国会質問

<第190通常国会 2016年04月25日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 7号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 衆議院選挙制度関連二案、自公案、民進案について質問をいたします。
 選挙制度は民主主義の土台であります。主権者国民の代表の選び方、国民の参政権のあり方を決めるものであり、十分な議論が求められます。このことは、先週金曜の本会議で我が党の穀田議員が指摘をしました。民進党提案者からは、全く同感との答弁がありました。
 選挙制度については十分な議論が必要だということは、自民党、公明党の方々も同じ認識だと思いますが、その点、そういうことで、同じですね。

○逢沢議員 もちろん、院の構成にかかわる、もっと言えば、日本の民主主義の根幹をなす制度に関する議論でありますので、慎重でなくてはならない。あるいは、全ての政党会派の議論があるでしょう、意見を持ち寄り、コンセンサスを得る努力、当然それは必要なことと申し上げておきたいと思います。

○塩川委員 そのように、そういう議論が求められているときで、両案は十五日に提出をされました。先週金曜日に、本会議で趣旨説明、質疑をやり、初めて国民の前に示されたわけであります。きょうが初めての委員会質疑であって、あす、法案のもとになった答申を出した衆議院選挙制度調査会の座長でありました佐々木氏らを参考人として呼ぶことになっております。
 両案については議論が始まったばかりです。国民は、法案の内容を十分に知るに至っておりません。そういう状態で、今週中にも採決をして衆院通過を図るなどということが報じられていること自体が問題であります。よもやそういうことがあってはならない、このことをまず申し上げておくものであります。
 両案はともに調査会の答申に従ったといい、両者でどちらの案が答申を尊重したものかという議論が先ほどから行われておりますが、調査会そのものは非公開の議論で行われたもので、会議録も公開されておりません。国民から見ると、答申尊重といっても、その答申は、なぜ現行小選挙区制を温存し議員定数削減をする答申を決定したのか、十四人の委員がどういう議論をして結論を得たのかということ、国民の声を聞く機会をなぜ持たなかったのかということ、こういうことも全くわからないわけであります。
 そこで、両案の提出者にそれぞれお尋ねをしますが、私は、中央や地方での公聴会など、国民の声を聞く場が必要だと考えます。定数削減の対象となっている地域でも国民の声を聞く必要があると思いますが、この点についての御見解をお聞かせください。

○岩屋議員 塩川委員から、国民の声を聞くべきではないかという御指摘がございました。
 私ども当然そう考えておりますけれども、御案内のとおり、この議論は、これまで三度にわたって違憲状態だとする最高裁判決があって、一票の格差の是正は喫緊の課題であるということで、各党間の協議がこれまで続いてきたわけでございます。
 言うまでもなく、選挙制度の仕組みそのものは、ある意味でいうと、極めて専門的な知見をもとに議論するべき内容であろうかと思います。各党がそれぞれ国民の声を代弁して、これまで二十九回にわたって協議を重ねてきました。にもかかわらず合意に至らなかったために調査会が設けられ、この調査会の答申を尊重することとして、さらに協議を重ねて、今、二つの案が委員会に提出をされ、審議をされているということでございますので、十分な議論がなかったという指摘は私は当たらないのではないかというふうに考えております。

○逢坂議員 お答えいたします。
 今回の選挙制度については、塩川委員御案内のとおり、二〇一一年の秋から、先ほど来話がありますとおり、二十九回各党協議が行われた。しかしながら、結論が出なかった。一方で、最高裁から過去三回連続で違憲状態という指摘もされているということでありますので、可及的速やかにこの違憲状態を解消するということが一つ必要なことなんだろうというふうに思っています。
 ただ、本会議でも私は申し上げましたとおり、やはり丁寧な議論が必要だというふうに思います。国民から声を聞くということも、私はこれは大事なことだろうというふうに思っています。
 そこで、我が党におきましては、党内のことではありますけれども、全国の我が党の各支部にも連絡をして、今回の答申についてどう思うかというような意見聴取もした上で、我が党としては、国会としての手続ではないかもしれませんけれども、そういうことも工夫をさせていただいたところであります。
 それからもう一つなんですが、先ほど来、制度の安定性ということについて議論が出ております。
 制度を変えるたびに定数が変わる、これも制度の安定性を毀損すること。
 それからもう一つ、制度の議論をするたびに選挙制度が小選挙区制からまた別の制度へ変わる、これも制度の安定性が変わること。
 もう一つ、制度の安定性を毀損しているものとして、やはり一票の格差問題があって、選挙のたびに常に国民の皆様から、これは違憲ではないか、違憲状態ではないかというふうに指摘をされることも制度の安定性を毀損する一つの大きなものだと私は思っておりますので、制度の安定性の観点からも、これまでの議論を踏まえて、これは可及的速やかに対応すべきではないかというふうに思っております。

○塩川委員 制度のあり方について見直すのであれば国民の声を聞けということを申し上げたわけで、そういう点でも、慎重あるいは十分な議論が必要だ。そういう中で、各党間の議論はやっても国民の声は聞かないということでは、それでは国民の声に応えた制度につながらないということもまた明らかではないでしょうか。
 法案の性格について確認しておきたいんですけれども、両案とも、アダムズ方式の採用時期には違いがありますが、今後、自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込んだものだと説明をしております。ということは、二〇二〇年以降にも対応した法案、つまり暫定的なものではない、こういうことだと思いますけれども、そういう認識でよいか、両案の提出者にそれぞれお聞きいたします。

○細田(博)議員 今回の法案には、我々の案も民進党の案も、基本的に、アダムズ方式を採用して、長期的に各都道府県間の配分を決めるということ等は記されているわけで、これはつまり小選挙区比例代表制の維持という前提で書かれていることは事実でございます。
 これは、むしろ、佐々木調査会に対しても、全党からもヒアリングを行い、今の制度の欠点についても、あるいは、我々も、今の小選挙区制がいわば得票率よりも議席の数が極めて大きくなる可能性がある、これは我が党に限らず選挙ごとにそういうことが生ずる可能性がある、だから我々はこういう案を考えましたということを申し上げたし、御党も恐らく何らかのお考えを言われたと思いますが、それらを全て聴取した上で佐々木調査会は結論を出されたというふうに承知しておりますので、とりあえず我々は、この法改正が行われれば今の体制が今後とも続く、そういう前提だと思っております。

○逢坂議員 塩川委員御指摘のとおり、二〇二〇年以降にも対応した法案というふうに理解しております。

○塩川委員 細田議員からありましたように、並立制の維持、そういう意味では、これが将来にわたって存続するということを前提に、今、逢坂議員の方からは、二〇二〇年以降にも対応するものということでありますので、そういったものでも暫定的なものではないわけです。
 先週のこの倫選特の理事懇におきましては、自民党の理事などから、今回の法案は緊急避難の改正なんだ、こういうこともされたわけですけれども、そういうものではないということが確認をできたということであります。今後の質疑にもかかわることなので、理事会においてもよく協議をし、慎重、十分な審議を重ねていく、そういう機会にしていきたいと考えております。
 法案提出に至る経緯を振り返っておきたいと思います。
 衆院選挙制度をめぐっては、二〇一一年三月、最高裁から衆院小選挙区の一人別枠方式が違憲状態であるとの判決が出されたことをきっかけとして、一一年十月に、国会を構成する全ての政党、当時の九党が参加をし、衆議院選挙制度に関する各党協議会が設置をされ、二十九回にわたって実務者協議が行われました。
 そこで、二〇一三年六月には、全党が唯一合意をし、よりよい選挙制度を構築する観点から、現行並立制の功罪を広く評価、検証し、抜本的な見直しについて、各党間の協議を再開し、結論を得るものとするとした確認事項がまとめられました。
 そこで、自民、公明、民進各党にお尋ねしますが、この確認事項ということについては当然御承知、御認識だと思いますが、その点だけ確認をさせてください。

○細田(博)議員 二〇一一年の十月に各党協議会が始まりましたときは、当然ながら、民主党政権でございました、当時の。民主党政権は、マニフェストにおいて定数八十削減を掲げておりました。ほかの各政党も、定数を大幅削減。そして、もちろん、格差是正は憲法上の判断ですから、それは乗り越えるということは当然でございますが、この協議会自体が、そもそも、そういう定数削減をどうするのか、そして選挙制度をどうするのかという議論から始まったわけでございますので、その点は御理解をいただきたいし、毎回、御党、例えば穀田委員はそのことを言われておられて、我々も十分認識しておったということも承知しております。

○北側議員 平成二十五年六月の合意のことをおっしゃっているんですね。
 ちょうど三年前になるわけです。このときも参議院選挙が直後に控えておりまして、通常国会も閉めるという段階の中で、その段階でまだ各党協議、結論が出ておりませんので、さらに参院選が終わってから引き続き協議をしましょうという合意をいたしたのは、そのとおりでございます。

○逢坂議員 お尋ねの平成二十五年六月の確認事項については、私も認識をしております。
 ただし、その際に、当時の民主党でございますけれども、あわせてこのようなことを言わせていただいております。
 都道府県への議席配分は、一人別枠方式を撤廃し、人口比例に基づき行うべきこと、さらにもう一点でございますけれども、今秋の、要するにその年の秋の臨時国会などと明確に期限を区切るべきことを意見表明したということもあわせて申し上げさせていただきます。

○塩川委員 その部分は確認事項には入っておらないわけですけれども、いずれにせよ、この二〇一三年六月二十五日の確認事項ということについて、そういうものとしてあるということについて踏まえた上で質問を行いますが、この全党の唯一の合意に立って改革の協議を進めるべきだったわけであります。
 ところが、一四年に入り、民主党など一部の党が第三者機関の設置を提起し、日本共産党や社民党が反対しているにもかかわらず、全党の協議を一方的に打ち切り、全党で唯一合意した現行並立制の功罪を広く評価、検証する作業を一度も行わず、第三者機関へ丸投げをしたという経緯であります。
 日本共産党は、当時から、政党と国会の責任放棄だと厳しく批判をしましたが、一部の党は、衆議院議院運営委員会において、多数決で議決までして、衆院議長の諮問機関として選挙制度調査会を設置しました。選挙制度に関してこのようなやり方をしたことはありませんでした。
 ことし一月に調査会から答申が提出されてからも、異様なやり方であります。
 調査会答申を受けての各党の認識や見解などを協議する全党協議は一度も行われていません。この数カ月何があったかといえば、行司役であるはずの議長が各党を呼び出し、議長が意見を聴取することを繰り返し、全党による協議の努力を行っておりませんでした。さらには、議長が一つの法案に執着をし、「思い」という名で法案の指針を示し、期限を区切って法案提出を促し、速やかな審議入りを求め、今国会中に立法府の意思決定を要請するというのは、前代未聞の異様なやり方と言わなければなりません。
 法案提出を促し、今国会中の立法府の意思決定となれば、結果的には、選挙制度の問題を多数決で決定しようとすることになるではありませんか。選挙制度について、議論を尽くさずに多数決に付すということは、多数の力で都合よくねじ曲げることができ、民主主義の崩壊につながります。
 先週の本会議で、我が党の穀田議員が、今回のこのような横暴なやり方をどう思うのかと質問したのに対し、与党は、議長が事情を踏まえた上で判断された、強引に数の力でしているつもりはないと答弁をされました。
 自公案の提出者にお尋ねをいたします。
 安倍総理は、ことしに入ってから、本会議でも予算委員会でも、各党の議論が必要だと何度も答弁をしております。答申提出以降、全党全会派による各党協議が行われなかったことについては、どのように考えておられますか。

○逢沢議員 院の構成にかかわる、また民主主義の基礎、基本をつくっていく議論にどう向き合うか。非常に大事なことでございます。
 確かに、塩川先生おっしゃるように、佐々木調査会が答申を出した以降、全ての会派の代表者が集まる機会はなかったというふうに承知をいたしておりますが、まさにこれは、各党各会派間の相談あるいは打ち合わせ、コンセンサスづくりの問題ではなかったかというふうに思います。その必要性あるいは緊急性をそれぞれの政党、各会派がどのように受けとめていたか、あるいは理解をしていたか、そこにかかわってくることというふうに理解をいたしております。
 結果的に開かれなかったという事実は事実としてしっかり我々も踏まえておきたい、そのように存じます。

○塩川委員 選挙制度は民主主義の根幹であり、だからこそ、一部の政党だけではなく、審議を進めることが必要だ。一部の党で押し切るようなことはあってはならない。だからこそ、各党協議会も回数を重ねて行ってきた。その議論の到達点に立ち返る必要があります。
 答申を尊重する調査会設置についても、実際には、全党協議を行わない、そういう言いわけにはならないわけで、両案とも調査会の答申を踏まえたものということでは、話が、議論が進みません。第三者機関に丸投げをした形での議論というのは、政党として、立法府にいる者として責任を放棄しているということを言わざるを得ません。
 次に、両案ともに現行制度、小選挙区比例代表並立制について、各党の認識を伺いたい。
 現行制度の最大の問題は、比較第一党の虚構の多数をつくり出す一方で、少数政党は、得票率に見合った議席配分を得られず、獲得議席を大幅に切り縮められ、民意の反映を大きくゆがめるということであります。
 この制度のもとで実施された七回の総選挙の結果は、その根本的な欠陥を浮き彫りにしております。二〇〇五年総選挙では自民党二百九十六、〇九年は民主党三百八、一二年は自民党二百九十四、一四年は自民党が二百九十一と、第一党が圧倒的な多数議席を獲得しました。
 小選挙区における第一党の得票率と議席獲得率を見ると、いずれの選挙も、小選挙区での第一党の得票率は四割台にもかかわらず、七割から八割もの議席を占めています。
 また、小選挙区制は、各選挙区で最大得票の候補者一人しか当選しないため、それ以外の候補者の得票は死に票になります。
 死に票は、各小選挙区投票の半数に上ります。国会質問で明らかにしましたように、二〇一四年総選挙では、二位以下の候補者への投票が四八%、二百九十五選挙区のうち、死に票率が五〇%以上の選挙区が百三十三となります。
 各党はこうした民意と議席の乖離をどう考えるのかをお聞きしたい。
 先ほど確認をしました、二〇一三年に全党が唯一合意をした現行選挙制度の功罪を広く評価、検証というのは、現行の小選挙区制が民意をゆがめる、過度に民意を集約するという問題点を持っていることを全ての政党が認めたからこそ盛り込まれたものであります。
 自民、公明、民進の各党にお尋ねしますが、現行制度が民意をゆがめる、過度に民意を集約する、そういう認識については変わりがありませんか。

○細田(博)議員 平成五年に細川政権が成立いたしました。そのときに選挙制度大改革の波が襲ってきたわけでございます。そして、細川七党連立政権が提案したものが小選挙区比例代表並立制であります。
 私は、政治改革委員会の場で、今でも当然議事録はありますが、質問者として立って、これをやれば必ず少数政党は減少を続けるであろう、少数政党は大政党と合併をして、それは、自民党は片方、もう一つも大きな合併政党になって二大政党を目指すのでなければこの制度はできないけれども、それはいいのかと七党代表のそれぞれの大臣に、全党を代表して大臣が出ておりましたから、質問いたしましたが、大体、概略、大きなお世話である、それは我々が考えることで、これからまさに小選挙区比例代表並立制を実現すれば、政権交代が可能になり、すばらしい制度になる、こういう答弁だけを得たわけでございます。
 私は、そのときには危惧をいたしましたが、その後、政権交代は確かに行われました。スイングしてかわってくる。しかし、おっしゃったように、三十数%でも、トップを占めれば、過半数あるいは六割の議席を占める制度になりました。
 今、まだこれを変えろという世論が日本を覆っておりません。そして、佐々木調査会も、むしろそれを踏襲して、その中で若干の格差是正と定数削減をやれという答申が出てきたということで、世論もそのような、多くの人は、そういうことに従うべきだということを、新聞論調でも出ておりますし、我々はそれに従って提案をしている、こういうことでございます。

○北側議員 委員も御承知のとおり、この選挙制度の問題というのは、一つは一票の格差是正の問題、さらには、これは御党は立場は違いますが定数の削減の問題、そして、今おっしゃっておる選挙制度そのもののあり方の問題、こうした三つの問題、課題があるんだというふうに理解しております。
 今回の法案は、この一票の格差是正の問題について決着をつける、そしてまた、定数削減の問題についても当面の対応措置を国会としてやるということがメーンです。
 おっしゃっているとおり、選挙制度のあり方そのものについては、さらに今後の政党間の論議の課題であるというふうに認識をしておりまして、そういう趣旨も含めて、見直し条項も入っておるというふうに考えております。

○逢坂議員 現行制度の弊害、問題点については、もうるる塩川委員も、それから今の答弁でも指摘をされたとおりだというふうに私も思っております。
 しかし、その一方で、政権交代可能な政治の状況をつくり出すんだ、あるいは政策本位の政治を実現するんだといったような観点からは、ある一定程度の役割は果たしてきているんだろうというふうに認識をしております。
 加えて、先ほど細田議員が答弁されたとおり、それでは、この制度を変えるため、あるいは、この制度をさらにどうにか変えていくということについての民意が今高まっているかといえば、そこのところはまだこれからなんだろうという気もしております。
 しかしながら、政治家の方向としては、選挙制度が常によいものであるかどうかということを継続的にチェックをしていく、議論をしていくということが大切だろうと思っています。その意味で、今回、附則にもそうしたことも書かせていただいております。
 以上です。

○塩川委員 国民からそういう声がないと言いますけれども、今の政治に対して、民意と議席の乖離が大変大きい、国民の声と今の政権が進めている方向についての大きなギャップがあるというのが今の多くの国民の皆さんの実感でもあるわけであります。
 そういった点でも、見直しについての条項を入れているという話もございましたけれども、私は、そう言うのであれば、今後の課題ということではなくて、先ほども述べた、この確認事項において書かれております民意集約機能の緩和の問題を含めて抜本的な見直しにするという、この民意集約機能の緩和の問題をテーブルにのせて議論をする、この点について、各党の皆さん、改めてそのお考えをお聞かせください。

○北側議員 先ほども答弁をさせていただきましたが、委員は、民意の集約機能が今大きくなり過ぎているのではないかという問題意識を持っていらっしゃるんだと思います。私は、その傾向はないとは申し上げません。その傾向はあるというふうに思っております。しかしながら、これは二十九回の論議の中で今の点も何度も論議をしてまいりまして、なかなか結論が出ないというのが実際のところでありました。
 当面は、まず、一票の格差是正をきちんとやっていく、そして、さらには定数の削減問題についてやるということが大事でございまして、今委員から御指摘のあった点も非常に重要でございますが、これについては今後の政党間の論議に委ねたいというふうに考えております。

○逢坂議員 確かに、民意が過度に集約され過ぎるという課題というのはあるんだと私も認識しておりますし、加えて、私自身も、全国を歩いておりますと、国民の声が必ずしも今の政府、政権に届いていないのではないか、思いと政府、政権がやっていることは違うのではないかという声も随分と聞きます。具体的に言うと、安保法制はどうですかとか、あるいは経済対策は本当に国民の意に沿っていますかという話を聞くことは非常に多いというふうに思います。その意味で、今回の選挙制度を見直すということは、やはり各党各会派が一緒になって議論を継続していくことが大切だというふうに思います。
 しかし、そのことはそのこととしながらも、今回、一票の格差の問題については、これまでの経過を踏まえて、これはしっかり取り組んで解消をしていくというのが大切だろうと思います。

○塩川委員 そもそも、こういった民意との乖離の話は、二十年前の政治改革において、政権交代を可能とするため民意の集約が必要だと小選挙区を導入したことに諸悪の根源があることは明白であります。自民党安倍政権を支える三百に迫る議席は、絶対有権者比で一七%の支持で獲得したものであり、このもとで、昨年、安保法制が強行成立をさせられました。平和主義、立憲主義を破壊する暴挙が現行の小選挙区制の害悪を明白に示していると言わざるを得ません。
 今、国民から、なぜ国民多数の声が反映しないのか、これが正当な国民の代表と言えるのか、主権者の声を聞けという声が上がっている。そこに選挙制度の問題がある。選挙制度は民主主義の根幹であり、国民、有権者の参政権の問題であります。議会制民主主義の問題では、選挙の過程そのものが国政の進路と内外政策についての国民の意思を議席に反映し、民意を正確に反映した国会の土台の上に政権をつくり、国会における徹底審議によって合意を形成していくことが保障されなければなりません。選挙制度を考える基本原則は、国民の多様な民意をできる限り正確に反映することでなければなりません。
 ことしは、憲法公布七十年、女性参政権実施七十年、十八歳選挙権を実施する年であります。選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、新たな有権者が二百四十万人ふえます。一八九〇年、制限選挙下で、我が国の最初の選挙のときの人口に占める有権者の割合はたった一%でありました。一九二八年の男子普通選挙で、人口に占める有権者の割合が二割、そして一九四六年の女性参政権と二十歳以上の選挙権実現で五割となり、今は八割強となっております。
 このときに、民意を反映させ、国会に届けるという選挙はどうあるべきなのか、こういうことについて真剣な議論が必要だ、今週中に衆議院を通過するようなことなどは決してあってはならない、このことを改めて強調して、時間が参りましたので終わります。