国会質問

<第193通常国会 2017年04月21日 環境委員会 13号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 質問に入る前に、ちょっと、この委員会の出席状況がこれでいいのかと率直に思っております。そもそも、委員会が成立している、定足数に達しているのかどうか、確認していただけますか。

○平委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○平委員長 速記を起こしてください。
 塩川君。

○塩川委員 こういった法案についてこの出席状況というのは、法案の役割そのものを非常に軽んじているんじゃないか、特に与党側のその責任というのは極めて重いということは指摘をしておくものであります。しっかりとした、法案を進める上で、委員会の出席状況というのは大前提ですから、この点についての与党に対する猛省を促したいと思っています。
 それでは、種の保存法の改正案について質問をいたします。
 きょうは、国内に生息する希少野生動植物種の保全に関連して質問をいたします。
 この間、種の保存法の改正に当たって、さまざまな専門家の方や自然保護団体の働きかけもあり、よりよいものにしていく取り組みが行われてきたところであります。
 今回の法案では、国内希少野生動植物種の提案募集制度の創設を行うとしておりますが、この提案募集制度というのはどのようなものなのか、どのような経緯で今回の法改正に盛り込まれたのか、この点についてまず環境省に確認したいと思います。

○亀澤政府参考人 お答えいたします。
 前回、平成二十五年六月の種の保存法改正時の附帯決議におきまして、希少野生動植物種等の指定に関して、国民による指定提案制度の法定の検討が求められたところであります。
 この附帯決議を踏まえまして、平成二十六年度より、環境省のウエブサイト等を通じて、国内希少野生動植物種の選定に関する提案の募集を開始いたしました。
 また、附帯決議のほか、これまでの運用も踏まえまして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律あり方検討会及び中央環境審議会において御議論いただいた結果、国民による指定提案制度の法定が必要との結論になりました。
 今回の改正案におきましては、希少野生動植物種保存基本方針に国内希少野生動植物種に係る提案の募集に関する基本的な事項を盛り込んだ上で、環境大臣が提案の募集を実施したいというふうに考えております。

○塩川委員 実際には省令で定めるということになるわけですけれども、この省令でどういうことを書き込むのか、今既に実施をしているというその提案募集制度、その内容以上のものというのは含み得るのか、その辺はどうでしょうか。

○亀澤政府参考人 募集の方法、それは、例えばネットを使うとか、そういう具体的な募集の方法等を規定することを考えております。

○塩川委員 こういう国内の希少野生動植物種に当たっては、もちろん指定について広く提案募集を求めるということが極めて重要であります。
 同時に、やはりそれにとどまらずに、生息地の保護区の指定ですとか保護増殖事業計画の策定のように、実際にその種の保護を図っていく上で、その環境、何よりも生息域を確保する、それに伴うような支援策、計画を立てる、こういうことも含めて具体的な提案募集制度にしていくということが重要ではないかと思うんですが、その点についてはどのように考えているのか、お聞かせください。

○亀澤政府参考人 今回は種指定に関する提案制度を法定化することを考えておりますが、生息地の保護区の指定とか、保護増殖事業計画の内容につきましても、提案等があればそれを踏まえて対応していくということは運用上していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 一体的に提案というのはあり得るわけですから、ぜひ、そういったことを含めて積極的に公募を求めるし、それを受けとめるという体制を整えていただきたいと思っております。
 今回の改正では、科学委員会の法定化を行うということも盛り込まれております。希少種の指定に当たっては、中央環境審議会にかえて、「野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。」としています。これを科学委員会と呼ぶというふうに承知をしておるんですが、この法改正に至る経緯を含めて、この科学委員会というのはいかなるものかについて説明を求めたいと思います。

○亀澤政府参考人 科学委員会の法定化につきましても、前回、平成二十五年六月の種の保存法改正時の附帯決議におきまして、専門家による常設の科学委員会の法定の検討が求められたところでございます。
 この附帯決議も踏まえまして、種の保存に関する法律のあり方検討会及び中央環境審議会において御議論いただいた結果、科学委員会の法定が必要ということになりました。
 今回の改正案におきましては、今般新設する特定第二種国内希少野生動植物種を含め、より幅広く国内希少野生動植物種の指定等を推進することとしておりますことから、野生生物の種に関してより専門性の高い学識経験者で構成される科学委員会の意見を聞くこととしたいというふうに考えております。

○塩川委員 こういった科学委員会の体制というのは具体的にどういうふうになっていくのか。外来生物法における専門家の会合などもあるわけですけれども、どういうイメージでつくられるのかについて、今、具体化、検討されていることがあれば紹介してもらえませんか。

○亀澤政府参考人 科学委員会の具体的なメンバーについてはこれからということになりますけれども、イメージといたしましては、それぞれの分類群、哺乳類とか爬虫類とか、それぞれの分類群ごとの種の専門家から構成するということを考えております。

○塩川委員 これまでの中央環境審議会においては、当然、大臣からの諮問があって、その大臣の諮問に対して検討を行い、それを答申で返すという形になるわけです。科学委員会についてはその辺はどのように考えておられるのか。
 やはり、それぞれの分野における専門家の議論ということであれば、もちろん、諮問、答申に相当するようなやりとりというのもあるでしょう、それにとどまらず、やはり、科学委員会として独自に議論を進めていく、そういうことを含めて、独自に積極的な意見や提案を行うということも可能とする、こういうスキームも重要ではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。

○亀澤政府参考人 お答えいたします。
 科学委員会におきましては、国内希少種の指定に限らず、その種に関する個体数の回復の目標ですとか、あるいは今後の保全対策とか規制の運用の方針等を含めた、それぞれの種の保護管理の全体的な方針等についても御議論いただきたいというふうに考えております。

○塩川委員 そういった議論を踏まえて、諮問あるいは要請によらず、独自の判断で国に対して意見、提案を行うということを可能にするものと考えていいんですか。

○亀澤政府参考人 専門的な立場からの御提案とか御提言をいただくということは可能だというふうに考えております。

○塩川委員 科学委員会については、二〇一三年の法改正時の附帯決議ですとか、また中環審の答申においても、種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定化を求めています。
 ですから、この点をもう一回確認したいんですけれども、こういった生息地等の保護区の指定や保護増殖事業計画の策定に関して、中環審の意見聴取が規定されているんですけれども、この生息地等保護区の指定や保護増殖事業計画の策定について、科学委員会が勧告するなど関与する、こういうふうに改めるということについては考えないのか。

○亀澤政府参考人 生息地等保護区の指定につきましては、土地利用の規制という社会的な要素があること、また、保護増殖事業計画につきましては、関係機関による効果的、効率的な事業の進め方について検討するものであることから、希少種の専門家だけではなく多様な関係者の意見を幅広く聞くことが重要と考えております。
 したがって、これらにつきましては、幅広い関係者で構成される中央環境審議会の意見を聞くことが適当というふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたような、個体数の回復の目標ですとか、そういう種ごとの保護管理の全体的な方針等を科学委員会で御議論いただいて、そこから提案等があれば、それを中央環境審議会の意見に反映させていくということは積極的に対応してまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 そういった科学委員会における議論や結論について、やはり中環審がしっかり受けとめるという体制については確保いただきたいと思うんですが、その点、どうでしょうか。

○亀澤政府参考人 科学委員会による専門的な見地からの御議論、御提案等については、審議会の中でも反映できるようにしてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 先ほどの議論もありましたけれども、やはり絶滅危惧種の数、レッドリストの数に比べて、こういう希少種の指定の数が非常に少ないということがあるわけですけれども、そういった理由が何なのかについて御説明いただけますか。

○亀澤政府参考人 保護増殖事業計画は、特に生息環境の改善や野生復帰等の事業の実施が必要な種を対象に、積極的な事業の実施による保護効果が高いと考えられる種から優先的に策定を進めてきております。
 また、生息地等保護区の指定の方は、地域の関係者や土地所有者等と調整を行い、時間をかけて丁寧に進めていく必要があります。
 そういう中で、国内希少野生動植物種につきましては、前回の種の保存法改正時の附帯決議を踏まえて、二〇二〇年までに三百種の新規指定をすることを目指して、平成二十六年度以降、年間四十種程度を指定してきております。
 三百種の新規指定という目標達成に向けて、まずは種の新規指定を進めることを優先して取り組んでいることもありまして、指定種数と比べると保護増殖事業計画の策定数や生息地等保護区の指定数が少ない状況が続いている状況でございます。

○塩川委員 その質問の前に、絶滅危惧種の数、レッドリストに載っている数と希少種の指定の数と大きな乖離があるよね、指定種の数が非常に少ないという理由についてまず説明してもらえますか。

○亀澤政府参考人 レッドリストに載っている種から法に基づく指定をする場合には、最新の生息状況とか保全の状況等を確認して、それらのデータをそろえた上で指定の作業を進めていくことになりますが、そのデータをそろえるのにそれなりの時間を要しているというような面は確かにあるかと思います。

○塩川委員 非常に労力がかかる、人手の問題も当然そこに限りがあるという問題が出てくるわけです。こういった希少種をふやすという点での取り組みに注力するということ、その体制づくりということも求められていることです。
 それと同時に、生息域における保全策が欠かせないわけで、こういった現在の国内希少野生動植物種の二百八種に対して、保護増殖事業計画が六十三、生息地等保護区が九カ所にすぎない。その点について、先ほど説明もありましたけれども、本来、しっかりとした生息域における保護なしには種の保護を図ることができないわけで、こういう保護区の指定、保護増殖事業計画の策定、これをどう進めるのかについて、やはり今真剣に考える必要がある。
 この点で大臣にお尋ねいたしますけれども、このように、特定の希少種の保護というのは生息地の保護、回復なしには成り立たないわけですし、生息地の保護、回復と一体となってこそ保護増殖事業計画が成り立っていく、こういう点でも、保護増殖事業計画や生息地等保護区、これを進めていく上で、環境省としてどのように取り組むのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

○山本(公)国務大臣 御指摘のとおり、国内希少野生動植物種の保全を効果的に進めるためには、種の指定後、生息地等保護区の設定や保護増殖事業の実施等を着実に進めていくことが重要であろうかと思っております。
 本改正案をお認めいただいた暁には、新たな生息地等保護区の指定や保護増殖事業計画の策定を実施していくためにも、必要な人員と予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 その実際の人員や予算の確保というのがどうなるのか。例えば、昨年度までに比べて今年度というのがふえているのかどうなのか、あるいは今後の見通しがどうなのか。この法改正が成立した上で、こういった人員や予算面での拡充の見通し、この点についてはどのように受けとめておられますか。

○山本(公)国務大臣 私の経験上、やはり法というものが、一つの形ができ上がってくると、今申し上げた人員なり予算の確保には極めて有効な手段になってくると思っております。
 したがいまして、この改正案が成立をした暁には、今まで以上といった表現はおかしゅうございますけれども、力を入れてまいりたいと思っております。

○塩川委員 実際に、その保護増殖事業費というのも年間三億円ぐらいということですから、国の予算全体で考えれば本当にまさにわずかな額であります。そういう点でも、予算の必要な組み替えにおいて十分確保できる、そういう取り組みとして、やはり広く国民の理解も求めながら、人員や予算措置の拡充ということについて取り組んでいただきたいということを求めておきたいと思います。
 それと、こういった希少種の指定について、附帯決議において、二〇二〇年までに三百種の新規指定を行う、こういうことで取り組んでいるわけですけれども、今、この間の環境省におけるこの種の指定についての目標がどのようになっているのか、その辺についての考え方とあわせて説明してもらえますか。

○亀澤政府参考人 前回法改正時に八十九種であったものを二〇二〇年までに三百種追加指定をするということで、附帯決議で盛り込まれているところですが、これまでの三カ年で、年四十種ずつ、合計百十九種の追加指定を行いました。今後、二〇二〇年までに三百種の追加指定を達成したいというふうに考えております。
 さらに、その先、二〇二一年から二〇三〇年までの十年間で、今回新設する特定第二種のカテゴリーで百五十種、さらに現行カテゴリーで百五十種、合計三百種を二〇二一年からの十年間で指定をしていきたいという目標を立てております。

○塩川委員 予算、人員の話というのがあったわけですけれども、希少種の指定について、目標を持って行うと。同時に、そのためにも、生息域の保全を図るという点で、生息地等保護区の指定についての目標、これを持つというのは、環境省としては具体化する考えはありませんか。

○亀澤政府参考人 生息地につきましては、全国各地、いろいろなところでそれぞれの事情もありますし、生息地等保護区の数を数値として目標とすることは難しいというふうに考えておりますが、一つ一つの種ごとに生息地等保護区の指定を着実に進めてまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 やはり生息域の保全を図るということなしに種の保存を図ることはできないという点でも、ふさわしくこの保護区の指定について目標を立てていく、こういうことが、種の指定の目標を持つ以上は当然伴うものではないかということを指摘しておきたいと思います。
 この点でも、やはり生息地保護というのはなかなか課題があるというのは共通の認識でもあろうかと思いますが、資料でお配りしましたけれども、朝日新聞の報道で、「「種の保存法」実効性に課題 生息地保全か地域振興か 難しい調整」、こういう見出しが立っている記事があります。ここでは、「種の保存法の保護対象、ベッコウトンボがすむ大分市沿岸の工業埋め立て地に二〇一四年、丸紅がメガソーラー発電所を建設した。生息していた四ヘクタールの池と周辺の草地にも太陽光パネルが作られ、生息地は一・五ヘクタールに減った。」ということが報道されております。
 環境省にお尋ねしますが、このベッコウトンボというのはどのような種であって、この希少種指定に当たっての経緯について説明を求めたいと思います。

○亀澤政府参考人 ベッコウトンボは、体長四センチ程度の明瞭な褐色斑があるトンボでありまして、周辺に草地が広がる池や沼地に生息をしており、昭和のころには、宮城県及び新潟県以南に広く分布をしておりました。その後、各種開発や湿地の乾燥化等による植生の変化、外来種であるアメリカザリガニによる捕食圧等により大幅な減少を続け、人による採集圧も確認される状況でございました。
 平成の初めには数県程度、その中でも一部地域のみにしか残存しないという状況になり、種の存続に支障を来す程度に絶滅のおそれが高まったということで、平成六年に国内希少野生動植物種に指定をしたところでございます。

○塩川委員 このベッコウトンボに関する保護増殖事業計画の策定や生息地等保護区の指定はどうなっていますか。

○亀澤政府参考人 生息地等保護区につきましては、全国で数カ所、五カ所、六カ所程度の生息地しかなかったわけですが、その中で、代表的な生息地でもあった鹿児島県薩摩川内市に位置する藺牟田池というところで、池及びその集水域にある周辺湿原を含む百五十三ヘクタールを生息地等保護区に指定したところでございます。それは平成八年です。
 あわせて、同じ平成八年に、その藺牟田池の保護区全体を対象区域として、ベッコウトンボの保護増殖事業計画を策定して、生息地の維持とかオオクチバスの駆除などを実施しているところでございます。

○塩川委員 この大分市の事例についてですけれども、生息地がもう五つの県に限られているような状況で、その中で、生息地も十に満たないという状況だというふうに聞いております。環境省は鹿児島県の藺牟田池を種の保存法に基づく保護区に指定しておりますが、大分市ではそうなっておりません。
 この大分市の事例について、環境省はどのように現状を把握し、どう対応されてきたのか。この点についてお聞かせください。

○亀澤政府参考人 この記事にあります大分の事案について経緯等を申し上げますと、学会から環境省の事務所に検討会設置の要望があったわけですけれども、その検討会が開かれなかったのは事実でございます。
 種の保存法では、保護区指定をされている区域ではありませんので、直接的な対策を事業者に求める法的手段がないというような状況であったことも関係しているかと思いますが、環境省といたしましては、事業者に対しまして、ベッコウトンボの生息に対する配慮をお願いするとともに、専門家から意見を聞くように伝えたところでございます。
 その結果、事業者の方で、ベッコウトンボの生息地を当初の計画よりは広く残すとともに、モニタリングや生息環境の整備などの対策を実施していただいていると承知しております。

○塩川委員 やりとりの中で生息域を当初より少し広く残したということなんです。
 二枚目に写真をつけてあります。丸紅が計画をしているソーラーパネルですけれども、非常に、もう一面にソーラーパネルなんですが、その中に五角形であいている部分があるわけですよね。ですから、下の写真でいえば手前の方にあるわけですけれども、一面に敷き詰められたソーラーパネルの中に、手前の方に五角形が残っているというのが、この生息域を保護するということになっているんですが、もっと本来は広く生息域があったわけですけれども、こうなってしまうと大変寂しい思いがするわけです。
 これで本当の意味でこの保護が成り立つのかということを率直に受けとめているんですが、この報道でも、日本トンボ学会が環境省に検討会の設置を求めたが開かれなかったというふうに書かれているんですが、環境省の対応というのはこの点でどうだったのかと率直に思うんですが、この点についてはどうですか。

○亀澤政府参考人 保護区になっていないということもあって、法的に対応を求めるには限界があるというようなことだったかと思いますが、保護区外でありましてもできるだけの配慮をしていただけるよう、今後は環境省としても必要に応じて調整役を果たすなど努力をしてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
 この種の保存法に基づいて貴重な種の保護を図っていく、こういう取り組みにおいて、やはり本来、生態系ですから、何か特定の種だけ守ればよいということではなくて、多様性を保全する上でも、生息域全体をどう保護していくのか、そこには多様な希少種も含まれる、そういった意味で、生息地の保全とこういう開発との関係について、私はやはり、こういった生物多様性の観点から、しかるべく開発行為に対して合理的な規制をかけていく、こういうことが大変重要だと思うんですが、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

○山本(公)国務大臣 長く環境に関心を持ってきて、いつも思いますことは、何十年たってもやはり変わらないのかなという気がいたします。
 それは、開発か保護かという観点からの環境行政でございまして、私は、前の委員会でも申し上げたと思いますけれども、生物の種の保存ということに関して言えば、南方熊楠が言ったように、やはり一度失ったものは取り戻すことは不可能だと。彼は不可能という言葉を使っておりますけれども、そういう観点からいきますと、今回の種の保存法、ぎりぎりの世界で、私は何とか守り抜きたいという世界をこの法改正の中でつくっていきたいなというふうに思っているんです。
 そういう中で、さっき動物園の例が出ましたが、本来、動物園で種の保存を図るというのは、これはひょっとしたら違う行為なのかもしれませんけれども、そうでもしてやはり種の保存を図っていくということ、大切さを動物園というところで私は改めて感じておりまして、環境委員会の皆様方が多摩動物園に視察をされたことに心から敬意を表したいと思っております。

○塩川委員 いわば生息域外保全というのは次善の策であって、やはり生息域での保全、保護をどう図るかということなしに、何か切り離して生息域外保全でもないわけで、それは、多摩動物公園に私も視察に行きました、当事者の皆さんがまさにその点は非常に大きな課題、考えているところだということをおっしゃっておられたというのも、その点があるからだと思います。
 そういう点でも、いかに生息地の保全を図っていくかという点では、自然保護団体からいろいろな御提案もございます。生息地等保護区とは別に、土地所有者や管理者の方の自発的な意思に基づいて環境大臣が指定するような認定生息地等保護区を創設するとか、また、生息地等保護区の土地が民間地の場合、保全に協力することによるインセンティブを設けるとか、アセス等のリンクの問題ですとか、こういった点についてもぜひ積極的に受けとめて具体化を図っていく、こういう取り組みを求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。