国会質問

<第195特別国会 2017年12月06日 内閣委員会 4号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 梶山大臣と、大臣所信質疑の際に、官民癒着の質問をさせていただきました。途中だったものですから、きょうはその続きということで、最初におさらいです。
 人事院にお尋ねいたしますが、官民人事交流制度、民間企業から国に来る場合の交流採用で、雇用継続型における服務や給与に関する規制はどうなっているか、また、そのような規制を設けている理由は何か、この二つでお答えください。

○福田政府参考人 お答えいたします。
 官民人事交流法におけます交流採用職員の服務等につきましては、交流元企業の業務に従事することや、交流元企業に対する許認可等の業務を行う官職につくことができないことなどとされておるところでございます。
 また、給与につきましては、国が給与を支給することとされ、交流元企業から給与補填は禁止されているところでございます。
 このような規制を設けている理由でございますけれども、交流採用職員は交流元企業への復帰を前提として採用されるものであることから、公務員が国民全体の奉仕者であり、公務の公正性等が設けられていることを踏まえまして、このような措置が講じられているところでございます。

○塩川委員 お答えいただきましたように、官民人事交流制度は民間企業への復帰を前提にしているということであります。雇用もそもそも継続しているわけです。
 その際に、交流元企業の業務に従事をすること、もとの出身企業で働くことは禁止だよと。それから、国が給与を支給して、民間企業からの支給は受けられません、つまり、出身企業からの給与はもらってはいけませんという仕組みになっているということです。そうなっている理由として、やはり公務の公正性、これに疑念が生ずることがないようにということでありました。
 内閣官房にお尋ねしますが、先日伺った健康・医療戦略室における民間企業出身の非常勤職員の方、参事官補佐、主査の方、民間企業ですと十一人でしたけれども、この方たちは出身企業との雇用が継続しているということでよろしかったですね。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 そのように認識してございます。

○塩川委員 ですから、健康・医療戦略室における民間企業出身の非常勤職員の方々は、出身企業との雇用が継続をしている、その身分で仕事をしておられるということです。
 そうしますと、一方の官民人事交流制度との対比でいった場合に大きな違いが出るわけですが、同じようなところをお聞きしますけれども、この健康・医療戦略室における民間企業出身の非常勤職員の場合に雇用が継続をしているということですが、出身企業で勤務することに規制はあるんでしょうか。また、出身企業から給与を受けることについての規制はあるんでしょうか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました職員は非常勤の職員でございますが、一般論で申し上げて、非常勤職員と申しましても従事する職務や期待する役割も多様であることから、民間企業との雇用が継続されている非常勤職員が当該企業の業務に従事すること、あるいは当該企業から給与を受けることについて、国家公務員法上、一律の規制は設けられていないところでございます。

○塩川委員 一方の官民人事交流制度は出身企業から給与をもらうことはできません、また、勤務をすることもできませんとなっていますが、内閣官房にある内閣官房副長官補室の分室である健康・医療戦略室という、まさに政府の政策の企画立案に所属するような、政府内でも重要なポストにいる非常勤職員の方々が、民間の出身の企業から給与を受けることの妨げもないし、働くことも妨げがないという点では、余りにもアンバランスではないかと思うわけです。
 大臣にお尋ねしますけれども、このように、民間企業に所属して国の機関で働いている点は同じなのに、一方の官民人事交流制度では企業での勤務や給与を受けることが禁止され、他方の政府の中枢の内閣官房で企画立案に参画する非常勤職員の場合は出身企業で働くことや給与を受け取ることについて制約がない。これはやはり、公務の公正性に疑念が生じる事態ではないのか。
 そこでお尋ねしますが、この非常勤職員、たくさんいろいろあります、一律ではできませんというのはもう前回御答弁いただいたんですが、このように、内閣官房などの政府の中枢で企画立案に従事するような非常勤職員について、いわゆる官民癒着防止の観点での規制を設ける、そういう考えはありませんか。

○梶山国務大臣 前回もお尋ねがあって、その続きということでありますが、各府省において、国の重要政策課題に対応するために、民間の専門的な知見を有する者を非常勤職員として採用している場合もあるところであります。今の委員の御指摘のところもそうであります。
 一方、民間から来た非常勤職員の活用によって官民癒着等の疑念を抱かれるようなことがあってはならないと認識をしております。
 このようなことも踏まえて、非常勤職員においても、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など国家公務員法の服務に関する規定が適用されており、その的確な運用とともに、補助金の交付などについても適正になされることが必要と考えております。

○塩川委員 補助金を受け取っている企業との、いろいろな規制がかかったりとか守秘義務がかかったりとかというのはたくさんあるわけですけれども、しかし、政権の中枢での企画立案という極めて重要な部署に、特定企業の、まさに営利企業の営利を追求するような観点で企画立案されるという疑念が浮かぶということは、やはり官民癒着の観点から防止をする、しっかりとした規制を図る必要があるんじゃないのかと率直に思うんですけれども。
 今言ったように、いろいろじゃなくて、企画立案という、まさに自分の企業の利益になるような政策をつくるということについて、終わったら戻ります、給料も出ている可能性だってあるわけですから、それはやはりおかしいでしょうとなると思うんですけれども、それはいかがですか。

○梶山国務大臣 先日、最後にも塩川委員からお話があって、私自身も検討課題として認識しているというお話をさせていただきましたけれども、まだ御指摘から間もないところでありますけれども、そういう検討課題として認識をしているということであります。

○塩川委員 わかりました。極めて重大な問題だと思いますので、しかるべく対処を強く求めるものです。
 そこで、内閣官房にちょっと事実関係でお聞きしたいんですが、健康・医療戦略室では、同一企業の出身者の方が継続して勤務をしております。もちろんお一人お一人の方々は数年単位なんですけれども、複数の方がいらっしゃっている例もあるんです。
 例えば日立製作所は、これはどんなふうになっているのか、説明いただけますか。

○鎌田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の株式会社日立製作所の出身者でございますが、健康・医療戦略室におきましては、まず一人目が平成二十五年九月十三日から平成二十七年九月十二日まで、それから二人目が平成二十七年九月十三日から平成二十九年九月十二日まで、そして三人目が平成二十九年十月二十三日から現在まで働いております。

○塩川委員 三人の方が継続してついておられる。若干、二人目と三人目の方は一カ月ぐらい間があいていますけれども、基本、二〇一三年から継続的にいらっしゃるわけです。
 こういった日立製作所出身の方が健康・医療戦略室でどんなお仕事をしているのかというのはわかりますか。

○鎌田政府参考人 健康・医療戦略室におきましては、医療分野の研究開発の推進、あるいは医療等データの利活用基盤の構築ですとか、あるいは医療の国際展開などの業務があるわけでございますが、非常勤職員の方には、先ほどおっしゃった参事官の補佐あるいは主査として、これらの業務に、それぞれの知識経験を生かして取り組んでいただいているところでございます。

○塩川委員 二〇一五年度以降、日立製作所が、健康・医療戦略に基づき、日本医療研究開発機構、AMEDを通じて受けた補助金の支給額は幾らになるのかを示してください。

○鎌田政府参考人 お答えいたします。
 二〇一五年度、平成二十七年度から、今年度、平成二十九年度の十二月四日までの期間でございますけれども、正確に申し上げますと、日立製作所に対しましては、AMEDから補助金という形では行ってございませんが、委託費という案件では、複数案件ございます。
 この委託費は、いずれも公募によって、外部有識者の評価を経て採択されたものでございますが、合計金額といたしましては、六億六千四百三十万八千七百六十七円でございます。

○塩川委員 六億六千万が三年足らずで交付を受けているということになります。
 日立製作所は、その経営戦略として、医療機器分野へのヘルスケア事業を注力する事業の一つとして位置づけています。来年度の売上収益は、二〇一五年度比の一・三倍化、四千四百億円を目標に掲げている、こんな方針を示しておられます。
 その日立製作所出身者が、このような健康・医療戦略室で継続的に職務に従事をしている。今言った委託費、公費、国費の支出のあり方として、やはり官民癒着と批判されても仕方がないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○鎌田政府参考人 健康・医療戦略室におきましては、繰り返しですが、健康・医療戦略などの企画立案をするわけでございまして、一方、御指摘の研究費の支出については、関係省庁からの要求を計上いたしまして、AMEDにおきましては原則として公募により実施されているところでございます。
 健康・医療戦略室の非常勤職員は、そうしたAMEDにおける個別事業の採択等の一連のプロセスには関与していないところでございます。

○塩川委員 具体的な事業、研究開発のメニューですとかというのは、当然その室の中での議論があるわけですよ。どういう方向で取り組んでいるのかという全体像が見える中での、こういったさまざまな委託などについての公募となれば、おおよその見当をつけてとか、そういう疑いも含めて疑念が持たれるのは当然だろうと思います。
 こういった民間企業と政府の機関の接点というのは、何も参事官補佐、課長補佐クラスだけではないわけですね。
 例えば、健康・医療戦略室には、健康・医療戦略推進本部に対して政策的助言を行う健康・医療戦略参与会合というのが置かれています。戦略室の所掌に係る専門的事項について意見を述べることになっています。この健康・医療戦略参与会合に、一般社団法人日本医療機器産業連合会が入っています。現在の医療機器産業連合会の会長企業はどこかというと、日立製作所なんですよ。日立製作所でヘルスケアビジネスユニットCEOを務めている方が、医療機器産業に係る業界団体の要求を政府の政策に反映する仕事をしているわけなんです。
 この日本医療機器産業連合会がまとめた産業ビジョン、二〇一三年の三月ですけれども、これを見ると、国への要望項目として、政府による政策の総括のための司令塔の機能強化とオール・ジャパンの支援一元化の整備を求めるとあります。これに呼応するように、翌二〇一四年の通常国会で健康・医療戦略推進法案が提出され、成立をし、健康・医療戦略を閣議決定し、医療分野の研究開発を促す環境整備と助成業務を行う日本医療研究開発機構が設置をされました。健康・医療戦略をトップダウンで行う体制づくりになっています。まさに、医療機器産業連合会が要求したオール・ジャパンの支援一元化の整備そのものという実態があるわけです。
 次期経団連会長に名前が挙がっております日立製作所の中西氏は、未来投資戦略をつくる未来会議のメンバーで、ここでも政府の成長戦略の立案の中心に座っています。
 ですから、課長クラスでもかかわっているし、常務のクラスでも参与会合にかかわっているし、社長などトップのレベルでもかかわっているという点では、重層的に民間企業及び業界団体の代表が政府の重点政策に直接関与することで、大企業、財界の利益が優先される仕組みをつくっている。
 大企業、財界の利潤追求をトップダウンで推進する司令塔として内閣官房の機能強化が行われていることは極めて重大だ。このような財界奉仕の政治の転換こそ求められていることを述べて、質問を終わります。