国会質問

<第195特別国会 2017年12月01日 内閣委員会 3号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、国家公務員の非常勤職員の実態と、その処遇改善について質問をいたします。
 国の各機関において多数の非常勤職員が勤務し、公務、公共サービスを支える重要な役割を果たしています。それなのに、その身分は不安定であり、処遇は低く抑えられてまいりました。
 まず、国家公務員の非常勤の職員数について内閣人事局に確認をしたいと思います。
 二〇一四年から二〇一七年にかけて、委員や顧問、参与あるいは無給の保護司を除いた非常勤職員、その数は何人か、お答えください。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 内閣人事局が調査を実施いたしました一般職国家公務員在職状況統計表によりますと、二〇一四年から二〇一七年の七月一日時点での非常勤職員数は、委員、顧問、参与、保護司を除くと、二〇一四年は七万三百十人、二〇一五年は七万六十人、二〇一六年は七万七千二百六十九人、二〇一七年は七万八千八百二十三人となってございます。

○塩川委員 二〇一七年、七万八千八百二十三人、この間だけでも大きくふえているわけであります。
 この間、総人件費抑制政策、定員合理化計画のもと、常勤職員数が減り続ける中、国家公務員全体に占める非常勤職員の割合は二割を超える事態となっております。
 重ねて内閣人事局にお尋ねいたしますが、このような非常勤職員の現状を踏まえて、国家公務員の非常勤職員の給与に係る当面の取り扱いについてという全府省の申し合わせを行っておりますが、その趣旨と主な内容について説明をお願いしたい。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 非常勤職員の給与については、一般職給与法の規定により、各府省において、常勤職員の給与とのバランスを考慮して予算の範囲内で支給することとされており、具体的には、非常勤職員の給与に関する人事院の指針に基づき支給されているところでございます。
 その実態について、昨年、内閣人事局において調査を行ったところ、期末手当や勤勉手当の支給、給与法改正を踏まえた基本給の改定時期など、一部の項目について、取り扱いに差異があることがわかったところでございます。
 この調査結果や民間における同一労働同一賃金の議論なども踏まえて、本年五月には、来年度以降、段階的に、一つとして、非常勤職員に対して期末手当や勤勉手当を支給していくこと、二つとして、当面は、遅くとも改正給与法施行の翌月には非常勤職員の給与が改定されるように取り組んでいくことなどについて各府省で申し合わせたところでございます。

○塩川委員 各府省において取り扱いに差異がある、こういう点がよろしくないということでの改善策の一環として行う。答弁ありましたように、期末手当とともに勤勉手当の支給ですとか、遅くとも給与法改正の施行日の次の翌月から実施をするとか、こういう答弁がありました。
 そういう点でも、職務内容を踏まえ、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等を考慮して決定する、こういう点などが指摘をされているものであります。
 この間の非常勤職員を初めとした公務労働者の処遇改善を求める運動のあらわれであり、我が党議員など国会論戦を通じて、一定の改善を図ることになったわけであります。
 大臣にお尋ねいたしますが、こういった申し合わせを踏まえた今後の取り組みについてぜひお聞きしたい。各府省において処遇改善がどのように行われているのか、やはりしっかり把握もし、公表もすべきではないのか、その点も含めて、お答えをいただきたいと思います。

○梶山国務大臣 国家公務員の非常勤職員については、民間部門における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消という考え方なども踏まえて、その処遇改善を進めていくことは重要と認識をしております。
 今後は、本年五月の申し合わせ、また、先ほどもありました七月に改定された人事院の指針に沿って、各府省が非常勤職員の処遇改善にしっかりと取り組んでいくことが重要と考えておりまして、その実効性を上げるために、引き続き関係機関とも連携しながら、必要な取り組みを進めてまいりたいと思っておりますが、塩川議員御指摘のようなことも踏まえて検討してまいりたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、実効性を上げるために必要な取り組みということで、私が指摘しました、各府省の実態を把握し公表する、このことも含めて対応方を求めていきたいと思っています。
 重ねて大臣に伺いますが、先ほど答弁にもありましたように、ただ、この実施を行う際には、来年度以降、段階的に実施をするという書きぶりになっているわけです。私は、同一労働同一賃金の観点を考えたら直ちに是正をすべき問題ではないのかという点では、段階的などと言わずに直ちに実施をする、このことを強く求めたいと思いますが、いかがですか。

○梶山国務大臣 先ほどお話がありましたように、期末手当や勤勉手当の支給、そして基本給の改定の時期等の差異があるということ、それらを直ちにということですけれども、できる限りの努力をしてまいるということであります。

○塩川委員 給与という処遇に係る根幹の部分で差異があるという状況は直ちに解決をしなければいけない、そういう予算措置をしっかりと行うべきだ、このことを強く求めておくものであります。
 それで、次に人事院にお尋ねしますが、人事院の平成二十七年度年次報告書を見ると、「非常勤職員の処遇等」という項に、「従来常勤職員が担っていた業務を非常勤職員が代替して恒常的に担っているような実態が仮にある場合、そのような業務には常勤職員を任用することが適当である。」と述べております。
 これは、非常勤職員は公務の職場で欠くことのできない役割を果たしているということを示すものではありませんか。人事院にお尋ねします。

○一宮政府特別補佐人 御指摘の記述は、平成二十七年度の年次報告において、特別テーマとして「在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響」ということを取り上げる中で言及しているものです。
 この報告に当たっては、各省の人事担当部局に聞き取り調査を行いました。調査の中で、組織・定員の合理化に伴い、若年層が極端に少ない人員構成となっている地方機関などにおいては、かつては若年層の職員が担っていた定型的な業務等を非常勤職員で代替するなどの取り組みを行っているという状況が聞かれました。
 こうした状況の中で、能率的で活力ある公務組織を維持することが必要であるという観点から、非常勤職員の処遇等についても課題の一つとして挙げる中で、御指摘の記述を行っているものでございます。

○塩川委員 定員合理化のもとで若年層が少ないという職場の現状がある、ですから常勤の仕事を非常勤が担っている、こういう現状があるということを人事院として把握もし、このような指摘を行ったところであります。
 大臣にお尋ねいたしますけれども、このように、常勤職員の業務を非常勤職員が恒常的に担っているという実態がある、であれば、このような恒常的、専門的かつ継続的な職務を担う非常勤職員は常勤化を図るべきではありませんか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の常勤化の問題ですけれども、国家公務員の場合は、常勤職員として採用する場合には、国家公務員法に基づきまして、採用試験などによって常勤職員としての能力の実証を行う必要があることを御理解いただきたいというふうに思っております。
 ただ、非常勤職員につきましても、公平、平等の採用試験など、常勤職員としての能力の実証を行うための手続に応募する機会は広く与えられているところでございまして、こうした手続を経て常勤職員として採用されることはあり得るものと考えております。

○塩川委員 大臣からぜひ一言。

○梶山国務大臣 各府省の実態をよく見ながらやっていきたいと思いますけれども、まず第一、先には、先ほど委員が御指摘ありましたように、民間の同一労働同一賃金の実現に向けた検討を含む働き方改革の動向も注視しながら、今後の対応について、ぜひ、その格差をなくすというか、待遇格差を是正することに実効が上がるように、まずは検討、努力をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 人事院総裁に定員合理化という答弁がありましたように、恒常的、専門的業務を担う非常勤職員の常勤化を図るために、政府の総人件費抑制政策を転換し、定員合理化計画の撤回、総定員法の廃止など、定員管理政策の抜本的な見直しが必要だ、このことを申し上げて、質問を終わります。