▼2018年臨時国会の取組み▼【2】公務員制度・官邸機能強化(1)国家公務員定年延長問題/給与削減在りきを批判(2)国家公務員の定員削減方針を追及(3)サイバーセキュリティ基本法案審議/安保と一体、官民癒着の懸念

【2】公務員制度・官邸機能強化

(1)国家公務員定年延長問題/給与削減在りきを批判(11月14日、内閣委員会)
 人事院が8月10日に出した「定年延長に関する意見の申出」は、国家公務員の定年を65歳まで段階的に引き上げ、60歳を超える国家公務員の年間給与を60歳前の7割の水準にするのが適当としています。

 給与水準を7割に引き下げる根拠をただすと、一宮なほみ人事院総裁は「厚生労働省の賃金調査と人事院の民間給与実態調査を用いた」と答弁。

 わたしは厚労省調査の対象は、いったん雇用契約が切られる再雇用が8割を占めている。定年延長後の給与の比較対象に使うのはふさわしくないと批判。

 また、人事院の民間給与実態調査で60歳を超える従業員の年間給与水準平均を60歳前の7割としていることについて、定年を61歳以上に引き上げている事業所のうち、給与減額を行っている事業所のみを選んで比較している。人事院は「その通り」と認めました。

 人事院の調査でも定年延長後も給与を下げていない事業所の割合は6~7割ある。給与引き下げありきの議論を批判しました。

(2)国家公務員の定員削減方針を追及(11月16日、内閣委員会)
 国家公務員を削減する「定員合理化計画」(2015~19年度)が地方機関の業務遂行上の重大な支障の要因になっている。計画の中止を求めました。

 人事院の年次報告(15年度)が若年層職員の減少で技能などが世代間で継承されないなど「業務遂行上の重大な支障」が生じている。要因を質問。

 人事院は「政府の総人件費抑制方針のもと、継続的な定員削減や新規採用抑制の取り組みが進められてきた影響」だと認めました。

 宮腰光寛国家公務員制度担当相は「人事院の指摘は理解できる」と述べる一方、「適切に定員を配置する」と繰り返し、具体策を示しませんでした。

 定員合理化計画のもとで、現場では長時間過密労働や非正規・不安定雇用、健康被害が増大している。国家公務員の定年延長や障害者雇用を阻む要因となりかねない。定員管理を柔軟に運用し、必要な要員を確保する仕組みに改めるよう求めました。

(3)サイバーセキュリティ基本法案審議/安保と一体、官民癒着の懸念(11月22日、内閣委員会)
 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案の質疑。共産党は反対しました。

 法案は内閣官房のもとに官民が参加する協議会を設置し、構成員にサイバーセキュリティに関する情報の提供義務を課すものです。協議会の事務局は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が担います。

 協議会で構成員に情報提供義務を課す主体は、NISCである。提供義務がかかる情報の定義はどうやって定めるのかと質問。内閣官房は「規約で定める。原案はNISCが作る」と答えました。

 政府は官民で情報共有するための協議会だと言うが、NISCが構成員に情報提供義務を課して提出させる組織だ。NISCのトップである内閣サイバーセキュリティセンター長に、国家安全保障局次長でもある内閣副長官補(事態対処・危機管理担当)が着いている理由を追及。

 櫻田義孝大臣(サイバーセキュリティ戦略本部担当)は「サイバーセキュリティは安全保障と密接な関係があるため」と答えました。

 日本の国家安全保障戦略が「米国とのサイバー防衛協力の推進」を掲げているもとで、日本のサイバーセキュリティ分野が米国のサイバー軍事戦略に組み込まれる懸念がある。

 櫻田大臣は「安全保障は私の分野ではない」と答弁を避けました。

 また、NISCの実員数191人のうち民間出身の非常勤の職員が53人いる。非常勤職員の給与額について質問。内閣官房は「日当で1万円程度」と答えました

 出身元企業から給与補てんを受けつつ非常勤職員として働くことは可能かと質問。内閣官房は「可能だ」と認めました。

 非常勤職員が企画立案など専門性の高い業務を行っているにもかかわらず日給1万円ほどで働いている。低い賃金を民間企業が補てんしていることがうかがわれる。官民人事交流法では出身元企業からの給与補てんが禁止されているにも関わらず、非常勤であればそれが許される。抜け道だ。官民癒着の疑念は払しょくできない。

 櫻田大臣は「制度として認められていることだ」と答えました。