国会質問

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<第193通常国会 2017年04月07日 環境委員会 10号


○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 土壌汚染対策法について質問をいたします。
 土壌汚染対策法は、国民の健康の保護を目的として、土壌汚染のおそれがあると判断される土地に対して調査の網をかけ、調査結果に応じた区域指定を行い、そして指定に基づく規制措置を定めております。
 そこで、お尋ねしますけれども、今回の法改正について、その一つに、形質変更時要届出区域内における形質変更の事前届け出制から事後届け出制への緩和の措置が第十二条第一項で行われております。これがどのような内容かということについて、まず確認をしたいと思います。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 形質変更時要届出区域であっても、臨海部の工業専用地域のように、地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がなく、埋立材や自然由来による汚染土壌のみが広がっている場合につきましては、土地の形質変更に伴う健康リスクは低いと考えております。
 このため、一定の要件を満たす土地の形質変更を、あらかじめ都道府県知事の確認を受けた土地の形質変更に係る方針に基づいて行う場合には、工事前の、現行法のもとの工事ごとの事前届け出にかえまして、年一回程度の事後届け出とするという規制の合理化を行うこととしたものでございます。

○塩川委員 そこでお聞きしたいのが、これは条文の中にも、先ほどは埋め立て由来、自然由来というお話がありました。条文の方を見まして、専らという言葉の言い方を使っているわけです。
 第十二条の第一項第一号のイを見ますと、「土地の土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来するものとして」云々とあるわけですけれども、この場合の「専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来する」という、この専らの意味がよくわからないんですけれども、この点について、大臣、御説明いただけますか。

○山本(公)国務大臣 御指摘の規定、改正案の第十二条第一項第一号イでございますけれども、土壌汚染状況調査の結果として、土地の汚染状態が自然由来または埋立材由来によって占められていると認められることを要件として規定したものでございます。

○塩川委員 ですから、専ら自然由来、専ら埋立材由来ということなんですけれども、専らの程度というのはあるんですかね。どの程度まで許容されるのかというのがわからないんですよ。その考え方について少し教えてほしいんですが。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 今の大臣の御説明で意味は明白ではないかと思っておりますけれども、実際、この土壌汚染状況調査をやるわけでございます、それの結果として、人為由来の汚染が認められなければ、これは専ら自然由来または埋立材由来に占められたというふうに解釈されると考えております。

○塩川委員 そうであれば、今のように、人為由来の汚染が認められないというふうに書けばいいと思うんですけれども、そう書いた方がわかるんじゃないですか。

○高橋政府参考人 趣旨は、恐らく理解は同じだと思うんですけれども、法文上、条文化する中で、こういう表現が適切であるということでございます。

○塩川委員 これは、ですから、専らとなると、専らでない部分があるという話になって、そこは当然、人為由来の話が入ってくるんじゃないのかというふうにとられるわけですよ。
 だとしたら、もうすっきり、人為由来の汚染が認められないと書けばはっきりしているわけですから、そういうふうに読めるようにやる方が適切じゃないですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 繰り返しになって恐縮でございますけれども、土壌汚染状況調査の結果として、人為由来の汚染が認められない、言いかえれば、自然由来また埋め立て由来によって占められているということが確認できればこの特例が適用可能になるということでございます。

○塩川委員 例えば、埋め立て由来の土壌汚染についても、もちろん自然由来のものもあるかもしれないけれども、過去に蓄積をされたような人為由来の汚染も入っていないのかという懸念というのはあるわけなんですよ。そういう埋め立て由来の土壌も人為による汚染がないと言えるんでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 もちろん、埋立地というものが全て埋立材由来であって人為汚染がないということではございません。もちろん埋立地におきましても、過去に有害物質を使う工場等が立地をしたり、そういうところで有害物質が取り扱われることがよくございますので、臨海部の埋立地においても、人為由来の汚染があるというケースも当然ございます。

○塩川委員 ですから、書き方として、本当にすっきりするような形にすべきであって、専らという用語だと、非常に、そこに何らかの人為由来のものを含み得るような、そういうことを読めるということを指摘しなければなりません。
 それで、改正案は、現行では形質変更時に事前に届け出なければならないところを、自然由来等の汚染による土壌であれば、年一回程度で事後に届ければよいとしているわけです。
 沿岸部の企業の敷地内では、長年の事業活動によって排出をされた操業由来の汚染物質、自然由来の汚染物質等々が混然一体となっていると聞きますけれども、そうなりますと、実態として、汚染が操業由来か自然由来かという判断が、把握が困難ではないのかなと思うんですが、その点はどうでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、埋立地にもいろいろなケースがあるかと思います。そこで有害物質を使った履歴、そういう操業の履歴等、ある場合、ない場合があるかと思いますので、そういう地歴といいますか、そういうものも調べますし、必要に応じて実際のボーリング調査等もやりまして、汚染の状況をしっかりと把握した上で判断をするということが必要になるかと思いますけれども、その辺の具体的な判断等につきましても、しっかりと技術的な基準を定めて運用していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 その技術的基準というのがよくわからないので、懸念が残るところです。
 実際、企業の敷地内では、長年の事業活動によって排出された人為由来の汚染物質、自然由来の汚染物質、また埋立材由来のものなども混然一体となっているということで、このことは、中環審の土壌制度小委員会の中で、例えば石油連盟の代表の方が発言をされておられます。その際にも、臨海部の工業専用地域のようなところの広い場所ですと、自然由来の汚染とか、埋め立て由来の汚染とか、操業由来の汚染とかなど、由来が何かよくわからないような汚染とかがごちゃごちゃしているということを率直におっしゃっておられるわけで、これが実態なんじゃないでしょうか。それで大丈夫なのかと思うんですが、いかがですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 いずれにしましても、技術的な基準については、今後しっかりと専門家あるいは関係者と検討していかなければいけないと思いますけれども、現時点で、まず基本的な考え方を申し上げると、先ほどもちょっと申しましたけれども、有害物質による人為由来の汚染があるとわかっている土地は当然対象外になるということでございます。そういうもとに、事前にしっかりと都道府県知事が確認をしながら、リスクが拡散しないような運用をしていかなければいけないというふうに考えております。

○塩川委員 ごちゃごちゃしているというのが実態じゃないかと思うんですが、そういうことは受けとめておられますか。

○高橋政府参考人 その石油連盟の方がちょっとどういう情報をもとにごちゃごちゃしているというような表現をされたかわかりませんけれども、いずれにしても、まさにそういう実態、現場の実態はそういう現場の方からもよくお話を聞きながら、やはり人為汚染がないということをいかにしっかりと、また合理的な、現実に実施可能な方法で確認するかということをしっかりと詰めていきたいと思っております。

○塩川委員 私は、率直に、こういった状況のもとで形質変更時の事後届け出制を認めれば、操業由来の汚染土壌の事業者処理責任を曖昧にすることになりかねないのではないか、また、事業者の勝手な敷地内の形質変更による利活用を可能とする、こういう懸念が拭えないということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、改正のポイントとして、汚染土壌の搬出規制の緩和があります。汚染土壌処理の委託の例外を設けるという第十八条の一項二号や三号、これがどのような内容かについて説明いただけますか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 まず一つは、自然由来等の土壌の区域間移動の件でございます。
 自然由来等の土壌につきましては、濃度が低く、かつ同一地層等に広く存在をしているものの、現行制度においては、区域外に搬出する場合、人為汚染の土壌と同様に、汚染土壌処理施設での処理が義務づけられております。このため、自然由来等の土壌が同じように存在をする近隣の場所でありましても、例えば仮置きができないというようなことで、工事に支障が生じているという指摘がされてございます。
 このため、都道府県による一定の確認を得た上で、同一の地層の自然由来等土壌がある他の区域への移動を可能にするというものでございます。
 もう一つ、今回、特例というものを考えてございます。
 これは、公共工事における汚染土壌の水面埋め立てや構造物での汚染土壌の封じ込め処理というものがございます。これらは有効な処理方法であるわけでございますけれども、現行法では、このような処理を行うためには汚染土壌処理業の許可の取得が当然必要になってまいります。例えば公共セクターがこういう許可をとるというのはなかなか現実には難しい面がございまして、これまで余り行われていないという状況でございます。
 このため、これも自治体等からのいろいろな御意見も踏まえまして、国や自治体による適正な処理を促進するという観点から、この許可制度の特例といたしまして、国または地方公共団体が行う水面埋め立て等による汚染土壌処理につきまして、都道府県知事との協議が成立をしたというときには汚染土壌処理業の許可があったものとみなすという特例を定めるということとしたものでございます。

○塩川委員 その前段の部分について関連してお聞きしますけれども、自然由来等の件で、汚染土壌搬出規制の緩和と、先ほど冒頭でお聞きしました形質変更の事後届け出制への緩和の部分ですけれども、これは、例えば中環審の土壌制度小委員会に環境省が出している資料の中で、臨海部の工業専用地域の特例のところがありますよね、そこのところにその新区域の指定について幾つかの具体の話で書かれていることだと思うんですけれども、これは法改正ではこういう形で入ってくるというふうに受けとめていいんでしょうか。

○高橋政府参考人 今御指摘の部分は、工業専用地域の方の話かと思いますけれども、確かに、審議会の議論の中では、新しい区域としてそういうものを位置づけるというような議論もございましたけれども、今回の御提案の中では、これまでの形質変更時要届出区域の中の一類型として特例を設けるというような形で整理をしているというものでございます。

○塩川委員 形質変更時の枠内でという話で、二〇一三年のときの、形質変更時要届出区域についても区分を新たにつくったというのが、埋立地の特例区域ですとか自然由来特例区域の話もあります。こういうのに加えて、あるいは重なるような形で新区域を指定する、そういうイメージなんでしょうか。

○高橋政府参考人 あくまでも、先ほど申しましたように、今回の特例というのは、形質変更時要届出区域の中の特例ということでございます。

○塩川委員 中環審に出ている環境省の資料で「新区域の対象となりうる土地の詳細イメージ図」というのがあるんですけれども、そういう地図の中に、新区域に指定可能というエリアとして、「人為由来の汚染のおそれが少ない土地」と書いてあるんです。
 ですから、「人為由来の汚染のおそれがない土地」とは別に、「おそれが少ない土地」つまり人為由来の汚染があるという土地も新区域に指定可能となっているのは、これはこういうものなんですか。

○高橋政府参考人 おそれが少ないか、おそれがないかという二通りの言い方をしてございますけれども、これはあくまでも、いろいろな、当然、都道府県知事の方で調査等をするわけでございます、いろいろな情報から推測をするわけですけれども、おそれがない土地であればあえてボーリングはしなくてもいいけれども、おそれが少ない土地であれば本当にないかどうかはボーリングをしなければわからないというようなことで、確認の仕方が変わってくるわけでございますけれども、結果として汚染があればこれは認められないという部分は同じでございますので、結果として、何か、おそれの少ないところは緩くていいということではございません。あくまで確認の仕方の厳密さが変わってくるというふうに御理解をいただければと思います。

○塩川委員 土対法の改正では、汚染土壌処理業者への汚染土壌の処理の委託義務が、現行では委託義務がかかっています。これは、国や県から認定された処理業者が汚染土壌の処理を責任を持って行うことで、汚染土壌処理が適切に行われるよう担保する仕組みであるわけです。
 その点で、改正案で汚染土壌の移動をいわば土地の事業者任せにするということが、事業者の処理責任を曖昧にすることにならないか、この点の懸念もあるんですが、そこはどうでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 今回、自然由来等の土壌についての移動を認めるということでございますけれども、これは、先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、形質変更時要届出区域として指定をされて管理されている土地であって、なおかつ自然由来で同一の地層のものが広がっている、そういう限定された範囲の中での移動でございますので、何か、どこか勝手に持っていっていいということではございません。
 いずれもしっかりと管理された区間の中の移動でありますし、なおかつ、事前に届け出をしてもらって、運搬の仕方とか移動した先での扱いが適正であるかということもしっかりと都道府県知事がチェックをいたしますので、要は、これまでは処理業者のいわゆる土壌処理施設にしか持っていけなかったものを、限定された範囲の中で、環境への悪影響のない範囲で有効に、例えば盛り土等に使うというようなことを可能にしようという趣旨でございます。

○塩川委員 もともと、二〇〇二年成立の土対法は、法に基づく調査対象が限定的でありましたので、土壌汚染調査のうち圧倒的多数を法に基づかない自主調査が占めるという問題がありました。また、搬出土壌に対する規制がなかったため、汚染土壌の不適正処理事案が発生するなどの問題も発生をしたわけです。
 豊洲地域の深刻な土壌汚染が明らかになって、国民からも厳しい批判の声が寄せられる中で、二〇〇九年に土対法の改正が規制強化という形で行われたわけです。土地の形質変更時に調査義務がかかることや、汚染土壌の搬出時に汚染処理業者への処理の委託義務が課せられる。また、法改正に伴う局長通達で、自然由来による汚染土壌も法の対象となったわけです。
 そういうのが二〇〇九年の強化の中身だと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 前回の改正の主な趣旨につきましては、今委員から御指摘のあったとおりかと思います。

○塩川委員 そうしますと、ここで強化した中身というのが今回の改正で緩和をされているということになるわけで、二〇〇九年の法改正の趣旨に逆行するものではないかと思うんですが、その点はいかがですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 前回の改正、先ほど委員から御指摘のありましたようなポイントでございますけれども、その結果として、例えば土壌汚染状況調査の実施件数につきましても、大幅に、二倍以上ふえたということでございますし、区域の指定についても、要措置区域と形質変更時要届出区域という、リスクに応じた指定を行うということで、相当形質変更時要届出区域がふえてきてございますけれども、これはある意味リスクに応じた管理が進んでいるということで、前回の改正の効果は着実に上がっているというふうに考えてございます。
 ただ、今回の改正につきましては、特に自然由来につきましては、自然由来のものも、最初の法律制定時は対象でなかったものを、やはり搬出の規制という、土壌汚染を、きれいな土地にそういうものが拡散されるということは防がなきゃいけないということで新たに導入したわけでございますけれども、それによって、土壌汚染、土対法のかかっていないところでできているような通常の工事にも支障が出ているというような部分がありましたものですから、その部分については、それによって新たな汚染の拡散リスクがふえてしまってはもちろん前回の改正の趣旨に反するわけですけれども、そういうことが起こらない範囲で、しっかりと手続を踏みながら、そういう、ある意味例外的に有効活用のできる部分を今回導入をした。
 そういうことでございますので、決して前回の改正の趣旨を損なうものではないというふうに考えております。

○塩川委員 自然由来による汚染土壌も法の対象となるというのは、いろいろ議論があった経緯があるわけですけれども、健康被害の防止の観点からは、やはり自然由来の汚染土壌とそれ以外の汚染土壌を区別する理由がないために、自然由来汚染土壌についても土壌汚染対策法の対象としているという、その趣旨というのが本来重要だと思うので、そういう見地を考えると、今回の緩和措置というのは、やはりそういう規制強化と逆行すると率直に言わざるを得ないんですが、その点はどうでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 人の健康への影響という意味では、例えば砒素であっても、それが人為由来なのか自然由来なのか、それによって変わりはないということでございまして、その基本的な考え方は今回も一切変わってございません。
 あくまでも、今回は、同じような自然由来の地層が広がっている区間の中での移動ということを認めるということでございますので、そういう意味でリスクがふえるということはない。そういう範囲の中で、有効利用という観点で手続の緩和をするという趣旨でございます。

○塩川委員 緩和であることは明らかであるわけで、その点での、本当に環境への影響を通じた健康への不安というのが懸念されるところであります。
 こういった緩和要望の背景に、この間の経済界や企業からの要望があります。
 二〇〇九年の規制強化に対して、鉄鋼や石油あるいは石油化学などの産業界から反発の声が上がりまして、この間、規制改革会議や中環審の土壌制度小委員会において、経団連や千葉県経済協議会、湾岸地域に立地をするこれら大企業の参加がある千葉県経済協議会等から要望が出されております。
 千葉県経済協議会は、二〇一五年の規制改革会議の中で、基準不適合土壌を場外に搬出できず場内に山積みにしており、設備レイアウトが困難または新たな設備投資の空き地の確保が困難、汚染土壌処理コストが高く、価格競争力が損なわれるとの立場を表明しております。
 こうした産業界からの要望を受けて出された二〇一五年六月閣議決定の規制改革実施計画で、沿岸部の工業専用地域の汚染土壌処理の規制緩和について、人への健康リスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得るとの方針が示されたということです。
 ですから、今回の改正案というのはこの方針に基づくもので、やはり汚染土壌の処理の負担軽減や土地利用規制の緩和を求める経済界からの要望に応えるもの、それはそういうことになりますね。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 今回の特例制度でございますけれども、例えば、先ほどもございましたけれども、千葉県の経済協議会など、そういうところからの要望ももちろんいただいてございます。また、委員の今御指摘もございました規制改革実施計画、閣議決定をされたものの中で、臨海部の工業専用地域の土地の形質変更及び自然由来物質に係る規制のあり方について、人の健康へのリスクに応じた必要最低限の規制とする観点から検討し、結論を得るというものがございますので、こういうものも踏まえて検討したわけでございます。
 ただ、この検討につきましては、これは中央環境審議会の中で、事業者あるいは自治体それから有識者、専門家、そういうさまざまな立場の方に御参加をいただき、御意見を伺った上で答申を取りまとめております。もちろん、当然その中で産業界の要望もお聞きしましたけれども、それをそのまま受け入れて成案化しているわけではございませんで、やはり当然、健康被害が生じないと考えられる範囲で限定的に手続の合理化を行うという観点の議論も相当した上でこの案はまとめておりますので、決して特定の主張に沿って見直しをしたということではございません。

○塩川委員 実際、臨海部の工業専用地域において、事業者はどのような土地利用を考えているのか、どういうニーズがあるから土地利用規制の緩和についての要望が出されているのか、具体の事例とかというのは承知しておられますか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 今回の中環審の審議の中で、そういう具体的な用途まで俎上に上げて議論をしたということではなかったと記憶してございます。

○塩川委員 例えば、今、東京湾岸でいいますと、石炭火力発電所の建設の計画というのが幾つも出てくるんですけれども、そういう用地として使用されるという可能性もあるということでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 そういう可能性についても何も議論はされたことはなかったと思っていますが、いずれにしましても、今回の議論は、自然由来あるいは埋立材由来の土壌の扱いについて、その扱いのリスクを主軸として議論をしてございますので、その後の上物の土地利用がどうこうというのは、基本的にはこの議論には影響を与えるものではないというふうに考えております。

○塩川委員 このような、今、環境省の対応とすれば、大臣の環境アセスに係る意見もこの間出されているところでありますけれども、一方で石炭火力発電の建設については慎重な対応を要求しているのに、他方では用地確保にもしかすると手をかすようなこういう緩和措置になりはしないのかという点では、環境行政としての責任を問われることにならないかというのが率直な感想なんですが、大臣のお考えというのはいかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣 ちょっとそれとは別であろうと思っております。
 やはり、あくまでも今回の法改正においては、私どもは、今までの土対法の言ってみれば弱点といいますか、それを補強するという意味が専らであろうというふうに思っておりますので。

○塩川委員 この点については注視したいと思っております。
 それから、先ほど説明がありました公共工事に係る汚染土壌の封じ込め措置に係る自治体の要望に応えた措置ですけれども、改めて、国等が行う汚染土壌の処理の特例、汚染土壌の公共事業への再生利用というのがどういうものなのかについて、簡単に御説明ください。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 先ほども若干御説明をいたしましたけれども、東京都などから、中環審の議論におきまして、自然由来あるいは埋め立て由来の基準不適合土壌につきまして、公共事業等の管理下での活用を可能にしてはどうかという提案がされております。
 具体的に想定されるのは、水面埋め立てなどこういうところの公共事業で土壌を活用する、そういうことが円滑に進むような観点からこういう特例を設けたらどうかということでございます。

○塩川委員 東京都がそういう要望を出す動機といいますか、東京都としてはどういうことが想定されるのでこういった特例を要望されたんでしょうか。

○高橋政府参考人 一般論になりますけれども、やはり土壌の処分というのは非常に逼迫をしているという中で、安全な形で有効活用あるいは適切な処理ができるような、そういう選択肢をふやすということがやはり自治体では大変大きな課題になっているということが背景にあるのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 今回の改正案で、国や自治体が行う汚染土壌の処理の特例を設けるわけですが、この改正について、環境省は、国等が行う公共事業において、都道府県知事との協議の上、合意された場合に汚染土壌を公共事業へ利用できるようにする、詳細は省令で定める、使い道は道路の路盤材などを想定しているということもおっしゃっておられたんですが、一つは、こういう協議、合意というスキームでいいのかということと、使い道に、先ほど水面埋め立ての話もありましたけれども、路盤材に使うような、道路の底に敷くような、そういう利用なども想定しているということでよろしいのか、その二点、お聞きしたいと思います。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 これは、公共工事、公共事業での活用でございますので、都道府県知事との協議がしっかりできれば支障がないものと考えてございます。
 また、用途につきましては、水面埋め立て、これは実は、例えば海のしゅんせつをした土砂なんかは当然水面埋め立てをしているわけでございますので、同じような土であっても、土対法の規制のかかった土はできなくてほかの土はできるという、そういうある種二重構造となっておりますので、そこは同じような扱いができるようにするということでございます。
 また、路盤材は一つの例でございますけれども、要は、自然由来の汚染がある土壌について、それが表面に露出するのではなくて、封じ込められた形で安定的に使用できるような、そういう用途というものがあり得るのではないかというふうに思っております。

○塩川委員 中環審の小委員会で東京都が出している土壌汚染対策制度の見直しに向けた提案の中で、幾つかそういう制度の要望が出ているんですけれども、具体的にその用途として、自然由来基準不適合土壌について、その土壌の移動を可能にするという要望で、それは公共事業の管理下での活用となっているわけですが、その場合の公共事業の管理下として、一つは関連事業間の利用、つまりトンネルの掘削土を盛り土に利用するという関連事業間の利用ですとか、水面埋立用材などと書いてあるんですが、こういう関連事業間の利用というのは当然想定されるものということでよろしいでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 東京都さんの方から御提案あった、今おっしゃられたような関連事業間の利用というものも、当然有効利用の選択肢として考えられるものと思っております。

○塩川委員 ここには、公共事業の管理下での活用というより、「公共事業等の管理下での活用」と書いてあるんですけれども、つまり、公共事業以外での活用というのもあるということを東京都が想定している、それを受けるような今回の措置になっているということなんでしょうか。その辺はどういうふうになっているんですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 公共事業が主たるものでございますけれども、例えば、同じ事業者が、自分の工事区域の中で、ただ、その途中がちょっと区域が連続していなくて飛び地になっているようなところで使うというようなものもありますので、そういう意味で等が入っているんだろうと思います。

○塩川委員 つまり、請負事業者が別途公共事業以外で利用するという場合もあり得るということですか。

○高橋政府参考人 今申し上げたのは、事業者が、同一の工事区域の中で、同じ工事の中で、ちょっと場所が、区域が連続していなくて、途中に例えば川が流れているとかいうことで、今の法律だと区域が連続していないと一切移動ができないというような、処理施設に持っていくしかないというようなことになっているものですから、そこは、移動するということで、有効に、同じ業者が同じ工事の中で、もちろんそれは、土対法上は形質変更時要届出区域として指定がされて管理がされているということでございますので、当然、その使い方についてもきちんと基準があって、都道府県知事が確認した上ででございますけれども、そういう中で活用するということでございます。

○塩川委員 ちょっと具体的にイメージが湧かなくて聞いているんです。「公共事業等の管理下での活用」と書いてあるんですが、その等がどういうものかという質問なんですが、その点、もう一回わかりやすくお願いします。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 先ほど私が申し上げた、同じ事業者が自分の工事の区域の中でやるということでございますので、これは公共事業じゃなくて、その事業者の事業でございますので、公共事業には当たらないということで、等の中に入るということになるかと思います。

○塩川委員 その点はまた改めてお聞きしたいと思います。
 こういった自然由来である汚染土壌について緩和の措置が図られる。ただ、封じ込めするというお話ですけれども、やはり、道路や堤防などへの汚染土壌の再利用というのは、封じ込めがされた場合でも、災害時に流出するんじゃないかとか、雨水等による浸透の可能性があり、汚染の拡散が進むんじゃないかとか、そういう懸念もあるわけですよね。
 また、再利用に当たっては、利用箇所において看板などでの周知は環境省令で定められていますが、住民合意というのは必要がないわけで、近隣住民の方への十分な説明や合意がないままに汚染土壌が使われることが懸念されるんですけれども、この点はどうでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 きょうの午前中の質疑にもございましたけれども、実際に現場で使う場合には、必要に応じて関係者への説明をしっかりとやるということも大変重要ではないかというふうに思っております。

○塩川委員 ごめんなさい、私、二つのことを聞いていたものですから。
 住民合意の関係については現場での丁寧な説明という話でよかったんですが、今、封じ込めというけれども、例えば、堤防の盛り土に使うとか、路盤材であれ、道路に亀裂が入るような場合とか、そういう際に汚染の拡散につながることはないのかという点なんですけれども、そこはどうですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 そのような具体的な用途につきまして、どういう用途を決めるかというのはこれから議論でございますけれども、いずれにしましても、今後、具体的な用途については、技術的な基準をしっかりつくりまして、その安全性、しっかり管理ができるようなものに限ってこういうものを認めるということにしていきたいと思っております。

○塩川委員 この点でいえば、重金属などの有害物質というのは、ほぼ半永久的に存在するわけです。ただ、一方で、公共物というのは耐用期限というのがあるわけで、数十年の単位なわけで、それを考えたときに、率直に言って、では、きちんとした封じ込めができるのか、そういう基準というのが百年とか二百年先とかという見通しで言えるのかと率直に思うんですが、それはそういうふうに言えるんですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 先ほどの説明で一点ちょっと抜けておりましたのは、このスキームを使って自然由来の土壌をそういう公共事業に使ったといたしますと、その使った現場というのは、これは土対法上の管理区域になります。形質変更時要届出区域等になりますので、そういう意味では、土対法のスキームの中で、引き続きそこは管理をされるということでございます。

○塩川委員 そうすると、そういう公共物、堤防とかというのも、そういう管理区域のままずっと続くというイメージなんですか。

○高橋政府参考人 土対法のスキームの中で利用されておりますので、その利用された現場というのも、土対法の指定区域として引き続き管理をされるということになるかと思っております。

○塩川委員 その点はまたお聞きしたいと思います。
 この措置の場合に、国や自治体が行う公共事業において、都道府県知事との協議の上合意された場合に、汚染処理の許可があったとみなして汚染土壌を公共事業等に再生利用することができるとしているわけですけれども、例えば、東京都が事業の実施主体で、その場合、その協議、合意の相手方は東京都知事になるという関係ですか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 実際上は、東京都の中でも、実際事業をやる部局と環境部局がございますので、具体的に申せば、事業部局から環境部局に協議がある、そういう形になるかと思っております。

○塩川委員 大臣に伺いますけれども、今のお話のように、東京都が事業の実施主体で、それに対しての環境部局、東京都知事に当たるのは都の環境部局になるわけですけれども、どちらも東京都なわけですよ。
 そういったことを考えると、しかるべくチェック機能が働くのかなという疑問が湧くんですけれども、その点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

○山本(公)国務大臣 やはり、基本的には部局と部局の話になるんだろうと思うんですけれども、なぜならばといいますと、やはり一番よく知っているということにおいてはそういうことになっていくんだろうと私は思っております。

○塩川委員 そもそも、この緩和要望そのものは東京都が出されて、今度こういった法制度として具体化をされるという経緯がありますので、どちらかというとこの事業を推進するという東京都の視線において、環境部局がしかるべく役割を果たすのかどうかというところについての疑念もあるわけですけれども、そういった点で、しかるべくチェック機能は働くのかということについてはやはりちょっと考える必要があるんじゃないかなと思うんですが、改めて、大臣、いかがでしょうか。

○山本(公)国務大臣 やはり、行政というのは、部局部局を信頼するといいますか、そこに原点はあるんだろうと思っておりますので、それぞれの部局を信じて行政を行うべきだと私は思っております。

○塩川委員 きょうのところはこれで終わります。
 ありがとうございました。