国会質問

<第193通常国会 2017年05月12日 環境委員会 16号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今回は三つの案件の審査ということで、きょうは廃棄物処理法を中心に何点かお尋ねをしたいと思っています。
 最初に、有害物を含む使用済み電気電子機器の保管等に関する法改正に関連する部分についてです。
 まず、雑品スクラップと出てきますけれども、この雑品スクラップというのはそもそも何なのかということについて、雑品スクラップの内訳、あるいは総量ですとか、組成がどうなっているのか、そういう概要についてまず説明をしてください。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 雑品スクラップとは、使用済みの電気電子機器が、いわゆるスクラップヤードにおいて重機などで破砕されましたスクラップであり、一般的には、他の金属スクラップと混合され、そのほとんどが海外に輸出されているとされております。
 雑品スクラップは、鉄スクラップなどと称して輸出されている場合もあるため、どのくらいの量の雑品スクラップが輸出されているのかを把握することは困難となってございます。
 素材の構成でございますが、雑品スクラップには、エアコン、洗濯機といった各種の使用済み電気電子機器が混入しております。したがって、鉄、銅、アルミニウムなどの金属が相応の割合を占めているものの、鉛等の有害物も含有しております。また、プラスチックなどの可燃物も相当割合で含まれているというふうに考えてございます。

○塩川委員 使用済み電気電子機器がヤードで破砕をされて、その他の金属スクラップと混合した、そういうお話でした。
 私、三菱総合研究所のリポートで、業界関係者にヒアリングしたものを拝見したんですが、ここでは、定義が違うんだと思うんですが、雑品スクラップというのは大きく二つに分けられますと。工業系雑品スクラップと家電系雑品スクラップという言い方をして、工業系雑品スクラップというのは工場の解体物等が主な発生由来となっているもので、家電系雑品スクラップというのは、家電製品ですとかOA機器、それにプラスチックがまざっているようなものだ、家庭やオフィスから出るようなものと。
 このことを要するにスクラップ業界の関係者の方等々は雑品スクラップというふうにくくっているようなんですけれども、そういうように工業系、家電系含めたのがここで議論をしている雑品スクラップなのか、その点はどうですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 雑品スクラップということの定義につきまして、これが法的な言葉ではないものですから、そういう形で、いろいろな概念があるという状況でございます。
 今委員御指摘の、工業系のものと家電系由来のものということの御指摘がございましたが、そういう意味では、今般の法改正の対象と予定しておるのは家電系のもの、有害使用済み電気電子機器ということで、家電系ということであろうかというふうに思います。

○塩川委員 わかりました。
 要するに、有害物を含む家電、後でちょっとやりとりしますけれども、それを含むものということであります。
 それで、こういうのが有害物質を含むという話がありましたけれども、実際に雑品スクラップが扱われているようなヤード等々で生活環境に係る被害が出ているという話があるわけですけれども、生活環境に係るような被害状況というのがどのぐらいありますかとか、それがふえているのかどうなのかとか、そういうような基礎的なデータというのはないんですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 これにつきましても、現時点で被害状況等の統計などがあるという状況ではございません。しかし、いわゆる雑品スクラップというところで、ストックヤードに火災等の事件が最近多発しているという状況が明らかなように、大きな問題となってきているというふうに認識しております。

○塩川委員 例えば、火災が多発しているという話は、それは集計はしていないんですか。つまり、ふえる傾向にあるのかどうなのかとか、そういうものというのはわかりませんか。

○中井政府参考人 手元にある、ある研究者の数字ということで、参考という形で申し述べさせていただきますれば、陸上における金属スクラップの火災の発生件数につきましては、二〇〇七年が一件、二〇〇八年が二件、二〇〇九年が三件というような状況の中で、二〇一二年四件、一三年五件、一四年三件、一五年四件と、増加傾向にあるというふうに言えるのではないかと思います。

○塩川委員 増加傾向といいましても片手の範囲の話でありまして、なかなか、これで多発なのかなというのを率直に思うんです。
 現場は実際、火災等があって大変だという話をお聞きしますし、こんなことがないのにこしたことはないんですけれども、私、そもそもこの対策をとる上での前提となるような被害状況というのが本当に正確に把握をされた上で出されているものなのかというところがよくわからないというのは、今のやりとりでも改めて思っているところです。
 もちろん、生活環境に支障が生じるようなことは困るわけですから、そういうことにはならないように対策をとることが大事なわけですけれども、では、そもそも雑品スクラップというのがふえているのか、そもそもそれはいつから生まれたのかとか、その辺というのはわかりますか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 今般、雑品スクラップと言われる形での社会問題への対応ということの前提といたしまして、これをめぐる諸課題が生じているという認識をしておりますが、実は、この雑品スクラップ、またそれが置かれているヤードの全体的な事業者数及びその数につきましても、まさしくこれが廃棄物処理法なり法的な対応をとってきたものでないという中で、一体、全体の規模がどれだけの数なのか、そういうものについての整合的な網羅的な計数等というのがないというのも実態でございます。
 全国規模ではそういう意味では把握されてはおりませんが、例えば、不用品対策の条例という形で条例を制定いたしました鳥取県におきましては、条例制定前の平成二十七年の時点での数字といたしまして、雑品スクラップの保管または処分を行っているヤードを含め、鳥取県内に三十八カ所の不用品の保管を行っているヤードがあり、また、不用品の取り扱いを行っていた事業者が三十三事業所あったということが確認されております。

○塩川委員 鳥取県の実情、あそこは条例をつくっていますから、そういう意味でも対象となるような事業者、事業所の把握をしておられるということですけれども、そもそも全体でどのぐらいあるのか、それがふえているのかどうなのかという傾向もよくわからないで対策をとるのかなというのも率直に思っているわけです。
 それで、もともと今回の有害使用済み機器の保管等に対する措置については、前提として、こういう雑品スクラップが輸出されて海外でリサイクルされている、国内外の環境汚染や家電リサイクル法等の形骸化の懸念が高まっているという現状があるからということなんですよね。
 海外での環境汚染、これはあるでしょう。ですから、それが定量的にどうなっているのかというのは、これはこれとしてやはり環境省はきちっと説明責任があると思います。あわせて、国内の状況について、今言ったような説明だけじゃ極めて不十分じゃないかなと率直に思うんですよ。そのことは申し上げておきたいと思います。
 あわせて、後でお聞きしますが、家電リサイクル法の形骸化、これはこれとして議論があるところだと思っております。
 それで、次にお聞きしたいのが、ここで出てくる有害使用済み機器です。この有害使用済み機器の定義と、その具体の対象というものがどうなっているのか、このことについてお答えいただけますか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 有害使用済み機器につきましては、使用が終了し、収集された電気電子機器を定めることを想定してございます。
 具体的には、雑品スクラップの流通や電気電子機器に含まれる有害物質の実態等を踏まえつつ、テレビや冷蔵庫、エアコンを初めとする電気電子機器を個別具体の品目ごとに指定することを検討しております。

○塩川委員 エアコン、テレビ、冷蔵庫とかという例示がありましたけれども、これは、家電リサイクル法の四品目及び小型家電リサイクル法で列挙をしている二十八品目、これが対象となり得るということでよろしいですか。

○中井政府参考人 お答えいたします。
 家電リサイクル法及び小型家電リサイクル法が今回の対象かという御質問でございまして、家電リサイクル法及び小型家電リサイクル法の対象品目を今般対象にすることを考えております。

○塩川委員 ということです。
 それで、そういった場合に、いわゆる家電リサイクル法、小型家電リサイクル法の対象品目の電気電子機器がまざっているような雑品スクラップということになるわけですが、今回、有害使用済み機器保管等事業者というのも規定をするわけですけれども、規制の対象としてのこういう事業者をつくるということになりますが、うちは金属スクラップのみを扱っているんだ、そういう事業者が、だから有害使用済み機器保管等事業者ではないということであっても、その事業者が家電四品目とか小型家電の対象品目を扱っていれば、今回の法改正による届け出の義務が生ずるということでよろしいんでしょうか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 スクラップの中に有害使用済み機器に該当する機器がまざっていても、事業者が有害使用済み機器を業として保管または処分していると判断される場合には、適正な保管を行うことができる者として環境省令で定める者を除き、都道府県知事に届け出を行う必要があるということでございます。

○塩川委員 環境省令で除くという、あの部分というのは具体的にはどんな中身なんですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 適正な保管を行うことができる者として環境省令で定める者は除くという形の条文規定になってございますが、この趣旨は、小型家電リサイクル法に基づき、使用済み小型電子機器等の再資源化事業の実施に関する計画の認定を受けた認定事業者等を想定しております。

○塩川委員 再資源化事業の認定を受けていないような事業者であれば、そういう家電四品目や小型家電に係るようなものがあれば、それはやはりきちっと届け出を出す必要があるよねとなってくるということであります。
 それから、有害使用済み機器保管等事業者に対して遵守が義務づけられる保管、処分に関する基準、これはどのようなものになりますか。

○中井政府参考人 有害使用済み機器を保管するヤード等におきましては、これらの機器等に起因すると考えられる火災が発生していること、また、当該機器等がぞんざいに取り扱われることにより、その内部に含まれる有害物質が周辺に飛散、流出する等による周辺環境への影響が懸念されます。
 このような状況を踏まえまして、有害使用済み機器の保管や処分に関しましては、一定の基準を設けることにより、生活環境への悪影響を防止する必要があると考えております。
 具体的な基準につきましては、これまでに発生した有害使用済み機器の保管場所等における火災や、有害物質等の飛散、流出事故の実態を調査し、これらの事故を未然に防止できるような措置につきまして、現行の廃棄物の処理基準を参考に今後検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 現行の廃棄物処理基準を参考に策定するという話でした。
 次に、鉄スクラップ業者と称して、有害使用済み機器保管等事業者の届け出をしていない場合でも、そこに、家電を積んだトラックがその業者のヤードに入っていくというのを確認できれば、それは有害使用済み機器保管等事業者が想定されるということで、その際に都道府県が立入検査でそれを確認するということは可能なんですか。

○中井政府参考人 廃棄物処理法の第十九条におきまして、都道府県は、廃棄物または廃棄物の疑いのあるものの収集、運搬または処分を業とする者その他の関係者の事務所等に立入検査を行うことができるという規定がございます。
 この規定は今回の十七条の二第三項において準用されておりまして、有害使用済み機器の疑いがあるものの保管または処分が行われている場合には、都道府県知事による立入検査の対象になるものと考えております。

○塩川委員 そういう点でも、適切に届け出を果たしている事業者だけではないような場合であっても、疑いがあればこれを都道府県が確認する、立入検査もできるという話であります。
 要するに、生活環境にさまざまな支障をもたらすような、そういう業者の実態というのは是正されなければなりません。それにふさわしい措置が行われることが求められていると思います。
 同時に、では、生活環境上の支障がどれだけ発生しているのかというのが、さっきみたいな把握の状況だと説得的に言えるのかなというのは思うものですから、ここはやはり、きちっと納得いくような説明というのは環境省として尽くすべきだということを申し上げておくものです。
 それで、もう一つ、家電リサイクル法等の形骸化の懸念という部分で何点かお聞きします。
 一つは家電リサイクル法ですけれども、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機という家電四品目、このリサイクル率、回収率というのはどういうふうになっているのか、また、家電四品目の家庭、事業所からの排出数及びそのうちに占める海外スクラップの台数と割合を示してください。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、家電四品目の回収率でございますけれども、平成二十七年度の回収率は五二・二%でございます。
 また、これは平成二十七年度におきまして家庭、事業所から排出されました家電四品目の推計の数字でございますが、全体で約千八百万台となってございます。このうち、国内スクラップ及び海外スクラップ推計台数の合計が六百四十万台、海外のスクラップに約五百六十万台、国内スクラップに八十万台となってございます。
 こういう中で、家電リサイクル法にのっとって製造業者等によって適正にリサイクルされた台数が千百万台ということで、先ほどの五二・二%の回収率ということでございます。

○塩川委員 このリサイクル率というのは、熱回収も含まれている数字でいいんですか。

○中井政府参考人 回収率の計算は機器ベースでやっております。

○塩川委員 マテリアルリサイクルということでいいのかな。

○中井政府参考人 お答え申します。
 あくまでもこれは全体の商品台数の中でということで、別途の数字といたしまして、今委員御指摘いただきました点については、再生利用率とかほかのものがございます。

○塩川委員 わかりました。マテリアルやサーマルリサイクルの話はまた別途と思います。
 それで、資料をお配りしました。一枚目が、これは環境省の作成したものです。先ほどお話のありました推計のものです。一番左側に出荷が二千百三十二万台で、右側から二つ目の枠が指定引き取り場所での引き取り等々のリサイクルの数で、これが幾つか足すと千百万台ということで、五二・二%。
 これで見ていただくのが、要するに、リサイクルが五割ちょっとだけれども、海外スクラップ、雑品スクラップで海外へというのが三割なんですよね。ですから、リサイクルに回らないうちの大宗が雑品スクラップで海外に輸出をされているような状況になっています。
 そこで、ちょっと確認なんですが、雑品スクラップに関与するヤード業者が引き取る家電のほとんどが海外に行っています。このヤード業者への家電流入元はどこで、その台数は幾つになっているのかをお示しください。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 委員が資料で配付いただきましたこの表ということになりますが、家電四品目の平成二十七年度のフローを推計いたしましたところ、ヤード事業者に約六百四十万台、ここに六百三十七万台と書いてございます、が流入しておる状況でございます。このうち、不用品回収業者からの流入が約三百九十万台、引っ越し業者からの流入が約百四十万台、建設解体事業者からの流入が約七十七万台と推計されておるところでございます。

○塩川委員 その上の小売業者からも三十二万台あるというのは、それでよろしいですよね。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 小売事業者からの流入が約三十二万台、あと、その他リユースショップからの流入が少量あるということかと考えております。

○塩川委員 本来は、小売業者が引き取れば指定引き取り場所に行かなくちゃいけないんですけれども、そこからも流れているのが、一部ではあれ存在をしている。
 ここにあるように、本来は有償で引き取りをするという家電リサイクル法のスキームなんですが、引っ越し業者、建設解体業者、それから不用品回収業者が実質無償で引き取るような状況というのがあるということがここにも推測されるわけです。
 大臣にお尋ねいたします。
 国立環境研究所の研究員の方などもこういった問題を指摘しているわけですが、排出段階での個人の経済合理性だけを考えれば、後払いか無料回収かの選択肢というのは消費者に相当高い意識と協力を求めているものなんだ、消費者にとっては、正直者がばかを見る、こういう状態で、不用品回収に出すのは容易にとめられないと指摘をしているわけです。この点についてはどのように大臣はお考えでしょうか。

○山本(公)国務大臣 家電リサイクル法というのは、私が知る限り、多分この国で一番最初にできたリサイクル法であったろうと思っております。
 当時一番問題になったのは、やはり不法投棄をいかに防ぐかというのがこの法のまず出発点であったろうと思っております。
 そういう意味において、家電リサイクル法、四品目に限った法律ではございましたけれども、今は不法投棄は減ってきているんだろう、なくなってはおりませんけれども、減ってきているんだろうとは思っておりますし、ただ、御指摘のように、今ヤード業者にかなりの部分が流れているということもこれは事実なんだろうと思っております。
 いずれにしましても、やはり家電リサイクル法というものの効用というものをもう一度我々は見直していく必要があるんだろうというふうに、つまり、時代が変わってきているということなんです。この法制定時に比べて、いわゆる廃棄物というものの考え方が違ってきているということだけは間違いないと思いますので、いわゆる家電リサイクル法自体の見直しというのはやはり不断にあっていいんだろうと私は考えているところでございます。

○塩川委員 その場合に、その見直しのポイントとして、こういう廃棄物に当たるものの費用負担をどうするのかといったのが極めて重要だということです。
 私は、大臣にお尋ねしますが、メーカーが自社製品から生ずる廃棄物について費用負担する、そういう拡大生産者責任こそ行うべきで、拡大生産者責任というのは、生産者が廃棄物の処理費用を負担することであり、これにより、処理費用が少なくなるよう、リサイクルに適した製品を開発、販売する誘因を企業に与えるものであります。消費者に責任を負わせるのではなく、廃棄物そのものを減らすことにつながるような拡大生産者責任こそ明確にすべきだと思うわけですが、この点についてのお考えをお聞かせください。

○山本(公)国務大臣 私もいろいろなリサイクル法の制定にかかわってまいりまして、いわゆるデポジットという物の考え方も、あるリサイクル法では取り入れた経験もございます。
 そういう中で、私は、今回のこういうさまざまなことを考えていくときに、企業の責任ももちろんあろうかと思いますけれども、やはりユーザーのある意味での責任というのも生じてくるんだろうと思っております。
 したがいまして、デポジットを導入するときには、例えば、自動車リサイクル法なんかは、まさに最初の販売価格の中に設定をいたしておるわけでございまして、いろいろなやり方があろうかと思っておりますし、また、いろいろな意味で抵抗も大きい話だろうというふうに思いますけれども、もとを断つという物の考え方からいきますと、やはりデポジットという物の考え方は、私は有効な手段ではなかろうかというふうに思っております。

○塩川委員 ヨーロッパの拡大生産者責任は、外部費用の内部化を生産者による費用負担と整理をして、廃棄時に費用を支払わせないということを出発点にしています。もともと自治体の負担を消費者にというのもあったんですけれども、さらにさかのぼって、そもそも生産者がごみになるようなものを出さないように、そういうふうに内部化をするということこそ本当の意味での排出抑制につながっていくだろうということであります。
 製品と廃棄物とを一体的に考えて、製品廃棄物がもたらす負の外部費用を内部化させ、製品設計に環境配慮を反映させる、こういうアプローチこそ必要だということを申し上げ、あわせて、リユースを促進するような制度設計も必要じゃないのかというのが、この家電リサイクル法の物の流れを見ても改めて思ったところです。
 きょうのところはここまでということで、終わります。