【「しんぶん赤旗」掲載】横田基地の土砂搬入所沢反発/有害物質不安・条例超す量・住宅地にダンプ60台

「しんぶん赤旗」2月25日付・15面より

きょうにも開始予定/米軍増強・強化が背景

 埼玉県所沢市の米軍所沢通信基地(97万8840平方メートル)に横田基地(東京都)の工事で発生した大量の土砂を搬入する計画が所沢市や横田基地周辺自治体に突然通告され、大きな問題になっています。25日にも搬入が始まる予定ですが、所沢市はあくまで中止を求めるなど、地元の反発が強まっています。

 所沢市や横田基地周辺自治体に突然、土砂の搬入の連絡が通告されたのは今月4日でした。所沢市経営企画部基地対策室の職員は「米軍側に、もっと住民に対する配慮があってもいいのではないかと」と困惑します。

基地対策協議会

 搬入が予定されているのは、約3万7000立方メートルの土砂で、総面秘約1万2000平方メートル、高さ3メートルにおよびます。横田基地の滑走路北側のオーバーフンを挟んだ盛り土を崩し、滑走路外周道路を付け替える工事で発生します。搬入期間は25日から来年2月25日までの1年間。防衛省北関東防衛局から所沢市への説明では、多い日で1日にダンプカーなど大型車両50~60台で搬入するとしています。

 所沢通信基地周辺は市役所などの官公庁や県立高校2校、住宅などが密集しています。搬入作業による騒音や交通事故、渋滞、排ガス、土ぼこりなど、住民生活への影響が懸念されています。

 所沢市、市議会、市内の団体でつくる基地対策協議会は6日、土砂搬入・堆積に抗議し「即時中止」を北関東防衛局に要請しました。

 市は5日、土砂に汚染土壌や産業廃棄物が含まれていないかを米軍に照会。14日に「いまのところ汚染土壌は含まれていない」との回答を得ていますが、引き続き検出された物質の数値など貝体的な調査内容を明らかにするよう求めています。

許可得ないまま

 所沢市や県の条例では、土砂の堆積について500平方メートル以上3000平方メートル未満は市の、3000平方メートル以上は県の許可が必要で、高さは2メートル以内。基準を超える有害物質を含む土壌の堆積は禁止しています。

 「公務中の在日米車に国内法令は適用されない」との立場をとる安倍晋三政権のもとで、自冶体の許可も得ず、事前に知らさないまま突然一方的に搬入が通告されました。横田基地の外周道路付け替えの計画については、2016年12月19日の日米合同委員会で、すでに今回の予定地を新たに米軍に提供することを合意していました。

 昨年10月の米空軍特殊作戦機CV22オスプレイ配備など、米軍は横田基地の強化と併せ、所沢通信基地にも新たな役割を負わせて機能強化を狙っています。

即時中止と全面返還を

【日本共産党の、やぎした礼子県議(所沢市)の話】 所沢通信基地の全面返還は市民の願いであり、これまでも市民の運動で一歩ずつ返還を実現してきました。所沢通信基地を通信業務以外で運用することは基地の固定化につながりかねず、基地対策協議会が「即時中止」を求めるのは当然です。

 横田基地にオスプレイが配備され海外へ出撃していく基地にされていくのと一体で所沢通信基地も強化され、オスプレイが離着陸し、施設も最新のものに変えられています。横田基地の工事の後始末を所沢通信基地ですることは絶対認められず、「中止しなさい」が市民の声です。県議選で必ず勝利し、新しい議会でも、土砂搬入中止と基地全面返還を求めて追及したい。