【内閣委員会】信号機の音は命に係わる情報/視覚障害者の交通安全対策を

 視覚障害者の交通安全対策の強化を求めました。

 昨年12月、豊島区で視覚障害者男性が車にはねられ死亡した事故現場では、音響式信号機(ピヨピヨ、カッコー)がありながら、夜間から早朝は鳴らない設定になっていました。 

 全国で20万機ある信号の設置状況について確認すると。音響式信号機は1割の約2万機、横断歩道上に点字ブロックがあるエスコートゾーンは2000カ所で1%しか整備されていないことが警察庁の答弁で明らかになりました。(資料左下、クリックで拡大)

 警察庁は「地域住民の生活環境への影響を勘案し(設置を)判断している」「スマホで信号表示を知るシステムを開発した」と述べました。

 音響式信号機は
(1)横断歩道の場所
(2)信号の色
(3)横断歩道の方向がわかるもの
 視覚障害者のための音は、騒音ではなく命に係る情報だ。早朝夜間も信号機の音を切るのではなく音量調整など工夫して24時間対応にすべきだ。

 道路交通法7条が歩行者は信号に従う義務を課し、罰則も科している。信号を認識できなければ、その指示に従うこともできない。9割の信号で視覚障害者が認識できない状況を、警察は放置するのか――と質問。

 山本国家公安委員長は「視覚障害者の方の安全確保は我々の大きな責務。予算確保に努めたい」と答弁しました。

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「議事録」

<第198通常国会 2019年05月15日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今もお話に出ましたけれども、大津における保育園児が被害を受ける交通事故、本当に痛ましい事故が起こって、ある意味で、歩行者にかかわる事故の問題、また生活道路における交通事故の問題というのが大きな課題になっていると認識をしております。
 そこで、交差点や生活道路など、歩行者の交通安全対策について、きょうは質問をいたします。
 最初に、視覚障害者の方の歩行時の交通安全対策についてお尋ねをいたします。
 このことについては、例えば、二〇一五年の十月に徳島市で、視覚障害者の男性が盲導犬を連れて歩道のない道路を歩いていたところ、道路から資材置場に入ろうとした、バック中の、後退中のトラックにはねられて、男性と盲導犬が死亡するという事故がありました。トラックの運転手が後方の安全確認を怠ったことに加えて、トラックにバック時に警報音を鳴らす装置が設置をされていたんですが、その電源が切られていて警報音が鳴らない状態だったということでした。
 また、昨年の十二月七日の早朝において、豊島区の駒込駅前にあります交差点、そこで視覚障害者の男性が道路を横断中にワゴン車にはねられて死亡いたしました。事故現場には音響式信号機がありましたが、午後七時から午前八時の時間帯は音が鳴らないように設定をされていたわけなんです。信号機は赤だったんです。しかし、視覚障害者の方は赤ということがわからなかった。いつも車の移動で把握するんですけれども、早朝、未明の時間ですから、車はほとんど通っていないということで判断が難しかったんだろうと思いますけれども、赤ということに気づかずに横断をしていてはねられたということなんです。
 これは警察庁に基本の話としてまずお聞きしたいんですけれども、このように視覚障害者の方にとっては歩行時の音というのはまさに命にもかかわる重要な情報ではないのかと思うんですが、その点についての認識をお伺いします。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 視覚に障害のある方々が交差点等におきまして安全に横断できる、また安全に通行できるということは極めて大切なことであると認識いたしております。
 警察におきましては、交差点の信号機に、例えば音響式信号機といいますが、横断時に音が出る信号機でありますとか、視覚に障害のある方々が押した場合に、白い押しボタン箱があるのを御存じかと存じますが、そういうボタンを押した場合に青時間が延長されるというような機能のある信号機の整備などを行い、またバリアフリー法の中での経路等に着目した、そういう安全施設の整備というものを行っているところでございます。

○塩川委員 音響式信号機というものもあるんだという話ですけれども、そこでちょっと数字の確認で教えてほしいんですが、そもそも全国に信号機というのは何カ所、何基あるのか。そのうち、今の答弁にありました音響式の信号機、音響機能のある信号機の数というのは幾つぐらいなのか。あわせて、いわゆる点字ブロックなんですけれども、横断歩道には点字ブロックというのがあるわけですよね。エスコートゾーンというのをつくることはできるわけですけれども、このエスコートゾーンというのは、では、全体の信号機のうち、どのぐらいの数、設置をされているのか。その三つについて説明いただけますか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 全国の信号機の数でございますが、平成二十九年度末におきまして、信号機の整備数は約二十万八千基となってございます。このうち、信号が青である時間、歩行者用の信号が青である時間帯に音を出して知らせる、先ほど申し上げましたが、視覚障害者用付加装置がついているものが約二万基、全体の一割程度あるということでございます。この視覚障害者用付加装置のほかに、その他、音響機能による支援を行う装置が約四千基、また先ほど申し上げましたが、横断時間の延長機能による支援を行う装置が約八千基の信号機に付加、付加機能があるということでございます。
 また、お尋ねのありましたエスコートゾーン、横断歩道にバリアフリー対応といたしまして、点字誘導ブロックを敷いてその上を目の不自由な方が通れるようになっているものでございますが、このエスコートゾーンが整備されている交差点が約二千三百カ所ございますので、全体の信号機の交差点の一%強ということになるかと存じます。

○塩川委員 資料をお配りさせていただきました。一番後ろの四枚目のところにバリアフリー対応型信号機等の整備状況というのを都道府県別の数字で紹介がされております。一番左側にあるように、信号機の基数、合計では二十万基余り、それに対して音響機能のついているものは二万基強ということで、一番右側のエスコートゾーンは二千カ所余りですから、音響機能のついた信号機は全体の一割、横断歩道における点字誘導ブロックに相当するエスコートゾーンは一%ということで、極めて少ないわけです。
 私は、大事なことは何かと思っているんですけれども、視覚障害者の方にとっては、まずは横断歩道の場所がわかるということなんです。横断歩道があるかどうかということがまず認識ができるかどうか。その上で、その信号機が赤か青なのか、このことを確認できるということであり、さらには、横断歩道がどちらに行くのかということを、その横断歩道の方向がわかるということが極めて重要なわけです。その際に、音声が重要な情報となっているということであります。
 警察庁にお尋ねしますが、道路交通法の第七条においては、歩行者にも信号機の信号に従う義務を課している、また、これに違反すれば罰則もある、そういうものだと承知しておりますが、その点について確認したいと思います。

○北村政府参考人 お答えをいたします。
 道路交通法第七条におきましては、道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等に従わなければならないという規定がございます。また、この規定に対する違反につきましては、第百二十一条におきまして罰則規定があるところでございます。

○塩川委員 山本国家公安委員長にお尋ねいたします。
 今答弁がありましたように、道路交通法の第七条において、歩行者などが信号機の信号に従う義務を課している、違反すれば罰則も科せられるといった際に、視覚障害者の方が信号機の信号を認識することができなければ、そもそも、その指示に従うこともできないわけなんです。ですから、視覚障害者の方が信号機の信号を認識する、このような機器の整備を行うということは、これは道路交通の管理者のいわば最低限の責任、責務ではないかと考えますが、お答えをいただきたい。

○山本国務大臣 お答えいたします。
 警察におきましては、道路を横断する視覚障害者の方々の利便性、それから安全性等を向上するため、各種施策を実施し、信号のある交差点における安全確保に努めているところでございます。
 具体的には、視覚障害者用付加装置等の整備を推進しているところでございますけれども、今後とも、従来からの取組や、新しく開発したスマートフォンにより信号の表示を音声で提供するシステムの整備を行い、視覚障害者の方が信号のある交差点を安全に横断できる環境を整備するように、警察をしっかりと指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 そもそも現状についての認識をお尋ねしたいんですけれども、二十万基の信号機に対して音響式の信号機というのは一割なんですよ。ですから、道交法の第七条できちっと信号機の信号を守りなさいと求めているのに、九割のところでは、視覚障害者の方がそのままでは認識できないといった状況になっているわけなんです。
 こういう現状を放置をするのかといったところが問われているんですが、もう一度お答えいただきたい。

○山本国務大臣 先ほど交通局長からも答弁させましたけれども、まさに視覚障害者の方々に判断できるような信号機をつくっていくということは極めて重要であるというふうに思っております。
 交通安全施設等の整備事業に関する国庫補助ですけれども、昨年度に比べて十億円の増額がなされたということでございまして、我々としても、全力を挙げてその予算獲得に取り組み、そして、交通安全施設等の整備事業に必要な体制を整えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

○塩川委員 抜本的な対策が必要だと。欧米諸国など、特にヨーロッパなどでは、歩行者に対しての交通安全対策をかなり進めて、この後お聞きしますけれども、速度抑制や交通量抑制などの対策も物理的な措置として行っているわけなんです。
 その際に、交差点における、やはり、このような音響つき信号機を設置をするということは、これは、法律で義務を課している以上、義務を課す側が当然整備しなければいけない最低限の責務だといった認識で事に当たる必要があるんだと。そのことについて、改めてお答えいただけませんか。

○山本国務大臣 もちろん、警察側といたしましては、歩行者の安全、特に視覚障害者の皆様方の安全を確保するということは極めて重要であり、それは我々の大きな責務である。その責務を果たすために、日々、予算も含めてでありますけれども、しっかりとした体制を整えていく、そういう覚悟を持って、これからも対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 音響式信号機を抜本的にふやすといった点で、例えば目標を持って、いつまでに、どれだけ普及する、整備をする、そういうことは、持ちませんか。

○山本国務大臣 目標を持つということは大変重要なことだというふうに考えておりますけれども、これもまた、整備をしていく、まだ一割しかできておりませんから、あとの九割をどういうふうに迅速に対応していくかということ、これは我々にとって大きな課題であるというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、課題ですから、どうするのかということなんですが、どうするんですか。

○山本国務大臣 今ほども申し上げましたけれども、しっかりと予算確保に努めて、そして、その結果として、早くにその責務を果たせるように、我々としては努力をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 そういう点でも、目標を持って整備計画をつくるということは強く求めたいと思っております。
 その上で、先ほど、冒頭で御紹介をいたしました豊島区の事故の事例ですけれども、夜間については音響信号機の音をとめるという対応になっているわけなんです。それは、近隣の住民の方への配慮ですとか、その辺の合意の話というのは当然あるんですが、しかし、先ほど言ったように、音で信号を判断するといったことを考えても、視覚障害者の団体の方などは、二十四時間対応をぜひやっていただきたいという強い要望があるわけですが、この点についてはどのように対応されるのか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、音響式信号機の設置につきましては、視覚障害者の方々の御要望、必要性があります一方で、付近住民の方々の御理解が必要でございます。
 警察におきましては、その稼働時間、あるいは音量、ボリュームの大きさというものにつきまして、交差点ごとに、地域住民の方々の生活環境への影響、また視覚障害者の方の通行の状況等を勘案しながら判断しているところでございますけれども、私ども警察庁といたしましては、視覚障害者の方々が安全に道路を利用できる環境の整備、これが重要でございますので、できる限り、可能な限り、付近住民の方々の御理解が得られる形で都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
 また、先ほど、大臣の方から御説明ございましたけれども、街頭で大きな音が鳴るというものに加えまして、視覚障害者の方が手元に持つスマートフォンによりまして、視覚障害者の方々の手元で信号の表示を音声で知ることができるというシステムを新たに開発したところでございまして、今年度から整備を行ってまいりたい、そういう事業化を進めてまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 スマホのお話があったんですけれども、これは、スマホ対応の信号機というのはどれぐらい設置されているんでしょうか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 現在は、設置はされておりません。開発して、今年度から導入してまいろうということでございまして、平成三十一年度におきましては、三つの県におきまして、七十四カ所、三千万円の補助事業で実施をし、その機能についての検証を進めて、さらなる整備につなげてまいりたいと思ってございます。

○塩川委員 検証作業中ということで、現状ではないと。そういった新たな対応というのは、いろいろ研究もし、工夫もしていくということは必要だろうと思います。
 同時に、スマホの場合でも、手元で音が鳴るというんですよ。だけれども、視覚障害者の方は、信号機の渡る方向などは、その信号機から音が出ることによって、交差点と認識もできる、渡る方向というのも認識できると。よくピヨピヨ、カッコーの話がありますけれども、ピヨピヨ、カッコーのピヨピヨも、手前で鳴っているのと向こうで鳴っているのを変えるとかという、カッコーを含めて、いろいろ工夫して警察もやっているわけですよね。しかし、手元で鳴ると、それがわからないんですよ。
 そういったニーズも含めて、視覚障害者の方の要望をしっかり受けとめた対応というのをぜひとってもらいたいと思いますし、この音響式信号機についてですが、視覚障害者の方のための音というのは、騒音じゃありません、命にかかわる音なんです。そういった点でも、いろいろな地域では、例えば五段階の音の調整もしながら工夫したりもしているんですよ。全く切る必要はないんじゃないのか、全く切ってしまうということなしでも対応できるんじゃないか、これはいろいろやりようはあると思うんですけれども、そういう工夫はできるんじゃないですか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど答弁の中でも、稼働時間、音量について交差点ごとにと申し上げましたのは、ただいま委員御指摘のとおり、音を消す時間帯がなるべく少ないようにということでありますとか、あるいは音量を下げてでも運用できるようにということで地元の住民の方々の御理解を得ようという努力は進めているところでございまして、こうした努力につきましては継続してまいる必要があると考えてございます。

○塩川委員 関連して、シグナルエイドという発信受信装置があるわけです。ですから、手元にそういう装置を持っていると、押すことによって、信号機の音が出る、あるいは区役所の場所が確認できる。こういったシグナルエイドに対応する音響式信号機の設置というのをぜひ進めてほしいという要望も寄せられておりますが、この点についてはどうでしょうか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 シグナルエイドにつきましては、信号機の青時間が延長できるというものが基本的な機能となってございます。一部には、それに対応して音声が鳴るような設定に変わる、押しボタンを押したのと同じような形になるというものもございますが、こうしたものも含めまして、視覚障害者の方々の安全な通行の確保ということを進めていくことは大事であると考えてございます。

○塩川委員 ぜひ、その普及を図るということで取り組んでいただきたい。
 最後に視覚障害者の関係のことでお尋ねしたいのは、こういった障害者の声を道路交通安全対策にしっかりと反映できる、そういう仕組みというのを具体的にやっていただきたい。その点で、山本大臣の方からも旗を振っていただいて、障害者の声を道路交通安全対策に反映できる、そういう仕組みをしっかりとつくり、対応していく、その点についてお答えいただけないでしょうか。

○山本国務大臣 委員おっしゃるように、視覚障害者の方々に対しても交通安全という観点から我々警察としてできることは全てやっていく、そんな気持ちを持って、これからも対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 次に、生活道路における歩行者の安全確保対策の抜本的な強化を求めたいと思っております。
 山本大臣にお尋ねします。現在、春の全国交通安全運動の実施中でありますけれども、大津における事故というのは、歩行者の交通安全対策の抜本的な強化を求めるものであります。そういう点でも、交差点ですとか、通学路や生活道路の安全対策の必要性、まさに重要になっていると思いますが、この点についての大臣の認識を伺います。

○山本国務大臣 先日の大津での事故は、本当に痛ましいことになりました。二歳の園児の方が二人お亡くなりになりまして、御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。
 我が国の交通死亡事故、まさに、諸外国に比べますと、歩行者が犠牲になるということが大変多くなっておりまして、この対応、交通事故防止というものが極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
 今、春の交通安全運動というようなお話がございましたけれども、我々といたしましても、歩行者が犠牲となる交通事故を防止するために、交通安全教育や広報啓発、それから、指導取締り、交通安全施設の整備等々、実施してきたところでございますけれども、依然として、交差点やあるいは通学路において幼児や児童を含む歩行者が危険にさらされている現状を重く受けとめているところでございます。
 今後、関係機関、団体と連携しつつ、歩行者の安全を守るための取組、これを強力に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 今大臣の答弁にありましたように、日本は、欧米主要国に比べて、歩行者が犠牲となる事故が大変多いという大きな特徴があるわけです。
 資料の一枚目に、国別、状態別の高齢者の三十日以内の死者数についてのグラフを載せました。左側が歩行中で、左から二番目が自転車乗用中ですけれども、そういった死亡事故というのが、日本でいえば、合わせて五〇・九%と。それに対して、フランスは合計で二〇・八%、ドイツは二七・二%、イギリスは三〇・五%、アメリカは一八・二%ということで、歩行中、自転車乗用中の死者数が欧米主要国は二割から三割台なのに、日本は五割を超えているということで、極めて高い。歩行中、自転車乗用中の死亡事故の割合は、G7で最下位だということも紹介をされているところです。
 あわせて、下のグラフですけれども、生活道路における交通死亡事故件数の推移ですけれども、車道の幅員が五・五メートル未満、車がやっとすれ違えるような、歩行者がよけなくちゃならないような、そういう道路を生活道路としていますけれども、この生活道路においての事故を見たときに、もちろん全体とすれば死亡事故件数は減っている。しかし、その中で、生活道路とその他の道路を切り分けると、全体に占める生活道路の割合というのが、緑の折れ線グラフにあるように、傾向としてずっと高まっている。つまり、生活道路における事故というのが全体の中に占める割合がどんどんどんどん高まっているという現状にあるわけなんです。
 そういう点でも、生活道路における交通死亡事故が、このグラフでいえば、二〇〇六年の一四・八%が、二〇一八年一六・七%と上がってきているという点で、生活道路に対する対策というのが極めて重要だということを指摘せざるを得ません。
 そこで警察庁にお尋ねしますが、このような生活道路における人口当たりの事故件数の特徴について説明をしていただきたい。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 幅員五・五メートル未満の道路を対象に、人口十万人当たりの事故発生件数を年代別に集計をいたしますと、平成二十九年の死傷事故件数については小学生が最も多く、人口十万人当たり二十五・二件、死亡事故件数につきましては七十五歳以上の高齢者が最も多く、人口十万人当たり〇・四四件となってございます。

○塩川委員 資料の二枚目に、そのことを示すグラフを紹介しておきました。
 死傷事故件数では小学生が飛び抜けて多いんですね。あわせて、死亡事故ではやはり高齢の方、七十五歳以上の方が大変高いという点でも、子供や高齢者が歩行中の事故というのは極めて高いということが、ここにも見てとることができるわけです。
 そこで、交通安全対策を担当する宮腰大臣にお尋ねをいたします。
 政府は、交通安全対策基本法に基づき、交通の安全に関する総合的、長期的な施策の大綱である交通安全基本計画を作成し、各種施策を行っております。
 交通安全基本計画では、特に我が国では、欧米諸国と比較して交通事故に占める歩行者の割合が高くなっており、歩行者の安全確保を図ることが重要であると指摘をしております。
 生活道路の安全性を高めるという施策というのは道路交通安全施策の中でも最優先、最重点の課題ではないのか、この点についての大臣の認識をお伺いします。

○宮腰国務大臣 御指摘のとおり、我が国における交通事故死者数に占める歩行者あるいは自転車の割合は、一・五倍から二倍、欧米諸国と比較して高くなっております。このことを踏まえまして、現行の基本計画では、議員御指摘のとおり、「人優先の交通安全思想の下、歩道の整備等により歩行者の安全確保を図ることが重要である。」としております。
 その意義は、基本計画が、人命尊重の理念に基づき、交通事故がもたらす大きな社会的、経済的損失をも勘案して、究極的には交通事故のない社会を目指しているということにあります。
 生活道路を含めまして、今後とも、基本計画を踏まえ、関係省庁と連携しつつ、歩行者の安全にかかわる施策を推進してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 歩行者の安全確保策を重視をして取り組むということが必要だという点で、高齢者や子供たちの安全確保のために生活道路の交通安全対策が極めて重要で、対策としては、車両の速度を抑制する、車両の量そのものを、交通量を抑制する、歩車分離と言われるような、歩行空間をしっかりと確保する、交差点対策をしっかりと行うということが中心的な話だろうと思っております。
 そういうのも、やはり一つは車両の速度の抑制というのが重要だというのは、衝突時の自動車の走行速度が歩行者にとって致命傷となる、そういった傾向というのはどういうときなのか、この点について確認したいと思います。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十三年三月に警察庁における検討委員会が出しました報告書がございますけれども、その中では、自動車の走行速度が時速三十キロメートルを超えると歩行者が致命傷を負う確率が急激に高まる結果となっているというふうにされてございます。

○塩川委員 答弁にありましたように、資料の二枚目にWHOを出典とするグラフがあります。三十キロを境にして致命傷を受ける確率が非常に高まるという点で、速度抑制をしっかり図る。その場合に、その速度抑制というのを交通規制だけではなくて物理的なデバイスによって、物理的な手段によって確保するということがあわせて重要なわけです。
 そういう意味でも、きょうはもう時間がないのでこれ以上質問はできないわけですが、ハンプとか狭窄といった、資料の三枚目に紹介しているような、こういう物理的なデバイスをしっかりと設置をする。私は、そういった点でも予算の使い方を変えるべきだ、大型公共事業としての道路をどんどんつくるといったことを見直して、こういった生活道路についての交通安全対策に振り向けていく、安倍麻生道路なんかもうきっぱりとやめて、こういった生活道路の交通安全対策の予算措置を行えということを求めて、質問を終わります。