという点でも、改めて、こういった中期目標、中期計画で効率化の名のもとに経費を削減するようなやり方そのものを改める必要があるんじゃないのか、このように考えますが、大臣はいかがですか。

○丸川国務大臣 国の財政状況が大変厳しい中で、政府全体として取り組みをすべしということでそのような手続になっておるわけでございますが、一方で、競争的資金が運営費交付金として措置されているほかの独立行政法人においては、競争的資金については一律の削減対象とせずに、研究開発予算として必要な予算を確保されるものと承知をしておりますので、少なくとも、この研究開発予算ということについては、きちんと必要な予算の確保に努めてまいりたいと思いますし、業務の効率化において、重要な業務が人手が足りないということにならないように、これからもしっかりと目を光らせてまいりたいと存じます。

○塩川委員 運営費交付金に当たっての研究開発費は、この後でまた質問もいたしますけれども、いや、研究開発費は削らないからいいという話にならないわけですよ、必要な一般管理費や業務経費をもう削っているわけですから。人件費についても、結局、キャップを決めた上で、実際に仕事がふえたとしても中で人員のやりくりをしてくれと。言うなれば、もうしわ寄せが来るのは明らかじゃないですか。
 そういったキャップをはめるようなやり方がおかしいんじゃないのか、そういうのは、やはり、業務の重要さを考えるのであれば、見直しを求めるということが主務大臣がやるべき仕事じゃないかと思うんですが、改めて。

○丸川国務大臣 今後また、業務を移管していくプロセス、また、移管した後の運営の状況を踏まえながら、今回専門的な人員については増強するわけでございますけれども、全体の業務としてうまく運ぶかどうかということはよく注視をしていかなければならないと思っておりますし、非常に過大な問題が発生するようなことがあってはなりませんので、予防的に、そういうことが起こらないようにという配慮はしっかりしてまいりたいと思います。

○塩川委員 この間も人も減らした中で、さらにそこから人も割いて新たな仕事に充てるということですから、これはやはりいろいろなしわ寄せが出るということは必至ということで当たらなければいけないと思いますし、人の話だけじゃなくて、業務経費や一般管理費を削る、こういうことについてもさまざまな問題が出てくるんじゃないのかということこそ、改めて見直す必要があると思うんですが、その点はいかがですか。

○丸川国務大臣 今のところ、さまざまな問題が必ず起きると予見をされているわけではないとは承知をしておりますが、改めてよく確認をさせていただきたいと思います。

○塩川委員 前後しますけれども、先ほど健康被害に取り組む団体の方のお話でも、石綿について、申請から認定まで二カ月で結果が出ていたのが、今は長いと半年を超えると。こういう実態というのはあるんじゃないのか。こういう事実については確認をしてもらえますか。

○三好政府参考人 先生御指摘のような実態にあるのかどうかにつきましてはしっかりと確認をしていきまして、必要な対応をとらせていただきたいというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、現状がそういう形で後退しているんじゃないかと言われているときに、さらに業務の追加によってしわ寄せが拡大するようなことがあってはならないということであります。
 そこで、研究開発費に係る推進費についての、運営費交付金としての取り扱いのことです。
 環境省から推進費の配分業務が機構に移管されるのに伴って、推進費は運営費交付金として交付されると承知をしております。
 この間、政府は、機構を含む独立行政法人全体について、独立行政法人改革等に関する基本的な方針の中で、法人に対し、国から交付される運営費交付金を適切かつ効率的に使用する責務を課し、主務大臣が中期目標において効率化目標を指示することを定めております。
 そういった場合に、推進費はこのような運営費交付金の効率的な使用の対象となって削減はされないとはっきりと言えるんでしょうか。

○三好政府参考人 先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、競争的資金が運営費交付金として措置されているほかの独立行政法人はございまして、その中では、競争的資金は、先生が御指摘をいただいております運営費交付金の一律の削減の対象としていない例がございます。
 例えば、国立研究開発法人の科学技術振興機構でございますとか、独立行政法人日本学術振興会、あるいは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構などが挙げられるところでございます。
 私どもは、まずは予算編成のプロセスでということになるわけでございますけれども、しっかりとした競争的資金を確保いたしまして環境政策にかかわる科学技術開発を進めていきたいというふうに考えているところでございまして、こういう他法人の取り扱いの例を参考にさせていただいて、必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 他法人と同じような扱いになるという保証があるのかということなんですが、どうですか。

○三好政府参考人 これにつきましては、予算編成のプロセスの中でまた財務省等に要求をしていくということになりますので、このような他の法人の例を踏まえまして、環境省としてしっかりと環境研究、技術開発の推進に向けて必要な予算の確保をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 こういう研究開発費については運営費交付金の効率化係数から除外されているという話も伺いますけれども、仮にそうなったとしても、そもそも、では他の法人の研究開発費の額がどうなったのか。
 今紹介もありました、例えば文科省の日本学術振興会の科学研究費助成事業、いわゆる科研費ですけれども、この間、本省から独法の日本学術振興会に移管がされてきて、二〇一四年に全て振興会に移管をされました。その科研費というのは、二〇一一年度の二千六百三十三億円が、直近の二〇一五年度では二千二百七十三億円へと減少しているわけですよね。
 ですから、やはり全体として、効率化の名のもとでこういった経費も絞り込まれていく。ですから、この推進費も同様に削られないと言えるのかという点はいかがでしょう。

○丸川国務大臣 今御審議をいただいております法案を仮に国会でお認めいただけるということになりますと、この研究費、研究開発予算を協議させていただくのが平成二十九年予算ということになります。ですので、平成二十九年度予算を協議するときには必ず、私どもとしては、これを一律の削減の対象とされないようにしっかりと議論をしてまいりたいと思っております。
 私どもが取り組んでおります研究開発については、被災地の復興や環境行政への貢献はもとより、広く世界においても役立つ研究をしているという自負がございますので、そのことをしっかりと訴えてまいりたいと存じます。

○塩川委員 次に、大臣にお尋ねいたします。
 そもそも、推進費の配分業務を機構に移管する理由は何か。そもそもの点でお答えをいただけるでしょうか。

○丸川国務大臣 環境研究、技術開発は、持続可能な社会の構築に不可欠なグリーンイノベーションの基盤をなすものでありまして、その確実かつ効果的な実施によって環境の各分野への貢献を果たしていくことが重要でございます。
 このため、環境省におきましても、環境研究総合推進費などにより、環境分野における調査研究や技術開発を支援してきているところでございます。
 このたびは、この推進費の配分業務等を機構に行わせることで、複数年度契約方式の採用による研究費の使用の効率化、そして研究者への助言等の支援の強化、これは専門の職員を新たに配置することによって行うことを意図しておりますけれども、加えて、研究課題の審査や評価の高度化によって、環境研究、技術開発のさらなる効率的、効果的な推進を図ってまいります。
 また、副次的になるかもしれませんが、一方で、環境省においては、これらの研究の成果を政策に反映するということに専念ができるようになりますので、こうした側面からも、より効率的にこの研究開発費を生かし、またその成果を生かしていくことにつながっていくものと考えております。

○塩川委員 移管に伴う効果ということでのお話だったわけですけれども、もともと、移す理由というのが、先ほども議論もありましたけれども、二〇〇八年の研究開発力強化法の第二十七条において、「公募型研究開発に係る業務の全部又は一部を独立行政法人に移管することが公募型研究開発の効率的推進に資すると認めるときは、可能な限り、これを独立行政法人に移管する」、このようにあったことを踏まえての措置だと思うんです。
 その点はそれでよろしいでしょうか。

○丸川国務大臣 御指摘のとおりでございまして、研究開発力強化法で、「資すると認めるときは、」とございますけれども、まさに、私どもは、それが私どもの環境研究総合推進費のより効率的、効果的な運用に資するという判断のもとに、今回、機構に移管を図るものでございます。

○塩川委員 政府は、研究開発力強化法を踏まえて、研究開発の成果の最大化を図る、効率的な運営体制を強く求めるものとなっています。
 私は、この推進費の配分業務の独法への移管というのは、研究開発力強化法で掲げるような、成果の最大化や効率的な運営体制のもとでは、本来推進費が果たすべき、人の健康の保護と生活環境の保全、こういうことを目的とする環境政策を、率直に言って成果第一主義という形でゆがめることになりはしないのかということを強く懸念するんですけれども、大臣はいかがでしょうか。

○丸川国務大臣 複数年度の契約方式を用いることができるということは、先々、何年間かにわたってその研究の見通しが立つということにもつながります。
 これまでも、研究者の皆様方にとって使いやすい環境研究総合推進費になるようにということで、項目の整理であるとかあるいは統合を進めてまいりましたけれども、より一層見通しを持って研究に取り組んでいただけるような環境をつくるという意味においても、今後、機構において運用させていただくことにしたわけでございます。

○塩川委員 研究開発力強化法の第一条に何と書いてあるか。これは、「我が国の国際競争力の強化及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」とあるように、国際競争力の強化という観点が踏まえられているわけです。
 やはり、推進費というのは、地球温暖化の防止や循環型社会の実現、自然環境との共生といった環境政策の推進にとって不可欠な科学的知見の集積及び技術開発の促進を目的としているわけです。これが本当にそのとおりされているかどうかというのも我々なりに検証が必要だと思っていますけれども、そういうことをうたっている、目的としているわけです。
 こういった推進費の目的と研究開発力強化法の国際競争力の強化という目的は、これは相入れないんじゃないのか、率直に思いますが、どうでしょうか。

○三好政府参考人 お答えを申し上げます。
 研究開発力強化法につきましては、議員立法で措置されたものというふうに私ども承知をいたしておりますが、その中で、やはり研究者の方にいかに効率的に研究を進めていただくかという中で、やはり本省で直接配分しておりました場合にはどうしても、複数年度契約という方式は採用できない、大きな壁がございます。そこを、この独立行政法人に移管することによりまして、研究成果を最大限発揮していただくということを目的といたしているところでございまして、大きな意味で研究開発力強化法の全体の趣旨に沿った対応というふうに考えているところでございます。

○塩川委員 私の聞いたことに答えていないので、大臣、お答えいただきたいんです。
 研究開発力強化法の第一条には、国際競争力の強化というのが大目的なんですよ、大目的でうたわれているんです。それが、先ほど紹介したような、推進費の目的である地球温暖化の防止とか循環型社会の実現とか自然環境との共生といった環境政策の推進にとって必要な知見の集積、技術開発の促進、こういう推進費の目的と研究開発力強化法の言う国際競争力の強化という目的というのは相入れないんじゃないのかと考えるんですが、大臣にお答えいただきたいと思います。

○丸川国務大臣 国際競争力の強化という意味においてどうかということでございますが、先ほども申し上げました、例えばIPCCの第五次報告書、また、私どもの国で適応計画をつくる上において、この環境研究総合推進費で行われた研究というのは大変大きな貢献を果たしました。また、被災地の復興においても、この環境研究総合推進費での事業というのは大変大きな役割を果たしております。
 直接的に国際競争力に結びつくかどうかという点で言われると、直ちにというわけではございませんけれども、こうした知見の積み重ねが、やがて我が国が国際的に貢献をしていく、国際社会の役に立っていくという面においては大変大きな意味があるのではないかというふうに理解をしております。

○塩川委員 政府の成長戦略であります日本再興戦略におきましても、国際競争力の強化というのをうたっているわけですよ。そういうもとで何をやっているかといえば、我々からすれば、原発の再稼働を進めるだとか石炭火発を進めましょうみたいな、そういう話というのは、本来やはりこういった推進費の目的とは相入れないんじゃないのか。
 そういうことで、こういう形での、そもそも研究開発力強化法に基づく今回の推進費の機構への移管というのが、推進費のそもそもの目的に対して、それを大きく後退させることになるんじゃないのか。改めてお聞きします。

○丸川国務大臣 環境研究総合推進費を今後どのような研究に投じていくかということについては、環境省も引き続き関与をしてまいります。
 その中において、私どもは、やはり第一に、先ほど先生が御指摘をいただきましたような、環境省として必要な行政ニーズを第一に考えてまいります。それは、これまで我々が取り組んでまいりました、国民の命を守るために環境を守っていくという思想、思いに基づいたものでございますので、それが先々どのような形でか国際競争力の強化に貢献することはあろうかとは思いますけれども、一義的には、私どもの行政ニーズということが一番基になろうと理解をしております。

○塩川委員 地球温暖化の防止や循環型社会の実現、自然環境との共生といった環境政策の推進のための研究開発が、国際競争力の強化という政府の方針によってゆがめられるという懸念は払拭できないということを申し上げて、質問を終わります。