▼2018年通常国会の取り組み▼【10】議院運営委員会の仕事(1)安倍政権と対決、野党共闘に尽力(2)衆議院を代表して公式行事に出席(3)2018年度衆院予算に対する意見表明(4)国会同意人事候補者に対する質疑(5)政策秘書資格試験実施規程改定に対する意見表明

【10】議院運営委員会の仕事
(1)安倍政権と対決、野党共闘に尽力
1)政府が通常国会への提出予定法案を説明(1月18日、議院運営委員会理事会)
 西村官房副長官が出席し、1月22日召集の通常国会に政府が64本の法案を提出予定であることを説明。

 残業代ゼロ・過労死ラインの長時間労働容認の「働き方改革」法案や、カジノ実施法案、TPP関連法案について、社会と国民生活に重大な影響を与えるもの。提出すべきではないと主張。

2)与党による法案の強行採決に抗議(3月16日、議院運営委員会)
 与党が強行審議・委員会採決を行った、子ども子育て支援法案と在外公館法案の本会議上程に反対する討論を行いました。森友公文書改ざん事件解明に背を向けながら、政府法案だけ強行に進める与党の姿勢を厳しく批判しました。

3)ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託に反対(5月17日、議院運営委員会)
 自民・公明は、野党の反対を押し切り、ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託を強行しました。わたしは、議院運営委員会で反対の意見表明を行いました。

 ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託の強行は、審議入りしたばかりのTPP11整備法案の質疑打ち切りを意味するものであり、引き続くカジノ実施法案の審議強行を図ろうとするものとなり、反対であることを述べました。

4)カジノ法案審議入りに反対(5月21日、議院運営委員会理事会)
 衆院議院運営委貝会の理事会で、自民、公明両党はカジノ実施法案を22日の本会議で審議入りすることを提案しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会の野党各党が「ギャンブル依存症など重大な問題がある」として審議入りに強く反対しましたが、古屋圭司委員長の職権で日程を決めました。

 わたしは「TPP関連法案の審議打ち切りを前提に、カジノ実施法案の審議入りを決めるなどとんでもない」と厳しく批判。「カジノ実施法案は刑法に反して賭博を合法化するものであり、ギャンブル依存症など重大な問題がある」と強調し、法案への反対を表明しました。

 他の野党からも、「(審議入りは)受け入れられない」(立民)、「違法性や依存症の問題があるなかで審議に入るべきではない」(国民党)などの批判が相次ぎました。

5)民間参入促進の水道法改定案の委員会付託に反対(6月27日、議院運営委員会)
 自民・公明の与党と日本維新の会は6月27日の衆院議院運営委員会で、水道事業への民間企業の参入を促進する水道法改定案を衆院厚生労働委員会に付託することを日本共産党など野党の反対を押し切って決めました。

 議院運営委員会では、日本共産党のほかに立憲民主党、国民民主党、無所属の会が反対しました。

 わたしは議院運営委員会理事会で、国民の生存権を保障する水道事業の公共性を後退させる水道法改定案の審議は認められないと述べました。

6)改憲手続き国民投票法改定案/憲法審査会付託に反対(7月2日、議院運営委員会理事会)

 改憲手続きのための国民投票法改定案(自民、公明、維新、希望の党共同提出)を憲法審査会に付託することを決めました。

 わたしは、そもそも今国会は、安倍政権の下、改ざん、ねつ造、隠ぺい、虚偽答弁など、国会の行政監視機能、国政調査権を侵害する憲法ないがしろの政治がまかり通ってきた。憲法の議論などできるわけがない。国民は安倍改憲を望んでいない。改憲の一里塚となる国民投票法改定案の審議は認められない――と反対しました。

7)総理・外務大臣の外遊/野党は「国会軽視」と反対(7月6日、議院運営委員会理事会)
 議院運営委員会理事会で政府が安倍総理と河野外務大臣の海外出張について説明し、野党は国会軽視の対応だと反対し、理事会の了承を得られませんでした。

 河野外務大臣が海外出張中に国会審議出席のためチャーター機を利用し「質問は2問しか出なかった。1問が何千万円だ」などと発言した問題。

 わたしは、国会出席を軽んじる発言だ――と批判。安倍総理の外遊日程も当初より大幅に延長されており、大臣には国会での応答義務(説明責任)があり、それを果たすべきだ。

 立憲民主・国民民主・無所属の会の各党各派も「国会会期を一方的に延長しておきながら、国会軽視も甚だしい」などと指摘。

 古屋議運委員長は、河野大臣発言について「よろしくない」と苦言を呈すものの、「政府の判断で対応を」と述べました。

8)自民案を倫選特付託/野党は本会議質疑を要求(7月13日、議院運営委員会)
 比例代表に「特定枠」を設ける自民党の参院選挙制度改定案について、本会議での質疑を行わず政治倫理・選挙特別委員会に付託することを、自民、公明の賛成多数で決めました。議会制民主主義の土台をなす問題で自民党の一方的なやり方は許されないとして、共産、立憲民主、国民民主、無所属の会、維新はそろって反対しました。

 わたしは、参院では与党が賢疑を打ち切り、討論を省略する動議を強行した。審議は尽くされておらず、衆院では本会議から質疑すべきだ――と主張。抜本改革に値しない自民党の党利党略の案に対し、世論調査でも反対が7割にのぼるなど、主権者・国民の理解は得られていない――と批判しました。

9)古屋議運委員長の政治資金パーティ収入過少申告疑惑ただす(7月18日、議院運営委員会理事会)
 古屋圭司議院運営委員長(自民)は、政治資金パーティーの収入を実際より少なく申告した疑惑(7月17日付朝日新聞報道)をめぐり、議運理事会で、経過と事実関係を書面で報告しました。

 書面では、報道されたパーティー券販売数を記したノートの存在を認める一方、記事内容とは違う点も確認されたとして、さらに調査をすすめると説明。

 日本共産党など野党は「説明責任を果たしていない」と批判し、関連資料の提出を含め、国民が納得できる明確な説明を求めました。

 書面では「ノートは事務所の政治資金パーティー券を販売した秘書がパーティー券の配布先及び配布枚数を規則したもの」と説明。実際の購入枚数とされる赤ボールペンで丸のついた数字について「赤丸で囲まれた数字と通帳などへの個々の入金額が一致しないものがある」「『赤丸数字=販売枚数』ではないケースが確認できた」と強調しています。

 野党は、赤丸数字と販売枚数で一致するものは何件あるのか、一致するものを足し上げていった結果、収支報告書の申告金額は過少になるのではないかと追及。

 古屋委員長は、弁護士・専門家に調査を依頼しており、調査を進めないと答えられないと述べるにとどまりました。

 わたしは、国会運営を担う議運委員長には高い倫理性が求められる。疑惑を明らかにしていない議運委員長の下で、「新たな日程を協議するわけにはいかない――と表明しました。

 しかし、与党と古屋委員長、野党の反対を押し切り、職権で今日の本会議開会を決めました。

10)国会の権威を失墜/古屋衆院議運委員長解任案に賛成討論(7月19日、本会議)
 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党の6野党・会派は、古屋圭司衆院議院運営委員長(自民党)が安倍政権の悪法強行に加担し、自身の政治資金パーティー収入の過少申告疑惑でも説明していないとして、同委員長解任決議案を衆院に共同提出。本会議で賛成討論に立ちました。

 今国会で問われたのは安倍政権による改ざん、ねつ造、隠ぺいなど、民主主義の土台を根底から突き崩す異常事態に対して、国会が政府監視機能を果たすかどうかだ。古屋氏が疑惑解明に背を向け、国会を冒涜する安倍政権に追従し、国会の権威を失墜させた。

 古屋氏の職権による本会議開会などが20回に及び、重要法案を与党単独の質疑で進め、野党の質疑権を奪ってきた。「働き方」一括法、カジノ実施法案、自民党の党利党略の参院選挙制度改定など、最初から最後まで職権による強行運営で、政府・与党いいなりで悪法の審議促進に手を貸した責任は重大だ。また過少申告疑惑では、議会運営の要を担う議運委員長が、国民と国会に納得のいく説明をしないのは、民主主義の健全な発展に、極めて重大な問題をもたらす。

 決議案は自民、公明両党などの反対で否決されました。

11)衆院でも障害者雇用の水増し/雇用確保の仕組みを提案(8月29日、議院運営委員会庶務小委員会)
 議院運営委員会庶務小委員会・図書館運営小委員会において、衆院事務局・国会図書館事務局から、障害者雇用に関して報告がありました。

 衆院事務局は2017年度に10人、18年度は16人。国会図書館は17年度18年度それぞれ10人の水増しがあったことを明らかにしました(障害者雇用で短時間労働者は0.5人で計算されます)。

 水増しが生じた理由について「障害者雇用促進法に定める障害者雇用の対象範囲の解釈に誤りがあった」と説明しました。

 わたしは、障害者の雇用を確保する採用の仕組みを考えることが必要だ。大本には公務員削減がある。定員管理の在り方を含めた見直しが必要だ――と指摘。

 向大野新治・衆院事務総長は「障害者の選考採用や国会内のバリアフリー化を検討したい」と述べました。

(2)衆議院を代表して公式行事に出席
1)日中議会交流委員会に出席し、発言(1月23日)
 中国の立法機関である全人代代表と衆議院との意見交換の場である日中議会交流委員会が東京で開催され、環境問題などについて発言しました。

 相互理解、相互信頼を深める場として、毎年実施し、今回で10回目になります。

2)クウェート国国民議会議長一行が大島衆院議長を表敬訪問(3月13日)
 クウェート議長の訪日は45年ぶり。マルズーク・アリー・ムハンマド・スネイヤーン・アル・ガーニム議長は「この訪問を機に、両国の国会と国民の信頼が深まることを願っている」と述べ、大島衆院議長は「東日本大震災でのご支援にお礼申し上げたい。議員交流が活発になることは重要」と応じました。

 クウェートは、四国と同じ面積で、人口約428万人(内クウェート人131万人)。1961年に英国から独立。湾岸諸国の中で最も古い憲法と議会制度をもつ立憲君主国といいます。

 クウェート国民議会は一院制(民選議員+全閣僚)。任期4年。定数10の5つの大選挙区から選出。選挙権はクウェート国籍をもつ21歳以上の男女。被選挙権はクウェート国籍をもつ30歳以上の男女。

3)オーストラリア連邦議会議員団一行が大島衆院議長を表敬訪問(4月17日)
 5人の一行のうち議長を除く4人は女性です。議会の女性比率は3割といいます。 オーストラリアは上院と下院の二院制。下院議会の定数は150。任期は3年。小選挙区制です。

 選挙権は、18歳以上のオーストラリア国民及び1984年の連邦選挙法改正以前からオーストラリアに永住し選挙人名簿に登録している英国国民が有しています。供託金は、下院で1000豪ドル(8万3千円)。ちなみに日本の衆院選挙の供託金は、小選挙区300万円、比例代表600万円です。

4)日本EU議員会議参加者を歓迎/衆参議長主催のレセプションに出席(5月9日)
 衆院議長公邸で行われた日本EU議員会議参加者を歓迎する衆参議長主催のレセプションに出席。笠井亮議員と一緒に参加者と交流しました。

5)李克強中国首相が大島議長を表敬訪問(5月10日)
 今年は日中友好条約40周年。李首相は「相互理解を深める良い機会。議会間交流、国民的な交流が深まることを願っています」と述べました。

 大島議長は、7月に訪中し、栗戦書全人代常任委員長を訪問することを明らかにしました。

6)フランス共和国国民議会議長一行が大島議長を表敬訪問(5月31日)
 ド・リュジ議長は「今年は日仏友好160周年、意義深い。気候変動問題など連携していきたい」と述べ、大島議長は「議員同士の交流が活発になることを願っている」と応えました。

7)大島衆議院議長中国親善訪問議員団の一員として中国へ(7月23242526・27日)
 中国の国会である全人代の招待を受け、親善訪問。栗戦書・全人代常務委員会委員長、李克強・国務院総理との会見や中国企業(ファーウエイ・京東集団など)訪問、地方視察(西安市・深圳市)などを行いました。

(3)2018年度衆院予算に対する意見表明(1月18日、議院運営委員会)
 常任委員会や特別委員会の委員長手当は、12年に衆院で「委員長手当廃止法案」が可決されている。特権的手当だとして廃止を求めた。 

 文書通信交通滞在費について、在京議員にも「滞在費」分を支給することは国民の理解を得られない。見直しを主張。 

 わたしは、憲政記念館を議会博物館として発展させていくことの検討や、過去の国会審議のビデオ映像の公開の手立てをとることを提案。いずれも、今後検討していくことになった。

(4)国会同意人事候補者に対する質疑
1)会計検査院の森田検査官候補(現検査官)と杉本公正取引委員会委員長候補(現委員長)の聴聞(1月25日、議院運営委員会)
 森田検査官候補に対して、秘密保護法に基づく秘密指定された書類の扱いや森友疑惑の文書廃棄の問題、防衛費や官房機密費の会計検査などについて質問しました。憲法90条には「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し」とあります。戦前、軍事費を聖域とした歴史の反省があるからです。森田候補は「検査に聖域なしの立場で取り組んでいく」と述べました。

 杉本候補に対しては、独禁法改正に関して、日本経団連や自民党の要求に応えた公取委の対応は、他から指揮監督を受けることなく独立して職務を行う3条委員会としての役割を果たせていない、と指摘しました。

2)立花宏人事官候補(再任)の聴聞(2月22日、議院運営委員会)
 「国家・国益に奉仕する公務員」を掲げる安倍政権が2014年の国家公務員法改定で幹部人事を内閣人事局で一元管理し、首相官邸が各府省の幹部人事に関与する仕組みがつくられた弊害が、「森友・加計」疑惑などに表れている。前文部科学事務次官の前川喜平氏が、在任当時、官邸から課長級人事にまで「差し替えろ」「処遇しろ」と指示されたと語ったことを示して、経団連時代から幹部人事一元管理を主張してきた立花氏に見解をただした。

 立花氏は「マジョリティー(多数議席)を取った政党が内閣を組織し、内閣が掲げる政策を実現すべく政策チームを動員する。その結果については、次の選挙で国民が判断を下すという対応だ」と、“総理・官邸奉仕”の公務員を生んでいる現状を正当化した。

 わたしは、政府の重要政策を企画立案・調整する内閣官房で特に大企業出身の非常勤国家公務員が増加していることを指摘。官民人事交流法は、民間企業所属のまま正規職員として公務に従事する場合、出身元企業の業務従事や給与補填(ほてん)を禁止しているが、非正規職員の場合は抜け穴となって、公務の公正中立が損なわれていると、見解をただした。

 立花氏は、指摘された問題を是正する姿勢を示さなかった。

 立花氏は経団連専務理事、内閣府参与(国家公務員制度改革推進本部事務局長)を経て、14年から人事官。

3)異次元緩和を続行/黒田日銀総裁の再任案で所信聴取(3月2日、議院運営委員会)
 国会同意人事案件のうち、政府が再任案を示した黒田東彦日銀総裁候補(現総裁)の所信を聴取し、各党が質疑を行った。 

 わたしの質問に対し、黒田氏は、大規模な金融緩和による低金利が家計に与える悪影響を否定しませんでした。 

 黒田氏は所信の中で量的・質的金融緩和(異次元の金融緩和)について「政府と連携して2%の物価目標実現の総仕上げを果たす」と述べ、大規模な金融緩和の継続を強調しました。 

 異次元緩和によって経済の好循環が生み出されるとしてきたが、円安・株高によって大企業や富裕層に巨額の利益をもたらしたものの、実質賃金はマイナスとなり、消費は落ち込んだ。 

 黒田氏は「経済の好循環が始まっている」としつつ、「確かに賃金の上昇は鈍い」と認めました。 
 低金利が家計に与える影響について、日銀の試算でも、1991年を起点として比較すると、家計部門から企業部門に巨額の所得が移転している――とマイナス面をただすと。 

 黒田氏は「15年前、20年前と比較すると負担は事実」と答えました。 

 わたしは日銀のマイナス金利政策によって地域金融機関の収益が悪化し、金融仲介機能に悪影響を与えていることを指摘。 

 金融緩和によってつくられた低金利を背景に安倍政権は大型公共事業の促進や後年度負担を含む軍事費の拡大で財政悪化のリスクを高めている。日銀が財政をファイナンス(政府の財政赤字の穴埋め)しているとみられても仕方がない。

(5)政策秘書資格試験実施規程改定に対する意見表明(7月13日、議院運営委員会)
 今回の改定案は、政策秘書選考採用の対象に、税理士、司法書士その他の特定分野で十年の業務経験を持つ者を加えるというもの。わが党は反対した。

 現行の規程においても、税理士等で専門分野での業績が評価できる者は既に対象となっており、新たな要件を設ける必要はない。今回の改定では、専門分野における顕著な業績を証明する著書等の要件を外すことになり、これは現行の枠組みと矛盾する。規程を改定する必要はない。