国会質問

<第192臨時国会 2016年10月18日 環境委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 臨時国会の最初の環境委員会での質問を行わせていただきます。
 きょうは、東電の原発事故の除染経費負担の問題について質問をいたします。
 この間いろいろ政府の対応方も変化をしているということを踏まえてお尋ねするわけですが、最初に環境省にお聞きしますけれども、二〇一三年十二月の福島復興指針におきまして、「実施済み又は現在計画されている除染(汚染廃棄物処理を含む。)の費用は約二・五兆円程度、中間貯蔵施設(建設・管理運営等)の費用は約一・一兆円程度」としているところです。
 そこで、この汚染廃棄物処理の費用を含む除染費用及び中間貯蔵施設の費用について、二〇一七年度の概算要求額まで含めた現時点での費用総額がどのぐらいになっているのか、このことについてまず最初に説明をしてもらえますか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、除染でございますけれども、政府全体として平成二十七年度までの執行済み額と平成二十八年度予算及び平成二十九年度概算要求までの累計額といたしまして約三・一兆円となっております。また、汚染廃棄物処理につきましても、平成二十七年度までの執行済み額、二十八年度予算及び平成二十九年度概算要求までの累計額として約〇・六兆円となってございまして、除染と汚染廃棄物処理を合計しますと、これは四捨五入の関係もございますけれども、約三・八兆円ということになっております。
 それから、中間貯蔵施設でございますけれども、これにつきましても平成二十九年度概算要求までの累計額としては約〇・四兆円となっております。

○塩川委員 お答えいただきましたように、中間貯蔵施設は現地の進行状況がありますので、一・一兆円の見込みに対して〇・四兆円ですけれども、除染費用、汚染廃棄物処理を含めて既に三・八兆円、つまり、二・五兆円を大きく上回る見込みとなっているわけであります。
 そこで、重ねてお聞きしますが、この福島復興指針では、費用見込みは適時に見直すとありますが、今後どれだけ費用がかかる見通しかというのは明らかにしておりますか。

○伊藤副大臣 塩川委員にお答えを申し上げます。
 今後の費用見込みでございますけれども、今後の労務費や資材費の動向、帰還困難区域での事業の内容、中間貯蔵施設への搬入見通し等に応じまして費用が変動いたしてまいることから、現時点で確たる数字をお示しすることは困難と考えております。
 ただし、平成二十九年度以降も、モニタリングでございますとか、仮置き場の維持及び原状回復、除染廃棄物の減容化等に係る費用は必要となる見込みとしております。
 以上でございます。

○塩川委員 それは、労務費等々、いろいろ変動するのはわかります。ただ、もともと二・五兆円というのを仮置きでもつくったわけですよね。それは当然、もともとは東電の救済策の一環として交付国債の規模を決めるということが前提ではあるんですけれども、しかし、そもそも国民的に見て、どれだけの費用がこの賠償、除染にかかるのかということを示すというのは、これは政府として当然行うべき仕事じゃないでしょうか。
 私は、そういう点でも、こういう費用見込みについて、例えば、報道の範囲ですけれども、電事連などがこういう除染の費用について、四・五兆円ふえて七兆円になる、そんな話なんかも言われておりますし、以前に、産総研、産業技術総合研究所の研究グループが福島県内の除染費用について、最大五兆円を超えると試算をする、森林除染が二兆円を超える、こういう試算も出されているところですから、やはり政府として、除染費用の見通しを、仮置きでもいいですよ、何らかの試算を前提にした上で見通しを示す必要があるんじゃないですか。

○伊藤副大臣 改めましてお答えをさせていただきますが、今後の費用の見通しの見直しについての御質疑でございますけれども、賠償そして除染、中間貯蔵施設費用に関する枠組みの全体の中で判断されていくものと考えておるところでございます。

○塩川委員 納得いくものではありません。
 もう一つやはり明らかにしてほしいのが、そもそも、この二・五兆円という試算の積算根拠なんですよ。何で二・五兆円なのかについて、具体的な数字とかを示されていないんですね。
 そもそも、地目別に、どれだけの面積があって、単価当たりどれぐらいの費用がかかるとか、そういうのがあるからこそ二・五兆円の数が出ているはずなのに、その辺についてまず明らかにしていただかないと、そこからの推計というのが今後の話としても当然出てくるわけですから、こういう数字について、積算根拠を出していただけますか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の平成二十五年十二月の閣議決定において示された費用の試算でございますけれども、これは、その時点で実施済みあるいは計画をされていた除染及び汚染廃棄物処理につきまして、まだその時点では事業の実績が少ない中でございましたけれども、その限られた情報を前提に試算をしたものでございます。
 まず、除染といたしましては、除染そのものの、本体の費用に加えまして、計画の策定や測定等の準備行為の費用、また仮置き場や減容化施設の設置、運営費用などを見込んでおりまして、合計で一兆七千四百億円という試算をしてございます。
 また、汚染廃棄物処理につきましては、指定廃棄物及び対策地域内廃棄物の処理費用などを見込んでおりまして、合計五千二百億円という試算をしてございます。
 これに加えまして、内閣府が平成二十三年度予備費を用いて措置をいたしました除染等の費用約二千二百億円等を加えまして、二・五兆円という推計をしてございます。

○塩川委員 いや、要するに、それは項目を言っているだけなんですよ。積算根拠でも何でもないわけ。その項目それぞれの、実際どうやったらこういう数字になるのかという積算根拠を明らかにしてほしいと言っているんですよ。だって、それなしには数字が出ないじゃないですか。
 山本大臣、除染の費用というのはどれだけかかるかわからないといったときに、そもそもそれを誰が負担するのかということが問われてくるわけですよね。そういうときに、この費用の見通し、その際の環境省が試算をした二・五兆円の積算根拠、こういうことについては最低限明らかにしてもらわないとまともな議論ができないじゃないですかということなんですが、ぜひこういうのを指示して出していただきたい、その指示をぜひ大臣としてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣 今、高橋局長の方からお答えしたとおりでございますけれども、いずれにいたしましても、今、委員の御指摘のことは重く受けとめさせていただきたい、かように思っております。

○塩川委員 ぜひ受けとめていただいて、その資料、積算根拠を出していただきたいということであります。
 今取り上げていますこの二・五兆円というのは、二〇一三年十二月の福島復興指針において、現時点において、つまり、二〇一三年十二月の現時点において、実施済みまたは現在計画されている除染の費用とされたものであります。ですから、それ以降に計画をされたものは含んでいない、まあ、当たり前の話ですけれども。そういうことであれば、二〇一三年十二月時点で計画をされていない帰還困難区域の除染ですとか森林除染の費用というのはこの二・五兆円には含まれていないという理解でいいと思うんですが、その点、環境省、いかがですか。

○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 この二・五兆円の試算の段階で、帰還困難区域でございますとか森林の除染費用について、排除していたわけではございません。除いていたわけではございませんけれども、今御指摘ございましたように、あくまでも二十五年十二月時点の試算でございますので、その後実施した、あるいは実施予定の帰還困難区域の除染でございますとか森林の除染費用全てを見通して計上しているわけではございません。

○塩川委員 二〇一三年十二月時点で計画をされていない帰還困難区域の除染及び森林除染の費用は含まれていないということで、先ほども三・八兆円という数字が出ましたけれども、現行の二・五兆円も大きく超えているわけで、帰還困難区域の除染、森林の除染をどうするのか。それを行うとなれば大きな費用負担になることは明らかであります。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、除染の費用というのは、この間、除染特措法に基づいて、汚染者負担原則に立って東電に求償するという立場にあるわけですけれども、除染費用について東電に求償する、こういう立場に変わりはありませんか。

○山本(公)国務大臣 放射性物質汚染対処特措法に基づく除染の費用については、同法の四十四条第一項に基づき、東京電力に求償をいたします。

○塩川委員 特措法に基づいて、除染の費用は東電に求償するということです。
 それで、この間行われている除染事業について、帰還困難区域を含む除染事業が、どういう求償をし、東電側が応諾をしたかという一覧をつくっていただきました。
 それを拝見しますと、確かに、二〇一三年十二月以前に実施をしているようなパイロット的な帰還困難区域の除染事業等々についての部分は、当たり前のことながら、環境省は東電に求償し、東電も応諾をして支払っている。しかし、二〇一三年十二月を過ぎると、環境省側は求償しているにもかかわらず、東電がこれに応諾していないんですよね。払っていない例というのがあるんですよ。それは困るんじゃないですか。
 それは、当然のことながら、支払いに応じろという催促、督促をしっかり行うというのは当然のことだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣 先ほど申し上げました、いわゆる東京電力に求償をいたしますのは、これは原則でございます。
 ただし、帰還困難区域においては、限られた期間で集中的に整備を進めることができるという観点から、本年八月末に、除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に行うとの方針が示されました。その具体的な事業の進め方については今後検討をいたし、その中で費用負担のあり方についても検討をしていくということになっていると承知をいたしております。

○塩川委員 大臣のお答えは、この八月に政府が決めた帰還困難区域の取扱いに関する考え方の中での議論であります。これについては、費用負担のあり方について検討していくということですけれども、その前に、そもそも、二〇一三年十二月以降の部分について、環境省が求償しているにもかかわらず、東電が払っていない例があるんですよ。そういうのは当然払ってくれと督促する、求めるというのは当たり前のことじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○山本(公)国務大臣 そのとおりだと思っております。これからも求償をし続けていかなければいけないと思っています。

○塩川委員 ぜひそういう立場で臨んでいただきたいと思っています。
 そうしますと、そうはいっても、今大臣がお答えになった、ことし八月の政府の方針である帰還困難区域の取扱いに関する考え方で、公共事業的観点からインフラ整備と除染を一体的かつ連動して進めるとなると、これは、一体的に進めると、私は、当然、除染の作業はあるわけだから、その分を切り出して東電に求償するということはできるだろうと思うんですけれども、そうではなく、公共事業という観点で、除染経費についても税金を投入するという考え方に立っているということなんですか。

○星野政府参考人 今お尋ねをいただきました帰還困難区域における除染とインフラの一体的かつ効率的な整備につきましては、限られた期間で集中的に整備を進めるという観点から、その方策についてこれから検討するということとされております。
 その具体的な事業の進め方を検討していく中で、その費用負担についても検討が行われていくということになっております。

○塩川委員 実際、帰還困難区域で除染作業を行っています。大熊町などにおいても、除染事業が行われています。そういう中には、下野上地区の九十五ヘクタールの除染事業なんかも行っているわけですよ。当然そこは、インフラ、事業所の誘致も含めた面的な整備を見越した取り組みになっているわけですけれども、ちゃんと除染はやっているんですよね。その上でも、当然、インフラ整備もやるんでしょう。
 であれば、私、一体的に、効率的に行うというのはわかりますよ。でも、そもそも費用負担については、やはり特措法の立場に立って、除染部分は東電に求償するのが当たり前じゃないかと思うんですけれども。そういう立場を貫くということが環境省として必要じゃないかということなんですが、大臣、いかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣 先ほど申し上げましたように、今後のことは検討し、そしてまた、費用負担のあり方についても検討していくこととなっているというふうに承知をいたしておりますので、今御指摘の、いわゆるインフラ整備、除染というのを一体的かつ効率的に行うとの方針は示されておりますけれども、いわゆる公共事業との絡み等々についてはまだ検討の段階だというふうに承知いたしております。

○塩川委員 いや、ですから、一体的にやるのはいいんだけれども、除染の部分は当然東電に求償しますというのが環境省の立場じゃないのか、本来、政府として行うべき立場じゃないのかと。
 私は、そういう点でも、何か、除染の部分も一体的にやるから公共事業的というので税金でやっちゃうと、東電の求償を曖昧にするような計画であったら絶対だめだと思うんですが、そういう立場に立つということでよろしいですか。

○山本(公)国務大臣 御指摘は重く受けとめさせていただきたいと思います。

○塩川委員 その点が本当に問われてくるわけです。
 実際には、この帰還困難区域の除染の見通し、どれだけかわかりません。こういう今の八月の政府方針に照らせば、東電への求償を棚上げして、結局は税金で国民の負担にツケ回しをする、こういうことにならざるを得ないということも指摘せざるを得ない。
 あわせて、帰還困難区域とともに森林除染の話ですけれども、林野庁にお尋ねします。
 福島県において、間伐などの森林整備と放射性物質対策を一体的に実施する、ふくしま森林再生事業というのがあります。その概要と執行額を示していただきたい。また、こういった係る費用については東電に求償を行うことになるのか、その点についてお答えください。

○織田政府参考人 お答え申し上げます。
 原発事故後、放射性物質の影響により林業が停滞している地域におきまして、土砂流出抑制等の実証的な放射性物質対策と間伐等の森林整備を公的主体が一体的に実施する、ふくしま森林再生事業を推進しているところでございます。
 この事業の予算につきましては復興特会で措置されておりまして、土砂流出抑制等の実証的な放射性物質対策に係る予算として、平成二十七年度まで約三十億円が執行され、平成二十八年度当初予算においては約二十億円が措置されているところでございますし、また、間伐等の森林整備の予算として、平成二十七年度までに約十四億円が執行され、平成二十八年度当初予算においては約十八億円が措置されているところでございます。
 また、この事業につきましては、放射性物質汚染対処特措法に基づくものではないことから、東京電力への費用求償対象とはなっていないというふうな状況でございます。
 林野庁といたしましては、引き続き関係省庁や福島県と連携をし、福島の森林・林業の再生に向けた取り組みを一層積極的に進めてまいる考えでございます。

○塩川委員 ですから、森林において、森林整備という観点も当然あるわけですけれども、汚染の拡大防止対策として行う、それを一体的に行うということなんですよね。
 本来、汚染者負担原則の立場に立てば、東電が費用負担を行ってしかるべきなのに、実際には復興特別会計からお金を入れていますと。復興特別会計というのは復興増税で担っているわけですから、国民の皆さんに転嫁をしているんですよ。本来、東電が負担すべきものを国民に負担転嫁をするという形が、こういう形でもまかり通っているというのが許されるのかということになるわけです。
 東電に求償を求めないということになっているわけで、そういう点でも、森林の除染の経費の見通しがどうなるのかということも問われてくるわけで、大臣に改めてお尋ねしますけれども、こういった帰還困難区域の除染ですとか森林除染の費用について、除染特措法の枠外で措置しようということを容認するのか。いかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣 何度も申し上げますけれども、そのことについてはいまだに検討している段階だというふうに御承知をいただきたいと思います。

○塩川委員 これまでは、特措法に基づいて、汚染者負担原則の立場に立って東電に求償していたものを、今後は検討するということでは、そういう意味では大転換になるわけで、こういった加害責任のある東電の負担を国民にツケ回しをするようなやり方というのは絶対に許されないということを指摘しておきます。
 この東電への求償ですけれども、その先もあるわけですよ、実際には。東電に求償した後、では、どういうふうに手当てをするのか。
 まず、試算をした二・五兆円の話がありましたけれども、二〇一三年十二月の福島復興指針の中では、その分というのは、東電の株価が上がって、その株式の売却益で充てるという話になっているわけですよね。つまり、東電をぴかぴかのいい企業にするということが費用を出すという理屈になるわけですけれども、そこで、東電の原発の再稼働の問題が問われてくるわけです。
 大臣にお尋ねしますが、この前の日曜日、投票が行われました新潟県知事選挙、原発の再稼働については非常に慎重だという米山知事が誕生いたしました。米山知事は、例えばNHKのインタビューで、東京電力が目指す柏崎刈羽原発の再稼働への対応について、福島の事故の原因、健康や生活に及ぼす影響、そして避難方法の三つの検証がなされない限り、再稼働の議論には移れないと国に伝えたいと述べ、再稼働に慎重な姿勢を改めて示したといいます。
 原発再稼働反対という民意が示された選挙であって、この点で、原子力防災担当大臣として、このような新潟における民意を大臣はどのように受けとめておられますか。

○山本(公)国務大臣 自治体の選挙の結果については、地域それぞれのさまざまな状況がある中での結果だと考えておりまして、コメントは控えさせていただきたいと思います。
 一方で、原子力防災担当大臣といたしましては、避難計画というのは、原発が稼働しているか否かにかかわらず、万々が一の際の住民の安全や安心を高めるためにも重要であり、継続的に充実を図っていきたいと思っております。
 国といたしましては、新知事を初め新潟県等とも密にコミュニケーションを図りながら、柏崎刈羽地域原子力防災協議会の枠組みのもとで、関係自治体の避難計画の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えています。

○塩川委員 三つの検証ということを知事はおっしゃっておられる。そういう点では、この間もそうですけれども、選挙においては、このような原発事故について、原発事故の検証なしに再稼働の議論なしと強調してきたのが泉田知事で、その泉田知事の立場をしっかりと継承するというのが米山候補、それが知事として当選されたということを非常に重く受けとめるべきであります。
 ですから、この新潟の選挙というのは、東電の柏崎刈羽の原発の再稼働と切っても切り離せない問題なんだということであります。東電の原発の再稼働に対してノーというのが県民の選択であって、その重みを自覚すべきであります。
 そこで、経産省にお聞きしますが、この福島復興指針では、除染費用の二・五兆円について、先ほど申し上げましたように、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有する東電株式売却益を充てるとなっております。二・五兆円を確保するには東電株価は幾らぐらいになることが必要なのか、この点について説明をお願いします。

○村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。
 東電株式の売却に当たりましては、新・総合特別事業計画において、機構が二〇二〇年代半ばには一定の株価を前提に保有株式の売却を開始し、三〇年代前半をめどに保有する全株式を売却するということになっておりますけれども、具体的な売却株価の水準については、市場への影響に鑑み、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 私の事務所で、東電に問い合わせをしました。
 東電からの回答を紹介しますと、こちらから、二・五兆円を回収するためには株価を時価で幾らにする必要があるかということに対して、東電は、仮に、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有している優先株式全数を転換価格の上限価格で普通株式に転換し、その後、約千円で売却できれば、理論上は二・五兆円を回収することが可能と回答しています。こういう数字でしょうか。

○村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。
 先生御承知のことかと思いますけれども、機構が保有する東電の株式は優先株でございまして、売却の際には普通株に転換する必要があるとともに、市場への影響等を考慮する必要がございます。
 一兆円の優先株を普通株に転換する時点での市場における一株当たりの株価が上限価格である三百円と仮定すれば、単純に、売却時点での市場における一株当たりの株価がその二倍になればその倍、その三倍になれば三倍になるということになりますけれども、具体的水準については、繰り返しですけれども、市場に影響を与えるという可能性がありますので、言及を控えさせていただきます。

○塩川委員 私は、こういった除染の費用について、東電に求償しても、その分は、東電本体というよりは、本来国民のお金で買った株の売却益を充てるという話であれば、リスキーなお金を入れているわけですから、上がりがあるのであれば国庫に入れてもらうというのが本来の筋だと思うんですよ。それを除染の費用に回すというのは、筋違いだと言わざるを得ません。
 今、新潟県知事選挙で原発再稼働に慎重な立場の米山知事が誕生して、きょうの東電の株価まではちょっと承知しておりませんけれども、昨日の終わり値が三百八十五円ですか、先週末に比べて七・八九%の大幅な値下がりとなっています。これは、東電の株価、東電の経営について、投資家の目というのは原発再稼働とリンクして考えているわけですよね。
 そうなりますと、東電の株価を上げるというのは、これは原発再稼働を促すという話になってしまうんじゃないのか。東電株式の売却益を除染費用に充てるというやり方は、東電の原発再稼働に前のめりになる仕組みとならざるを得ないんじゃないかと思うんですが、この点、誰か答えてもらえますか。

○村瀬政府参考人 お答えをさせていただきます。
 今現在、東京電力は、二十五年の閣議決定を踏まえまして、新・総合特別計画に基づいて、福島に対する責任を果たしつつ、同時に競争環境に適応していくための改革を進めているところでございます。そのため、電力システム改革を先取りしまして、発送電分離の義務になる前に、自主的に分社化をし、他社との包括的アライアンスを結ぶといったような形で株価向上の取り組みを進めておるところでございます。
 このような改革の取り組みをさらに進めていくということで、東京電力委員会というものを立ち上げて、その中で東京電力にさらなる改革を求めていく、こういう取り組みを進めているところでございます。

○塩川委員 そもそも、政府がつくった原発再稼働に前のめりになるような仕組みにつながるこのスキーム自身に問題があるんだ、このことこそ問われなければなりません。
 一方で、復興指針では、株価が想定どおり値上がりしなくて売却益に不足が生じた場合には、負担金の円滑な返済のあり方について検討すると。結局、国民にツケ回しをしようとするやり方にならざるを得ない。
 私は、最後に申し上げたいのは、原発事故に伴う汚染については汚染者負担原則を貫く必要がある、また、国民負担の最小化という立場で臨むことが求められます。事故を起こした東電、東電の株主、メガバンクを初めとした債権者、電気の大口の需要家、そして最後に国民に負担を求めるというのが基本であって、そして、国民負担としての国費の投入を行うのであれば、事故被害について国が責任を認めるべきです。福島の原発事故について国が真摯に反省をするならば、原発再稼働などはできないということになります。
 原発再稼働をやめ、原発ゼロに踏み出すときだということを申し上げて、質問を終わります。