国会質問

<第193通常国会 2017年04月20日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 3号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。おはようございます。
 選挙期日と任期開始日とのずれを解消するためとする任期短縮特例法案について、質問をいたします。
 動議提出者にお尋ねをいたしますが、なぜこのような立法措置が必要なのか、その基本点について御説明いただけますか。

○谷委員 今、趣旨説明でお話しさせていただきましたように、平成七年に大変な大地震が阪神・淡路で起きました。それで、選挙期日をいわゆる阪神・淡路選挙期日等特例法ということで約二カ月延ばし、六月十一日まで延期して、議員及び長の任期についても選挙期日の前日である六月十日まで延長されたわけであります。
 ずっと六月に選挙がなければずれという問題はございませんでしたけれども、しかし、それから四年後の統一地方選挙の特例法に際しては、同じく阪神・淡路関係団体のぜひ選挙だけは統一地方選挙に戻してほしいという強い要望によりまして、法律を改正しました。これに合わせた任期の特例に関する規定というのは置かれず、任期満了日は六月十日とされたままであります。ですから、四月に選挙、六月に任期が始まるというずれが今日まで続いているわけであります。
 これを解消すべしという声はさまざまなところで出ておりまして、関係の議会が十分何度も話し合いを持ち、やはりこれを解消するには特例法の制定以外にはないという結論に達し、党派を超えて、強い要望として我々の方は受け取ったわけでございます。
 そして、それを踏まえて、きょう、同じく提出者としておられます公明、民進、日本維新の会の皆様方とすり合わせを行い、今回の特例法の制定をお願いしているところでございます。
 地元の一致した、党派を超えた要望にしっかり応えるのが我々立法府の役目であると考えておりまして、何とぞ、その点の事情をよろしく踏まえて御賛同願えればと思っているところでございます。

○塩川委員 阪神・淡路大震災を契機に、選挙期日と任期開始日のずれが生じた兵庫県下の自治体の議会の皆さんからの要望があるということは承知をしております。
 私は、このような関係団体の方からの要請もお聞きをいたしましたし、特例法案をつくるというお話の説明を受けてきたところですが、それでは、今回の法案で対象となる自治体の選挙はどうなるのか、この点について御説明ください。

○谷委員 対象となる自治体の選挙という御質問かと思います。
 本法案におきましては、次の統一地方選挙の年である平成三十一年六月一日から同月十日までの間に議員等の任期が満了することとなる地方公共団体と、一般的な規定の形で対象となる団体を規定しております。
 現時点において具体的にこの要件に該当するのは、阪神・淡路関係団体の四団体の五つの選挙、すなわち、兵庫県議会、神戸市議会、西宮市議会、芦屋市議会、そして芦屋市長でございますが、そのほかに、阪神・淡路の被災関係団体ではないものの統一地方選挙に参加しているものとして、石川県の野々市市長、三重県の朝日町長、埼玉県鳩山町議会の三団体、三選挙、また、統一地方選挙に参加していないものとしては、埼玉県蕨市長の計四団体、四選挙であると承知いたしております。

○塩川委員 本案は、一定期間の任期満了の議員、首長の任期を法律によって短縮できるものとなっております。そのため、要望を挙げておられる兵庫以外の自治体の選挙も対象になっているわけです。
 総務省に確認をいたしますが、このような兵庫県下の代表の方が高市総務大臣と面談をされたと承知をしております。昨年の六月六日に、そういう面談の機会で、大臣の方から慎重な対応という趣旨の発言があったと承知しておりますけれども、どのようなことをそのとき述べられたのかについて、まず説明いただけますか。

○大泉政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、兵庫県議会等の関係者から昨年六月に、総務省に対し、総務大臣に対し、選挙期日と議員任期のずれを解消するための特例法制定に関して御要望はいただいたところでございます。
 この当時の議論でございました、任期のずれを解消する論点としてまだ詰めるべきところがありまして、例えば、ほかの震災被災地への影響があるのではないか、その波及があるのではないかという問題、あるいは、議会の解散、全議員の辞職といった他の選択肢もあるのではないか、そういう検討の余地もあるのではないかというようなことが考えられたことが一点でございます。そういうことでございます。
 それから、任期の短縮などにつきましては、議員等の身分や選挙の基本的なルールといった民主主義の根幹にかかわることでもあるため、各党各会派において十分御議論いただく必要があると考えているという、このような御趣旨を指摘させていただいたと考えております。
 その後、兵庫県あるいは各党各会派におきまして検討し、その論点が整理され、制度的に特別法の制定ということで対応するようになったと承知しております。

○塩川委員 もう一回確認をしますが、総務大臣からは、任期を短縮した先例がないということ、また、他の議会への波及も気になるということ、他の選択肢も考えられるということで、閣法には慎重にならざるを得ないと考える、このように述べられたということでよろしいですか。

○大泉政府参考人 はい、そのような御指摘をしたということでございます。

○塩川委員 その際に高市大臣からは、議員立法でいくとしてもしっかりとした議論を、各会派への丁寧な根回しが必要であるとの考えが述べられたということもあったそうであります。
 このように、兵庫県議会を初めとした兵庫の皆さんの要望ということではありますが、他県の自治体の選挙まで巻き込むようなことになっているという点について、我々は問題があると考えております。
 兵庫県下の議員と地方議会の皆さんとの意見交換会の場でも、一般法として議員、首長の任期短縮を自治体の判断に任せることに問題はあるかという議論に、一般法にするととんでもなく問題が拡散する、逆に任期を延ばすところが出てくる、こんな話などもあったと聞いております。
 動議提出者に伺いますが、やはり他の自治体に波及していくことは問題ではないのかとお考えだったのではないかなと思いますけれども、兵庫以外の自治体を巻き込んだのはなぜなのか、巻き込んだことをどう考えるのか、この点についてお考えをお聞かせください。

○谷委員 御指摘のように、阪神・淡路関係団体の要望は、阪神・淡路選挙期日等特例法の対象となった地方公共団体を対象とする形での任期特例法の制定というものでございました。
 しかし、本法案の特例の対象となる地方公共団体について、仮に阪神・淡路選挙期日等特例法の適用団体とした場合には、一つは、阪神・淡路選挙期日等特例法の適用対象となった団体以外にも、同じように任期のずれが生じている団体があるにもかかわらず、同法の適用対象団体のみを任期特例の対象とすることについて合理的な説明ができるのか、また、憲法九十五条によって、特定の自治体のみに適用される法律については、委員御承知のとおり、住民投票が義務づけられておりますが、それに当たる可能性があるのではないかという指摘は当然考えられたところでございます。
 そこで、我々は、地元からの要望を受けて、法案づくりのときに、後ろにおられます公明党さん、民進党、日本維新の会の皆さん方とすり合わせをしまして、平成三十一年六月一日から同月十日までの間に議員等の任期が満了することとなる地方公共団体と、一般的な規定とする形で対象となる団体を規定しております。
 こういう規定の仕方は、平成十一年の統一地方選挙特例法の規定ぶりを踏襲したものであります。現に、平成十一年の改正のときの一般的な規定とした理由について、政府の方から、阪神・淡路という特定の地域だけに特例を置くということになると、憲法上、特別立法ということで住民投票を行わなければならないことになるため、一般的な制度としたという説明がなされていると承知しております。
 ただ、今回の法律は、仕組みづくりでございますので、阪神・淡路関係団体以外の対象団体についても、任期の特例の適用を受けるという合意形成がなされた場合のみ議会で議決をするということで、また、団体で協議をされた結果、そういう必要はないと判断された場合は当然そのままでございます。
 地方自治を十分に尊重して、そしてその議決も、単純な過半数ではなくて、特別議決という大変高いハードルを設けている、そういう趣旨でこの法案づくりをしているということを御理解願いたいと思います。

○塩川委員 憲法九十五条のお話がありました。特定の地方自治体に対してだけ拘束力を有する法律は、その自治体の住民投票において過半数を得なければ、国会で制定することができないとされています。これに該当する云々のお話がありましたけれども、やはり、この憲法九十五条を回避するためにこういう法案となっているということであります。
 しかしながら、五分の四以上の同意という自治体側のハードルを上げたといっても、それは憲法九十五条の住民投票に取ってかわるものではありません。このような法案によって兵庫以外の自治体が巻き込まれるのは、容認しがたいと言わざるを得ません。
 九九年の臨時特例法の審議の話もありました。我が党は、議員任期と選挙期日にずれが生じていることを問題視して、選挙と任期は接近しているのが常識だ、国民の選挙権の行使で選出されたけれども、ぐっと先に行くのはおかしい、いろいろ任期を延ばして統一をする、選挙する機会を奪う、選挙の性格からいってやるべきではないと指摘をしております。
 ずれを解消するには、選挙期日を任期開始日に近づければよいのであって、これらの自治体は統一地方選挙から離脱をし、五月末から六月初めに選挙を行えば、即時、ずれ問題は解決をいたします。
 動議提出者にお尋ねしますが、ずれ解消のため、任期満了に合わせて選挙を行う選択肢についてはどのようにお考えでしょうか。

○竹本委員長 谷公一君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

○谷委員 自治体の方で、任期満了に合わせて選挙を行うという選択肢もございます。この法案の成立によって、そういう選択肢が排除されているわけではありません。
 そういう任期の短縮を希望する自治体が憲法に違反しないように、法律に違反しないように、新たな仕組みづくりをこの法律でしているというふうに御理解をいただきたいと思います。
 任期のずれの解消というのは、阪神・淡路の関係の住民にとって大変強い悲願であります。そういう声をしっかり受けとめて、この国会の立法府の方でいい仕組みづくりということをぜひとも行ってまいりたいと思いますので、よろしく御協力のほどをお願いしたいと思います。

○塩川委員 もともと、地方議会選挙と首長選挙は、七十年前の一九四七年の日本国憲法、地方自治法施行前に全国一斉に実施をされたことに端を発しております。昭和の大合併ですとか平成の大合併など市町村合併も要因の一つですが、首長の辞職や死亡であったり、それぞれの自治体の事情によって、今の選挙期日があります。
 二〇一五年の統一率は、全体で二八・一三%。ですから、無理やり異なる選挙期日を統一してしまうということは、住民の政治参加、参政権にもかかわりかねない問題だと指摘をし、質問を終わります。