国会質問

<第196通常国会 2018年04月06日 内閣委員会 8号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 質問します。
 最初に内閣府に確認しますけれども、地域経済活性化支援機構は、今後の活動について、ファンド運営業務にて地域経済牽引事業を支援の対象の中心に置くと説明をしております。
 これは、安倍政権が進める未来投資戦略二〇一七において、機構の役割を、地域経済牽引事業について、地域経済活性化支援機構などを活用したリスクマネー供給促進を図ると位置づけたことによるもので、地域経済牽引事業、稼ぐ力のある個別の企業へ支援を特化する地域未来投資促進法を推し進める、そういう中で行われるものと承知していますが、よろしいですか。

○三井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、未来投資戦略二〇一七におきましては、地域金融機関と地域経済活性化支援機構との共同運営ファンドからのエクイティー資金の供給やハンズオン支援、機構から地域金融機関への専門家派遣を通じたノウハウの移転、浸透、日本人材機構の活用による人材支援等の取組の強化について、機構の機能発揮が期待されております。
 それから、地域未来投資促進法におきましては、地域経済牽引事業を促進する観点から、国、地方公共団体や、中小企業基盤整備機構と地域経済活性化支援機構との連携及び協力について規定がされているところでございます。
 なお、昨年十二月におきましては、経済産業省におきまして、地域経済牽引事業の担い手の候補として地域未来牽引企業二千百四十八社が選定されているところでございますけれども、そのうち十三社は既にこのREVICが運営するファンドからの投資先でございまして、こういうことも踏まえまして、しっかり機構としては関係機関と連携、協力しまして地域経済牽引事業の促進に貢献をしてまいりたいと存じます。

○塩川委員 地域経済牽引事業を促進するということでの話がありました。
 経産省ですかね、地域未来投資促進法に基づく埼玉県鶴ケ島ジャンクション基本計画というのがあります。この基本計画において、特に、当該区域の産業構造の特徴における自動車関連産業についてはどのように記載をしているでしょうか。

○田川政府参考人 お答えをいたします。
 御質問ございました埼玉県鶴ケ島ジャンクション周辺地域基本計画の中での自動車関連産業の記載でございますけれども、この中では、自動車関連産業のティア1からティア3まで幅広く裾野産業が立地し、製造業出荷額等では輸送用機械器具製造業が約二九%を占めているでございますとか、本区域には大手自動車メーカーとその傘下の取引企業等の輸送機械器具製造業が集積しているなどの記載がされているところでございます。

○塩川委員 埼玉県側の方で今段取りしていますこの埼玉県鶴ケ島ジャンクション基本計画というのは、埼玉県西部地域になりまして、そこには非常に自動車産業の集積があるということ、この自動車産業の集積がある埼玉県西部地域において、その集積の核となっているのがホンダの狭山工場であります。しかしながら、この狭山工場が閉鎖をすると発表されたことに、地元では大きなショックが広がっております。
 昨年の十月四日、狭山工場の閉鎖計画を発表したホンダは、二〇二一年までに狭山の完成車工場を寄居工場に移管をする、狭山工場の今後については地元の皆さんと、どのように活用するのがよいか、二〇二一年に向けて議論していきたい、我々の事業計画を含みながら展開していきたいなどとしております。
 しかしながら、それ以上の話が全く聞こえてこないんですね。昨年十月の記者発表以降、ホンダはこの中身について何の説明もしていないと承知をしているわけですけれども、大変大きな、地域への、経済においても果たしている役割は大きいですし、雇用でも大きな役割を果たしているわけです。
 こういったホンダ狭山工場の閉鎖計画について、経産省、厚労省はどのように把握しておられますか。

○上田政府参考人 お答え申し上げます。
 ホンダが埼玉県の狭山と寄居にあります完成車工場を二〇二一年度を目途に寄居工場に集約する旨、昨年十月に発表したということは承知をしているところでございます。
 電動化でありますとか自動運転といった新技術の急速な進展等により、自動車産業が大転換期に直面する中、日本の生産機能の強化のために、最新の技術機能を備える、生産機能を備える完成車工場に機能を集約していくということだというぐあいに理解をしております。
 ホンダによれば、狭山工場の従業員は寄居工場を中心に異動をしていただいて、これまで培ってきた生産ノウハウを最大限生かすということでございます。また、これまで操業の理解を得てきた地元自治体と対話をしながら対応を進めているというぐあいに聞いております。
 いずれにしましても、雇用や地域経済への影響につきましては、引き続き、その状況をしっかりと注視をしてまいりたいというぐあいに考えております。

○小林政府参考人 お答え申し上げます。
 従業員の方、現在、約四千六百人ほどいらっしゃるというふうに承知をしております。
 会社の方の方針といたしましては、集約をされる寄居工場を中心に異動を行うというふうに聞いておるところでございますが、御家庭の事情等によって転勤できない従業員の方等を含め、雇用への影響につきまして、管轄側の、埼玉労働局でございますが、そちらの方で情報収集を行っておるところでございます。

○塩川委員 経産省に確認しますけれども、寄居工場において、今お話があったように電動化とか自動運転とか、そういうのはわかるんですけれども、狭山工場の方をどうするんだということについて何にも説明がないのはおかしいんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

○上田政府参考人 お答え申し上げます。
 ホンダの方も、これまでの操業に理解を得てきた地元自治体としっかり対話をしながら対応を進めているというぐあいに聞いておりますし、ホンダの方からも、雇用や地域経済への影響を最小限に抑えるように対応を図っているというぐあいに聞いておりますので、引き続き、その状況をしっかり注視をしていきたいというぐあいに思っております。

○塩川委員 いや、だから、その説明が全くないんですよ。それはおかしいと言わざるを得ません。
 従業員は寄居工場を中心に異動するというお話がありましたし、厚労省の方は、転勤できない従業員のこととか、そういうような点での懸念もあるという情報収集の話もありました。
 会社は四千六百人の雇用は守ると言いますけれども、同じ埼玉県内でも四十一キロも離れているのがこの寄居工場です。みんな行けるとは限らない。寄居にそもそも受け入れるだけの仕事があるのかとか、寄居までは遠くて通えないという声も寄せられておりますし、寄居工場を中心にと言われていますので、会社は鈴鹿製作所の従業員をふやす予定とも説明をしており、三重県への異動もある。こんなことになれば、子育てや介護のことなどを考えると、とても心配であります。
 期間従業員の雇用は守られるのか。数百社に上る下請、関連企業の仕事と雇用は大丈夫なのか。最寄りの新狭山駅前のホテル利用者の九割はホンダ関係者だとお聞きしました。地域の商店、飲食店はどうなるのか。ホンダに土地を貸している地権者の方も大きな影響が予想されます。その地域とともに生きるというのがホンダの経営方針だったはずであります。
 厚労省に質問しますが、大量離職者が発生する可能性があり、雇用調整の規模が大きく、地域経済に対する影響の程度が甚大である場合には、雇用対策本部を設置するとしています。雇用対策本部を設置する考えはありませんか。

○小林政府参考人 お答え申し上げます。
 雇用対策本部でございますけれども、雇用調整の規模が大きく、地域経済、雇用への影響が懸念される場合に、自治体あるいは関係団体と連携しながら再就職支援を行うために、必要に応じて設置をしておるものでございます。
 本件でございますが、必要がもちろんございますれば雇用対策本部を設置するということになってくるわけでございますが、現時点におきましては、必要な情報収集を行っておる段階でございます。
 いずれにいたしましても、地方公共団体等と連携をしながら、地域における雇用の維持、安定のために必要となる支援というのを機動的に行っていくようにしてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 雇用に影響が出ないのが当然いいわけで、そういうことこそ我々はホンダに求めますけれども、今言ったように、四千六百人の雇用に影響が出るという問題があるんだから、それに対してどう構えるのかというのは厚労省として当然のことじゃないですか。こういうことについてしっかりやるべきだということを申し上げたい。
 大臣にお尋ねをいたします。
 今やりとりしましたように、ホンダの狭山工場閉鎖というのが雇用や地域経済に大きな影響がある。この点について、ホンダの方は、四千六百人の雇用は守ると言いながらも、実際に異動が可能なのかという心配の声もありますし、地域経済がどうなるかということについては、表の話では何も出てこないわけですよね。こういった労働者や取引先や地元自治体、地域住民にきちんと説明するというのは、ホンダが果たすべき最低限の責任であって、その説明責任が果たされていない。
 大臣、ホンダの企業としての社会的責任、問われているんじゃないでしょうか。

○茂木国務大臣 事実関係につきましては、経済産業省そしてまた厚生労働省の方から答弁させていただいたところでありますが、個別企業の経営判断につきまして、私の立場でコメントすることは控えたいと思います。

○塩川委員 いやいやいや、茂木大臣は、経済産業大臣のときにホンダのお話をされていましたよね。ホンダ寄居工場もマザー工場として新たに建設をするということでお話もされておられました。まさに個別企業の話をされていたわけですから。
 そのマザー工場を寄居につくったのはいいけれども、今度は狭山工場の方を閉鎖するという話ですから、こういった問題について、一企業の話であっても大きな社会的責任を持つホンダのこういう工場の閉鎖計画について、大臣としてのしっかりとした所感をお聞きしたいと思うのは当然じゃないでしょうか。改めて。

○茂木国務大臣 当時、日本の企業がグローバル展開をする中で、本来マザー工場として日本に持っていた工場がかなり老朽化をして、業界では、マザー工場ではなくてグランドマザー工場だ、こんなふうに呼ばれる状況が生まれる中で、新規投資をする。やはり日本に基幹となるような工場をつくるということは業界全体としても日本経済全体としても望ましいことである、そういう文脈の中で申し上げたわけでありまして、ホンダがどうしている、日産がどうしている、トヨタがどうすべきだ、こういう文脈では申し上げておりません。

○塩川委員 いや、あのときのやりとりというのは、ホンダの寄居工場の話を私がしたときに、「一旦つくり始めたのをとめたんです。」と大臣がおっしゃって、「ところが、安倍政権になって、新しいアベノミクスのもとで国内も変わっていくということで、世界の中心になるようなマザー工場をホンダもつくるようになってきた。」、アベノミクスの成果だということを言っているんですよ。
 マザー工場をつくったらアベノミクスの成果で、じゃ、狭山工場閉鎖というのはアベノミクスの結果じゃないんですか。こういうことについて、閉鎖の問題についてどんな影響があるのかについて、当然大臣としての所感があってしかるべきじゃないですか。

○茂木国務大臣 私、議事録を見ておりませんが、当時の記憶でお話を申し上げていますが、全体の文脈として申し上げると、私が先ほど言ったように、日本に基幹の工場ができていく、こういう状況は望ましいことだ、こういう文脈の中で申し上げていると思います。

○塩川委員 ホンダは、二〇〇六年に寄居工場建設計画を明らかにしたときに、狭山工場を最新鋭の生産拠点にイノベーションすると発表もしていたわけです。その話はどこに行っちゃったんだと。
 ホンダはこの間、売上げ、収益をふやし続けて、内部留保も積み増して、その額は、国内でトヨタ、三菱UFJ、NTTに次いで第四位、七兆四千八百億円となっています。黒字経営のホンダが、なぜ狭山の完成車工場を閉鎖しなければならないのか。
 中国など外国でもうけるから国内の工場は閉鎖するなどというのでは納得いかないわけで、多国籍企業の利益と国民、地域経済の利益が一致しなくなっている、そういう中での多国籍企業への利益を優先するようなアベノミクスのあり方そのものが問われているということを申し上げておきたい。
 大企業の雇用と地域経済への社会的責任を棚上げにし、産業集積、産地振興を投げ捨てているのが安倍政権の地域産業政策の実態だということを指摘して、質問を終わります。