国会質問

<第193通常国会 2017年04月04日 環境委員会 9号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、希少種であります鳥類の保護と米軍機、自衛隊機の訓練飛行問題について質問をいたします。
 最初に、イヌワシについてであります。
 環境省にお尋ねをいたしますが、イヌワシは絶滅危惧1B類に当たる貴重な種であります。このイヌワシを種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定した理由は何か。イヌワシの分布状況や生息個体数と繁殖状況、生息を脅かす要因等についてもあわせて説明をお願いしたいと思います。

○亀澤政府参考人 お答えいたします。
 イヌワシは、森林生態系の食物連鎖の頂点に位置する動物であります。主に本州の中部以北に分布しており、個体数は約四百から六百五十羽程度と推定されております。
 平成三年に公表した当時環境庁のレッドリストにおいて絶滅危惧種に選定されており、種の保存法に基づいて保護を図る必要があったことから、平成五年には国内希少野生動植物種に指定しております。
 繁殖成功率が継続して減少傾向にあることが大きな問題として指摘されており、その背景には、開発や人工林の手入れ不足等により、イヌワシが狩りをするのに適した場所や餌となる生き物が減少していることなどが挙げられております。

○塩川委員 四百から六百五十羽という個体数、あわせて繁殖成功率が減少傾向にあるという点でも極めて重大で、そういう意味でも、狩り場の適地や餌となる動物の生息環境の減少ということが挙げられております。
 同時に、やはり人的な環境変容、ダム建設や林道工事などの大規模開発や、レジャー等の不用意な接近、こういうのも攪乱要因としてはあると思うんですが、その点はいかがですか。

○亀澤政府参考人 今御指摘のような人為的な行為による影響もあるというふうに考えております。

○塩川委員 そういうのを踏まえてイヌワシの保護増殖事業に取り組んでいるわけですけれども、このイヌワシの保護増殖事業の概要とその効果について説明を求めたいと思います。

○亀澤政府参考人 イヌワシにつきましては、環境省と農林水産省が共同で、保護増殖事業計画を策定し、生息、繁殖状況等のモニタリングや生息環境の改善といった保護増殖事業に取り組んでおります。
 調査に関しましては、イヌワシの主要な分布域である東北地方においては、環境省の猛禽類保護センターが中心となって平成十八年より繁殖状況の継続的な把握を行っております。
 また、林野庁と共同で、保護増殖に向けた効果的な森林施業をモデル的に実施しておりまして、狩りに適した開けた環境や、あるいは餌となるノウサギなどの動物を増加させるなどの生息地の環境の改善につながるかについて検証を進めているところでございます。

○塩川委員 その効果というのはどういうふうにあらわれているのか、そこはどうですか。

○亀澤政府参考人 今申し上げました林野庁と共同で行っている森林施業のモデル事業に関しましては平成二十七年度から開始をしたところでありまして、二十七年度に、餌をとれるような開けた環境、あるいはノウサギの餌となる下層植生、いわゆる下生えが復活できるような、そういう光が入るような帯状の間伐を実施したところでありまして、その効果については二十八年度から測定をしておりますが、現時点で顕著なノウサギの増加が見込まれたという状況ではありません。

○塩川委員 その点でもしっかりとした対応を求められるわけであります。
 そういう点で、餌となる動物の環境を整えていくと同時に、やはり人為的な形での影響を極力小さくするということが極めて重要で、猛禽類保護ガイドラインを公表して、取り組み、周知などを図っておられるというふうに承知しておりますが、このガイドラインの中には、例えば、繁殖への影響を与える事例としてヘリの飛行などがあると聞くが、どうなっておりますか。

○亀澤政府参考人 ただいま御指摘のありました「猛禽類保護の進め方」で引用しております日本イヌワシ研究会のアンケート調査によりますと、釣り人やカメラマンの接近、大規模な伐採等とあわせまして、ヘリコプター飛行を伴う送電線鉄塔の建設、点検もイヌワシの繁殖失敗の原因の一つとされているところでございます。
 営巣期などイヌワシが外部の刺激に影響を受けやすい時期において、営巣木付近で人の活動を行った場合には、巣を放棄するなどイヌワシの繁殖に影響を与える可能性があるというふうに考えられます。

○塩川委員 送電線の点検もありますし、建設、そういう際にヘリが飛ぶ、それがましてや繁殖時期に大きな影響をもたらすという事例があるという紹介であります。
 この繁殖に係る営巣期の時期というのは、およそ何月ぐらいなんでしょうか。

○亀澤政府参考人 お答えをいたします。
 特に影響されやすい時期としては、十二月から五月ごろの営巣中心域での人間活動が影響するというふうにこの「進め方」には書いております。

○塩川委員 冬場から春先にかけてという時期が非常に重要だということであります。
 そこで、資料をお配りいたしました。
 ごらんいただきたいんですが、一枚目と二枚目というのが、防衛省が集計をしております米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表というものであります。つまり、全国で、米軍機ではないのかという形で、飛行した、それについて住民の方が苦情を述べる、その苦情について防衛省に届けられた場合に、防衛省が米軍に確認をして、米軍機かどうかを明らかにし、そうであればしかるべき対策を求めるという中身になっているわけです。
 そういった中に、希少種であるイヌワシや、二枚目の方にはクマタカの例が挙がっているわけです。
 赤の枠で囲ったところをごらんいただきたいんですが、飛行日時に平成二十六年一月の十五日、右側に苦情等の内容というのがありますけれども、新潟県イヌワシ保全研究会からの配慮要請ということで、当該地域はイヌワシの生息、営巣区域であるが、上記日時場所において、戦闘機が低空飛行した際、イヌワシが巣から飛び出していったことを確認したと。当該機を撮影しており、仲間と調べたところ、どうもFA18らしい、FA18は空母艦載機として厚木基地にいるということもその際に知ったので、米軍機だと思っている、この時期は絶滅危惧種イヌワシの繁殖時期に当たる、航空機の低空飛行やそれに伴う騒音等はイヌワシにとって悪影響であり非常に懸念しているという苦情でありまして、一番右側の備考のところ、赤枠で囲っているように、米軍が回答して、米軍側が米軍機の飛行を認めるということを確認しているという中身なんです。
 この具体的な新潟県イヌワシ保全研究会の方からの要請について、防衛省はどのように受けとめて、どのように対応したのか、この点について説明してください。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、平成二十六年二月、新潟県南魚沼市に所在する新潟県イヌワシ保全研究会から、防衛省、これは直接には北関東防衛局に対してでございますが、その年の一月、米軍機と思われる戦闘機が低空飛行した際、イヌワシが巣から飛び出していったことを確認された、イヌワシの存続にかかわる問題なので、南魚沼市上空での飛行をやめてもらいたいとの苦情をいただいたところでございます。
 防衛省としては、この苦情を受けまして、米軍に対しその内容を伝え配慮を求めたところ、米軍からは、当該飛行が米軍機によるものであると認める、イヌワシ生息地域に配慮するという回答がございました。
 なお、防衛省として承知している限りでは、これ以降は同様の苦情は寄せられていないものと承知しているところでございます。

○塩川委員 イヌワシ営巣地域に配慮するという回答があったということです。
 この一枚目の右下のところに、赤枠で囲っているところで、イヌワシの存続にかかわる問題なので、この地域での飛行をやめてもらいたい、営巣地域を図示したものを提供しようと考えている、その際にも、米軍によろしくお取り計らい願いたい、これは、そういうやりとりがあったんでしょうか。

○深山政府参考人 今、我が方で把握しているところによりますと、営巣地域を図示したものというものをまだこの協会からはいただいていないということでございます。

○塩川委員 非常に皆さん慎重に対応しておられるわけで、私のところにも会の方から御連絡いただいて、特定できるような情報はなるべく公にすることについては差し控えていただきたいということで、今、墨塗りでお出ししているわけなんですけれども、そういう点では、非常にやはりイヌワシの営巣地域が限定されているという点でも、そこに障害をもたらすようなことを行わないということへの配慮というのは強く求められているわけであります。
 次に、資料の二枚目の方にクマタカの例があります。
 平成二十八年の三月十六日や三月二十四日に、福岡県の朝倉市江川付近上空ということで、同様に、クマタカの営巣するところに航空機が通過をした、クマタカが飛び出す異常行動が確認をされた、こういった飛行は避けてもらいたいという要請で、右側の備考にあるように、米第五空軍が米軍機だと回答したということであります。
 この件について、防衛省はどのように対応したんでしょうか。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十八年五月に、福岡県朝倉市に所在する独立行政法人水資源機構の朝倉事務所から、防衛省、この場合は具体的には九州防衛局でございますが、九州防衛局に対しまして、その年の三月、米軍機と思われる航空機の通過後、クマタカが営巣する林の中から飛び出していったことが確認された、クマタカの繁殖活動に重大な影響を及ぼす可能性があるので朝倉市上空での飛行を避けてもらいたいとの苦情が寄せられました。
 防衛省としては、この苦情を受けまして、米軍に対しその内容を伝えて配慮を求めたところ、米軍からは、当該飛行が米軍機によるものであったと認める、クマタカの生息地域に配慮するとの回答がございました。
 なお、こちらにつきましても、これ以降は同様の苦情は寄せられていないものと承知をしております。

○塩川委員 このような苦情が寄せられているわけですけれども、環境省は、これらの事例については承知しているんでしょうか。イヌワシ、クマタカ保護の観点で国の府省間の連携というのはとれているのか、その点を確認したい。

○亀澤政府参考人 ただいま御指摘のありました苦情につきましては、いずれも防衛省に対して行われたものでありまして、環境省としては承知しておりませんでしたが、今後、環境省といたしましては、イヌワシなど希少猛禽類等に関する情報共有を防衛省に対して働きかけるとともに、防衛省との連携を一層強化し、イヌワシ等の保全を進めてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 それで、ここを飛行している米軍機がなぜここを飛んでいるのかということがあるわけなんです。
 その点で、MV22オスプレイにつきまして、普天間基地に配備をする際に、米海兵隊が環境レビューを行っているわけです。二〇一二年の四月ですが、米海兵隊が作成をしたその環境レビューには、MV22中隊は、必要な航法訓練、ナビゲーショントレーニングの一部を、既存の六つの航法経路、ナビゲーションルートに沿って実施をするとあります。
 資料の三枚目は、日本自然保護協会が作成をしました、イヌワシ及びクマタカの生息地とオスプレイ飛行訓練ルートとの関係図であります。上がイヌワシ、下がクマタカです。
 MV22の飛行訓練ルートを図示しておりますが、赤い線になっているわけですけれども、防衛省、確認しますが、このMV22オスプレイに係る環境レビューの中には、こういった米軍の低空飛行訓練ルートが図示されていると思いますが、確認します。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のMV22オスプレイに係る環境レビューでございますが、その中におきまして、日本本土や沖縄周辺の計六本の飛行ルートを記載した上で、オスプレイの配備に伴う環境への影響について評価がなされているものと承知をしておりますけれども、具体的なルートの詳細等につきましては、米軍の運用に係る事項でありまして、承知していないという状況でございます。

○塩川委員 環境レビューの中に、ここで図示したようなルートの位置が描かれていますか。

○岡政府参考人 御配付いただいた資料、今この場で見たものですから、逐一照らし合わせてはおりませんけれども、基本的には同じような形で描かれていたというふうに記憶をしているところでございます。

○塩川委員 もちろん、中国山地は、破線になっているんですけれども、これはブラウンルートと通称言われているもので、それは環境レビューには描いてないんですよね。でも、過去、そういうルートがあるということが言われているので、それを図示しているわけなんですが。
 これは、イヌワシの生息地でもクマタカの生息地でも、その主要部分に米軍機の低空飛行訓練ルートが所在をしているということになるわけです。ですから、これで見ていただくと、イヌワシについて、新潟県のイヌワシ保全協会の方が要請されたポイントというのは、まさにこのルート上にかかる、ブルールートと通称言われている、そういう低空飛行訓練ルートに相当するものであります。
 もう一つ、資料の四枚目ですけれども、今度は、米軍横田基地に米空軍のCV22オスプレイを配備する計画が発表されました。その際に、米空軍の特殊作戦コマンドが、CV22の横田飛行場配備に関する環境レビューを出しておりまして、その中では、CV22オスプレイの訓練場の一つとしてホテル地区を挙げておりますが、ここで米軍が言うホテル地区というのはどういう場所なのか、防衛省、わかりますか。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 米側が作成したCV22の横田飛行場配備に関する環境レビューにおいて、CV22が訓練を行う六つの訓練区域の一つとしてホテル地区が記述されているところでございます。
 米側からは、ホテル地区については、自衛隊の高高度訓練空域であるエリアHのことである旨、説明を受けているところでございます。

○塩川委員 ということで、この四枚目の地図では、黄色い色で塗られた場所というのが自衛隊の訓練・試験空域のエリアH、これが、米軍がCV22オスプレイの訓練場とするとしているホテル地区に当たる場所です。群馬県上空や長野、新潟、一部栃木や福島にもかかっているエリアになっています。そこを横切るようにブルーの線がありますが、これが低空飛行訓練ルートのブルールートと呼ばれているもので、いずれもイヌワシの繁殖地域に相当するような場所にこれらの米軍の訓練ルート、訓練エリアがあるわけであります。
 そこで、こういった米軍の訓練飛行ルート、訓練エリアについて、長野県から、防衛省、環境省に要請が行われております。
 平成二十五年三月、長野県は、防衛省と環境省に対して、MV22オスプレイの飛行訓練についてという要請を行っています。そこでは、ブルールートと言われる飛行訓練コースの一部が本県に含まれる可能性がありますが、この経路の周辺は、イヌワシやライチョウといった絶滅危惧種の生息が確認されている重要な地域であり、MV22オスプレイの飛行訓練がこれら希少種の繁殖等に与える影響を懸念する声が県に寄せられていますと、適切な対策を講ずるよう在日米軍に求めることを要請しております。
 また、平成二十八年の九月、CV22オスプレイの米軍横田基地配備に伴うオスプレイの訓練エリアとして長野県域を含むホテル地区が挙げられていることを踏まえて、イヌワシやライチョウの生息環境に対して適切な対応をとるよう求めております。
 この要請書は、当然のことながら、県民の皆さんの安全や健康、不安にしっかりと応える必要があるんだ、こういうことを求める、あわせて、こういった絶滅危惧種のイヌワシやライチョウの生息環境に対しての適切な対応を求めているわけです。
 こういったイヌワシ、ライチョウの保護の要請を受けて、防衛省、環境省がどのように対応したのかお答えいただきたい。環境省については、ぜひ大臣からお答えをいただきたいと思っております。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、平成二十五年三月二十二日に長野県知事から、MV22飛行訓練について、ブルールートと言われる飛行コースの一部が長野県に含まれていることから、イヌワシやライチョウの生息環境に与える影響の低減に配慮し、適切な対策を講ずるよう米側に求める旨の御要請をいただいております。
 また、平成二十八年九月二十日には、やはり長野県知事ほかの方から、オスプレイの飛行訓練につきまして、オスプレイの訓練区域はイヌワシやライチョウの生息する重要な地域のため、その生息環境に与える影響の低減に配慮し、適切な対策を講じるよう米側に強く求める旨の御要請をいただいております。
 一方、米側が作成しましたMV22の環境レビュー、あるいはCV22の環境レビューにおきましては、生物資源に与える影響はない、あるいは地域住民や周辺環境に対して著しい悪影響はないとの評価がなされていると承知しています。
 しかしながら、防衛省といたしましては、このMV22やCV22の運用に伴う長野県ほかの方々の御懸念については十分理解をしておりまして、我々は、米側といろいろな協議を行っておりますけれども、そうした協議の場において、米側に対して、MV22やCV22の運用に当たっては地域に与える影響を最小限度にとどめるよう求めておりますし、引き続き求めてまいりたいと考えておるところでございます。

○山本(公)国務大臣 平成二十五年と平成二十八年に長野県知事より、オスプレイの飛行訓練がイヌワシ、ライチョウ等の生息に与える影響を低減するため米軍に対して配慮を求めるよう要請をいただいております。
 オスプレイの運用に当たっては、米国政府により環境への影響を最小限にとどめるための措置について検討が行われ、環境に対して著しい悪影響はないとの評価がなされていると承知をいたしております。
 万一、オスプレイの運用によってイヌワシやライチョウに対する影響が生じたとの情報があった場合には、必要に応じて、オスプレイの運用による地域への影響を最小限にとどめることができるよう、米軍と情報交換をしていきたいと考えております。

○塩川委員 私が指摘をしたいのは、こういった、米軍がいわば勝手に自分で訓練ルート、訓練エリアを設定しているんですよ。日本側の具体的なこれに対しての同意とかというのがあるわけじゃないわけですよね。それはおかしいんじゃないのか。
 もともと米国内でどうしているかといえば、米国内で米軍が訓練ルートを設定する場合には、国内法での仕組みに基づいた措置をとっているんですよ。一つは、米軍自身が環境影響評価を行って、歴史的建造物への影響があるとか野生生物に影響があるとか、こういう調査をやっているんですよね、国内では。そこは配慮しているわけです。ルートの設定には、軍が連邦航空局に申請、審査を受ける。さらに、連邦航空局による許可がされた後も、国防総省の空域計画地図への記載、公表で使用が可能になるという形で、具体的に訓練ルートというのは明らかにするということなんです。
 日本の場合には、米軍がこういう形でこの間示しましたよ、だけれども、日本政府は、こういうルートがあるということを前提の議論をしないんですよ。そういう発表をしているということは知っているというだけなんですよ。
 これではやはりこの問題についての大もとは解決できないわけで、本来、日本国内で米軍がそういう訓練ルートを設定するのであれば、日本国内のルールにのっとってやるべきじゃないのか。つまり、日本国内での環境影響評価もしっかり行うということが必要なんじゃないか。
 こういうことというのは、防衛省なり環境省なりというのは考えないんですか。

○深山政府参考人 米軍による実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練については、日米地位協定は、施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、施設・区域の上空外においてもこれを行うことは認められているところでございます。
 他方、米軍が我が国において訓練を行う場合は、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきであることは言うまでもございません。御答弁を既に申し上げましたように、私どもは、訓練等を行う場合には、地元の方々への配慮を、オスプレイに関する訓練のみならず、累次にわたって申し上げているところでございます。
 また、オスプレイについて一言補足をいたしますと、二〇一二年九月十九日合同委員会承認でございます、日本国における新たな航空機MV22に関する合同委員会への覚書という文書がございますけれども、これによりますと、MV22は、時折、低高度で運用されることから、同機の乗組員は、日本国内において低空飛行を行う、MV22は、訓練航法経路を飛行する間、地上から五百フィート以上の高度で飛行する、ただし、MV22の運用の安全性を確保するには、その高度を下回る飛行をせざるを得ないこともある、低空飛行の訓練の間、原子力エネルギー施設、史跡、民間空港、人口密集地域及び公共の安全に係る他の建造物、例えば学校、病院等といった場所の上空を避けて飛行することは、合衆国航空機の標準的な慣行である旨、定められているところでございまして、米軍といたしましてもかかる配慮を実践しているものと承知しております。

○亀澤政府参考人 環境省といたしましては、絶滅危惧種であるイヌワシ等の生息に影響を与えるとの情報が得られた場合には、防衛省等と連携して、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 防衛省の方で日米合同委員会の合意の中身等々触れてありますけれども、基本は、でも、配慮するという枠組みでしかないんですよね。尊重するという枠組みなんですよ。航空法は適用除外というのが米軍の実態ですから、尊重という形で言うだけで、実際の法令上の義務づけなどが課されていない。
 そういうことを考えても、本来は、日本国内で飛行するのであれば日本国内のルールにのっとってやるべきだ。そういった点で、人間の生活、そしてこういった希少種に対する影響についても、しっかりと悪影響が及ばないということをルールとして示す、こういう必要な規制措置を設けるべきであって、勝手な米軍機の訓練飛行を許すような、戦後つくられている米軍特権というのを改めるべきだということを申し上げておきます。
 関連して、自衛隊でお聞きしたいんですが、資料の四枚目にピンク色を図示したものがあります。これは、陸上自衛隊東部方面隊が国交省の各空港事務所に申請した最低安全高度以下の飛行許可の飛行区域。最低安全高度以下というのは、通常であれば百五十メートル以下、人口稠密な地域であれば三百メートル以下の飛行を禁止するという規定ですけれども、それ以下でも飛べるようにするという許可をとっているエリアになります。
 こういった最低安全高度以下の訓練飛行は、どの部隊が、いつ、どこで、どのような訓練を行っているのかについて説明してください。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 御質問にありました航空法第八十一条ただし書きの規定により国土交通大臣の許可を得る必要がある最低安全高度以下の高度での飛行の関係でございますけれども、直近の例で申し上げますと、陸上自衛隊東部方面隊隷下の第一師団長が、昨年十月十一日に、国土交通省東京国際空港長、成田国際空港長及び百里空港事務所長に対しまして、また、同じく東部方面隊隷下の第一二旅団長が、同年九月十六日、東京空港事務所長、新潟空港事務所長に対して申請を行い、それぞれ警備地区の上空の一定区域における最低安全高度以下の飛行に係る許可を得ているところでございます。
 これらの許可に基づきまして、中央即応集団隷下の第一ヘリコプター団や第一二旅団隷下の第一二ヘリコプター隊といった、主に東部方面隊管内に所在している航空部隊が使用をしているところでございます。

○塩川委員 実際には、航空偵察、空中監視、空中観測、航空輸送、射撃動作、ヘリボーン行動、写真撮影等が行われているわけですが、この第一ヘリ団、第一二旅団第一二ヘリコプター隊、この航空部隊について、訓練を行っている所属航空機の種類と所属機数、訓練日数がどうなっているのかについて説明を求めます。

○岡政府参考人 御質問の点でございますけれども、平成二十七年度の最低安全高度以下での飛行訓練等の飛行実績がどうかということで数字をまとめておりますので、それで申し上げますと、第一ヘリコプター団に関しましては、CH47約三十機によりまして百九十八回、また、第一二旅団隷下の飛行隊におきましては、OH6というヘリがございますが、この数機によりまして二十九回、UH60というヘリがございますが、その約十機によりまして百三十八回、CH47約十機により三十九回の飛行が行われているところでございます。

○塩川委員 こういうふうに、かなりの回数、最低安全高度以下での飛行訓練が行われております。
 見ていただいてもわかるように、静岡の富士山周辺から、山梨、神奈川、東京の多摩、埼玉の秩父、群馬、長野、新潟というエリアに、連続するようにこういった訓練区域が設定をされております。
 こういった中で、例えば二〇一二年の七月には、相模原市の相模湖付近で陸自のヘリがホバリングを行って、近所の方から非常に不安や苦情を訴える声が相模原市に多数寄せられた件があります。こういった事例の経緯と防衛省の対応についてお聞きしたい。その際に、相模原市にはこの訓練について事前に連絡をしていたのか、この点についても確認したいと思います。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 御質問の平成二十四年七月六日の件でございますけれども、この日の八時四十五分から八時五十五分ごろ及び九時四十五分から十時十分ごろ、山梨県上野原市秋山付近及び神奈川県相模原市緑区名倉付近におきまして、東部方面航空隊隷下の第四対戦車ヘリコプター隊が、操縦技術の練度維持向上を目的として、航空偵察及び低空飛行の訓練を行ったところでございます。
 本訓練に対しまして、相模原市の住民の皆様から相模原市等に対しまして複数の苦情が寄せられたと承知しております。防衛省といたしましては、これを受けて、関係自治体に対して事実関係等について説明を実施したところでございます。
 なお、事前に連絡をしていたかどうかということでございますけれども、関係自治体に対する特段の事前連絡は行っていなかったということでございます。

○塩川委員 相模原市に三十数件苦情が寄せられたわけです。民家があって、保育園があって、小中学校があって、観光施設がある、そういう場所なんですよね。そういったところで訓練を行うことについて、そもそもそういうところでやること自身がけしからぬわけですけれども、事前の連絡もそもそもない。
 少なくとも、こういった最低安全高度以下の訓練をするようなところには、そういう地元自治体に事前連絡するというのは最低限のルールじゃないですか。そういうことは考えないんですか。

○岡政府参考人 御質問の点でございますけれども、最低安全高度以下の飛行訓練ということで、航空法第八十一条ただし書きの規定に基づく場合を除いてそうした最低安全高度以下の高度で飛行してはならないこととされているわけでございますが、このただし書きに基づく国土交通大臣の許可を得て実施しておりまして、いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、各種の飛行訓練を行うに当たりましては、定められた法令等に基づき、飛行経路上の地上における安全にも十分配慮しながら実施をしていきたいと考えているところでございます。

○塩川委員 最後に、大臣に伺います。
 こういったように、人の生活においても低空飛行というのは大きな障害をもたらすものでありますから、こういったことはもちろんやめてもらいたいし、少なくとも、訓練するようなときには事前に地元自治体ぐらいには連絡するというのは当然だ、このことは防衛省に強く求めておきますけれども、イヌワシやクマタカの繁殖地域にも重なるようなところで自衛隊のヘリの訓練が行われている。
 こういったヘリの飛行というのが繁殖に影響を与えるということは先ほどの話にも出てきたところですから、こういった自衛隊の訓練飛行についても、イヌワシやクマタカなどの希少種の繁殖に影響を及ぼすような場合については、やはり環境省としてもしっかりと物を言うということは必要なんじゃないか。その点について、ぜひお答えいただきたいと思います。

○山本(公)国務大臣 自衛隊機の低空飛行がイヌワシやクマタカの繁殖に影響を及ぼしているとの情報に接した場合には、これらの鳥類が音に過敏となる営巣期等における運用上の配慮など、防衛省に対して希少種保全への協力を求めていきたいというふうに思っております。
 私がこの問題で環境省の事務方に指示いたしましたのは、やはり、クマタカ、イヌワシ、その生態をとにかく環境省は把握をしろと。全国に、推定にはなりますけれども、おおよそどれぐらいいて、どれぐらい減りつつあるのか、減りつつあるならば何の影響によって減りつつあるのかとか等々、やはり環境省であるならば、イヌワシ、クマタカの生態を十二分に把握するような努力をしなさいという指示は出させていただいたところでございます。

○塩川委員 住民生活に被害をもたらし、こういう絶滅危惧種の保護の障害となるような自衛隊ヘリの訓練飛行については見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。