▼2018年通常国会の取り組み▼【9】選挙制度(1)福島県議選特例法案について質疑(4月4日、倫理選挙特別委員会)(2)開票不正事件/真剣な原因究明を(6月15日、倫理選挙特別委員会)(3)参院選挙区の政見放送/政党所属候補者等だけビデオ持ち込み可能に(6月18日、倫理選挙特別委員会)(4)参院選挙制度・自民党案の論戦

【9】選挙制度
(1)福島県議選特例法案について質疑(4月4日、倫理選挙特別委員会)
 議員立法で提出された福島県議選特例法案について質疑、わが党の修正案を提出した。

 原発事故で国の避難指示による住民避難が続いている状況に鑑み、福島県議会議員の選挙区について特例措置を講じてほしいという福島県議会からの要望を重く受け止めている。

 国勢調査人口と選挙人名簿の基礎となる住民基本台帳人口との間のかい離に対処するため、特例法を立法することは必要だ。自民党らが提出した法案の問題点を指摘し、わが党の修正案を提示した。

(2)開票不正事件/真剣な原因究明を(6月15日、倫理選挙特別委員会)
 相次ぐ選挙管理委員会の開票不正事件。選挙は民主主義の根幹。公務員の選定・罷免権の行使という憲法上保障された国民主権と議会制民主主義上の原則にかかわる問題。真剣な原因の分析・検証を求めました。

 開票作業の作業ミスなどを取り繕うため、選管が白票を水増ししてつじつまを合わせ、隠ぺい工作を行った開票不正事件が2013年参院選、14年総選挙、17年総選挙で相次いで発覚しています。

 わたしは、選挙の正当性が失われる事態だ。現憲法下でこのような開票不正が行われることがあったか――とただしました。

 総務省の大泉淳一選挙部長は、指摘の3例しかないと認めました。

 隠ぺいのため投票用紙を焼却処分した滋賀県甲賀市で開票不正にかかわった選挙事務局長が、その理由について「開票遅れを回避するため」と説明している。法で定めている選挙経費の基準を引き下げ続けてきたことによって、開票時間の短縮を求めるプレッシャーがあったのではないか――とただしました。

 大泉選挙部長は「選挙の執行経費は国民の税金で、ある程度の効率化は当然考えるべき」と答弁。野田聖子総務大臣は「効率的な投開票事務に取り組んでいる事例の周知等のほか、必要な予算の確保に取り組む」と答えました。

 わたしは、選管事務の現場の実態に見合った経費や人員配置とともに、徹底した原因究明を求めたのに対し、野田大臣は「しっかり取り組む」と述べました。

(3)参院選挙区の政見放送/政党所属候補者等だけビデオ持ち込み可能に(6月18日、倫理選挙特別委員会)

 参院選挙区選挙の政見放送に候補者のビデオ持ち込みを条件付きで認める議員立法(公職選挙法)が19日の衆院本会議で可決・成立しました。日本共産党は、一定要件を満たす政党等の所属・推薦候補者だけに可能としたことは不合理だとして反対。自由、社民両党も反対しました。

 本会議に先立ち18日の倫理選挙特別委員会の質疑で、現行の参院選挙区の政見放送の主体は候補者個人となっているのに、なぜ、主体ではない政党等の要件を持ち出すのか―――とただしました。

 提出者の古賀友一郎参院議員(自民)は「多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにする」ための改定であると述べながら、「全ての候補者に認めると品位を欠くものが持ち込まれる懸念がある」として、衆院小選挙区の実績も踏まえ「政党要件という線引きを行う」と説明。

 わたしは、衆院小選挙区選挙の政見放送の主体は候補者届出政党のみで候補者個人には認められておらず、選挙運動の主体の設定が違うにも関わらず、同じ要件を持ち込むことを批判。

 その上で、政見放送が有権者にとって接触しやすく役立つ情報源であるとの調査を紹介。多くの有権者に候補者の政見が伝わり、政策比較できるようにするため、政見放送の改善が必要だ。比例代表や知事選のビデオ持ち込みや手話・字幕の義務化、選管による政権動画のネット公開の検討を提案しました。

 また、国民・有権者が、自らの代表を選び積極的に参加していくためには、複雑な公選法を抜本的に変え、選挙運動の自由を保障すべきだ。

(4)参院選挙制度・自民党案の論戦
1)抜本改革に値せず(7月17日、倫理・選挙特別委員会)
 自民党の参院選挙制度改定案が、今日の委員会で、野党の反対を押し切り強行採決され、自民・公明の賛成により可決しました。

 この日の理事会で、共産・立憲民主・国民民主・無所属の会の4会派は、議会制民主主義の土台である選挙制度の問題の徹底審議を強く求めました。

 与党は、質疑終局・討論省略で採決に持ち込もうと動議を提出。審議続行を求める意見に耳を貸さない平沢勝栄委員長(自民)に対し、野党は不信任決議案を提出しましたが、与党などの反対で否決されました。

 野党の質疑は始まったばかり。十分な審議が必要だ。多数党が自らに都合のよい制度に変えることを強行すれば、議会制民主主義を壊すことになり、到底許されない。

 採決に先立ち、自民党案は抜本改革に値せず、自党の候補者を救済するための党利党略だ――と追及しました。

 2009年最高裁判決を発端とした参院選挙制度改革は、12年・15年の公選法改定で自民党等が抜本改革を先送りしてきましたが、15年改定の附則で「抜本的な見直し」について「必ず結論を得る」と盛り込んでいました。

 今回の案は、安倍首相が「臨時的な措置」と認めており抜本改革に当たるのかただすと――自民党提案者は「(合区解消のための)憲法改正が抜本的見直しだ。今回、(改憲なしでの)最善の策を示した」と答弁。

 わたしは、最高裁は改憲を求めておらず、附則をないがしろにした自民党は責務を果たしていないと批判。自民党案は抜本改革に値しない――と強調しました。

 比例代表選挙に導入する「特定枠」(政党が当選順位を決定する拘束名簿式を一部に採用)について、提案者は「活用するかは政党の判断」、「基本的には(国民が当選順位を決定する)非拘束名簿式を維持する」と答弁。

 これは、各党がバラバラな方式では有権者に混乱をもたらす。特定枠人数と当選者数によっては10万票で落選する一方、1千票でも当選する制度で、国民の理解は得られない。

 合区により選挙区で立候補できない候補者の救済という「自民党の都合」に合わせたものだ――と批判しました。

2)参院選挙制度の改定案強行/本会議で反対討論(7月18日、本会議)
 自民党提案の最悪の党利党略の参院選挙制度(公職選挙法)改定案は衆院本会議で、自民、公明によって可決、成立が強行されました。

 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会など全野党が反対。日本共産党を代表して、わたしが反対討論。

 選挙制度が国民の参政権、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であり、十分な審議もせず押し通すやり方は、国民の理解を得られず、選挙制度改革のあり方として許されない。参院に続き衆院でも、特別委員会で自公と委員長が質疑を打ち切り、討論省略、採決を強行したことに強く抗議しました。

 過去2回、抜本改革を先送りし続けてきたのが自民党です。15年公選法改定で「抜本的な見直し」について「必ず結論を得る」と付則に明記していたにもかかわらず、今回の案も安倍晋三首相が「臨時的な措置」と認めたように「抜本改革」でないことは明らかで、抜本改革を先送りする自民党は責任ある政党とはいえない。

 合区により立候補できない自民党候補を救済するため、比例代表に「特定枠」(政党が当選順位を決定する拘束名簿式を一部に採用)を持ち込むことは到底、国民の理解を得られない。ほぼ全てを「特定枠」にすることが可能で、政党ごとに「非拘束」「ほぼ拘東」の名薄が混在する選挙になる。「特定枠」の候補者への個人名投票も認められることで、1万票で当選する候補もいれば、50万票で落選する人も生まれる。矛盾だらけの梓定枠導入は有権者に混乱を招くだけで、認められない。