国会質問

<第190通常国会 2016年04月005日 環境委員会 7号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 PCB廃棄物特措法について、二回目の質問をいたします。
 きょうは、PCB廃棄物の処理費用全体の問題についてどうなっているのか、その費用負担を誰に求めるのか、この問題について最初に質問をいたします。
 環境省にお尋ねしますが、そもそも、当初想定をしていたPCB廃棄物全体の処理に要する費用は幾らだったのか、このことについてまず確認をいたします。

○鎌形政府参考人 当初の想定についてのお尋ねでございます。
 高濃度PCB廃棄物処理に係る費用としては、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、JESCOのPCB処理事業が開始されたのが平成十六年度でございまして、この時点で約四千百五十五億円と推計してございます。
 その内訳といたしましては、施設整備に必要な費用として約千五百六十五億円、施設の運転費用として約二千五百九十億円と推計しているところでございます。

○塩川委員 当初想定していた費用として、施設整備費千五百六十五億円、運転関係について二千五百九十億円、合計四千百五十五億円ということであります。
 その際に、この費用の負担者の内訳はどうなっているでしょうか。排出者の負担額、国や都道府県の負担額、そしてPCB製造者、PCB使用機器製造事業者の負担額というのはあるんでしょうか。それぞれ幾らか、お答えください。

○鎌形政府参考人 先ほど申し上げました推計の約四千百五十五億円につきましては、排出事業者として、排出事業者のうち大企業者の負担を約千九百九十五億円、中小企業者の負担を約六百六十億円、以上が排出事業者の負担として推計しているものでございます。また、国の負担を約千二百二十億円、都道府県の負担を約二百八十億円と推計してございます。
 この推計には、先ほど御指摘ございましたPCBの製造事業者あるいはPCB使用製品の製造事業者の負担は含まれておりません。

○塩川委員 当初想定した四千百五十五億円については、排出者の負担額、中小企業の負担軽減策はありますのでその分を引いた排出者の負担額は二千六百五十五億円、それから国、都道府県の負担額は一千五百億円、PCB製造事業者、PCB使用機器製造事業者の負担額は想定していないということです。
 中小業者の負担軽減策もあり、国や都道府県の拠出が大きいわけですが、一方で、製造事業者に負担を求めるものとなっておりません。
 そこで、現時点の高濃度PCB廃棄物の処理費用実績額は幾らになっているのかについて御説明ください。

○鎌形政府参考人 処理費用実績についてのお尋ねでございます。
 平成二十七年三月末日までにJESCOにおいて処理いたしましたPCB廃棄物の処理に要した費用につきましては、約四千四百億円ということでございます。

○塩川委員 平成二十七年三月末日までにJESCOにおいて処理したPCB廃棄物に要したコストが約四千四百億円ということですから、当初想定していた金額をもう既に上回っているということになります。
 その費用の負担者の内訳はどうなっているのか。排出者の負担額、国、都道府県の負担額、あわせて、PCB製造事業者、PCB使用機器製造事業者の負担額はどうなっているのかについてお答えください。

○鎌形政府参考人 これまでに各関係者から負担された額ということでお答え申し上げますが、排出事業者の負担は約二千八百億円、国の負担は当初の出資なども含めまして、現物出資なども含めまして約千七百億円、都道府県の負担は約六十億円ということでございます。
 御指摘の、PCBの製造事業者ないしPCB使用製品の製造事業者の負担は含まれてございません。

○塩川委員 ということでありまして、排出事業者は二千八百億円、国が千七百億円でしたね、都道府県が六十億円、製造事業者の負担はないということです。
 既に現時点の高濃度PCB廃棄物の処理費用実績額というのは当初想定より膨らんでいるわけですけれども、その理由は何か、御説明ください。

○鎌形政府参考人 JESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理は世界でも類を見ない大規模な化学処理方式であったため、処理開始後に、作業員の安全対策が必要になったことや、PCB廃棄物の紙、木などの部材に含まれるPCB洗浄などの処理に長時間を要するなどの課題が明らかとなりました。
 また、JESCO施設の処理能力については、操業開始から終了まで施設の処理能力が一〇〇%発揮できるという条件で計画されていたところでございます。これに対しまして、先ほど申しました操業開始後の諸問題への対応による立ち上げのおくれ、稼働率の低下、また、一部の事業所におきましてPCBの漏えい事故への対応で長期間停止を行ったことなどで処理がおくれているという状況がございました。
 こういった処理のおくれによりまして、当初の想定よりも処理に要した費用が増加しているものと考えております。

○塩川委員 世界に類を見ない大規模な化学処理施設ということで、いろいろな、初めて直面するようなトラブルでもあった。先週質問しましたように、人的なトラブルも含めて、現実には稼働率一〇〇%の想定自身がそもそもそれで妥当だったのかということもあると思います。現実には、こういう形で期限も延び、結果として処理費用全体も膨らむということになっているわけです。
 それで、今後の話ですけれども、今後、高濃度PCB廃棄物の処理にどれだけの費用がかかると見込んでいるんでしょうか。

○鎌形政府参考人 今後の処理に要する費用についてのお尋ねでございます。
 処理対象のPCB廃棄物の全体がどうなっているか、どういう量でどういう額になるか、あるいは、処理が終了した後、施設の解体撤去に係る費用の全体量などが現時点では明らかになってございません。そういう意味で、現時点で見通しを示すことは困難でございます。
 ただ、一つの試算としてでございますが、JESCOにおける推計によりますと、平成二十七年十月以降の高濃度PCB廃棄物の処理対象量を、トランス類六千六百九十六台、コンデンサー類八万六千七百六十四台、安定器など汚染物九千九百六十四トンと見込んでいるところでございまして、仮にこれらの処理対象量に標準的な処理料金として推計する料金を掛け合わせますと、約三千八百億円と試算されます。必ずしもコストに対応した数字とは言えませんけれども、処理対象量の推計量に処理料金の推計を乗じた場合には約三千八百億円と試算されているということでございます。
 いずれにしても、今後幾らかかるかにつきましては、現時点で見通すことは困難ということでございます。

○塩川委員 高濃度PCB廃棄物の処理コストで今後三千八百億円もかかるということです。
 確認ですけれども、その中には施設の点検、補修の経費、また施設の解体撤去費用は含まれていないということでよろしいですか。

○鎌形政府参考人 先ほどお答えした費用のうち、あくまで試算でございますが、それにつきましては、先ほど申しましたとおり、JESCOが試算する今後の処理対象量に標準的な処理料金の推計の料金を掛け合わせたというものでございまして、御指摘の施設の点検、補修に関する費用、あるいは処理終了後の施設の解体撤去費用が全て含まれているわけではございません。

○塩川委員 高濃度PCB廃棄物の処理施設の解体撤去というのはかなりの経費を見込む必要があると思うんですけれども、そういう推計というのはないんでしょうか。

○鎌形政府参考人 解体撤去費用自体についての推計はございませんが、今後精査していく必要があるということでございます。

○塩川委員 このように、まだ推計も出ていない経費もあるわけであります。ですから、現行で四千四百億円かかって、今後、高濃度PCB廃棄物の処理コストだけで三千八百億円が見込まれ、それに施設の点検、補修や施設の解体撤去費用も上乗せされるということになってまいります。このように膨大な経費がかかるということです。
 その費用は、PCB廃棄物の排出事業者の責任で負担されるのが原則とされております。しかしながら、排出事業者の負担に加えて、多額の予算が投入をされ、国民が負担をする税金という形で穴埋めをすることになっております。
 私は、改めて、この費用負担について、PCB製造事業者、PCB使用機器の製造事業者の責任を問うべきだと考えます。毒性を持ち、難分解性のため高額な処理費用を要するPCB及びその使用製品を製造した事業者の責任は極めて重い。
 もともと、政府は、汚染者負担の原則に基づいて、回収、処理の一切をメーカーとユーザーに委ねる、これが対応の基本だったんではないかと思うんですが、いかがですか。

○鎌形政府参考人 汚染者負担の原則につきましては、まさに汚染の行為をした方に負担を求めていくということで理解してございます。そういう意味で、排出事業者の負担を求めていくという考え方でございます。

○塩川委員 ですから、そのもとになる毒性の強いPCBをつくり、PCB使用機器をつくった、そういうメーカーの責任も問われるべきではないですか。

○鎌形政府参考人 廃棄物処理法の世界でも、排出事業者責任ということでいわゆる汚染者負担の原則を体現しているということでございまして、製造業者に対して負担を求めるという構造にはなっていないところでございます。

○塩川委員 PCB特措法においては、第四条に、PCB製造者等は、PCB廃棄物の確実かつ適切な処理が円滑に推進されるよう、国及び地方公共団体が実施する施策に協力しなければならないとあります。また、法第十五条には、環境大臣は、PCB製造者に対し、PCB廃棄物の確実かつ適切な処理を円滑に推進するための資金の出捐その他の必要な協力を求めるよう努めるものとするということで、第十五条では、PCB製造者、これはPCB使用機器の製造事業者も含まれているわけですけれども、資金の出捐、協力を求める、こういうことが書かれているわけです。
 こういうのが盛り込まれているのは何でなんですか、それでは。

○鎌形政府参考人 PCB特措法におきましては、処理責任という意味では排出事業者に課しているところでございますけれども、PCBの製造事業者あるいはその使用製品の製造事業者についても協力ないし一定の貢献をするというようなことを求めているということがこの法律の構造でございます。

○塩川委員 PCB廃棄物の処理費用の負担を求めるということも含んでいるんじゃないですか。

○鎌形政府参考人 法律上の規定では、協力を求める、あるいは一定の出捐を求めるということでございますが、PCB処理費用の負担そのものということは法律上の記述には直接的には書いていないかというふうに思います。

○塩川委員 では、排除をされているのかということではどうですか。

○鎌形政府参考人 先ほど申しましたとおり、直接的に負担を求めるという記述にはなってございませんけれども、負担を求めないと書いてあるわけでもございません。

○塩川委員 非常に重要なところだと思います、この後の話の議論にもつながっていくわけですけれども。
 では、ちょっと事実関係をもう少し続きで聞きますけれども、過去、特措法の規定に基づいて、PCB製造業者、PCB使用機器製造業者に資金の出捐を求めたということはないんですか。

○鎌形政府参考人 先ほど御指摘の特措法十五条の出捐を求める規定でございますが、これに基づきまして、PCBの製造事業者あるいは使用製品の製造事業者に対して正式にPCB廃棄物処理基金への出捐を求めたことはございません。
 ただ、これまで、事務的に産業界の関係者に資金の出捐の必要性について協議をして、その結果として、平成十四年度までに、PCB製造者等が過去出捐をしておりました財団法人電気絶縁物処理協会から四億八千万円がPCB廃棄物処理基金に拠出されたところでございます。

○塩川委員 電気絶縁物処理協会、昔、ピーシービー処理協会と言われていたところですけれども、そこから出捐金四億八千万円がPCB廃棄物処理基金に提供されていて、これがJESCOの研究、研修費用に充てられているということですが、その経費は廃棄物処理費には充てられてはいないということですか。

○鎌形政府参考人 今申し上げました財団法人電気絶縁物処理協会から出捐された四億八千万円の使い道でございますけれども、PCB廃棄物の処理の研究などに充てられているということでございまして、処理費用に充てられているものではございません。

○塩川委員 もともと第十五条に基づいての資金の出捐を求めた経緯ではないこともあるんでしょうけれども。
 それでは、経産省に確認しますが、この電気絶縁物処理協会が資金を出捐した経緯について、簡単に説明してもらえますか。

○若井政府参考人 お答えを申し上げます。
 財団法人電気絶縁物処理協会は、電気絶縁物の無害化処理に関する技術の研究及び無害化処理の推進を図ることを目的に、昭和四十八年に設立されたものでございます。
 同協会は、PCB使用機器製造事業者のほか、幅広い事業者から寄附金を募りまして、PCB処理対策のための基金を組成したところでございます。
 平成十三年にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の施行等が行われたことを受けまして、PCBの処理業務はこの法律等によりまして国、地方公共団体、環境事業団の業務とする旨が法定をされましたため、同協会は解散をいたしました。
 同協会の解散に伴いまして、残余財産四億八千万があったわけでございますけれども、これは、この財団の設立根拠でございます民法の規定にのっとりまして、類似の目的を有してございますPCB廃棄物処理基金に拠出をされたということでございます。

○塩川委員 電気絶縁物処理協会そのものは、PCB廃棄物の処理のための研究開発も行うし、実際には回収をする、それを処分する、そういうのを民間主体にやるということでつくられたものであって、それが、焼却処分がなかなかにっちもさっちもいかないということで、国が出て化学処理という形になった。そういう際に、協会としては解散をし、持っていた資金については出捐をするという形になったわけであります。
 この電気絶縁物処理協会を構成していた主要なPCB製造業者、PCB使用機器製造業者がどういうところかについて教えてもらえますか。

○若井政府参考人 お答えを申し上げます。
 財団法人電気絶縁物処理協会には、役員及び評議員といたしまして、鐘淵化学工業、東京芝浦電気、日立製作所及び三菱電機等の製造事業者、日本国有鉄道、電気事業連合会及び日本鉄鋼連盟等の機器の使用者が運営に参画をしてございました。
 同協会の解散に伴って、先ほど申し上げましたように、その資金についてはこちらのPCB廃棄物処理基金に拠出をいたしたということでございます。

○塩川委員 今紹介いただいたように、カネカのようなPCB製造事業者、それから東芝、日立製作所、三菱電機などのPCB使用機器の製造事業者、あと、業界団体で電事連や鉄鋼連盟の、ユーザーの立場も含めて入っているということであります。
 先ほどもちょっと言いましたけれども、もともと、PCB廃棄物の回収、処理というのは、電気絶縁物処理協会を中心に、製造事業者を中心に進められてきたんだと思うんですけれども、その点。

○若井政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、財団法人電気絶縁物処理協会が、電気絶縁物の無害化処理に関する技術の研究及び無害化処理の推進を図ることを目的に設立をされたということは事実でございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
 こういう歴史的な経緯を考えますと、当初想定していた処理費用が大きく膨らんでいく、そういうときに、排出事業者に負担を求めるのと同時に、実際には国や都道府県の負担というのも大きな額が支出をされているところであります。そういった事情を考えれば、やはりこういったPCBの製造事業者、PCB使用機器の製造事業者に対して、もともと無害化処理でも責任を負ってきたわけだ、であれば、今はそれが解散して国によろしくとなっているだけで話が終わるわけではなくて、少なくとも費用の負担ぐらいしっかりとしてもらうということが必要なんじゃないでしょうか。
 法の第十五条にもあるように、PCB製造事業者、PCB使用機器製造事業者に必要な資金の拠出を求める、こういう立場で臨むことが求められると思いますが、大臣はいかがですか。

○丸川国務大臣 PCB廃棄物については、排出事業者責任に基づいて排出者が責任を持ってPCB廃棄物を産業廃棄物として処分し、排出事業者がその費用を負担することが原則であると考えておりますが、一方で、排出事業者が不明また倒産をしているというような場合には、排出事業者に処理費用の負担を求めることが困難でございますので、その費用負担のあり方については別途検討をしてまいります。

○塩川委員 今、代執行の経費のお話のところだけ触れましたけれども、いや、それも含めてやはり全体に大きな費用がかかっているんですから。
 何でかかるかというと、やはり毒性がある物質の処理のために経費がかかっているわけで、そういったときにしかるべく責任を果たしてもらうという点で、PCB製造事業者等に負担を求めるという立場で臨むということが必要じゃないか。その点、もう一回。

○丸川国務大臣 私が特に代執行について申し上げましたのは、保管事業者の破産等によってPCB廃棄物の処理が滞っているものが一定数存在しておりますので、処理期限内の処理の完了ということを達成する場合に、代執行が円滑に行えるようにするということが極めて重要だという認識があるからでございます。
 そのための措置を法の中にも盛り込んでいるところでございますし、また、本年二月のPCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の報告書で、事業者が不存在また資力不足等の場合であって、行政代執行に要した費用を事業者から徴収することが困難な場合について、支援のあり方をあわせて検討する必要があるという御指摘をいただいております。
 これを踏まえて、環境省において、有識者等から構成される検討会を設置しまして、都道府県が行う行政代執行に対する支援のあり方について三月に検討を開始したところでございますが、この検討会にはPCBやPCB使用製品の製造事業者にも御参画をいただいております。速やかに、この検討会においてその支援のあり方について議論を進めてまいりたいと存じます。

○塩川委員 代執行、つまりPCBの排出事業者が不存在あるいは資力が足りないような場合に限ってこのようにPCB製造事業者等に負担を求めるという、限定的に使うというのは、今の全体の経費の額を考えたときに、余りにも小さ過ぎるのではないのかと率直に思います。
 改めて、PCBの製造事業者等にしっかりとした費用負担を求める、先ほどの第十五条の解釈のところでも、負担を求めないというところまでは書いていないという言い方もされておりましたので、私は、こういう立場で踏み込んだ対応が行われるべきだと。それでこそ、今後においても、毒性を持つようなそういう物質を製造する事業者が生まれるような場合についての必要な責任を求めていく、そういうことにつながっていくと考えております。
 次に、掘り起こしについてでありますけれども、経産省にお尋ねしますが、使用中のPCB使用電気工作物の掘り起こしについて、経産省はこれまでどんなことをやってきたんでしょうか。

○三木政府参考人 PCB使用電気工作物につきましては、平成十三年のPCB特措法制定以前から、電気事業法及び関係省令によりまして、経済産業省として必要な措置を講じてきているところでございます。
 具体的には、昭和五十一年にPCB使用電気工作物の新規設置を禁止しますとともに、平成十三年には、使用する電気工作物つきまして一定水準以上の濃度のPCBを含有していることが判明した場合、その時点で国に届け出ることを義務づけております。また、これらに違反した場合には、技術基準適合命令等により必要な改善を求めることとしております。
 こうした規制の内容とともに、PCB使用電気工作物の廃棄の必要性やその手続につきまして、例えば毎年八月の電気使用安全月間における啓発活動などを通じまして、電気工作物の設置者等に対して周知を図ってきているところでございます。

○塩川委員 そこで、使用中の高濃度PCB使用電気工作物、この届け出数というのは幾つになっていますか。

○三木政府参考人 本年三月末までに電気事業法の電気関係報告規則に基づきまして届け出を暫定集計いたしましたところ、現状では約二万台程度の高濃度PCB使用電気工作物が使用中であると承知をしております。

○塩川委員 使用中の高濃度PCB電気工作物が約二万個ということであります。
 環境省にお尋ねしますが、PCB特措法に基づく届け出によると、高濃度PCB使用製品の使用数というのは幾らなんでしょうか。

○鎌形政府参考人 PCB特措法におきましては、PCB廃棄物を保管する事業者がその保管状況について届け出する義務を負っているところでございまして、その届け出におきまして、PCB廃棄物の保管及び処分の状況について参考となるべき事項として、PCB使用製品の使用状況についても記載してもらうこととしてございます。
 その届け出のデータでございますが、電気事業法の電気工作物に当たりますトランス類五百五十台、コンデンサー類六千四百十四台、合わせて六千九百六十四台となってございます。
 このため、PCB特措法では、逆に、PCB廃棄物を保管する事業者には届け出義務がありますが、持たないPCB使用製品の使用事業者については届け出義務はないということでございまして、この分は把握できていないということでございます。
 したがって、電気事業法の届け出との間での相違が生じているというふうに考えてございます。

○塩川委員 電気事業法に基づく使用製品の届け出の数は約二万個、それに対して、特措法に基づく使用製品の届け出の数は約七千台ということで、一万三千台もの開きがある。
 今、その説明について、特措法というのはPCB廃棄物を保管する事業者に参考情報として聞いているからそういう限りがあるんだというので、その差の説明をされておられました。
 そこで、環境省にお尋ねしたいのは、先ほどJESCOが試算をした今後の廃棄物の処理対象量の見込みがありましたよね。トランス類が六千六百九十六台で、コンデンサー類が八万六千七百六十四台、合計九万三千四百六十台。これは、そもそも見込まれる数に掘り起こしの一割を上乗せした数なはずなんですよ。
 この九万台余りの今後の処理対象量、それは、今特措法で言っている七千台を前提に計算しているのか、それとも経産省の二万台を織り込んで計算しているのか、どっちですか。

○鎌形政府参考人 現在特措法で把握しておりますPCB廃棄物と、それから先ほど申しましたように、付随して把握できる使用中のもの、これを見込んで、かつ、それに、掘り起こしをされ、およそ一割増しになるだろうということで算定しているところでございます。

○塩川委員 いや、そういった数になっているんですか。つまり、電気事業法で把握をしている使用製品の二万台がもともとのJESCOの数字に反映されているということなんですか。だって、届け出がされているわけじゃないんでしょう。

○鎌形政府参考人 申しわけありません。説明が悪かったと思いますけれども、先ほど申しましたのは、PCB特措法の届け出で把握されているものをベースに一割増しにした、そのPCB特措法の届け出で把握されているもののベースには付随して届け出いただいている使用中のものも含まれている、そういう意味で申し上げました。
 ですから、電気事業法の届け出との間でのものを全て見込んでいるということでお答え申し上げたわけではございません。

○塩川委員 ということは、PCBの使用中のものについては廃棄物になっていませんから、要するに、特措法上のあくまでも参考情報なわけですよ。ですから、もちろん特措法でつかんだ七千台余りの使用中のものはカウントしているわけですけれども、経産省がつかんでいる二万台の分は入っていないということなんですよ。つまり、二万引く七千の一万三千台分というのは対象にならずに、この九万台余りという総数になっているんじゃないですか。もう一回。

○鎌形政府参考人 掘り起こし調査によって一割程度が発見される、このデータは、北九州市における掘り起こし調査の経験から、それを参考にしたということでございます。
 北九州市における掘り起こし調査につきましては、全ての事業者に対して調査を行いまして、使用中のものも含めて把握したということでございますので、そういった新たに出てくる使用中のものも含めて一割増しぐらいかというような推計をしているということでございます。

○塩川委員 今後の処理対象量の見込みというのは九万三千台なんですよ。その一割ということになれば九千数百ですよね、一割足してということでは。でも、今言ったように、経産省と環境省がつかんでいる使用中の製品の差は一万三千なんですよ。掘り起こしで入れたとしても、一万三千台なんか全部のみ込めないじゃないですか。
 だから、経産省がつかんでいるような数字も反映せずに将来の対象量の見込みを立てている、こういうことになるということであれば、今後の計画そのものの見通しが大きく変わってくるんじゃないですか。

○鎌形政府参考人 先ほど申しましたとおり、一割増しというところは北九州市の調査を参考に立てているものでございますけれども、そこには、今後、改正法ができましたら使用中のものとして届けられるもの、そういったものもカウントされていくということで、一割増しということで推計しているということでございます。

○塩川委員 大臣、聞いていてどうですか。
 今言ったように、経産省の把握する数字と環境省の把握をする使用製品の数に大きな開きがある。それは、数字としての違い、性格がありますから、違いがあるのはいいんですけれども、実際に今後の処理量の見通しについて、ワーキンググループにおける議論にJESCOが出した資料の中には、こういった経産省が把握をしているような使用製品分について反映されていない数字を出しているんですよ。これはまずいんじゃないでしょうかね。

○丸川国務大臣 ですからこそ、掘り起こしの作業をできるだけまず早くやるということは極めて重要だと考えております。
 経産省の方のデータも、まずは我々が掘り起こしを行うときに使わせていただいて、それを都道府県に見ていただいて、掘り起こしの作業に当たっていただくわけですが、まず掘り起こしをしっかりとやるということ。
 加えて、処理の能力としてこれが十分かどうかということは、実効性という意味でもフォローアップという意味でもしっかりと見ながら、できるだけ早急に、必要な状況があるならば、それを進めていくということだろうと思います。
 大変重要な御指摘をいただきましたので、私どももしっかり真摯に取り組んでまいりたいと存じます。

○塩川委員 この問題は、掘り起こしは必要ないんです。だって、経産省がデータを持っているんだからそれをもらえばいいんですよ。その上で、今後の処理量の見込みについて立てる必要があるんじゃないですか。

○丸川国務大臣 経産省からいただいているデータというのは、実際に掘り起こしの作業でその裏づけをとっていくといいますか、確認をしていくものでございますので、私どもも、既にこれはいただくことになっているわけでございますけれども、しっかりとこれを都道府県で確認していただいて、今後の処理のプロセスに反映をさせていただきたいと思っております。

○塩川委員 大臣がちょっとどのことを言っているのかというのはよくわからないんですけれども、いわゆる電気工作物の数が六十八万台、これはこれとして非常に、不十分であっても共有しましょうとやっているわけですよね。
 今言っているのは、使用中の製品について経産省が把握をしている数というのは既に二万台あります、こういうデータについて、そもそも突合がされているんですかという話なんですよ。突合がされていないから、さっき言った、JESCOにおける今後の長期処理の見通しの中にカウントされていないんじゃないのかということにつながるんですけれども、既に突合されているんですか。

○鎌形政府参考人 御指摘のデータは現時点で突合されてございませんので、掘り起こし調査ないしこの改正法におきまして義務づけられる届け出のデータ、こういったものをあわせて、そして経産省からも電気事業法のデータをいただいて、今後精査していくということになります。

○塩川委員 いや、今後じゃないでしょう、今法案審議しているのに。これからしっかりやりましょうという法案を審議しているときに、既にあるデータさえ突合もせずにこれでやってくださいと審議するというのは、余りにも不誠実じゃないですか。
 大臣、環境省の対応としてこれでいいのかということが問われていますよ。

○丸川国務大臣 実際に現場でどうなっているかということをまさに掘り起こしの作業を通じて確認していくわけでございますので、データはデータとして、そのデータと実態がどうなっているかということを、確認の作業をしっかりと進めてまいります。

○塩川委員 そもそも、こういった差があるということについて、まずかったなという思いはありませんか。

○丸川国務大臣 重要なデータでございますので、掘り起こし作業のときにはしっかりと連携を図って、実態としてどうなっているのかという確認をこれからもしっかり進めてまいります。

○塩川委員 ですから、これは、処理量の見通しが甘いという話なんですよ。わかっている数字さえ反映していないんですから。こんなことでちゃんとできるのかということが問われてくるんです。
 先週、丸投げの話をちょっとしましたけれども、ちょっと角度は違いますけれども、今後の処理量について、わかっているデータさえ突合もせずに見通しを出すということでは、これは本気で環境省がやる気があるのかということなんですよ。そういう姿勢が今問われているんだと思うんですけれども、改めて、反省がないのか。

○丸川国務大臣 PCB処理が行える事業所というのは、これまでの長い経緯の中で、これだけの事業所ということが限られており、しかも、それぞれに期限が決められているわけでございますので、私ども、今回の法改正に盛り込ませていただいた措置をお認めいただいた暁には、これをしっかりと活用して、かつ今御指摘をいただきましたようなデータもしっかりと生かしながら、実態として今どこにどういう危機がまだ存在をしていて処理が必要であるかということを、早急に掘り起こし作業を行いまして、全力でこの処理に当たってまいります。

○塩川委員 だから、掘り起こしの話じゃないでしょうと言っているんですよ。だって、今回、経産省が持っているデータなんですよ。掘る必要はないじゃないですか。そう思いませんか。

○丸川国務大臣 情報は情報でございまして、その情報をしっかりと、実態としてどうであるのかということをこの作業を通じて確認してまいります。

○塩川委員 では、経産省の資料は信用できないということですか。

○丸川国務大臣 データはデータとして、実態としてどうであるかということを確認することは極めて重要だと思っております。
 実際に数を確認するだけではなくて、どこにどういう形であるのかということも、また、所有者がどうなっているのかのみならず、どういう状況に置かれているのかも含めて今後の処理にとっては非常に重要でございますので、データはデータとして非常に重要でございますけれども、実態を把握することが極めて重要であるという認識でございます。

○塩川委員 何だか曖昧なような資料の話をされるんですけれども。
 ちょっと経産省に確認しますが、これは電気関係報告規則第四条に基づき届け出されたものだというので、それぞれの地方の産業保安監督部単位で出されている数字ですよね。ですから、一件一件、どこの事業者とかそういうのも、こういうデータの中には、もともと原データには当然含まれている話ですから、環境省のデータと当然突合できますよね。

○三木政府参考人 現行の電気事業法の届け出制度におきましては、PCBの濃度にかかわらず、それを使用する電気工作物の使用が判明した段階及び廃止した段階に、個別に国に届け出ることにしております。さらに、その届け出では、濃度の高低等に応じた区分を明確化することまでは求めておりません。
 したがいまして、国として個別に高濃度PCB使用電気工作物を抽出して定量化するという作業が必要でございまして、これが先ほど申し上げた暫定の集計となっている理由でございます。
 こうした情報は環境省と共有してまいりますけれども、経産省としまして、今回のPCB特措法改正案を踏まえまして届け出の強化をしてまいります。毎年度、使用中の高濃度PCB使用電気工作物の数量でありますとか廃止、処分の見込み等々について、明確な形で国への届け出を義務づけてまいりますので、より精緻に定量的に把握してまいりたいと思っております。

○塩川委員 今度の法改正でより精緻に、しっかりと出していくというのは当然のことなんですけれども、現状でも今言ったように数字の精査、暫定値とは言いましたけれども、拾えるわけですよ、やろうと思えば。
 だから、それを環境省の方が求めれば当然のことながら応えることができるという関係であるわけで、そういったことを何でやってこなかったのかなというのが率直な疑問であるし、これはやはり環境省の対応としても、また、当然一体として、使用製品については経産省の対応が問われているところですから、そういうことについて、それぞれ一言ずつ、反省がないのか。

○鎌形政府参考人 JESCOが先ほど来御指摘のある見通しを出したとき、経産省のデータをいただいてつくったというわけではございませんが、これからも届け出のデータにつきましての把握の強化を図っていかれるというような御答弁がございましたので、そういったものも含めてしっかりとデータを積み上げていくということに取り組んでまいりたいと思います。

○三木政府参考人 高濃度PCB使用電気工作物の期限内処分に向けましては、やはり関係省庁、都道府県等が緊密に連携していくということが必要不可欠であると認識をしております。
 経済産業省では、従来から、環境省や都道府県等に対しまして、当省が把握する電気工作物の設置やPCB使用電気工作物の使用の状況につきまして情報提供を行ってきているところでございますが、今回のPCB特措法改正案を踏まえまして高濃度PCB電気工作物の届け出義務を強化することとしておりますので、今後は、そうした取り組みを通じて得られる情報も含めまして、環境省、都道府県等に対して随時提供してまいりたいと思っております。

○塩川委員 今後連携するというのは当然なんですけれども、これまでそれもやっていなかったというところが問われているわけですから、そのことについて真摯な反省の上に対応を求めたいと思っております。
 最後に大臣にお尋ねしますけれども、大臣からも一言、反省の言葉があってしかるべきだと思いますが、そもそも処理対象量の見込みに含まれていなかった分があるわけですから。この点については、少なくともしっかりと経産省のデータも織り込んで、処理対象量の見込みの変更も踏まえた対策に資する、処理対象量の見込みというところが当然変わるわけですから。それを踏まえた対応をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○丸川国務大臣 データも重要でございますし、その裏づけを、実態としてどうなっているのかとっていくことも重要でございまして、これまでそれが十分にできる体制になかったからこそ、今回の改正案をお願い申し上げているところもございます。
 我々の努力もまだまだこれから必要なことがたくさんございますし、実態として推計というものは今後変わり得るものであると思いますので、確実に把握を進める中で、どのような処理の見込みが立つのかということについては、計画の見直しも含めて今後しっかりとロードマップをつくり、またフォローアップをできる限り、一年以内もしくは必要があればそれよりも早い段階で行うことによって、確実な処理を進めてまいりたいと存じます。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。