国会質問

<第190通常国会 2016年04月19日 環境委員会 9号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 地球温暖化対策推進法について質疑をいたします。
 最初に、熊本、大分を初めとしました九州地方地震災害におきまして亡くなられた方々に心からの御冥福をお祈りし、また、御遺族の皆さんに心からのお悔やみを申し上げ、被災者の皆さんへのお見舞いを申し上げるところであります。
 政府としても、被災者の救助、救援に全力を尽くしていただきたいと思っておりますし、避難者の避難状況の改善のために力を尽くしていただきたい。我が党としても、できるところで皆さんと一緒に取り組んでいく決意であります。
 この被害をもたらした熊本地震の特徴について気象庁にお尋ねをいたしますが、過去の地震との対比で今回の地震がどのような特徴を持っているのか。住民、避難者の皆さんが留意すべきポイントということについてお示しください。

○上垣内政府参考人 お答えいたします。
 平成二十八年四月十四日二十一時二十六分に、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生し、最大震度七を観測いたしております。その後、この地域で最大震度六強を観測する地震を含めたくさんの地震が発生しておりました中、十六日未明一時二十五分には、マグニチュード七・三の地震が発生し、最大震度六強を観測しました。この地震によって、広域にわたって強い揺れを観測しております。
 その後、強い揺れを伴う地震の発生は熊本地方にとどまらず、阿蘇地方、大分県中部地方でも発生しております。昨夜も、阿蘇地方を震源とする最大震度五強となる地震が発生しているところであります。
 このように、今回の地震は、マグニチュード六・五の地震の後に同じ地域でマグニチュード七・三の地震が発生するという経過をたどったという特徴、並びに、地震の活動域が熊本地方から大分県中部にかけての非常に広範囲に及ぶという特徴がございました。
 そのため、気象庁では、地震活動について引き続き強い揺れに警戒を呼びかけるとともに、揺れの強かった地域では、これはかなり広域にわたっておりますけれども、家屋の倒壊でございますとか、地盤が緩んでいる可能性がございますので、土砂災害などに注意をするように呼びかけているところでございます。
 以上です。

○塩川委員 今お話しいただきましたように、いわゆる前震がマグニチュード六・五で本震がマグニチュード七・三。こういう規模で起こった前震、本震、余震型の地震というのはないわけでありますね。そういう意味でも、過去最大規模のこういう形での地震が起こったということが、一度、最初の地震で避難をし、片づけに行ったら本震で被害に遭われた方ということ、このことをもってしましても、避難者の皆さんがこの先どうなるのかという大変不安の中にあることでもありますし、地震の活動域が広がっているということ、北東方面にも南西方面にも広がっているということについても、多くの方が避難を強いられるのではないのか、こういった不安に今なっているところであります。
 マグニチュード三・五以上の地震回数が過去の地震を上回る規模ということも言われております。いわば予想外、想定外のことが起こっている中で、内閣府が集計をしています避難者数というのが現時点で約十一万人ということなんですが、内閣府防災の被害状況を見ますと、屋外避難者なしと書いてあるんですよ。皆さん、ニュースをごらんになっても、避難施設の外で、車の中で避難されている方がたくさんいらっしゃるというのがあるのに、国の集計では屋外避難者なしとなっているんですよ。これは余りにも実態をつかんでいないんじゃないのか。
 そういう点でも、実情に即した支援策というのも極めて重要だと思っておりますし、何よりも、想定外のことが起こっていることについての不安が大きいということを私たちがしっかり受けとめなければいけないと思っております。
 そういった中で、川内原発が稼働していることに不安の声が上がっております。日本共産党は、不測の事態に備えて川内原発は直ちに停止すべきだと考えます。
 少なくとも、稼働の継続ありきではなくて、政府として英知を結集して真剣な検討を行い、このような国民、住民の不安に応えるべきだと思いますが、丸川大臣にその点についてお答えいただきたいと思います。

○丸川国務大臣 稼働中の川内原発においては、今回の地震による最大の地震加速度が補助建屋の一階で十二・六ガルと、原子炉を自動停止させる設定値であります八十から二百六十ガルを下回っております。
 また、原子力規制委員会は、新規制基準への適合性審査において、川内原子力発電所は地震加速度六百二十ガルに対しても安全上重要な設備の機能が損なわれないことを確認していると承知をしております。
 昨日の午前に開催されました原子力規制委員会では、現状において川内原発を停止する必要がないと判断していると聞いております。

○塩川委員 現状においてということですけれども、やはり先ほど紹介をしましたように、今回の地震については、想定外のことが起こり、避難者の皆さんは今後の予測がつかないという不安の中に置かれているわけであります。こういった国民、住民の不安に応えることこそ政府が行うべきことだ。川内原発の稼働の停止、このことを含めて真摯な検討を行った上で国民、住民の不安に応える、このことを強く求めておくものであります。
 温対法についてですけれども、COP21でのパリ協定採択を受けて、地球温暖化対策推進法に基づき地球温暖化対策計画案が策定をされ、政府の地球温暖化対策推進本部がこれを了承したところであります。地球温暖化対策計画案は、温室効果ガスの排出抑制、吸収の量に関する中期目標として、日本の約束草案に基づき、二〇三〇年度において二〇一三年度比二六・〇%減の水準にすることとしたところです。
 その際、温室効果ガス削減目標積み上げに用いたエネルギーミックスでは、原子力が総発電電力量に占める割合は二二から二〇%となっているわけですけれども、この点について確認したいと思います。

○吉野政府参考人 お答えをいたします。
 昨年の七月に策定をいたしましたエネルギーミックスでございますけれども、これにつきましては、安全性の確保を大前提に、自給率をおおむね二五%程度まで引き上げ、改善をする。それから、電力コストを現状よりも引き下げる。具体的には二〇一三年よりも引き下げるということでございます。それから、欧米に遜色ない温室効果ガスの削減目標を掲げる。議論の過程でEU、アメリカが既に目標を出しておりましたので、それに遜色ない形で取り組もうということでございました。
 そうした三つの具体的な目標を同時に達成するように検討を行ったものでございまして、その中でお示しした原子力発電の比率でございますが、これに関しましては、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、火力発電の効率化、具体的には、二〇三〇年にGDP当たりのエネルギー効率を三五%改善するですとか、再エネは現状のほぼ倍に当たる二二から二四%導入する、火力発電も同様でございますけれども、そうした努力によりまして、原子力発電の依存度を可能な限り低減させた結果として、御指摘のような数字になっているということでございます。

○塩川委員 二〇三〇年度における総発電電力量一兆六百五十億キロワットアワーに対して原子力が占める割合は二二から二〇%程度。これは、実際に想定される原発の稼働はどのぐらいになると見込まれるのか、この点について説明をしてください。

○吉野政府参考人 お答えをいたします。
 個別の原子力発電所ごとの状況につきましては、規制委員会の審査によるところもございます。また、原子力発電所ごとに出力規模、実際の稼働率も異なりますので、確定的なことはお示しできませんけれども、二〇三〇年に原発比率二〇%を達成するためには、これは例えばでございますが、稼働率を八〇%と置きますれば、三十基程度という計算になるということでございます。

○塩川委員 稼働率八割にということですけれども、震災前でも稼働率は七割なわけでありますから、それをさらに高める。実際に今の運転を考えても、例えば、林経産大臣が三月の参議院の経産委員会の答弁でも言っていますけれども、四十年を超える運転期間延長を行い、震災前の七割の稼働率を八割にするとすれば、三十基程度という計算になるわけで、そういう意味では、まさに四十年を超える老朽原発を三十基も動かす、稼働率もさらに上げるということがいわば二二から二〇%の根拠となっているという点は極めて重大だと言わざるを得ません。
 現状でも川内一、二号機の稼働のみになりますから、これを大幅に稼働させるということとなれば、政府の目標達成のためには、四十年を超えた老朽原発を動かし、震災前よりも高い稼働率で運転することになります。あるいは、リプレースとか新設とか、新たな原発建設に踏み出すことにもなりかねない。原発推進策を盛り込んでいるのが今回の地球温暖化対策計画案だ、このように言わざるを得ない。
 こういったことを想定するような計画というのが本当に妥当だと言えるのか。大臣はどのようにお考えですか。

○丸川国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックスというものは、昨年までの決定の過程でさまざまな議論を経て決定されたものでございまして、我が国の温暖化対策計画あるいはINDCとも結びついているものでございますが、これは引き続き、毎年の状況を見ながら、しっかりと将来的に必要な検討はなされていくべきであろうと考えておりますけれども、いずれにしても、これはエネルギーと表裏一体のことでございますので、十分な検討が必要だと考えております。

○塩川委員 十分な検討だからこそ原発依存ではない、そういう道にこそ踏み出すというときだと思います。
 こういったエネルギー政策と一体の地球温暖化対策でありますけれども、その際には、やはり東電の原発事故の総括が必要であります。原発事故による損害額の大きさというのは真摯に考えなければならない問題であります。
 そこで、原発の事故費用について確認をしたいと思います。
 原発の事故費用についても、さまざま、復興にも充てるような費用もあるわけですけれども、そこはおいても、原状復旧に充てるような、賠償等、事故収束、廃炉費用、そして除染、中間貯蔵施設、これについてどのぐらいかかるのか。
 最初に、賠償について経産省にお尋ねをいたしますが、東電が想定をしている賠償費用の見込み額、これは除染等を除く額で結構ですけれども、それは幾らになっているのかについて教えてください。

○吉野政府参考人 お答えをいたします。
 東京電力の被害者賠償、それから除染、中間貯蔵施設に係る要賠償額の見込みにつきましては、平成二十八年三月三十一日に変更認定されておりますが、新・総合特別計画において、現時点で合理性を持って見込まれる額として約七・七兆円を見積もっているということでございます。

○塩川委員 七・七兆円の中には除染のも入っていますか。

○吉野政府参考人 現時点で、総合特別計画の中で認めているものは入っているということでございます。

○塩川委員 ちょっと、除染を除いた額で教えてほしいんですけれども。

○吉野政府参考人 申し上げますと、要賠償額として計上されておりますのは、申し上げましたように約七兆七千億円でございますけれども、そのうち、除染等として現時点で見込んでおりますのが一兆二千億でございます。

○塩川委員 今、数字でも、東電の試算で六兆五千億近くという金額がいわゆる賠償に当たるところであります。大変大きな金額になるわけです。
 次に、事故収束、廃炉費用は幾らを見込んでいるのか、お答えください。

○吉野政府参考人 お答えをいたします。
 福島第一原子力発電所の廃炉、汚染水対策につきましては、まず、国においては、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要がある研究開発への財政措置を行っておりまして、これまでに約二千四十九億円の予算額を計上してきております。
 今後見込まれます予算額につきましては、廃炉作業を進める中で新たに判明する事象などもあることから、現時点で見通しを立てることは困難でございますけれども、必要な財政措置を含め、引き続き国も前面に立って取り組んでいきたいと思っております。
 また、東京電力は、この福島第一原子力発電所事故の廃炉、汚染水対策のために、平成二十六年度時点で合理的な見積もりが可能な金額として約一兆円を引き当てておりまして、このうち約〇・五兆円を支出済みということでございます。

○塩川委員 今お話しのように、国として研究開発費二千億を既に補助し、さらにそれもふえるだろうということですし、東電自身が計上してきた事故収束、廃炉費用というのが、実際の計上済みのものが一兆円近くあって、今後十年間でさらに一兆円を積み上げて準備をしましょうと。ですから、国費を含めて二兆二千億円を上回るような額がもう現時点では見込まれている。
 実際、廃炉を考えた場合には、燃料デブリの取り出しだけでも数十年単位と言われておりますから、そういう費用を考えればさらに大きく膨らむということは明らかであります。
 次に、除染、中間貯蔵施設の費用の見通しについて環境省にお尋ねします。
 環境省の試算によれば、実施済みまたは計画されている除染の費用は約二・五兆円程度、中間貯蔵施設への費用は約一・一兆円程度と見込まれるとしておりますが、その根拠は何でしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の平成二十五年十二月の閣議決定に示された費用の試算でございますけれども、その時点で実施済みまたは計画されていた除染、中間貯蔵施設、汚染廃棄物処理につきまして、当時除染事業の実績が少ない中で、その時点での限られた情報を前提に試算したものでございます。
 具体的な除染費用といたしましては、除染本体の費用に加えまして、計画策定や測定等の準備行為の費用、あるいは仮置き場や減容化施設の設置、運営費用などを見込んでございます。
 汚染廃棄物処理につきましては、指定廃棄物及び対策地域内廃棄物の処理費用などを見込んでございます。
 また、中間貯蔵施設につきましては、設置、運営費用を見込んでおるというところでございます。

○塩川委員 この金額が記載されているのが、二〇一三年十二月の復興加速化指針の欄外の注記にあるわけですけれども、この注記には、「上記の費用見込みは、上記の交付国債発行限度額の算定のためのものであり、今後速やかに計数を精査するとともに、除染・中間貯蔵施設事業の進捗等に応じて、適時に見直す。」とありますけれども、この適時に見直すというのはやっていますか。

○高橋政府参考人 除染費用でございますけれども、現状では、政府全体で平成二十八年度までに計上した予算の総額は約二・五兆円でございます。また、汚染廃棄物の処理費用としては約〇・五兆円となってございます。このほか、中間貯蔵施設事業の費用として約一・一兆円を見込んでございます。
 今後の費用の見込みでございますけれども、今後の労務費や資材費の動向、帰還困難区域の取り扱い、あるいは中間貯蔵施設への搬入の見通し等に応じまして経費が変動しますことから、現時点で確たる数字をお示しすることは困難でございますけれども、平成二十九年度以降も、例えば、モニタリングでございますとか、仮置き場の維持及び原状回復、あるいは除染廃棄物の減容化等に係る費用につきましては必要となるという見込みでございます。

○塩川委員 除染、中間貯蔵施設で今出た数字だけでも四兆円ということですから、さらに膨らんでいくということにもなります。
 それと、この環境省の試算においては、実施済みまたは計画されている除染という言い方をしているんですけれども、そうすると、この実施済みまたは計画されていない除染費用というのは、具体的にはどんなものがあるんですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 二十五年十二月時点でまだ実施、計画されていなかったものとしては、例えば、現在行われております帰還困難区域における除染などが含まれているというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、平成二十五年十二月時点で計画をされておらず、その後執行された、そういった事業とすれば、帰還困難区域の除染がありますと。例えば、大熊町の下野上地区というんでしょうか、復興拠点となる地域の除染などが具体的にあるというのをお聞きしております。そういう点では、その経費がどうなるのかというのも今後の課題に当然なってくるわけです。
 そうすると、いわゆる除染特措法の特措法三事業、除染と汚染廃棄物処理と中間貯蔵施設、その関係費用というのは、今の把握し得る限りで、トータルでどのぐらいかかると見込んでいるんでしょうか。

○高橋政府参考人 先ほども御答弁申し上げたとおり、現時点においては、今後の見通し、全体の見込みというのは、さまざまな要因がございますので、具体的な額をお示しすることは困難であるというふうに考えております。

○塩川委員 そういう点でも、四兆円を超えるというのは現時点でも出ている数字であるわけです。さらに積み上がるということが想定をされるということになるわけです。もちろん、これは環境省分だけで、そもそも、直後に内閣府が行った除染費用二千二百億円というのはこの中には含まれておりませんし、内閣府や環境省以外の他省の除染費用などについても、これは会計検査院が集計しておりましたが、積み上げてみると千三百三十二億円という金額でもあります。そういう点でも、除染だけをとっても大変大きな金額がかかっているわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、東電原発事故によって大変な損害が生じたわけであります。現時点で積み上げた費用だけでも、賠償で六・五兆円、除染、中間貯蔵施設で四兆円を超える、事故収束、廃炉費用でも二・二兆円を超える、合計すればもう十三兆円となるような、これでさえ今時点の把握の数字であるわけですから、今後さらに積み上がっていくわけであります。まさに天文学的な損害額と言わざるを得ません。
 この前、PCBの廃棄物処理についても幾らかかるのかというのはやりましたけれども、今後の経費を含めて八千億円、それ自身も大変大きいなと思ったわけですけれども、それと比べても大変な巨額な損害をもたらしたのが原発事故だったわけであります。
 そういう点でも、原発事故がこういった天文学的な損害を生み出したということは原発のリスクを明らかに示すものだと考えますが、大臣にお尋ねをいたします。

○丸川国務大臣 環境省としては、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う環境回復を担当しておりまして、その点、係る費用については今事務方から御説明申し上げたとおりでございますけれども、それらに係る費用も踏まえて、原子力エネルギー政策全体をどう考えるのかということについては、一義的にはエネルギー所管官庁であります経済産業省が検討すべきものでございまして、また一方で、原子力利用に係る安全規制については、三条委員会であります原子力規制委員会が独立して業務を行っております。
 環境省は、原子力規制委員会が独立して業務を行えるということをきっちり担保することが重要な責務でございますので、この担保するという意味においても、私どもがこのことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 加えて、原子力防災は私の担当でございますが、これは、原発が稼働しているか否かにかかわらず、避難計画あるいは緊急時対応というものについてしっかり取り組んでいくことが重要でございますので、引き続き、その充実強化に努めてまいります。

○塩川委員 除染は担当しているわけですから、そういう点でも、除染経費そのものも膨大にかかるわけです。
 こういった損害をもたらすような、原状復旧のための経費だけでも、除染だけでも現時点でも四兆円を超えるような額、さらにふえるかもしれない、こういったふうに原発事故が多額の損害をもたらす、そういうリスクのあるものだということについては、お考えは示してもらえるんじゃないですか。

○丸川国務大臣 環境回復に係る費用を今後東京電力にどのように求償していくかということは非常に大きな課題でございますけれども、こうした事業者の負担と、そしてエネルギー政策全体とということは、一義的には経済産業省がまず議論をすべき所管官庁であるという認識でございまして、今後、私どもは、まず環境回復、全力で地域の皆様にお約束した期限を守るべく努力をし、そして、そのための費用の獲得というものにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 化石燃料を使うような、そして原発の活用のエネルギー政策というのは、まさに地球温暖化対策、環境対策と不可分のものであるわけで、そういうのも環境省としてしっかりとその立場から臨む必要がある。政府として原発推進をとる、そういう姿勢そのものが今問われているわけであります。
 この間、私も、埼玉県内に東電原発事故で避難をされている方がたくさんいらっしゃいます、お話も伺った中で、やはり、双葉町の方などは戻りたくても戻れないところに置かれております。子供たちの健康不安のこともありましたし、高齢者の健康悪化についてのお話もお聞きしました。
 例えば、双葉町は、事故前は要介護認定の方が三百人ぐらいだったんだそうですね。それが、この事故を機に、それこそ全国に避難をされる中で体調を崩されて要介護認定になった方が五百人を超える、こういう形での健康悪化というのがもたらされている。それは、もちろん、住環境の困難さも当然あるでしょう、同時に、家族がばらばらに暮らさざるを得ない、そういうもとで、家族と一緒だったらこういう介護になるような環境にならなかった、ばらばらになる中で介護が必要となった、そういう例もあるということもお聞きいたしました。
 こういった費用というのは、お金ではもう償えないんですよ。お金では償えない話なんです。それと同時に、これだけの膨大な被害をもたらすような原発事故について、その費用を誰が負担するのか。
 大臣、東電への求償の話をされました。これはまた午後の一般質疑でもう少し突っ込んでお話ししようと思いますけれども、実際にこの事故費用を誰が負担するのかといえば、加害者の東電のステークホルダーである株主とかあるいは貸し手の大手の金融機関じゃないわけです。結果とすれば、電気料金とか税金という形で国民が負担をすることになる。
 原因者負担、汚染者負担の原則というのであれば、東電が最後まで責任をとるべきなんですよ。実際には、足らず前といって税金を許し、東電の方も電気料金を上乗せして利用者に負担をする。これは本当に汚染者負担原則を貫いていると言えるのか。
 こういう立場でも、こんなことを起こしているような東電の再稼働、東電の経営を存続させるようなあり方そのものも問われているわけで、こういった事故費用の負担の問題について、汚染者負担原則が貫かれていると言えるのか。この点について、大臣はどのように受けとめていますか。

○丸川国務大臣 汚染者が負担をするということについて、私どもは、今もなお、環境回復に係る費用の点について今後とも努力が必要である、私どもの方からもお願いをしている部分もございますので、この点については今後もしっかり取り組んでいかなければならないと考えております。

○塩川委員 午後、東電の廣瀬社長も見えますので、そこで引き続きその議論をしたいと思います。
 私は、こういった事故を生み出した、被害をもたらした原発の稼働を前提とした地球温暖化対策計画というのは、きっぱりと見直し、撤回をすべきだと。この点について最後に一言答弁を求めて、終わります。

○丸川国務大臣 私どもといたしましては、まず、今回の原子力発電所の事故からの環境回復ということが一番の責務でございまして、この点しっかり取り組んでいくということに加えまして、今後、政府が帰還困難区域についての方針を夏までに示す中で、どのような費用の負担のあり方があるのかということについても検討されていかれると思います。
 こうした議論を通じて、先生御指摘の点についてもさまざまな議論があろうかと思いますけれども、私どもはまず、なすべき責任をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。