国会質問

<第196通常国会 2018年03月30日 内閣委員会 6号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 森友学園事件に係る公文書の改ざん事件ですけれども、安倍総理の、私や妻が関係していたら、総理もやめる、国会議員もやめる、こういう答弁が公文書改ざんの契機となったのではないのかという疑念は拭えません。
 幹部人事の一元管理のもとで、官邸の意向に逆らえない、あるいは追随する事態が生じているのではないのか。二〇一四年五月三十日に発足した、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担うとされ、幹部人事の一元管理を行っているのが内閣人事局であります。府省の部長、審議官級以上の人事、六百八十人以上を管轄しております。
 官房長官にお尋ねをいたします。この幹部職員人事の一元管理の趣旨と具体的な内容についてお答えください。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 幹部人事一元管理制度は、内閣の重要政策に応じた戦略的人事配置を実現し、縦割り行政の弊害を排除して各府省一体となった行政運営を確保することを目的に、平成二十六年の国家公務員法改正により導入されたものでございます。
 幹部人事一元管理に係る具体的な手続は、大きく分けて、適格性審査と任免協議の二つのプロセスから行われることとされております。
 まず、適格性審査でございます。
 任命権者である各大臣が行った人事評価結果等の客観的資料に基づき、あらかじめ定められた客観的な基準に照らし、官房長官が当該職員の幹部候補者名簿への記載の可否について判断を行うことを基本としており、当該審査は公平中立に行われる仕組みとなってございます。
 次に、その後の任免協議についてでございます。
 各大臣が幹部候補者名簿に記載された者の中から人事案を作成し、当該人事案について総理及び官房長官と協議し、その結果に基づいて人事案を決定することとなっており、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなってございます。

○塩川委員 適格性審査の話と任免協議の話がありました。
 任免協議についてですけれども、幹部職員を任免する際に、あらかじめ適格性審査を経て幹部候補者名簿に掲載されている者の中から任命権者たる各大臣が作成した人事案について、内閣総理大臣及び官房長官と協議を行うということです。
 官房長官、お聞きしますけれども、総理、長官から任命権者に対して協議を求めることが可能となっていますが、官房長官にお尋ねしますが、この任免協議に際しては人事検討会議を開催すると承知をしておりますけれども、この人事検討会議というのはどういうことを行うのでしょうか、直接の担当省で。どうぞ。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 人事検討会議は、任免協議等に関し、内閣として適切に対応するため、内閣官房長官及び三副長官を構成員として内閣官房長官が開催するものでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 官房長官が主宰をして、三副長官によって構成をされるということでありますけれども、この人事検討会議について、開催頻度ですとか、任免協議の手順とか、こういうのは具体的にはどういうふうになっているんでしょうか。

○菅国務大臣 基本的な考え方について、私から御説明させていただきたいと思います。
 先ほど来申し上げていますけれども、まず、任命権者、これは大臣であります。大臣は、そこで人事評価をします。大臣は、全体を、各省庁を、そこは掌握しているわけでありますから。その大臣の人事評価を受けて、適格性審査、幹部候補者の名簿作成、ここまで人事局でやるわけでありまして、そして、任命権者である大臣が任用候補者を選抜をするわけであります。ですから、基本的には大臣の比重が極めて大きいということも御理解いただけると思います。
 そして、その後に任免協議をやるわけでありますけれども、そこで人事検討会議、当然、総理、官房長官、そして最終的には任命権者である大臣ともここで御報告をしながら行うわけでありまして、総理が了承した時点で閣議等にかけて、その任命権者である大臣から任命をすると。
 ですから、今申し上げました人事検討会議というのは、大臣が任用候補者を選抜した後で、その全体の方針、例えば女性登用何%だとか、各省庁交流とか、いろいろな人事についての、事前に方針をつくりますから、そうしたことの中で官房長官、三副長官、人事局長でそうしたことを行うということであります。

○塩川委員 適格性審査の実施、幹部候補者名簿の作成、まあ、ここまで人事局が行って、そこからの任免協議については人事検討会議で行うということで、官房長官が主宰をし、三副長官で行うということです。
 それで、ちょっとその辺をもう少し詳しく教えてほしいんですが、任命権者たる各大臣が作成した人事案について、この人事検討会議で任免協議を行って、総理に報告をし、その後、総理の了承を得たら閣議の決定を経て、その人事について任命権者の大臣が執行する、この流れはそういうことでよろしいんでしょうか。

○菅国務大臣 基本的にそういう考えであります。
 その任免協議自体においても、当然そこは任命権者である大臣とも、人事検討会議で、外すというんですか、そういうときは当然大臣と協議をするという形になるわけでありますけれども、今日までそういうことはありません。

○塩川委員 この任免協議について、先ほど、大臣の選抜の後で任免協議を行う際に、女性の比率の話ですとか、あるいは府省間の人事交流とか、そういう観点も踏まえてというお話もありました。
 その点、この任免協議はどのような判断基準に基づいて行われるのかについて確認をしたいんですが。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 任免協議の手続は、任命権者である大臣が、あらかじめ客観的基準に基づく適格性審査を経て幹部候補者名簿に記載されている者の中から、これもあらかじめ閣議決定されております採用昇任等基本方針等において定める内閣の重要政策に応じた能力・実績主義による人事配置や女性職員の登用の推進といった指針に沿って人事案を作成し、内閣総理大臣と官房長官に協議を行い、その結果に基づき人事案を決定するもので、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなってございます。
 なお、適格性審査の客観的基準でございますが、これは、全府省に共通する職制上の段階に応じて行われる能力評価及び業績評価を用いて、過去及び直近の評価結果によって適格、不適格を判定するものであります。
 また、あらかじめ閣議決定しております採用昇任等基本方針、これには、主なポイントといたしましては、女性登用の一層の推進、府省間の人事交流の一層の推進、採用職種にとらわれない登用の推進、内閣官房、他府省、海外、地方など、多様な勤務経験を有する者の登用の推進、こういうことがあらかじめ決定されてございます。
 また、任免協議においては、個々の人事案について、それぞれの官職ごとに求められる専門的な知識や経験等の有無を考慮した適性に基づき判断を行っている、こういうことでございます。

○塩川委員 任免協議においてはということでお聞きしていますので、そうすると、政府全体の人事方針であるこの採用昇任等基本方針、それと官職の適性に基づいてということであるわけですけれども、この官職の適性というのはどのように評価しているんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 まさに、それぞれの官職ごとに求められる専門的な知識経験等の有無を考慮して判断をする、こういうことでございます。

○塩川委員 具体的な官職について、それが務まるかどうかの能力を見るというお話ですけれども、なかなかよくわからない話であります。客観的な基準というふうに示されているわけではない。
 それと、政府全体の人事方針であるこの採用昇任等基本方針ですけれども、幹部職への任用に関する指針を見ますと、「内閣の重要政策に応じた戦略的人材配置を実現し、縦割り行政の弊害を排除して各府省一体となった行政運営を確保できるよう、幹部職員人事の一元管理が導入されたことを踏まえ、政策課題への取組方針とその実現のための人事配置との関係を明確にし、適材適所の任用を行うものとする。」とあるんですけれども、これよりも何か、もう少し詳しく具体的に、指標ですとか項目とかを示されているものはあるんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました平成二十六年六月二十四日の閣議決定の基本方針に記載しております。それ以上の詳細な方針等はございません。

○塩川委員 詳細なものはないということであります。
 それで、官房長官にお尋ねしますけれども、先ほどちょっと関連してお話がありましたが、この任免協議によって任命権者の人事案を拒否した事例というのはあるんでしょうか。

○菅国務大臣 それはなかったと思っています。

○塩川委員 その辺がよくわからないところで、例えば、二〇一七年六月三日の毎日で、二〇一五年夏の総務省の幹部人事で、高市総務大臣がある幹部の昇格を提案したが、菅官房長官はそれだけは許さないと拒否、この幹部は菅氏が主導したふるさと納税創設をめぐる規制緩和に反対していたという報道がありますけれども、これは事実ですか。

○菅国務大臣 全く事実無根であります。

○塩川委員 実際に、この任免協議において、任命権者の人事案を拒否する、それは受け入れられませんねという判断基準というのは、実際にはどういうふうにされておられるんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 任免協議の手続は、先ほども申し上げましたが、任命権者である各大臣が、あらかじめ、客観的基準に基づく適格性審査を経て、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、先ほども出ましたが、閣議決定されております採用昇任等基本方針等において定める、内閣の重要政策に応じた能力・実績主義による人事配置や女性職員の登用の推進といった方針に沿って人事案を作成し、内閣総理大臣と官房長官に協議を行い、その結果に基づき、人事案を決定するものであり、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなってございます。
 したがいまして、客観的基準を満たさない者は基本的に幹部候補者にはなれず、また、採用昇任等基本方針の趣旨等に沿わない人事案は適切な人事案ではないということになるということでございます。

○塩川委員 ですから、名簿に載っている人で、この人がいいですよと大臣が出してきたときに、実際に任免協議で話をするときには、先ほど紹介していた採用昇任等基本方針の幹部職への任用に関する指針で、これは四行ぐらいしか書いていないわけですよね。それは個々の事例での判断ということですから、実際の任免協議において何か客観的な基準があるというのではなくて、実際には、そこでの判断というのが、いろいろな要素が入り得るということが見てとれるわけであります。
 例えば大臣が上げてくるような幹部人事の案について、複数の名前を出してくる、そういうことというのもあるんですか。

○菅国務大臣 現実的にはほとんどないと思います。

○塩川委員 そうすると、実際に上がってきたものについて、官房長官として、いわば、今、話をしているような指針に基づいてといった場合に、なかなか、具体的な指標があるわけでもないと。非常に幅のある判断ということになるわけですけれども、実際には、そこはどういうふうに考えておられるんですか。

○菅国務大臣 人事局があります。人事局でそこは事前に調整をするというふうに思っています。

○塩川委員 ですから、客観的かどうかというのはまた評価がありますけれども、客観的な基準で上げてくるということでの前段階の整理は人事局でしますよということですけれども、最終的には任免協議においての判断ということで、人事検討会議があり、総理に報告して、承認を受けての閣議決定という流れという場合に、任免協議における議論がどうかというところについての具体的な基準、指標というのが示されていない。それはまさに個々に判断ということですから、非常にそこの部分が、やはり幹部の任用に当たって、その過程が外から見えない、ブラックボックスということを言わざるを得ません。
 これは、拝見したいろいろな文書の中で、例えば内閣官房副長官を務めた古川貞二郎氏は、内閣人事局を設置した二〇一四年の国公法改正に厳しい批判を寄せておられて、この改正が、公務員の志や心情がどれだけ考慮されたか疑問だと。最大の問題は、内閣人事局の創設によって、官僚に対する政治家の恣意的人事が行われるおそれが高くなることで、これは絶対にあってはならないことだと述べておられますが、こういう指摘については、長官はどのように受けとめておられますか。

○菅国務大臣 今、全て承知の上のいろいろな、そういう質問なんだろうというふうに思います。
 かつては、事務次官会合、ここを通らなければ閣議にかけることができない、そういう時代もありました。委員も御承知だと思います。
 まさに議院内閣制というのは、どうしても官僚がそれぞれ、国益なくして省益とか、そういう考え方で行われる危険性というのがあるわけであります。大統領制であれば、それは大統領がかわれば全部かわってしまう、局長クラスは。
 そういう中で、今回、私どもの人事局制度というのは、この議院内閣制の弊害をなくし、そして、国民から負託を受けた政治によって、その政策に向いている、賛同をされる、そうした公務員を評価するというんですかね、従来の、官僚が物事を決めるということではなくて、やはり政務が決める、方向性を出す、そういうことであります。

○塩川委員 先ほど言ったように、人事検討会議のやりとりというのが客観的な指標とかということではなくて、個々に判断という点でいうと、やはりその過程が見えてこないブラックボックスだと。そこに総理や官房長官による恣意的な人事運用になりかねないという懸念の声はあるわけで、私もそう思っております。
 もう一つ、別の観点からお聞きしたいんですが、この採用昇任等基本方針の、幹部職への任用に関する指針で、先ほども紹介しましたが、縦割り行政の弊害の排除というのがあります。先ほど長官もおっしゃっておられましたけれども、省益、その弊害という話だったわけですけれども、この縦割り行政の弊害の排除というのはどういうものを指しているんでしょうか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 グローバル化や情報化の進展等により経済社会情勢が激しく変化する中で、複雑高度化するさまざまな行政課題に対して政府として迅速かつ的確に対応していくためには、これまでの省庁の枠組みだけではなく、各省庁に横串を刺して、政府が一体となって取り組んでいくことが求められる場合がふえてございます。
 例えばということでございますと、農林水産業の輸出力強化を戦略的に確実に進めるための攻めの農業ということがございます。こういう政策をより強力に推進するということを狙いまして、平成二十八年に農水省、経産省の局長級の人事交流、こういうことがございます。
 また、例えば、二〇二〇年に東京で開催されますオリンピック、パラリンピック、これもまさに国を挙げて、全省庁的に取り組む課題でございます。
 内閣官房に関係省庁の優秀な職員を集めて一体となった職務に当たっている、こういうことでございます。

○塩川委員 この内閣人事局をつくる国公法の改正の際に幹部人事一元管理の議論を担っていたのが当時の担当大臣だった稲田大臣ですけれども、稲田大臣は、その当時に、縦割り行政の弊害の排除について、きちんと規制を排除した官僚が登用される仕組みが必要だと述べていました。
 過去、稲田大臣の記者会見等々の発言でも、規制改革との関係で、岩盤のような規制を排除する、そういう幹部が登用される仕組みが必要だということを述べておられるんですが、きちんと規制を排除した官僚が登用される仕組みというのが幹部人事の一元管理ということですね。

○原政府参考人 今御指摘にあったような視点が国の重要政策であるという場合は、そのようなこともあろうかと思います。

○塩川委員 例えば、二〇一三年六月二十五日の稲田大臣の記者会見では、規制改革会議を見ていても、やはりこの縦割り行政の弊害というのは排除しなければならない、なぜこんなに岩盤のような規制がいつまでも残っているのかというと、やはり省庁ごとの縦割りがあって、なかなかその規制を取り払うことのインセンティブが働かない。省庁を横断した形の人事をやるということは、縦割り行政の弊害を除去することについて非常に有益だと述べています。
 縦割り行政の弊害を排除するとして行う幹部人事の一元管理というのは、岩盤規制を取り除く官僚が登用される仕組みをつくるということになります。
 そこでお尋ねしますけれども、安倍政権は、雇用や医療、農業などの分野を岩盤規制といって、産業競争力会議や規制改革推進会議、国家戦略特区諮問会議などを使って規制緩和を推進しようとしてまいりました。この間の問題となっております労働者の長時間労働、過労死を招く裁量労働制の拡大や残業代ゼロ法案、我々が指摘をしてきた高度プロフェッショナル制度なども、労働者、労働組合の反対を押し切って、これらの会議体を使い、内閣官房、内閣府主導で推進をしてきました。その内閣官房、内閣府に多数の各省の幹部がいわば集められて、こういったものを推進をしてきているわけであります。
 長官にお尋ねしますけれども、この幹部人事の一元管理というのは、内閣官房、内閣府を中心にして、こういった労働の問題のような国民の暮らしを守るためのルール、規制を排除することに熱心な幹部を登用するということを目指すものになっているんじゃありませんか。

○菅国務大臣 まず、政権というのは、国民に対して実現をしたい政策を掲げて選挙に臨んで、多くの国民の御理解を得て負託を受けた政党が政権をとるわけであります。ですから、国民に約束した政策を誠実に実行に移す責任が政党にはあるわけであります。
 そういう中で、例えば私たち安倍政権というのは、経済再生最優先で選挙を戦わせていただきました。そして、アベノミクスという三本の矢を矢継ぎ早に放つ。また、改革については、例えばインバウンド、八百三十万人だったのが一挙に約二千八百七十万人までふえました。インバウンドがこれだけふえたという一つの大きな要因というのは、まさにビザの緩和。これはまさに岩盤だったんです。こうしたものを政治の力でビザ緩和をする。あるいは、免税品も限られていましたけれども、これも大幅に拡充をしました。
 こうしたことによって、一兆一千億円の消費だったのが、去年は四兆四千億円ぐらいまでになっていますから、こうしたことというのは一つの大きな成果だというふうに思いますし、農業もそうです。農業改革も総理は徹底して行っております。例えば、四十二年間続いた減反制度を見直しをしました。さらに、農業の大規模化ということにも今着手をしております。そして、守る農業から攻める農業。
 そういう中で、まさにそうした改革方向に理解を示す、公務員の中立性や公平性が損なわれないような中で幹部人事を行って、そうした政策に協力をいただいていける公務員を登用するという、ある意味では当然のことじゃないでしょうか。

○塩川委員 いや、労働時間規制はどうなのかという話なんですよ。長時間労働、過労死を招くような労働時間の規制の緩和を行うということについて、これを主導的にやっているのは内閣官房であり内閣府であるわけですよね。そこに、岩盤規制を取り除くという仕組みの中でそういう方向を打ち出してきているのが安倍政権でありますし、そのために使う人材を内閣官房や内閣府に引き上げていくというのが、幹部人事の一元管理が実際にやっている中身なんじゃないですか。労働時間規制についてはどうですか。

○菅国務大臣 今回、国会で成立を私たちはお願いしようとしているこの働き方改革、罰則つきの長時間労働の規制というのを今回初めてさせていただきますし、同一労働同一賃金もそうじゃなかったでしょうか。あるいは、みずからの働く時間帯も成果主義の中で行っていく。こうしたことは、長時間労働というのはなくしていくという中の法案を、これはまた別の問題として出させていただきますから、そういう中で御議論をすることが大事だと思います。

○塩川委員 労働組合や労働者が反対の中で強行しようとしているのがこの労働時間規制の緩和であるわけで、こういうのを推進するようなのが今の幹部人事の一元管理のもとでの内閣人事局のやってきていることだということを厳しく指摘をしなければなりません。
 最後に、国家公務員の再就職の関係でも、直接の担当は官房長官だと承知をしております。再就職等監視委員会がありますが、第一次安倍政権が天下りを自由化した際につくった仕組みであります。
 これも私は国会でも取り上げてまいりましたけれども、国交省の組織ぐるみの天下りあっせん問題を指摘をして、再就職監視委員会はそれを取り上げたわけですが、私が示したわたりですとか玉突き、固定ポスト、こういった人事について、二十一ポストにわたる玉突き人事を指摘したのに、二ポストしか違法性を認定しなかったのが監視委員会の現状であって、機能していないというのは明らかであります。
 この間、再就職等監視委員会は、二〇一七年の一月に文科省の天下り事案の調査結果を発表しましたが、事件発覚のきっかけは大学からの情報提供を受けたものであり、同委員会が主体的に行動して摘発したものじゃありません。
 その後の経緯を見ても、前川潰しに政治利用したという疑念は拭えないわけで、幹部人事の一元管理体制を担う内閣人事局と一体で、再就職監視委員会は公務員を退職後も管理するために利用されているんじゃないのか、このことを厳しく問われなければならないと思います。
 幹部人事の一元管理が、官邸による恣意的な介入を可能とするものであり、モリカケ問題のように、安倍首相夫妻のお友達を特別扱いする仕組みとなり、財界が要求し、労働者が反対をしている労働や医療などの規制緩和を推進するための官僚機構をつくるというものだと。
 憲法が規定する全体の奉仕者としての公務員のあり方を変質させる、中立公正の公務員制度を壊す内閣人事局は廃止をし、民主的な公務員制度への改革を強く求めて、質問を終わります。