国会質問

<第196通常国会 2018年04月11日 内閣委員会 9号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、加計学園のいわゆる首相案件問題について質問をいたします。
 加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画をめぐって、二〇一五年四月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官と藤原豊地方創生推進室次長らと面会した際の記録文書があると報道されました。中村時広愛媛県知事は、文書は会議に出席した県の職員が報告するため備忘録として書いたものと判明したと、県の職員が作成した文書であることを認めました。この文書は、国家戦略特区の説明資料として愛媛県が内閣府や文科省、農水省に配ったということを中村知事も認めているところです。
 官房長官にお尋ねいたします。政府として、この文書の存在を把握しておられますか。

○菅国務大臣 政府としては、そのような文書は承知をしておりません。
 報道を受けて、加計学園の獣医学部新設をめぐる愛媛県と関係府省庁、そのやりとりに関する文書については、昨日、事務の副長官から、報道のありました内閣府、文科省、農水省、厚労省の事務次官に対して、確認するよう指示をいたしました。現在、関係府省において速やかに確認を進めているところだというふうに考えています。

○塩川委員 中村知事は、文書は会議に出席した県の職員が報告するための備忘録として書いたものと判明したと述べたわけですけれども。
 愛媛県の方は、もうこの文書の内容を真正のものと認めているわけなんですよ。それについて、当然、一方の当事者である政府の方は、この文書の内容を認めるのか否定をするのか、その点、いかがですか。

○菅国務大臣 この点については、柳瀬元総理秘書官がコメントを出しているんじゃないでしょうか。そして、政府としては、現在、関係府省庁に速やかに確認を進めているところであります。

○塩川委員 柳瀬氏のコメントもそうですけれども、柳瀬氏の国会答弁が虚偽なんじゃないのかということが極めて問われているわけであります。
 文書では、柳瀬首相秘書官が本件は首相案件と述べたといいます。また、藤原氏が要請の内容は総理官邸から聞いていると述べたということです。これらの文書の文言は、文科省内で発見された文書において藤原氏が総理の御意向とか官邸の最高レベルが言っていることと発言していたということと、非常に符合しているわけであります。
 安倍総理が関与しているということを否定できるんでしょうか。

○菅国務大臣 総理が国会で答弁してきているとおりだと思っています。

○塩川委員 文書では、柳瀬首相秘書官が本件を首相案件と述べているわけです。
 国家戦略特区の仕組みですけれども、その基本方針では、直接の利害関係を有する議員については審議及び議決への不参加が規定をされています。加計学園の獣医学部新設の特区というのは、安倍首相の腹心の友の案件であります。このような首相案件の審議に安倍総理自身が議長として諮問会議に出席するということは、そもそもこの基本方針で規定をしていることに反することになるんじゃありませんか。

○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 安倍総理が本件に関しまして利害関係人に相当するかどうかという点につきましては、単なる友人関係につきましては、これは該当しないというふうに整理をしてございます。
 いずれにしましても、それぞれのプロセスにおいて、適切に法にのっとり判断をして、合意を得てきたものというふうに理解してございます。

○塩川委員 この腹心の友との関係について、きょう予算委員会でも、川内議員、少しやりとりがありましたけれども、やはり非常に親しい関係の中でこの問題が出てきているということについて、この愛媛県が作成をした文書においても、その事実関係についても書かれているところであります。極めて重大な問題であります。
 そこで、さらに、官房長官にお尋ねしますけれども、二〇一五年四月時点で加計学園の獣医学部新設が首相案件という話であれば、昨年七月の衆議院予算委員会で、加計学園の獣医学部新設という意向を知ったのは加計が事業者に決まった昨年一月二十日だったという安倍総理の答弁もうそになるわけですけれども、こういったことについては官房長官はどのように考えておられますか。

○菅国務大臣 既に国会で総理が答弁したとおりであります。

○塩川委員 このことも含めて、予算の集中審議の中で明らかにされなければならない。総理の答弁として、この点はやはりしっかりただす必要があります。
 あわせて、柳瀬氏は国会答弁で、私の記憶をたどる限り今治市の方とお会いしたことはないと述べております。これ自身も、この文書との関係でいえば虚偽答弁となるのではないのか。また、国家戦略特区の主担当である藤原豊地方創生推進室次長は、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいと提案をしたということです。これは、藤原氏の、今治市に構造改革特区ではなく国家戦略特区で提案するよう示唆したということはないという過去の答弁がうそということになります。
 こういう点でも、虚偽答弁が問われるようなこの二人について、内閣官房、内閣府を所掌する官房長官として、柳瀬氏、藤原氏に事実関係をしっかりとただす、こういうことを行うべきではありませんか。

○菅国務大臣 所管は私ではありません。
 ただ、いずれにしろ、政府としてあのような文書の存在というのは承知をしていないということです。

○塩川委員 もともと二〇一五年の四月の時点であれば、首相秘書官であり、また内閣府における地方創生推進室の次長という立場ですから、内閣官房、内閣府のもとに置かれている、そういう担当者のかかわる問題ですから、それはやはり官房長官として、当時も菅官房長官であったわけですし、しっかりとただすということが必要じゃないでしょうか。改めて、いかがですか。

○菅国務大臣 いずれにしろ、政府としては、そうした文書は承知をしていないわけでありますし、愛媛県のことであります。そしてまた、柳瀬元総理秘書官も、きのうしっかりとみずからの考え方を、コメントを発表していることじゃないでしょうか。

○塩川委員 承知していないといっても、確認中だということも言っているわけですし、一方の当事者の愛媛県の方は、これはその内容を含めて県の職員がつくったものと認めているわけですから、これが事実でないんだということであれば、これは政府、国の方がしっかりと言うべき話なんですよ。そのことについてきちっと明らかにしないので、これでわかってくれという話にならないということを言わざるを得ません。
 首相秘書官として国家戦略特区を担当していた柳瀬氏は、現在国家戦略特区の方が勢いがあると述べたということですし、また、国家戦略特区の主担当である藤原豊地方創生推進室次長は、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいと提案をした。このように、国家戦略特区を強調するというのは、安倍総理御自身が国家戦略特区に入れ込んでいるからであります。
 安倍総理は、私が提案する国家戦略特区は規制改革の切り込み隊長である構造改革特区の考え方を更に面的なものへと進化させていく、このようなことを述べ、また、規制改革のショーケースとなる特区も総理大臣である私自身が進みぐあいを監督する国家戦略特区として強い政治力を用いて進めますと述べています。
 そういうことは、加計学園の獣医学部の建設というのは、総理自身が進みぐあいを監督するために、構造改革特区ではなく国家戦略特区に切りかえたというのが真相ということになるんじゃありませんか。官房長官、いかがですか。

○菅国務大臣 ただ、この問題は、もう何時間、何十時間か国会で答弁をしたことじゃなかったでしょうか。まさに、この改革を進めるために必要なことであったということは事実じゃないでしょうか。

○塩川委員 去年された議論がことしも行われている、防衛省の日報の問題もそうですし、森友学園の問題も同様なんですよ。一貫して疑惑が解明されていない、いや、逆に深まっているからこそ、こういう議論が積み重ねられているわけです。そういう事態を招いている大もとにあるのが安倍総理御本人なんじゃないでしょうか。そのことこそを今問われているわけで、安倍総理の国政の私物化だ、安倍総理の進退が問われる大問題だと言わざるを得ません。
 藤原氏や柳瀬氏、加計孝太郎氏の証人喚問をぜひとも求めていくことが必要ですし、こういった事態を招く、その根っこにある安倍総理におやめいただくということが今求められているということを述べて、委員長、ぜひ証人喚問について求めたいと思います。

○山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。