国会質問

<第193通常国会 2017年04月18日 環境委員会 12号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 きょうは、一般質疑で質問させていただきます。
 環境省は、物流分野における低炭素化に取り組んでおります。電子商取引やEコマース市場の伸びで宅配便の取扱実績も急速に増加をする、過去五年間で一五%の増加を見ている、そういう中で物流拠点も大規模化、高度化が進んでいるわけであります。環境省としては、他府省とも連携をしながら、こういう物流分野における低炭素化にも取り組んでおるところですが、例えば物流拠点の低炭素化事業などにも取り組んでおります。
 最初に環境省にお尋ねしますが、物流拠点の低炭素化事業、この概要と実績、効果について御説明ください。

○鎌形政府参考人 御指摘の物流拠点の低炭素化促進事業でございますが、物流の中核となる営業倉庫や公共トラックターミナルにおきまして、物流拠点の低炭素化及び効率化を図るため、太陽光発電設備、天井LED照明器具、変圧器、運搬機器等の設備の導入を補助する事業でございます。
 平成二十五年度から始めてございまして、平成二十八年度までの間で約百二十件、約十一億円の支援を行っております。これによりまして、物流拠点の低炭素化、効率化に寄与してきたというところでございます。
 物流システムは我が国の経済社会の維持発展に不可欠な基盤的システムの一つでございますので、引き続き、物流拠点の低炭素化、効率化をこのような事業を通じて図ってまいりたいと考えております。

○塩川委員 物流拠点が非常に自動化が進んでいく、規模も拡大をしていく、そういう中での一連の低炭素化についての支援策を挙げられているわけなんですが、私、前回この委員会でも取り上げました埼玉県三芳町におけるアスクルの倉庫火災、非常に大規模な倉庫の火災ということ自身も大きな影響を与えましたし、今の物流構造が大きく変化をしているということも感じさせるものでありました。
 低炭素物流、クールチョイス協力企業にもアスクルもあるというふうに承知をしておりますが、このアスクルの倉庫火災を通じて、こういう物流分野における問題をきょう少し議論したいと思っています。
 アスクルの倉庫火災について、総務省消防庁と国交省に、この間の検討会等での議論の内容について確認をしたいと思います。
 最初に総務省消防庁に、出火原因は何だったのか、出火の場所の段ボール端材室の端材の集積状況などどうなっていたのか、この点について確認したいと思います。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、出火原因は調査中でございますけれども、出火場所につきましては、廃段ボール置き場である一階の端材室と考えられておりまして、その端材室天井部分の開口部から二階へ延焼したのではないかと考えております。
 出火当時、廃段ボールは約七メートルの高さの天井の半分ぐらいまで積み上がったところがあったというふうに伺っております。

○塩川委員 非常に大きな段ボールの端材が積み上げられていた場所というのが、二階部分があいている、上から落としてくる場所ですから、ちょうど煙突があるような状況で、一度火がつくと上にどんどんどんどん延びていく。ですから、一階部分はほとんど延焼がなかったのに、二階、三階部分がほとんど焼失をするというような状況だったわけであります。
 出火原因については調査中ということであります。フォークリフトのタイヤから煙が出た云々という話も報道もされているところですけれども、事故原因の解明に当たる重要な点ですので、この点についての原因の究明にぜひ取り組んでいただきたいと思っています。
 あわせて、初期消火の体制がどうなっていたのかという問題です。
 例えば、自衛消防とかというのはあるわけですけれども、倉庫内においてたくさんの方が働いておられました。その場合に、例えば指揮命令系統が違うような請負会社が請け負うような場合があったのかなかったのか、そういった自衛消防とこういった現場における指揮命令系統の関係に課題がなかったのか、その点についてわかることを説明していただけますか。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 当該倉庫の管理運営は、アスクル株式会社の関連会社であるアスクルロジスト株式会社一社で行われているというふうに伺っております。
 なお、出火時の自衛消防組織三十一名は、全てこのアスクルロジスト株式会社の職員であったというふうに伺っております。

○塩川委員 アスクルの一〇〇%子会社のアスクルロジストの従業員の方が現場で従事をし、自衛消防でもその任に当たっていたということであります。今後、その実態についても明らかにされるところだと思います。
 次に、設備面なんですけれども、防火シャッターが閉まらなかったということも大きく報道されました。全ての防火シャッターのうち六割が完全には閉鎖をしなかった、その機能を果たせなかったわけであります。
 国交省にお尋ねしますが、防火シャッターが閉まらなかったその要因と検討すべき課題は何なのか、この点についてお答えください。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 現在、消防庁と共同で有識者による検討会を設置して、御指摘の火災の原因等についての調査を行わせていただいております。
 その中で、先生御指摘のとおり、約六割のシャッターが正常に作動していなかったということでございますが、この原因については、火災による一部の電線のショートによりまして多数のシャッターが作動しなかったということと、あと、防火シャッターと連動して、防火シャッターがおりてまいりますが、その閉鎖を妨げないようにベルトコンベヤーの一部が動く装置がございますが、それが作動不良をしていた、また、おりてくる場所に物品が放置されていたといったことによって完全にシャッターが閉鎖をされなかったというようなことが原因ということで、今考えられているところでございます。
 今後、これらの原因を踏まえました再発防止策につきまして、検討会において六月中をめどに結論を取りまとめていただき、消防庁と連携しながら必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 防火シャッターというのはやはり火災時に非常に大きな役割で、何よりも、その中におられる方々の避難を確保する、一気に広がらないようにきちっとシャッターでとめるというのは大きな意義があるところで、当然のことながら類焼の拡大を防ぐという点でも大きな役割を果たすものですが、その六割が機能しなかったという点は極めて重大で、今説明がありましたように、主に三つのことを述べられました。
 一つは、そもそも防火シャッターがおりる部分に荷物が置かれていて閉まらなかった。それ自身が消防法令上にも問題がある扱いになるわけですし、二つ目には、倉庫ですから、物が流れてきます、ベルトコンベヤーなどがたくさんある。それは、商品が流れる場合もありますし、段ボールの端材などを流すというベルトコンベヤーもあるわけですが、そういう連続するベルトコンベヤーのどこかにシャッターをおろさなくちゃいけないといった場合に、そこのシャッターがおりる部分について、ちゃんと受ける措置が必要なのに、それがやはり火災の影響か正常に機能しなくて、シャッターがそこでとまってしまったという問題もあったわけですし、それにもかかわるんですけれども、火災で電線がショートをしたためにそもそも作動しなかった。
 火災のために備えている防火シャッターが火災によって動かなくなるというのはそもそも根本的に問題があるわけで、こういう点でも、火災の感知器が火災によって機能しなくなったということも含めて、燃えないような配線を行うですとか、当然そういう具体的な取り組みというのは、単にアスクルの問題だけではない、全国に共通するそういう倉庫火災などで考えなくちゃいけない課題だと思うんですが、そういう検討というのは今後行っていくんでしょうか。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 先ほど申し上げました検討会は、今回のアスクルの件を契機として設置しておりますが、大規模倉庫における防火対策及び消防活動のあり方全般について御検討いただくということで、今回の案件以外にも、大規模な倉庫関係について、今調査をまとめたものも含めていろいろ検討いただいているところでございます。その辺を踏まえまして必要な対策を取りまとめていただき、措置をしていきたいと考えております。

○塩川委員 あと、このアスクルの倉庫の商品の中に引火性の液体が入ったスプレー缶があった、いわゆる危険物に相当するものが指定数量以上保管されていたという報道もあったわけですけれども、このような報道については事実でしょうか。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の倉庫では、別棟に、消防法第十一条の規定に基づき、入間東部地区消防組合管理者の許可を受けた危険物倉庫が設置されておりまして、危険物につきましては、主にこの危険物倉庫で保管し、発送に必要な危険物を出火した倉庫に移すという運用であったというふうに伺っております。
 また、倉庫の収容物に危険物に該当する物品が含まれる場合には、消防法の指定数量未満であっても、指定数量の五分の一以上であれば、火災予防条例により管轄消防本部に届け出ることになっておりますけれども、管轄する入間東部地区消防組合消防本部に確認いたしましたところ、そのような届けはないというふうに伺っております。
 しかしながら、危険物の保管実態につきましては、管轄の消防本部と連携して把握に努めてまいりたいと考えているところであります。

○塩川委員 もともと七万二千平米という大規模倉庫であります。多量のOA関係の物品等、在庫があったわけです。
 そういった中に、消防法に基づく届け出義務があるような案件について、それがなされていないようなことがあれば当然問題であり、そういう意味でも、消防法に基づくような実際の運用の問題、ソフトの問題と、建築基準法に基づくさまざまな防火設備のハードの面という点でも課題が挙げられているところですので、原因究明とともに、このような課題についての法令上の不備などを明らかにしていく必要があると思っております。
 それで、今回の火災を契機に、総務省消防庁と国交省は大規模倉庫の実態調査を実施いたしました。その内容についてお聞きしたいと思います。
 最初に、倉庫の用途に供する部分の床面積が五万平米以上の建築物の調査を行ったわけですが、この五万平米以上の大規模倉庫というのは全国で幾つに上ったか、その数をまず確認したいと思います。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 延べ面積五万平米以上の倉庫は二百十九棟というふうに把握しております。

○塩川委員 これまで消防庁が把握をしていた単体の倉庫、五万平米以上というのは百五十ぐらいだったわけですけれども、今度は、他の用途に使うような施設を含む倉庫を含めると、その数が二百十九と大きくふえたわけであります。それが現状の実態ということになるわけです。
 そこで、この二百十九の大規模倉庫の調査の中で明らかとなった点をお聞きしますが、最初に、消防法令の違反の状況というのはどうだったのか、この点について総務省消防庁にお聞きします。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の実態調査の結果、対象となる二百十九棟の大規模倉庫のうち、二八・八%に当たります六十三棟で消防用設備等の違反が報告されております。
 具体的には、消火器を置くべきところに棚等が置かれていた、あるいは、屋内消火栓の前に操作障害になるような物品が置かれていた、自動火災報知機に係る感知器の一部設置漏れがあった、誘導灯のバッテリー切れがあったなどが見られたところであります。これらにつきましては、現在、管轄消防本部による是正指導が行われているところであります。

○塩川委員 このように、三割の施設で消防法上の違反の事例があったということが挙げられております。非常に違反の事例が少なくないということが見えてくるわけです。
 次に、国交省に、防火設備の閉鎖障害の状況についての調査内容を御説明ください。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 先ほどの二百十九件のうち、現在までに判明しております二百三件について御報告させていただきます。
 このうち、閉鎖の障害を引き起こす可能性があったものが約三分の一、七十三件でございます。
 具体的には、重複はございますけれども、コンベヤーが設置されていた事案六件を含めまして、固定されていた物品のために閉鎖障害の懸念があるものが二十三件、一一%余りでございます。また、荷物など固定されていない物品が放置されていたというものが二十九件、一四%余り。また、防火設備そのものが劣化、損傷していたというものが三十件、一五%弱。また、シャッターではございませんが、防火扉があいたままの状態で固定されてしまっていたという事案が三十件、やはり一五%弱あったところでございます。

○塩川委員 ですから、防火設備で実際それが本来の機能を果たせないような状況にあるということについては、常閉防火扉、常に閉めておくような防火扉が固定されて閉鎖しない、つまり、日ごろ使っているものだからストッパーか何かであけたままにしているような事例というのも散見されるわけですけれども、そういった話と同時に、防火シャッターそのものについて劣化とか損傷で機能しないというのも極めて重大ですし、荷物が置かれていて閉まらないというのも、アスクルの例にもあったように、消防法にも反するような状況でもありますし、あと、コンベヤーなど、そもそも固定された物品が置かれていることによって防火シャッターが閉まらない。
 そもそも、建築確認の時点では当然防火シャッターが機能するということになっているのに、後づけで設備が導入されたのか、固定されたコンベヤーなど物品によって防火シャッターが閉まらない。何でこんなことが起こるんでしょうか。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 我々の方でやっております建築確認は、建築物の構造、建築設備が法令の規定に該当するかどうかを事前にチェックするというものでございます。
 防火シャッター等の防火設備や電気設備などは、建築物の一部ということで、あらかじめ建築物に設置されておりますので、建築確認の審査対象としております。
 一方、コンベヤーは、建物を建てた後に利用状況に応じて設置されることが非常に多いものでありまして、建築物の一部として整備されるものではないことから、建築確認の対象とはなっておりません。
 実際上、建築物が竣工した段階におきまして、完了検査というのがございます。その段階で既にコンベヤーが設置されていた場合には、そのコンベヤーが設置された状態で、防火シャッター、これは建築物の一部でございます、その防火シャッターが適切に作動するかどうか、これを検査しているところでございますが、実際上、建築物建築後にコンベヤーが設置されることが多いものでございますから、その段階では、建築確認及びその後の完了検査のタイミングでは、その状況を把握できていない、そういう状況になっております。

○塩川委員 ですから、建築確認や完了検査の時点でないものが新たに付加された場合はチェックする体制がないと。
 そうすると、要するに、防火シャッターがちゃんと機能しないという状態が容認されたままになっているということですか。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 建築基準法に基づきまして、建築主自身には、その建築設備について適法な状態を維持する責務がございます。
 ただ、それを役所等が具体的にチェックする体制が、人的その他の問題もあって、竣工検査が終わった、実際に利活用されている段階では、現段階ではその部分が十分できているかと言われると実際できていない状態でございます。

○塩川委員 事業者には適法に維持することが求められているんだけれども、それがチェックできない仕組みと。これはどうするんですか。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 完了検査後に、先ほど申し上げましたように、利用状況に応じて設置されるコンベヤーが設置されたとしても引き続き防火シャッターなどが適切に作動する状態を維持させるための方策、これは、今回の件を踏まえまして、今後の非常に大きな検討課題だというふうに受けとめております。
 今後また、委員会の方の御議論を踏まえて、対応について考えていきたいと思っているところでございます。

○塩川委員 消防法令の違反の事例も少なくない。また、防火設備におけるこのような不備も明らかになっているわけですので、適切な対応を求めたいと思っております。
 それで、こういった大規模倉庫の特徴なんですけれども、全国を調べての明らかになった点を確認したいんですが、この大規模倉庫の延べ面積の特徴について説明いただけますか。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 五万平方メートル以上の倉庫二百十九棟の延べ面積の内訳でございますが、二一%の四十六棟が五万平米以上六万平米未満、一八%、三十九棟が六万平米以上七万平方メートル未満、一七%、三十八棟が七万平米以上八万平米未満となっておりまして、残りの四四%、九十六棟が八万平方メートル以上ということになってございます。

○塩川委員 アスクルの倉庫が七万平米余りということで、これは二百メートル掛ける百メートルで三階建てだとそのぐらいの面積になるわけですけれども、そういった七万平米以上というのが五万平米以上を切り取ってみても六一%ということですから、大宗が大規模な倉庫になっている。非常に、アスクル倉庫と同等かそれを超える延べ面積の大規模倉庫が多数あるというのが今の特徴であります。
 そういった大規模倉庫における、中で作業している方、収容人員というのはどういうふうになっているでしょうか。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 延べ面積五万平方メートル以上の倉庫二百十九棟の中で、収容人員が多い区分といいますのは、六百人以上七百人未満が四十六棟、二一%、次いで七百人以上八百人未満が四十一棟で一八%、次いで五百人以上六百人未満が三十一棟で一四%という形になってございます。

○塩川委員 アスクルの倉庫の場合には四百二十一名ですか、実際には、五百人以上八百人未満のそういう倉庫というのが五四%ということで、半数以上になっているわけです。ですから、非常にたくさんの方が作業しておられるというのが今の倉庫の特徴なんですね。大きなものがどんどんどんと置かれている状況じゃない、つまり、中で作業するような、そういう場所に今なってきているというのが大規模倉庫の特徴です。
 そこで、総務省消防庁と国交省にそれぞれお聞きしますけれども、このアスクル倉庫におきましても、大規模倉庫の実態調査を見ても、消防法や建築基準法に違反する事例が多数ありました。また、現行法令で対処できない事例もありました。これまでに比べて大規模な倉庫が多数建設をされ、そこで勤務する方も多数に上る、こういった実態を踏まえた法制度の整備が必要ではないかと思いますが、それぞれお答えいただきたいと思います。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 今後の対応につきましては、現在、消防庁と国土交通省が共同で有識者を委員とする検討会を組織いたしまして、三月十四日第一回、四月十二日に第二回会議を開催したところでございます。
 検討会では、延べ面積が大きなものや収容人員が多いものが多く存在するとの今回の実態調査の結果も活用いたしまして、まず、倉庫の利用形態を踏まえて確実に初期消火の、拡大防止を図るための方策、次に、大規模倉庫火災において効率的な消火活動を実施するための方策などにつきまして、倉庫、物流団体や消防本部など当事者の御意見も伺いながら検討を進め、本年六月中に方針を取りまとめるという予定でございます。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 先ほどの、消防庁の方からもお答えありました検討会、国交省と消防庁と一緒にやらせていただいております。防火シャッターの状況も含めまして、火災が拡大した原因、この調査結果を踏まえつつ、六月中をめどにいただく結論、これを踏まえて、消防庁と連携しながら、必要な取り組みを建築行政の面でも図っていきたいと考えております。

○塩川委員 しっかりとした対策を求めたいと思います。
 このように、やはり物流構造が大きく変わる中での大規模物流倉庫の実態だろうと思います。
 そこで、今回の調査で大規模倉庫の分布状況を見た場合に、都道府県別に見るとどうなるのか。延べ面積五万平米以上の二百十九倉庫のうち、上位の五都道府県を挙げるとどこになるでしょうか。その数は幾つかについて、まず御説明ください。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 対象となる大規模倉庫が多い都道府県というものを、ちょっと北の方からということで、埼玉県二十七棟、千葉県四十棟、東京都二十三棟、神奈川県三十七棟、大阪府二十七棟、これはいずれも単体倉庫という意味でございます。

○塩川委員 複合している倉庫の数もお願いできますか。

○猿渡政府参考人 失礼いたしました。
 複合しているものも含めたということで、もう一度申し上げますと、埼玉県が三十、千葉県が四十二、東京都が二十八、神奈川県が四十五、そして大阪府が二十九ということでございます。失礼いたしました。

○塩川委員 首都圏と大阪圏に多数位置しているわけです。首都圏の一都三県だけで百四十五に上るということで、全体の約三分の二に当たります。
 こういった上位五都府県における過去十年間の大規模倉庫数と現在数の推移を確認したいと思います。

○猿渡政府参考人 このたびの実態調査の結果と、平成十八年三月が約十年前になりまして、これが単体倉庫でございますので、単体倉庫ごとに比較させていただきます。
 埼玉県では六棟が二十七棟、千葉県では八棟が四十棟、東京都では十四棟が二十三棟、神奈川県では四棟が三十七棟、大阪府では四棟が二十七棟という形でございます。

○塩川委員 全国の全体でも五十二が百九十五にふえている、単体倉庫のカウントですので、この十年間で約四倍にふえているわけです。そんな中でも、今御説明にありましたように、首都圏を中心に大きくふえているわけですね。こういったように、特に首都圏で、一都三県で大きく大規模倉庫がふえている。
 国交省にお尋ねしますが、そういう立地地域の特徴とその理由はどんなものかはわかりますか。

○重田政府参考人 お答え申し上げます。
 物流の活動につきましては、委員御指摘のとおり、小口化、多頻度化、そして定時輸送のニーズが非常に強くなってございます。したがって、いろいろ分散しております物流拠点というものを、効率的省人化を図るためには一カ所に大きく大規模展開するというのが最近の傾向でございます。これによって物流コストの削減と物流ニーズの高度化に対応している。
 したがいまして、東京、大阪、名古屋、こういった大都市においての周辺、これはもちろん、私どもの方の道路整備も含めましたインフラの強化というのも相まって、先ほど消防庁の方からお答えのありましたような大規模物流拠点が急激に整備されているという背景かと思っております。

○塩川委員 大都市近郊の高速道路沿いに多数立地をする。今お話ありましたインフラの強化があるでしょうし、アマゾンを初めとした通販需要の拡大、また流通加工業務の一元化を図る、さらにドライバー不足ということもあって、大規模物流倉庫が非常に拡大をしている傾向にあるんだろうと思います。
 そうしますと、こういった実態、今ちょっと整理しましたけれども、通販需要の拡大や流通加工業務の一元化、ドライバー不足、こういったのが全体として大規模物流拠点がふえている背景だと思うんですが、では、その認識はよろしいでしょうか。

○重田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 ですから、そういったように、大消費地に近く、まとまった土地が確保でき、また労働者の確保しやすい、首都圏でいえば圏央道沿線など、郊外の高速道路近傍への立地が非常に多いわけです。
 そういったときに、国交省が取り組んでいるものですけれども、国交省は、高速道路のインターチェンジや港湾等の近傍に立地をする大規模かつ高機能な物流センターの整備を促進しております。
 今後、大規模物流施設や大型商業施設、工業団地など、企業側の提案によって、高速道路と施設の直結を図るスマートインターチェンジの整備を推奨していると思うんですけれども、こういった取り組みというのがいわば大規模物流倉庫の拡大にもつながっていくのではないかと思うんですが、その辺の認識はどうでしょうか。

○重田政府参考人 今委員御指摘のとおり、物流の立地につきまして、私どもの方で今、一体的に進めておりますのは、昨年の十月から施行されました、物流効率化法を改正させていただきました。その際、物流拠点の、先ほど申し上げました統合に伴ういろいろな立地を促進していこう、これは財政、税制で応援していくという考え方でございますが、その点だけではなくて、いわゆるモーダルシフトを含めました輸送、配送、こういったものとの連携によって、単に物流施設が高度化すればいいということではなく、周辺の交通環境も含めまして円滑化を図れるような、物流全体としてのネットワークとしての円滑化が図れるよう、こういうこともあわせて支援させていただきたいと思っております。

○塩川委員 こういった物流拠点の高度化というのが、財政や税制の支援や、また制度面での緩和措置等々を含めて行われているわけであります。
 大臣にお尋ねいたしますけれども、私、冒頭、環境省にお尋ねしましたように、物流拠点の低炭素化促進事業、これは個々の、単体の物流拠点に対しての支援策であるわけですけれども、全国的に見ますと、このように大規模物流拠点が多数立地をする。それに当然国が支援を行っている中で生み出されているものであるわけですね。
 そういったときに、環境省の低炭素化物流とか、物流拠点の低炭素化という施策がありますけれども、全体としてのこういう物流分野における産業構造の変化、それに伴う大規模開発、ここについて、それを前提にした、容認したままで個々の施設の省エネ対策を図ったとしても、全体で見た場合には、結果として、環境負荷が逆に大きくなってしまうことになりはしないのかという懸念を持つわけですけれども、大臣としてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○山本(公)国務大臣 今、塩川委員がるる御指摘された物流という世界を考えてみますときに、やはり、いろいろな意味において時代の要請があるんだろうと思っております。
 私ども、若いときから物流に携わってきた人間でございます。そういうことを考えていきますときに、全く考えもしなかったのが、宅配事業という、物流の大宗をなすような状況が生まれてきた。それは個々の、個人のところに物が運ばれていくということは、私ども、若いときは全然考えておりませんでした。
 私どもは、駅までチッキというのを持っていきまして、東京駅まで宇和島駅から運んでいただきまして、東京駅に自分がとりに行って、自分の下宿まで自分の手で持って帰るというのが当たり前の物流でございましたが、今は全く、自宅まで全て運んでくれる。ゴルフ道具にしたって、スキー道具にしたって、持っていかなくても全部物流で運んでくれるという時代になってまいりました。
 いろいろな意味において、さっき、先生、環境への負荷もお尋ねございましたけれども、そういうこと等々を考えた上で、私どもは、環境への負荷をどうやったら減らしていけるか、物流という世界の中でということをこれから研究していかなきゃいけないし、私の環境省としては、やはり、物流というものの中で環境負荷を低減させていくためにはかくあるべしということで、一つのキャンペーンを始めたわけでございます。
 それは、再配達に頼らない、一回で受け取りましょうよというキャンペーンを始めたわけでございまして、これも、環境省としては、やれる範囲の物流の環境負荷を減らしていく一つの手だてだと考えてやっているようなわけでございまして、やはり、冒頭申し上げましたように、物流というものが時代の流れとともに変化していっているということも、我々認識した上で対処していく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。

○塩川委員 再配達を減らす、そういった個々の対応にとどまらず、やはり、物流構造が大きく変わっている中でのトータルにおける環境負荷の低減をどうするのか、こういう見地での取り組みは極めて重要だと思っておりますので、そのことを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。