国会質問

<第190通常国会 2016年04月27日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 9号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、議題となった両法案について反対の討論を行います。
 第一に、両案が、前代未聞の異様な進め方であるという点です。
 選挙制度は、民主主義の土台であります。主権者国民の代表の選び方、国民の参政権のあり方を決めるものであり、十分な議論が必要です。このことは、自公案提出者も民進案提出者も認めているところです。
 しかし、本案は、成り立ちから、十分な議論とはほど遠い進め方です。政党としての責任を放棄した一部の政党が丸投げした第三者機関の答申をもとに、全党での議論を全く行わず、答申尊重の名のもとに、行司役の議長が各党に法案提出を促す、前代未聞の異様な進め方です。
 自民党理事は緊急避難の法案だからと短時間の審議を合理化しようとしましたが、両案とも暫定的なものではなく、二〇二〇年以降にも対応した体制維持できる法案だと両案提出者が認めています。
 国民の参政権にかかわる重大法案を、一度きりの参考人質疑で、国民的な議論もないまま、わずか三日間の委員会審議、七時間余りの質疑で採決しようとしていることは言語道断であります。
 第二に、両案の柱である、議員定数十削減に根拠がないことがますます明らかとなりました。
 両案提出者は答申を尊重したと言いますが、昨日の参考人質疑で元衆院選挙制度調査会座長の佐々木毅氏は、有権者の権利の問題、国会の政府監視機能の問題にも触れ、定数削減の客観的根拠を挙げるのは難しいというのが結論だったと述べました。
 主権者国民が国会に意見を反映させるための代表者である議員の定数を削減することは、国民の声を切り捨てるものにほかならず、国会の政府監視機能が低下することは明らかです。
 ましてや、身を切る改革と称して、消費税増税を押しつけるために定数削減を行うことは、全くのすりかえであり、何の道理もありません。
 第三に、民意の反映を著しくゆがめる現行の小選挙区制を維持し続けようとしている点です。
 そもそも、選挙制度の根本は、国民の多様な民意を正確に議席に反映することです。ところが、現行制度は、民意と議席に著しい乖離を生み出しています。
 国民多数の声に逆行する安倍政治の暴走は、現行の小選挙区制のもとに成り立っており、虚構の多数による強権政治の害悪が明白となっています。
 両案提出の各党も、現行制度が民意を過度に集約することを認めながら、この根本的な問題に手をつけていません。しかも、両案とも、アダムズ方式の採用にとどまらず、自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込み、将来にわたって小選挙区制を温存するものです。
 国民が求める、国民の声が届く選挙制度へという願いを先送りし、現行小選挙区制を維持し続けることは認められません。
 今こそ小選挙区制を廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革することを主張し、反対討論を終わります。(拍手)