国会質問

<第196通常国会 2018年01月25日 議院運営委員会 3号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
  森田祐司検査官候補者にお尋ねします。
 第一に、憲法第九十条の意義についてです。
 憲法第九十条においては、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」と規定をしております。
 戦前、機密費は調査対象から除外をされ、軍事関係費は旧会計検査院法の適用が除外をされ、増大する軍関係経費等を検査できなかった反省から、日本国憲法は全てを対象とするとして、このような例外を認めないことを明らかにしたのではないでしょうか。この点についてのお考えをお聞かせください。

○森田参考人 御質問ありがとうございます。
 まさに全てということで、国の収入支出に関して検査の聖域なしという精神でもって会計検査をさせていただいているというふうに考えております。

○塩川委員 第二に、この憲法九十条と秘密保護法との関係についてです。
 このような憲法第九十条ができた歴史的経緯を鑑みれば、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあると行政機関が判断すれば秘密指定書類の提供を拒めるという措置は容認できないのではないのか、秘密指定された書類も検査対象とするのか、この点についてお答えください。

○森田参考人 御質問ありがとうございます。
 そのような特定秘密保護法におきましても、検査上必要な書類、証拠書類はしっかりと検査をしていく、いけるという体制になっているというふうに認識しております。

○塩川委員 三点目に、防衛費の検査についてです。
 憲法は、前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と明記をし、財政民主主義を確立しました。これは、過去の戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政、国民生活を破綻させた痛苦の体験があったからです。
 一方、この間、防衛調達長期契約法によって、防衛調達は国庫債務負担行為の年限を十年へと延長する。長期契約だけではなく、後年度負担や秘密保護法の縛りもある中で、FMSの話もありました。
 この間増加をしている防衛費の会計検査について御苦労していることがあれば、お聞かせください。

○森田参考人 ありがとうございます。
 御指摘のように、防衛費は通常の国の支出に比べてやはり特殊な部分があろうかと思います。今御指摘のFMSもそうですし、あるいは原価計算に基づいて予定価格を算定するとか、今の長期にわたるとかという、特殊といいますか、そういう面があろうかと思います。
 我々も、ずっと防衛費の検査をやっていく中で、それぞれの特殊性に鑑みて、起こり得るリスクでありますとか問題点、そういうようなところも踏まえて、今後とも防衛費の検査、しっかりやっていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 最後に、学校法人森友学園への国有地売却問題に関する会計検査院報告書についてお尋ねします。
 会計検査院は、約八億円の値引きの根拠となったごみ撤去費について、十分な根拠が確認できないと指摘をしました。残された決裁文書で、国交、財務両省と森友学園の詳細なやりとりなどが確認をできず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えないと述べております。
 森友学園との交渉記録などを廃棄した財務省などの対応は会計事務の適正さを極めて欠いているのではないのか、この点についての御所見をお聞かせください。

○森田参考人 ありがとうございます。
 その点につきましても検査をさせていただき、検査報告の中でも、文書管理を今後しっかりやっていただくように、問題点があったのでしっかりやっていただくようにと、こういうところを所見に述べさせていただいて、改善をお願いしているところでございます。

○塩川委員 その対応が本当にそれでよかったのか。要するに、財務省のその書類は実際には廃棄をしていた、こういう対応そのものが極めて重大だと思うんですけれども、この点について、会計検査院の立場からお考えのところをお聞かせいただけないでしょうか。

○森田参考人 ありがとうございます。
 実際にそのような事態というものが検査の結果わかってきたところでございまして、その点を検査院としてもまず明らかにする、そして改善を促していく、このような形での報告で、我々もまずはその報告を出させていただいたということかと思っております。

○塩川委員 ありがとうございました。

―――自由質疑―――

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。  過去、その不透明な支出が問題となってきた内閣官房報償費、いわゆる官房機密費の検査についてお聞きします。  今月十九日、最高裁が一部の文書の公開を命じる判決も話題になりましたが、三類型ある官房機密費のうち、調査情報対策費、活動関係費は領収書等支出先が確認できるものを保存することになっていますが、官房長官が直接扱う政策推進費については、いつ、誰に、どのような目的で幾ら支払ったのか、適切に記録する仕組みがありません。まさに官房長官しか知り得ないことがある。それなのに、菅官房長官は、会計検査院に報償費の執行について直接説明を行うことはないと国会で答弁をしていました。  官房長官が直接扱う官房機密費について、会計検査院はどのような検査を行っているのかをお尋ねいたします。

○森田参考人 御質問ありがとうございます。  先ほども申し上げました計算証明という形で、今回開示が認められました部分についてはきちっと書類を提出されているところでございます。  実際に、実地検査といたしましては、役務提供者等の領収書の関係書類の提示を受けたりとか、あるいは関係者の方々の説明を受けたりなどして検査をしておるところでございます。