国会質問

<第193通常国会 2017年09月14日 原子力問題調査特別委員会 6号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
 私、きょうお聞きしたいのは、まず、橘川参考人と鈴木参考人に、この間の原子力規制委員会における東電の原発運転の適格性の問題について、先ほど阿部委員からも御質問がありました、関連してお尋ねしたいんです。
 私、やはり、この原発の事故の問題をめぐっては、まだまだ解明されていない問題がある。その点では、新潟県において検証委員会が立ち上がり、米山知事が三つの検証が必要だということを述べています。事故原因の解明であり、避難の問題についての検証が必要だ、それから、事故による健康への影響や避難生活などについての検証が必要だ、こういう三点での検証が求められているということを述べているわけです。
 やはり、事故原因についても、地震動による重要機器への影響がどうなっているのか、この間の裁判でいえば、津波について予見できていたのではないのか、こういう問題もありますし、新潟県の検証委員会の指摘の中で、メルトダウンに係る東電のマニュアルが存在をしていたということがこういうことでも明らかになってきたわけで、まだまだ究明、解明、検証の途上だということも示していると思います。
 私、そこでお尋ねしたいのが、やはりこういった事故原因の検証、また広域の避難計画の実効性の検証、事故による健康や避難生活への影響の検証、これらがまだ途上であるにもかかわらず、東電の原発運転の適格性の判断を本当にできるのかと率直に思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいということ。
 あと、益田参考人にお聞きしたいのが、議会におけるこういった行政監視、日本は問題ありという御指摘があるということで、この点についてもやはりどうするのかということが問われているところだと思っております。課題は何なのか、どうすればよいのかということについてお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたい。
 現状、国会においても、例えば会計検査院を活用するという点で報告を求めるような、こういう点での改善措置を行ってきたという経緯もありますし、また、やはり国会図書館というのが、ナショナルライブラリーというだけではなくて、そもそも国会議員を補佐するという大きなシンクタンクとしての役割を持っているわけです。そういったもののより積極的な活用などもあり得るのかなと思うんですが、日本における議会の行政監視機能を高めていく、その点で求められていることが何かということについてお聞かせください。

○橘川参考人 御質問ありがとうございます。
 東電の適格性の問題については、先ほど申しましたように、避難計画の部分については私は疑問を持っていますが、それ以外の部分については、規制委員会で議論しているわけで、私はそれ以上の知識はありません。有識者でありますけれども、なぜ有識者かというと、専門ばかだから有識者なのであって、知らない部分は無識者なんですね、むしろ。私の専門は電力の歴史でありまして、そこの技術的なことについてとやかく言える立場ではありません。
 それと、ちょっと御議論で私はやや違うなと思ったのは、今の議論の立て方だと、永久に事故の検証は済まないという形になると思います。そのためにバックフィットという制度があって、あるところで危険性の最小化で規制委員会がオーケーを出したら、オーケーが出てくると思います。その判断が新しい知見が出て間違っていたら、また原発をとめればいいわけでありまして、永久の暫定基準であり、バックフィットという制度だと思いますので、完璧な形にまで検証が行われないと結論が出ないという立場はちょっと違うんじゃないかな、そういうふうに思います。
 以上です。

○鈴木参考人 今の橘川さんの御意見に近いんですけれども、まず、私、整理しますと、柏崎刈羽が規制基準を満たしているか否か、これは既に、きのう規制委員会はオーケーを出したわけですね。
 二番目に、柏崎刈羽は満たしているけれども、東電が福島事故を受けて反省をしてちゃんと安全第一の組織になっているかどうかというのが、今規制委員会が判断を保留した。これは大変大事な判断基準でありまして、私は規制委員会の判断を評価したいと思いますが、その理由として、今の橘川さんの御意見と一緒なんですけれども、事故の検証が全部終わるまで待っていれば、いつまでたってもなかなか難しいと思うんですね、これを判断するのは。
 最初に、例えばスリーマイルアイランドのときのアメリカの議論や何かを聞いていますと、事故を反省して、それをちゃんと発電所の安全管理に反映できる仕組みができるかどうか、これが大事なんですね。これは、当時は、組織の改善とかメンテナンスの方の規制を入れるとか、仕組みがちゃんとできるかどうかということを誰かがチェックするというふうに。そういう意味では、アメリカの場合にはINPOという組織ができて、産業界全体でTMIの事故の反省をするということが明らかにきちっとなってきたということが大きかったわけです。
 私は、東電だけではなくて、果たして本当に、福島原発の事故を、教訓を踏まえて、日本の電力、原子力全体が教訓を学んでいるかどうかという方がむしろ大事だと思うんですね。そういう意味では、日本でもINPOに倣ったような組織、JANSIといいますが、原子力安全技術協会ができていますけれども、今特に、確かに東電が大事だと思うんですが、事故の検証をまつまでもなく、事故の教訓を踏まえて、新しい組織にして、根本的に原子力発電に対する態度を変える、これがちゃんと見えないと、多分これが新潟県が検証委員会をつくった理由だと思うんですが、これがはっきり見えない限り、確かに再稼働についての不安が残るというのはあると思います。
 ただ、私は、規制委員会で今やっている全体的な活動については評価していますので、さっきの二番目のポイントで、規制基準は満たしているけれども、組織としてどうかということについて今判断を保留したということで、もし規制委員会がオーケーを出せば、私は再稼働していいと思います。あと避難の問題はまた別にありますけれども、これはまた別の問題です。

○益田参考人 御質問ありがとうございました。
 御質問は、日本の議会の行政監視を高めるために必要なことは何であるかという話であったかと思います。
 これは、日本のみならず、世界の諸外国、大統領制をとるのであれ、議院内閣制を採用しているのであれ、さまざまな、いろいろな仕掛けを研究者もそれから政策決定者も議論をして、今でも進めていると思います。
 日本におきましても、これまでも制度論の中で、会計検査院の機能をどうするのかであるとか、立法補佐機関、国立国会図書館もその中に入ってまいりますけれども、そうしたものをどのようにしていくのか、それから、行政府の中になりますけれども、総務省行政評価局といった、かつての行政監察を行っている機関の機能をどのようにしていくのか、今までも数々の議論がなされ、そして、その一部が実行に移されたというふうに考えております。
 今後、これらの制度が、例えば、政策評価が二〇〇一年に導入されましたけれども、その政策評価がどのような機能を発揮しているのかということを政府として検証した、つまり議会が主導して検証したということは、今まで起こっていないのではないかと思います。ですので、今、国会を取り巻くさまざまな政策情報を提供しているところがどんな情報を出して、それが議会にとってどのように判断できるのか、どれだけ有用な情報として機能しているのか、そうした検証を行うことは重要ではないかと思っています。
 直接のお答えになっているかわかりませんけれども、この評価を評価する、また政策情報を出している組織の情報の出し方を検査する、調査するといったことは、まだ不十分ではないかなというふうに考えております。