国会質問

<第190通常国会 2016年04月26日 環境委員会 11号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本案は、昨年末に合意されたパリ協定を踏まえ、温室効果ガスを二〇三〇年に二〇一三年比二六%削減するとの日本の約束草案の目標を達成するため、地球温暖化対策計画に定める事項に普及啓発の推進や国際協力の推進等を追加しようとするものです。
 地球温暖化対策計画案は、二〇三〇年における削減目標として、二〇一三年比で二六%減と掲げていますが、これは一九九〇年比に換算すると一八%減にすぎません。
 パリ協定での合意は、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前の水準と比べて二度を下回るようにし、一・五度に抑える努力をすると明記しています。日本の削減目標は、この合意の達成のためには余りにも不十分です。そもそも、本案には二度を下回るとの目標も明記されておらず、パリ協定の合意目標を本当に達成するつもりがあるのか、疑わざるを得ません。
 地球温暖化対策計画案は、原子力発電と石炭火力発電の活用を明記し、両発電のベースロード電源としての位置づけを容認しています。
 日本の温室効果ガス総排出量の四割を占めるのは電力部門です。にもかかわらず、政府は、二〇三〇年における石炭火力発電の割合を二六%とし、LNGの約二倍の温室効果ガスを排出する石炭火力発電を推進しています。その一方で、排出の大部分を電力由来が占める民生部門には四割の排出削減を求めており、石炭依存のツケを国民へ押しつけるものだと言わざるを得ません。
 また、二〇三〇年における原発の発電割合は二〇から二二%とされています。この電源構成比を実現しようとすれば、三十基もの老朽原発を震災前の稼働率を超える八割の稼働率で動かす必要があります。
 本計画は、福島原発事故の原因解明もされないままに原発の再稼働を強行するものであり、断じて許すことはできません。今必要なのは、原発や石炭火力発電から再生可能エネルギーへの転換を図ることです。
 本計画の国際協力の一つである二国間クレジットの対象に石炭火力発電と原発が含まれていることは重大です。獲得したクレジットは日本の排出削減目標の不足分の穴埋めとして使うものであり、企業に石炭火力発電と原発を海外に売り込むお墨つきを与えるものです。
 パリ協定では、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを求めており、石炭火力発電はつくらないというのが世界の主流です。また、原発は発電コストも高く危険であることから、撤退する動きが広まっています。世界の流れは、脱石炭火力、脱原発です。政府の姿勢は、こうした流れに逆行するものです。
 以上、本改正案は、パリ協定の実施を担保する法整備と言えないばかりか、パリ協定の合意にも反するものとなっており、到底容認することはできません。
 なお、修正案は、原案の問題点を改めるものとなっておらず、賛成できません。
 以上申し述べ、反対討論を終わります。