国会質問

<第196通常国会 2018年04月13日 内閣委員会 10号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 古物営業法改正案について質問いたします。
 最初に、小此木国家公安委員長にお尋ねいたします。
 そもそも、古物営業法、この目的は何なのか、この点について御説明をいただきたいと思います。

○小此木国務大臣 古物営業法は、同法第一条において「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。」と規定されております。

○塩川委員 犯罪防止、盗品売買を防止するためにこの法律があるということであります。
 本案には、古物商は営業所のある都道府県ごとの許可となっているものを、本店がある都道府県で許可を得れば支店は届出でよいという見直しが入っています。都道府県ごとの許可制度について、昨年十二月の古物営業の在り方に関する有識者会議の報告書では、全国における営業展開が容易になることから、盗品売買の防止等を図るという法目的の達成が阻害されないようにと指摘をしております。
 こういった法目的との関係に照らすと、今回の規制緩和はなじむものなのかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○山下政府参考人 盗品等の売買の防止等という法目的を踏まえ、今回の改正におきまして許可制度の見直しを行うに当たりましても、各公安委員会がその管轄区域内に所在をする古物商に対し指導監督を行うことができるよう、許可を行う主たる営業所等の所在する都道府県の公安委員会以外の公安委員会におきましても、管轄区域内に所在する営業所に対し、指示、営業停止の行政処分等の指導監督を行うことができることとしております。
 さらに、関係府県の公安委員会が許可届出の内容や処分状況等の情報を共有し、効果的に監督を行うことができるよう、関係府県の公安委員会から国家公安委員会にこれらの情報を報告させ、国家公安委員会から各公安委員会に通報する制度を設けることとしております。
 また、営業の制限を緩和し、仮設店舗での古物の受取が可能とするに当たりましても、相手方の本人確認等といった盗品等の売買を防止するための措置を古物商に義務づけ、また、仮設店舗での古物の受取に当たって、その日時、場所を事前に届出させることとしておりまして、その届出に基づき、古物商による義務の履行状況を確認するなど、古物商に対する指導監督を適切に行っていくこととしております。
 このように、今回の法改正案につきましては、盗品等の売買防止等という法律の目的とのバランスを十分に考慮しながら立案するに至ったものでございます。

○塩川委員 規制緩和とバランスをとりながら、指導監督を適切に行う措置をとるということであります。
 現状を確認したいんですが、複数の都道府県で古物商許可を得ている業者、主な大手業者はどんなところがあるのか、簡単に説明してもらえますか。

○山下政府参考人 複数の都道府県において許可を取得している古物商のうち、四十七全ての都道府県で許可を取得しているものにつきましては、例えば、中古車を取り扱うIDOM、カメラ等を取り扱うキタムラ、眼鏡等を取り扱う三城、また、画像機器等を取り扱うリコージャパンといったものがあるところでございます。

○塩川委員 ガリバーですとか、キタムラ、リコー、眼鏡の三城等々のお話がありました。
 リフォーム産業新聞社のリサイクル通信によりますと、昨年の七月ですが、年間中古売上高のトップはゲオ、次いでブックオフ、三位がコメ兵、四位がなんぼや、五位が大黒屋と、いずれも全国展開している企業ですけれども、この五社で二千五百億円近くの中古売上げがあります。
 今回の規制緩和で手続が簡素化をされてメリットを受けるのは、こういう全国展開をしている大手業者であります。お尋ねしますが、結局こういう大手業者のための規制緩和ということではありませんか。

○山下政府参考人 今回の許可制度の見直しにつきましては、委員御指摘の全国展開している事業者もそうでございますけれども、例えば、現在、ある一つの都道府県で許可を受けて事業を営んでいる事業者の方が、例えば隣県に営業所を展開しよう、こういった場合につきましても、これまでは許可をとらなければいけないということで、大変事務負担があったわけでございます。
 この制度改正が行われれば届出で足りるということでございますので、まさに中小規模の事業者にとりましてもメリットがあるものでございますし、昨年行いましたさまざまな事業者に対するヒアリングにおきましても、多くの中小の事業者からこういった制度の改正を望む声というものがあったものでございます。

○塩川委員 この規制緩和のそもそもの発信源は、未来投資戦略二〇一七において、二〇二〇年三月までに、規制改革推進会議行政手続部会決定に沿って、営業の許認可や社会保険に関する手続など、事業者負担の重い分野において、行政手続を行うために事業者が作業する期間について原則二〇%以上の削減を目指すと昨年六月に閣議決定をしているところにあります。
 本来の法の目的よりも行政手続コスト削減という理由で、大手を中心にメリットを受けるような規制緩和だと言わざるを得ません。
 次に、市場が拡大してきているインターネット上での取引について、現状を確認したいと思います。
 経済産業省にお尋ねいたしますが、ネットオークション市場の規模はどうなっているか、そのうちCツーCの市場規模はどうか、大手はどういうところか、その市場占有率とかわかれば教えてください。

○前田政府参考人 お答え申し上げます。  私どもは電子商取引に関する市場調査をやっておりますが、それによりますと、二〇一六年以前の推計値はございませんが、ネットオークション全体で一兆八百四十九億円、今議員御指摘のCツーCに限って申し上げれば三千四百五十八億円、こういう市場規模を推計しております。
 大手ということでございますけれども、現在、ヤフー株式会社が運営するオークションサイトでヤフオク、これが最大手であるというふうに認識しております。

○塩川委員 先ほど一兆八百四十九億円の市場規模、CツーCは三千四百五十八億円。ヤフオクということですけれども、ヤフオクが九割ぐらい占めているというふうに聞いております。
 次に、ネットフリーマーケット、フリマアプリの市場はどうなっているか、大手はどこか、その市場占有率がどのくらいか、その辺わかりますか。

○前田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの電子商取引に関する市場調査の推計では、三千五十二億円、二〇一六年の市場規模の推計でございます。
 そのうちの大手は、株式会社メルカリが運営するメルカリでございまして、市場は、推計いたしますと約五割、半分ぐらいではないかというふうに推計をしております。
 以上でございます。
○塩川委員 市場規模が三千五十二億円、五割がメルカリという話であります。非常に大手の市場占有率が高いということです。フリマアプリ、個人と個人が売買をする取引市場が、ネットオークションの個人対個人の取引に匹敵するほどの市場になっている。同じように今三千億ということになってきています。
 そういう意味では、フリマアプリの市場規模が非常に大きくふえてきているということが言えるわけですが、二〇一二年に初めてフリマアプリが登場してきた。この四年間で大きな市場規模を獲得したというのが特徴だと。「尚、フリマアプリの利用者は引き続き増加傾向にあるため、二〇一七年以降も市場規模はさらに拡大するものと予測される。」と、先ほど紹介していただいた経産省の市場調査でも取り上げているところです。
 ではお尋ねしますが、ネットオークション、フリマアプリでの盗品売買の検挙数の推移がどうなっているのか。統計をとり始めた初年の平成十六年は九百四件と聞いておりますけれども、それ以降の、ピークの平成二十一年以降の数字を、あと二十四、二十五と直近の二十九、そのぐらいの数字はわかりますか。ピークの二十一年と二十四年、二十五年、二十九年、お願いします。

○山下政府参考人 窃盗犯検挙件数における主たる盗品等の処分先のうち、委員お尋ねのインターネットオークションが処分先だった件数でございますけれども、平成十六年から統計をとり始めておりますけれども、ピークは平成二十一年の三千二十六件、平成二十四年が二千五百五十二件、平成二十六年が一千四百七十七件、昨年、平成二十九年は一千六百四十六件でございます。

○塩川委員 平成二十五年は一千百六十四件ですかね。今、二十六年の数字を言わなかったかな。ちょっと、二十五年の数字をもう一回確認。

○山下政府参考人 平成二十五年の件数は一千百六十四件でございます。

○塩川委員 フリマアプリについての調査はあるんでしょうか。

○山下政府参考人 フリーマーケットアプリ等が窃盗事件等の被害品の処分先として利用されている件数につきましては、統計を保有していないところでございます。今後、都道府県警察に対しまして、定期的に実態把握を求めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 平成二十四年の二千五百五十二件が二十五年で千百六十四と大きく減っています。これは、ちょうどフリマアプリが登場した年なんですよね。ですから、ネットオークションからフリマアプリに流れているんじゃないかと考えるのが自然であります。
 しかも、経産省の市場調査で言っているように、今後もフリマアプリ市場が更に拡大するということになると、ネットオークションはあらかじめ決められた期日までは取引は確定しないけれども、フリマアプリの場合は、買い手が応じれば取引が成立をし、手軽に処分して換金したいという利用傾向があると、経産省の調査でも報告があります。盗品売買しやすいということになるのではないのか。フリマアプリでの盗品売買がニュースになっているのに、処分件数を調査していないということも極めて重大だと指摘をしておくものであります。
 今回、有識者会議ではフリマアプリ規制が議論されていましたが、今回の法案には盛り込まれなかった。それはなぜなんでしょうか。

○山下政府参考人 フリーマーケットアプリ等の大手運営事業者、いわゆるメルカリは、昨年十二月から、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始をし、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置の導入を検討しているものと承知をしております。
 また、メルカリにおきましては、本人確認以外にも、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の取引等に係る記録の作成、保存を自主的に行うとともに、出品されている商品への監視等に係る体制を強化するなど、盗品等の売買の防止に向けた対策を行っているものと承知をしております。
 昨年十二月の有識者会議の報告書では、最初から法規制をして新しいビジネスの芽を摘んでしまうということのないように配慮する必要があるという意見もあった上で、フリマアプリ等の運営業者及び業界におきまして自主的な取組を強化しつつあることなどから、まずは自主規制の状況を見守ることとし、自主規制のままでは盗品売買の防止等に関して十分な抑止効果が認められない場合に法規制を検討していくべきとされたことから、今回の改正案は、これを踏まえて起案をしたものでございます。

○塩川委員 自主規制を見守るという話ですけれども、フリマアプリの大手はメルカリですが、二位はどこかというと楽天なんですよ。今回の有識者会議のメンバーに楽天が入っているじゃないですか。そうすると、議論として自主規制というのが、まさにこの大手二社のうちの一角である楽天の要望に沿ったような中身になっている。こういった形が有識者会議で出されているというのに、やはりその妥当性についての疑念が起こるんじゃないのかと思うわけです。
 最後に大臣にお尋ねしますけれども、こういったように楽天が有識者会議のメンバーで入っているから、自主規制となったと言われても仕方がないんじゃないのか、国民の目から見て、成長戦略重視で、法の目的よりも規制緩和先にありきと疑惑を持たれても仕方がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小此木国務大臣 規制のことについては、参議院でも議論をいただきました、指摘もございました。きょう、この委員会におきましても、今後も委員からの指摘もあろうかと思いますが、これは、国家公安委員会としても、関係省庁、警察がしっかりと連携をして監視、注視をしていく。有識者会議においては、今御指摘もありましたように、いろいろな角度から話が出てきています。今回その要請を受けたものでございますけれども、重ねて申し上げますけれども、私たちの監視、注視、これから必要になってくると思っております。

○塩川委員 政策決定過程に疑念が持たれないような対応というのを求めて、質問を終わります。