国会質問

<第193通常国会 2017年04月13日 議院運営委員会新たな国立公文書館に関する小委員会 2号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 私は、憲政記念館敷地を新たな国立公文書館の建設候補地として決定することに関して発言します。
 そもそも、新たな国立公文書館の建設は政府の責任で行うものであり、用地が必要であれば、政府が確保すべきものであります。
 今回の計画については、以下のような問題点、課題があると考えます。
 内閣府調査検討会議がまとめた新たな国立公文書館の施設等に関する調査検討報告書及び憲政記念館敷地調査報告によると、新たな国立公文書館の施設計画は、公文書館に必要とされる機能やスペースを最大限に確保するというものです。地上三階、地下六階から七階、工事費が七百九十から八百五十億円、工期は九年半など。しかし、同敷地は、景観や地下鉄など建築上の制約があるため、当然、コストが高く、工期も長くなります。
 一方で、既存の国立公文書館本館北の丸、敷地面積に余裕のあるつくば分館の活用方法については記載がありません。このような施設計画は妥当性を欠いています。
 また、報告書には、立法府の公文書を国立公文書館に移管することを積極的に検討すべきとあります。立法府の公文書を国立公文書館に移管するということを既定方針のようにしておりますが、そもそも、立法府の公文書の公開をどうするのか、その扱いをどうするのか、こういった点について一定の方針を決めたことはありません。一方的に国立公文書館への移管を前提とすることは許されるものではありません。
 諸外国では、議会として公文書館を持つ例もあります。立法府の公文書館をどうするか、必要な検討を行うべきです。
 そもそも、立法府の公文書のあり方、公開のルールを議論すべきであります。議員立法の制定過程や法案修正過程の文書や、衆議院事務局、法制局の公文書の公開などのルールが必要です。特に、東京電力福島原発事故調査委員会、国会事故調の調査資料の管理、開示に関する法整備は喫緊の課題です。
 さらに、報告書による施設計画は、憲政記念館を壊して公文書館と合築して建てかえるというものです。しかし、憲政記念館をどのようにするかについては、国会として議論を行っておりません。
 憲政記念館は、国民の浄財によって建設された尾崎記念会館を吸収して、議会制民主主義についての国民の理解を深めるため、憲政資料を収集、公開する常設の展示館として一九七二年に発足しました。国会見学を初め、憲政についての学びの場として重要な役割を果たしています。
 一方、憲政資料の収集経費や資料保管場所の不十分さ、憲政記念館として資料収集方針を持っていなかったことなど、充実させるべき課題は多々あります。憲政記念館については、このような歴史的な資料の収集、保管、展示を行う議会博物館として位置づけるなど、その役割をどのように発展させるのかという立場で検討を行うべきです。
 以上のような課題を残したまま、憲政記念館敷地を新たな国立公文書館の建設候補地として決定することには同意できません。
 最後に、国立公文書館は、行政府の公文書管理の一環であります。
 今、安倍政権の公文書管理のあり方が問われています。南スーダンPKO部隊の日報隠蔽問題、森友学園への国有地売却に係る公文書廃棄問題など、放置することはできません。
 行政府の公文書の適切な作成、管理のあり方について真摯な議論を行うことを求めて、意見表明を終わります。