国会質問

<第193通常国会 2017年05月19日 環境委員会 18号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求める件につき、反対の討論を行います。
 福島地方環境事務所の設置は、昨年十二月に閣議決定された原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針にある、「放射性物質汚染対策については、」「推進体制の一元化・充実を図り、柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革を行う。」という方針に基づく措置の一つです。
 基本指針は、放射性汚染物質対処特措法に基づく除染、中間貯蔵施設整備、放射性指定廃棄物処理などに関する業務を一元化し、環境本省においては新たに環境再生・資源循環局を設置するとともに、福島においては福島環境再生事務所を福島地方環境事務所へ格上げすることで、現地の意思決定の迅速化及び体制強化を図るとしています。
 しかし、この基本指針は、帰還困難区域内の特定復興拠点を整備するための除染及び汚染廃棄物の処理に要する費用について、原因者である東電の賠償責任を免罪し、汚染者負担の原則に反して国が費用を負担することを掲げています。福島環境再生事務所は、東電の汚染者負担原則に基づきその業務を行ってきたのに、その原則がゆがめられることになります。原発事故被害者への賠償措置の一端を担うという組織の性格が損なわれることになります。
 賠償の位置づけが損なわれ、国費を投じる公共事業になれば、費用対効果の議論が持ち上がり、戻る人数が少ないとなれば事業の縮小や廃止などにつながり、住民が求める全エリアの除染が行われないことになりかねません。
 このような基本指針に基づいた福島地方環境事務所の設置は、住民が求める全エリアの除染に応える組織となる保証がありません。
 このことを申し上げ、反対討論を終わります。