国会質問

<第193通常国会 2017年05月19日 環境委員会 18号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、福島地方環境事務所承認案件について質問をいたします。
 福島環境再生事務所はどういう組織か。これは、放射性物質汚染対処特措法、いわゆる除染特措法に基づいて、除染や中間貯蔵施設の整備、また指定廃棄物等の処分を行っている、こういう組織だと承知をするものですが、それでよろしいでしょうか。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 今の福島環境再生事務所、福島復興法に基づく帰還困難区域における復興事業に係る除染工事、それから、先ほどからお話ありました放射線に関するリスクコミュニケーションのような事業もございますけれども、主としては、先生がおっしゃるとおり、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく業務を実施する事務所でございます。

○塩川委員 大宗はこの特措法に基づく業務を行っているということであります。
 今回の福島地方環境事務所の設置は、昨年十二月に閣議決定をされました原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針にあります、「放射性物質汚染対策については、」「推進体制の一元化・充実を図り、柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革を行う。」という方針に基づく、その措置の一つだというふうに承知していますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 復興・創生期間に入って、復興も新しいステージを迎えたという中で、御指摘の基本方針、これも踏まえた組織改革ということでございます。

○塩川委員 基本指針を踏まえた組織改革ということです。
 後段、用語のことでちょっと気になるのが、推進体制の一元化、充実を図る、ここはわかるんですけれども、「柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革」という、柔軟はわかるんだけれども、突破力というのは何なのか。何を突破するんですか。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 先生おっしゃるように、ここは放射性物質の汚染対策ということを進めるものでございます。これを進めるに当たりましては、先ほども申し上げましたが、地元ともよく連携をして進めていく必要がございます。かつ、本省、地方事務所が一体的な体制で取り組むことも必要でございます。
 そういった意味で、今私どもが抱えております、引き続き行う除染あるいは中間貯蔵施設の整備を着実に進めるといった課題を乗り越えるという意味で、突破力という言葉を使わせていただいているというふうに理解をしてございます。

○塩川委員 課題はあるわけで、それは連携して一体的に取り組めばいいわけで、何か突破するような障害物としてあるのかという、そこがよくわからないんですけれども、これはもともと自公の提言を踏まえているものですから、与党の皆さんに聞いた方がいいのかもしれませんが、この点は、実際の仕事として、中身として問われていくことだろうと思います。
 それで、実際の中身の話ですけれども、資料もお配りしたわけですが、現在の福島環境再生事務所の職員、この実員の構成がどうなっているのかについてまず説明をしていただけますか。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 福島環境再生事務所の実員でございますが、二十九年四月一日現在では、総数が五百六十人でございます。常勤職員数は五百六十人でございます。
 その内訳でございますが、環境省のプロパー職員が六十二人、各府省から出向していただいている職員が六十七名、再任用職員が二十八名、それから任期つきの採用職員が三百七十三名、その他、自治体等からの出向職員十七名、官民交流採用職員が十三名、以上となってございます。

○塩川委員 ごらんいただければわかるように、非常に多くの組織、団体から集まっていただいているのが福島環境再生事務所ということです。そういう点では寄り合い世帯ということで、いろいろ現場での御苦労も多いところだと思います。
 同時に、これを拝見しますと、いわゆる常勤職員というのは限定的で、任期つき職員が三百七十三人ですとか、再任用職員が二十八人とか、雇用期間が限定された職員が大半を占めているわけであります。こういう組織をまとめ上げるのは非常に大変ではないかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、いろいろな形で職員の方に来ていただいて仕事をしてございますので、そういった意味では混成部隊でございますけれども、しっかりとコミュニケーションをする、あるいは研修をする、そういった形での連携を進めていきたいと考えてございます。
 ただ、正直申し上げれば、今先生が御指摘のように、体制の充実というのは常に必要なことであろうというふうに考えてございます。

○塩川委員 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、これも環境省につくっていただいた資料ですけれども、福島環境再生事務所定員推移のイメージ図になっています。ですから、それぞれ年度が書かれていますし、人数が縦軸で出ているわけですが、このように定員はふやしてきています。同時に、それぞれの任期というのは非常に限られているということですが、このイメージ図について少しポイントを説明してもらえますか。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 この表で申しますと、左の一番下の方から進んでいただければよいかと思いますが、福島環境再生事務所は、平成二十四年の一月の設立時には定員四十名ということで始まってございます。その後に、除染、指定廃棄物対策、中間貯蔵施設に関する業務、業務量の増加に応じて順次定員が措置されているということでございます。例えば、二十四年の四月一日からは百七十人というのが増加されまして、その任期については二十四年の四月から二十六年の三月三十一日までの三年間という形になってございます。
 なお、こういった定員につきましては、東日本大震災の復興特別会計というもので措置されているということで、その全てが時限の定員であり、最長で平成三十二年度までの措置というふうになっているものでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 お話ありましたように、定員は積み上げています、ただ、復興特会で措置をされているということで任期については時限ですと。最後は、復興特会が廃止をされるとされています平成三十二年度末までということが今説明としてもありました。
 要は、福島環境再生事務所の定員ということで、私はやはり二つ問題があると思うわけです。
 一つは、三年任期での職員が五百四十二人というふうに、大半を占めているわけですよね。もちろん、業務量についてはそれぞれの分野ごとで上がり下がりはあるでしょう。しかし、一貫して続く仕事も当然あるわけですし、そういったときに、三年任期が大半を占めて、あと五年、六年任期がわずかということで、いずれも短い任期というのは、非常に仕事としても限定的にならざるを得ないんじゃないのかということが一つ。
 もう一つが、時限定員ばかりで恒常定員がないわけです。先ほどの説明にありましたように、平成三十二年度末を超える任期というのは設定をされていません。仕事は本来続くはずなのに、そこで全部切れているということです。
 そこで、まずお聞きしたいのが、三年任期というのが大半を占める理由は何なのか、お答えください。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。
 この事務所で進めております除染あるいは指定廃棄物対策というのは、我が国としてもこれまで経験したことのない事業でございました。それに取り組むに当たりまして、どれだけの業務量がいつまで続くのかということが容易に見通せなかったということから、おおむね三年ごとの定員措置ということで、三年ごとにその必要性を見直すということにしたものでございます。

○塩川委員 でも、冒頭確認しましたように、特措法に基づく業務を中心として担うというのがこの福島の環境再生事務所であって、それはもちろん、除染や、中間貯蔵施設の整備や、指定廃棄物の処理、大まかにこの三つの業務があるわけですけれども、上がり下がりがあっても全体とすればボリュームのある仕事をしていくということは明らかで、定員がふえているところにそのことがはっきりあらわれているわけですよね。
 そう考えたときに、何で三年で区切る必要があるのかというのは率直なところなんですけれども、もう一回。

○森本政府参考人 これまで、おっしゃるとおり、そういう形で定員措置させていただいてきたということでございます。
 先生の御指摘も、私どもは実態として、例えば、やる気のある方とかを考えますと、三年目になるとその先が見えないというのでは申しわけないという気持ちはございますので、そういったところについて、よく関係部局と相談をしていきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 いや、それはきちっと、どうするのかということをはっきりさせるべきです。
 そういう意味では、復興庁という組織も、これ自身は時限の組織であるわけですけれども、復興庁にお尋ねしますが、復興庁の職員の任期というのはどうなっているんでしょうか。例えば三年で区切るとか、そんなふうになっているのか。その点、お答えください。

○関政府参考人 お答えいたします。
 今お話ございましたように、復興庁の設置期限、これは平成三十三年三月三十一日までとされております。復興庁のいわゆる定員でございますが、これも復興庁の設置期限までのものということにしております。
 なお、私ども復興庁では、民間の方の派遣とか、それから、期間的に、一定の期間の期間業務で現地に入っていただく方等ございますので、それぞれ個別の方の任期はそれぞれそれに応じて定められているということでございますので、全員が三十二年度末までということではございません。

○塩川委員 ですから、個々にローリングで回っていくようなポストはあるけれども、基本は三十二年度末までの任期という設定だということですか。

○関政府参考人 お答えいたします。
 復興庁の設置期限が三十二年度末ですので、当然ながら、それぞれの職員の定員の任期限、職員の期限も三十二年度末ということでございます。

○塩川委員 ですから、基本は、別に三年で切っていないんですよ。もちろん、個々の人の事情がありますから、ローリングでほかの人がまた来るとかという形にはなりますけれども、基本は、復興庁の設置法が三十二年度末に廃止と書いてありますから、それに合わせて後ろの期限というのは設定はしているわけだけれども、三年刻みという必要はないんですよ。
 そういう点でも、環境省の福島環境再生事務所の業務について改めて環境省に聞きますけれども、復興庁においても、分野ごとに業務量の多寡はあるけれども三年程度の短期の時限定員は設定していないわけで、福島環境再生事務所も同様にこういった短期の時限定員をやめることで、やはり意欲のある方に中長期の見通しを持って働いてもらう、こういうことというのは当然行うべきことだと思うんです。三年刻みみたいなことはもうやめるということをはっきり言っていただきたいんですが。

○森本政府参考人 二つございます。
 一つは、福島環境再生事務所の仕事、これまでは除染というのが中心でございました。これからは、除染というのは、フォローアップ除染、それから帰還困難区域の除染というのが中心になってございますので、量的には相当減ってくるという形がございます。その一方で、中間貯蔵施設への輸送というのがございますので、その関係の人が必要だということになってこようかと思います。
 そういった意味で、定員の総数としての変化は緩やかでございますが、その内訳は少し変わってまいりますので、それを踏まえた定員構成というのは必要かと思います。
 その一方で、今先生御指摘がありましたように、やる気のある方がずっとやっていけるということからすると、三年任期というものを全てについてはめていく、あるいは大半についてはめていくというのは、おっしゃるとおり、見直すべきところだというふうに考えてございますので、そういった仕事の内容の変化と、それから職員の方々のやる気というものを考えた上での職員管理というものを考えて、この三年ごとの定員措置というものについては、しっかりと関係部局と相談をして見直していきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 ぜひそういう対応でお願いしたいと思います。
 それともう一つ、三十二年度末という期限を切っているという話なんですけれども、復興庁にお尋ねしますが、そもそも福島の復興再生の事業というのは、別に平成三十二年度末までのいわゆる復興・創生期間で終わりにならないはずですよね。
 この点については政府はどういう立場なんですか。

○関政府参考人 お答えいたします。
 平成二十八年三月に閣議決定されました復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針でございますが、ここでは、「福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、「復興・創生期間」後も継続して、国が前面に立って取り組む。」という方針を決定しているところでございます。

○塩川委員 ですから、復興特会に合わせる、この復興・創生期間というのは五年後から十年までという線の引き方になっているわけですけれども、復興特会の十年とそこは符合しているわけです。先ほどの話の中にも、三十二年度末でこういう任期が区切りがあるというのは、復興特会との関係でそうなっていますという説明でした。
 そこで、定員にかかわることなので、内閣人事局にお尋ねをいたします。
 この福島の復興再生に取り組む福島環境再生事務所の業務というのは、平成三十二年度末では終わらない、その後も継続する仕事であります。
 福島環境再生事務所の定員について、平成三十二年度末までという終期を、終わりを設ける、そういう合理的な理由というのはあるんですか。

○若生政府参考人 お答え申し上げます。
 福島環境再生事務所の定員、これは先ほど来御説明がありましたように、復興特会により措置されているということで、その期限であります最長三十二年度までということで一度区切りをさせていただいて定員をつけさせていただいているということでございます。その範囲の中で、環境省の要求も踏まえまして、業務の内容や作業の段階に応じて定員の時限を付しているということでございます。
 他方、これまで、福島環境再生事務所において時限が到来した定員につきましても、その時々の業務状況を踏まえまして、これは適宜、時限の延長を行ってきているということでございまして、三十二年度以降につきましても、先ほど来お話がありますような今後の業務量の見通し等を踏まえまして、そのときの状況をよく踏まえて、環境省ともよく相談しながら適切に対応してまいりたい、かように考えてございます。

○塩川委員 事務所の方が三十二年度末ですぱっと切られているというのは、復興特会からお金が出ている、その復興特会の期限が三十二年度末だからだという理屈ですけれども、重ねて内閣人事局にお聞きしますが、この福島環境再生事務所の業務というのは、冒頭確認したように、中間貯蔵施設の整備、管理を初めとして中長期に及ぶものであって、基本はやはり放射性物質汚染対処特措法に基づく業務を行っているんですよ。特措法の仕事というのは平成三十二年度末で終わらないんですよね。
 この特措法に基づく除染や中間貯蔵施設の整備や指定廃棄物などの処分の費用は、汚染者負担原則に基づいて、賠償の一環として東電に求償するとなっている。ですから、復興特会から出ているお金というのはあくまでも立てかえ払いなんですよ。だから、復興特会が廃止されたからといって賠償の一環である除染等の仕事が終わるわけではありませんし、東電への求償が終わるわけでもありません。
 ですから、福島環境再生事務所の業務の財源はそもそも東電の賠償にあるわけですから、復興特会の廃止期限に合わせて定員の終期、終わりを設ける必要はないはずだと思うんですが、どうですか。

○若生政府参考人 中長期的な課題であるということは十分認識しております。その財源をどうするかも含めまして、今後の事務所の体制につきましては、まず環境省の方でどういう形にしていくのかという検討が先行すべきだと思っておりますので、それを踏まえまして、私どもの方としてもきちっと検討してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 環境省の検討を踏まえてということですから、大臣にお尋ねいたします。
 今お話ししましたように、定員について三十二年度末で切れます、それは復興特会に基づくお金が出ているからですという理屈なんですが、私が今説明しましたように、この事務所の業務の大宗というのは特措法に基づく仕事なわけですよね。
 特措法に係る経費というのは、汚染者負担原則に立って東電に求償するわけですよ。それを、事前の一時立てかえ払いで復興特会から入っているだけであって、業務そのものは続くし、当然のことながら、そういった一連の特措法に基づく仕事であれば東電に求償を行うということになるわけで、三十二年度末でこの事務所の定員を区切るということはもうやめたらどうか。ずっと恒常的な定員として要求するというのは、それこそ特措法を所管する環境省として筋が通った要求じゃないですか。その点ぜひお答えください。

○山本(公)国務大臣 今後も業務が長期にわたると見込まれるポストについては、その定員について、恒常的な定員での措置を検討してまいりたいと思っております。
 先ほど官房長が言っておりましたように、とにかくやる気のある職員が現場で力を発揮できるようにするという観点から、関係者とよく相談してまいりたいというふうに考えております。
 同時に、この福島の今回の、六百人になんなんとする部下を擁する所長の待遇という面も同時に考えて、組織としてやはりおかしいと私は思いますので、そこらも含めてぜひ考えていきたいなと思っております。

○塩川委員 先ほどのイメージ図でも、三年の任期と同時に、五年、六年というのもあるわけですよ。それはやはり、一定、恒常的な仕事があるからそういう人を張りつけるという趣旨でしょうけれども、それが全部三十二年度末で切れているんですよ。
 この先も続くはずなのに三十二年度末で切る必要はないでしょう。そこのところは、引き続き仕事があるんだから、今後のところについて三十二年度末という線の引き方はもうやめる、恒常的な仕事についてはきちっとした定員要求をしていくということをぜひ環境大臣としてはっきり申し上げる必要があるんじゃないかと思うんですが、改めて。

○山本(公)国務大臣 きょうは復興庁や内閣府も来ていただいておりますので、とにかく政府としてこの問題は考えていただきたい、環境省のためではないということだけは申し上げておきたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、何よりも原発事故被害者のために行っている仕事ですから、そのために全力を挙げるということこそ求められているということを申し上げたい。
 それで、一方、この今回の組織改革を行うことを決める方針である昨年十二月の基本指針というのは、帰還困難区域の中に特定復興拠点を整備するための除染及び汚染廃棄物の処理に要する費用について、原因者である東電に負担を求めず、汚染者負担の原則に反して、国が費用を負担することを掲げている。東電に負担を求めず、国が費用を負担する、こういう方針があるということはそのとおりですね。

○森本政府参考人 そのとおりでございます。

○塩川委員 福島環境再生事務所は東電の汚染者負担原則に基づいてその業務を行ってきたのに、私は、その原則がこれでゆがめられるということを指摘したい。
 そうなると、結局は、インフラと一体的な整備云々ということで、公共事業を行っていくという趣旨に当然なってくるわけですけれども、いわば公共事業官庁へと変わっていき、変質をし、原発事故被害者への賠償措置の一端を担うという組織の性格が損なわれることになりはしないのか。私は、原発事故被害者、住民に向き合う姿勢が根本的に変わる契機となりかねないという懸念を持つわけですが、この点についてはいかがですか。

○森本政府参考人 現在の環境再生事務所におきましては、先ほど申し上げましたように、特措法の仕事もございますけれども、それ以外に、リスクコミュニケーション等々、いわゆる求償でない事業もやってございます。
 ただ、非常に重要なことは、先生がおっしゃるように、この福島の事務所が地元の方々の心に寄り添って取り組んでいくということかと思います。そういった点については揺るぎがないように今後取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 いや、私がこの点で強調したいのは、そもそもこの特措法に基づく業務、なぜ東電に求償するかといえば、賠償の一環として、汚染者負担原則にのっとって責任を持ってやりなさいよということを決めたというのが特措法なんですよ。だから、帰還困難区域であれ、汚染された土壌とかを除去するのであれば、これは当然、東電に求償する話なんですよ。それを何か、賠償がどうのとか、余計な理屈でそれを回避するようなやり方で、公共事業で、国の予算で手当てをする。
 そこは、根本的に原発事故被害者に向き合う姿勢を変えることになってしまうんじゃないのか、これが問われているんじゃないかということを言いたいんですよ。そうは思いませんか。

○森本政府参考人 今回、福島復興法というのが国会で議決をいただきました。その中で、帰還困難区域における除染については、事業と一体としてやるということで決めていただいたというふうに私どもは理解してございます。したがいまして、今後、福島環境再生事務所、今回つくります地方環境事務所につきましては、除染特措法及び福島復興法に基づいて取り組んでいくということでございます。
 ただ、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、地元の方々の気持ちに寄り添ってやっていくというところについては揺るぎなく進めていきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 福島環境再生事務所の業務については、きょうの質疑の中でも多々問題点があるという話がございました。
 今でさえ、除染事業をゼネコンに丸投げして、下請除染作業員の危険手当のピンはねとか過酷な作業環境を事実上黙認してきたことが作業員や地元住民の方から厳しく批判をされてきたわけであります。また、職員が除染事業での収賄罪で起訴されたり、共同事業体、JVの一次下請の偽装除染を告発されながら隠蔽していたことなど、福島環境再生事務所への住民からの厳しい批判が続いております。
 私は、ここにあるように、公共事業的な性格を持つ仕事ということになったことが、そもそもの賠償の一環として行ってきた、いわば原発事故被害者のための仕事を大きく変えることになる、組織の性格が根本的に変わることで、原発事故被害者である住民の当然の要求を軽んじ、住民の不信がさらに広がることになりかねないということを指摘したいと思います。
 最後、大臣にお尋ねいたしますが、私が思うのは、国費を投じる公共事業となりますと費用対効果の議論が持ち上がる、戻る人数が少ないとなれば事業の縮小とか廃止につながるとか、住民が求める全エリアの除染が行われないことにもなりかねない。これは賠償で行う除染と違うんですよ。
 このような基本指針に基づいた福島地方環境事務所の設置というのは、住民が求める全エリアの除染に応える組織となる保証はないと考えますが、大臣、いかがですか。

○山本(公)国務大臣 私は、今、塩川先生がおっしゃったことと全く違うことを考えているわけでございまして、何度も福島へ足を運ぶ中で、皆様方が何を求めていらっしゃるかということを自分なりにそしゃくさせていただきながら、今回の福島の事務所の格上げを考えたわけでございます。
 そうすることによって、私が、福島の方々が何を求めていらっしゃるかということ、つまり、一日も早く、一日も早く帰りたいという思いに応えるためには、現場の事務所がとにかく今以上に働くことが目的である。であるならば、格上げすることによってやる気が職員に生じてくるならば、私はこれはいいことだと思って、今回の格上げをやるわけでございます。
 若干、公共事業と、いろいろな言葉をお使いになりましたけれども、やはり従来の公共事業とは違うんだ、今回、帰還困難区域で行おうとしている公共事業というのは。やはり、さっき申し上げましたように、一日も早く帰りたいという住民の方々のお気持ちに沿う公共事業だという、であるならば、全く従来の公共事業に対する考え方とは違うんだということだけは、私は申し上げたいと思っております。

○塩川委員 原発事故被害者への賠償の措置の一環であるこういった除染について公共事業に置きかえるということは、私は、原発事故の責任を曖昧にするものだ、こういう立場では、原発事故被害者、住民の皆さんの意に沿った施策につながらないという懸念が強くあるということを申し上げ、突破力という言葉がありましたけれども、住民要求を拒むような突破力であっては決してならないということを申し上げて、質問を終わります。