国会質問

<第193通常国会 2017年04月11日 環境委員会 11号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 土対法は、国民の健康の保護を目的とし、二〇〇二年に成立しましたが、調査義務対象が限定的など不十分さがありました。この反省に立ち、〇九年の土対法改正で、形質変更時の事前届け出制や汚染土壌搬出時の処理業者への委託義務など規制を強化しました。
 本案は、こうした規制強化に反発をした経団連や鉄鉱、石油、化学などの産業界の要求に従って、汚染土壌処理対策を中心に規制を緩和するものです。
 以下、反対理由を述べます。
 本案は、現行では形質変更時に事前に届け出なければならないところを、自然由来等の汚染による土壌であれば、年一回程度で事後に届け出ればよいとするものです。
 沿岸部の企業の敷地内では、長年の事業活動により排出された操業由来の汚染物質や、しゅんせつ土などの埋立材由来の汚染物質、そして自然由来の汚染物質が混然一体となっており、汚染が操業由来か自然由来かの判断は実態としては困難です。
 このような状況のもとで、形質変更時の事後届け出制を認めれば、操業由来の汚染土壌の事業者処理責任を曖昧にし、事業者の勝手な敷地内の形質変更による利活用を可能とすることになり、認めることはできません。
 また、本案は、汚染土壌の搬出に係る汚染土壌処理業者への委託義務の例外として、敷地内の自然由来等汚染土壌間の移動や、一つの調査結果によって指定された同じ種の指定区域間での土壌の移動を挙げています。
 土対法では、汚染土壌処理業者への汚染土壌の処理の委託義務がかかっています。これは、都道府県から許可された処理業者が、汚染土壌の処理を責任を持って行うことで、汚染土壌処理が適切に行われるよう担保する仕組みです。
 本案で、汚染土壌の移動を汚染原因者である事業者任せにすることは、事業者による不適正処理を助長するおそれがあり、容認できません。
 本案では、国等が行う汚染土壌の処理の特例を設け、汚染土壌を公共事業等に再生利用することができるとしています。
 道路や堤防などへの汚染土壌の再利用は、災害時における流出や、雨水等による浸透の可能性があり、汚染の拡散につながります。
 以上、本案は、土壌汚染対策強化に逆行し、国民の健康の保護に反しており、容認できません。
 以上の理由から、本案に反対を表明し、討論を終わります。