【内閣委員会】信号機や道路標識の設置・改修などの費用/大幅減額が明らかに

 大津の園児死傷事故など始めとする重大な事故が相次ぎ、交通安全対策の強化が急がれていますが、信号機や道路標識の設置・改修などの費用である交通安全施設整備事業費が大幅に減少していることが明らかになりました。

 私の質問に対し、警察庁の北村交通局長は国の補助事業の費用は「08年度が467億円、18年度が390億円」と10年間で77億円の減額、地方自治体の単独事業の費用は「98年度は970億円、18年度は540億円で、20年で44%の減額」であることを明らかにしました。

 国の補助事業費について、警察庁が「この2年は増額。15年度から老朽化した信号の更新も補助している」と述べました。

 私は、更新補助は当然だが、信号機新設などに必要な予算が減っている――と批判。

 また、東京都においてはこの数年間、交通安全施設整備費の予算の執行率が7~8割になっている。国や地方の事業費が減少し、計上された予算も執行されてない現状がある。信号機の新設など生活道路の交通安全対策の予算を抜本的に拡充すべき――と要求。

 山本国家公安委員長は「必要な予算の確保に努めていきたい。議員から頂いた東京都の事業予算の不用額の資料を我々として重く受け止める」と答えました。

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「議事録」

<第198通常国会 2019年05月24日 内閣委員会 19号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 道路交通法改正案について、自動運転の部分について質問をいたします。
 警察庁の方に確認をいたしますが、自動運転に当たって運転者が遵守すべき事項というのがどういうふうになるのか、この点について御説明をください。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 現行の道路交通法上でございますが、運転者が遵守すべき事項、すなわち義務でございますが、大別いたしまして、次のような類型に分類できると考えております。
 三つございます。一つには、安全運転の義務、制限速度の遵守義務、信号等の遵守義務、車間距離保持義務など、これは運転操作に関する義務でございます。二つ目には、このような運転操作に関する義務、これを安定して履行するための義務でございまして、これには、携帯電話使用等の禁止、また飲酒運転の禁止といったようなものが含まれます。三つ目でございますが、その他の義務ということでございまして、交通事故が発生したときの救護義務でありますとか運転免許証の提示義務などがございます。
 ところで、今回の道路交通法改正案でございますが、現在の自動運転の技術開発の状況などを踏まえまして、また、先般成立いたしました道路運送車両法の改正を受けまして、いわゆるレベル3の自動運転に関しまして、法制度の整備を行うものでございます。
 まず、今回の道路交通法改正の前提となっております改正道路運送車両法におきましては、自動運転のシステムであります自動運行装置については、国土交通大臣が付する走行環境条件内において、運転者の操縦に係る能力を代替するものである旨の規定がございます。
 そこで、道路交通法の改正案におきましては、新たな義務になりますが、この走行環境条件外において自動運行装置の使用を禁止するという規定を設けてございます。
 次に、今回の改正案が対象といたしますいわゆるレベル3の自動運転におきましては、たとえ自動運転中でありましても、運転操作を行うことができる運転者が従来どおり常に存在する、先ほど申し上げました自動運行装置の走行環境条件外となる場合には、システムから運転操作をその運転者が引き継ぐということが予定されています。
 言いかえますと、運転者は、自動運転中でありましても、走行環境外となった場合には、運転操作を適切に引き継ぐことができる状態を維持しなければならないということでございますので、その内実を意味いたしますところの、現行道路交通法第七十条の安全運転の義務でありますとか、冒頭に申し上げましたような飲酒運転の義務、交通事故のときの救護の義務など、現在の道路交通法が運転者に課しております義務、これらについては引き続き課していくということが適切でございます。
 そこで、改正案におきましては、そのことが明確となりますよう、自動運行装置を使用することも道路交通法上の運転に含まれるということを条文上明らかにしているところでございます。
 このほかに、今回の改正案では、改正道路運送車両法におきまして自動運行装置の一部を構成するものとして位置づけられました作動状態記録装置による記録とその保存についても、運転者等に義務づけることといたしております。
 その一方ででございますが、自動運行装置が適切に作動しているという状態におきましては、運転者が常に前方あるいは周囲の状況を確認した上でハンドル等の操作を行うことは必要でないということになりますので、改正案におきましては、携帯電話の使用、またカーナビ等の画像の注視を一律に禁止しております規定を適用除外とするということにしております。
 なお、その場合におきましても、走行環境条件外となる場合には、運転者は、運転操作を適切に引き継ぐことができる状態でいなければならないということでございますので、その点を改正案におきまして明示しているところでございます。

○塩川委員 これまでの安全運転義務をしっかりと果たしてもらう。同時に、自動運転にかかわっては、使用条件外になった場合に適切に引き継ぐようにしなければならないということであります。
 そういったことを踏まえて、では、自動運転中にはどのような行為が認められるのか、その判断基準は何か。この点について説明をしてもらえますか。

○北村政府参考人 お答えをいたします。
 お尋ねは、自動運転中に、運転操作以外でどのような行為が認められるのかという趣旨であると存じますが、自動車の運転中におきまして、運転操作以外の行為につきましては、現在の自動車の運転におきましても、例えば、本や新聞を読むですとか、同乗者と会話をするですとか、たばこを吸う、時計を見て時間を確認する、音楽を聞く、食事をするなどなど、多種多様なものがございますが、全ての行為について網羅的に列挙して、現在の自動車の運転において、これは許される、これは許されないと規定することはできないところでございます。
 またさらに、それぞれの運転操作以外の行為が道路交通法上許されるかどうか、すなわち安全かどうかということになりますが、それは、道路の状況でありますとか、自動車の性能に左右されるという面もございます。例えば、パワーステアリングを備えた自動車とそうでない自動車とでは、運転者に求められる運転操作の程度にも差があるだろうということでございます。
 これらのことがございますので、現行の道路交通法におきましては、第七十条におきまして、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と規定して、安全運転の義務を運転者に課しているところでございます。
 翻りまして、自動運転車の場合でございます。運転操作以外のどのような行為が認められるかということでございますが、ただいま申し上げました従来の自動車における考え方と同様、道路の状況、また、自動車の性能によって異なるということになります。
 したがいまして、従来同様、本や新聞を読むなど、ある特定の行為を類型化しまして、これを一律に、許容される、あるいは許容されないという説明をすることは、誤解を招くことにもなりかねず、適当ではないと考えております。
 しからば、どのように許される行為と許されない行為を判断するのかというお尋ねになりますが、今回の道路交通法の改正の対象としておりますいわゆるレベル3の自動運転につきましては、繰り返しになりますが、走行環境条件外となる場合には運転操作をシステムから適切に引き継ぐということが求められるものでありますので、特定の行為が、道路交通法第七十条、先ほど申し上げました安全運転の義務との関係で自動運転中に許容されるかどうかということは、この運転操作の引継ぎが適切にできる状態であるかどうかということを基準に判断してまいることとなります。

○塩川委員 特定の行為の類型化は困難だ、使用条件や自動運行装置の性能によって異なるということを踏まえての話ですけれども、実際、使用条件外になったような場合に運転操作の適切な引継ぎができるかどうか、その状態についての判断というのが判断基準だという説明であります。
 ただ、居眠りをしていたり読書やスマホ操作に熱中をしていたりすることで運転操作の引継ぎ要請に気づかない、適切な引継ぎがきちっと行われない、そういう場合というのも想定されるんですが、そういうときにはどうなるんでしょうか。

○北村政府参考人 走行環境条件外となる場合にはシステムからの引継ぎの要請があると申しますが、これは具体的にどういう形かと申しますと、一定の猶予時間を持ちましての要請が行われる、その要請は具体的には音ですとか光ですとか振動等によってドライバーに伝えられるということでございます。
 したがいまして、ドライバーの、先ほど申し上げました適切に引継ぎができるような状態ということでございますけれども、今申し上げました自動運行装置から発せられる引継ぎ要請、光ですとか音とか振動に確実に気づくことができるかどうか、また、これに気づいたときには運転者がハンドル等を適切に操作することができるかどうかということが具体の判断基準になります。
 そこで、お尋ねの、例えば居眠りをしているとかスマートフォンに没頭しているというような場合でございますが、居眠りしている場合ももちろんでございますし、先ほど申し上げましたようなシステムからの引継ぎ要請に応えられないほど、読書でも構いません、スマホでも構いませんが、に没頭しているという場合には、適切に運転操作を引き継ぐことができないということがあり得ます。その場合には交通の危険が生じるということがあり得るわけでございまして、そうした場合には、先ほど申し上げました安全運転の義務に反するということにはなります。
 他方で、だから事故が起きていいということにはならないのでございまして、もちろん自動運行装置からの引継ぎ要請に運転者が適切に対応できるように、自動車の運行装置ごとの使用条件、性能や運転上の留意事項につきましてはきちんと教えていく、指導していくということではございますが、それでも、なおかつ居眠り等によりまして引継ぎ要請に応えなかったという場合を考えますと、こちらは、昨年九月に国土交通省自動車交通局が策定いたしました自動運転車の安全技術ガイドラインにおきましては、そうした場合におきましても安全性を確保するため、すなわち運転者に運転操作が引き継がれない場合におきましては、車両を自動で安全に停止させる装置、ミニマル・リスク・マヌーバーと呼んでおりますが、これを設定するということが自動運転システムの要件として記載されておりますので、今後、適切な引継ぎが行われないという場合には、その自動運転車は安全に停止するという形での車両性能が求められていくものと考えてございます。

○塩川委員 自動運転中に運転者が居眠りをしたり、システムからの引継ぎ要請に応えられないほど読書やスマホに没頭している場合には、これはそもそも安全運転義務に違反をする、そのことにより、道路交通法上、禁止をされるということであります。
 大臣にお尋ねいたします。
 そうであれば、安全運転義務違反の典型であるながらスマホについて、今回の法改正で自動運転の場合は容認するというのは、これは不適当ではないのかと考えますが、大臣の御答弁をお願いいたします。

○山本国務大臣 お答えいたします。
 近年、携帯電話使用等に起因する交通事故が大変増加傾向にございます。また、携帯電話使用等による交通事故が死亡事故となる割合は、交通事故全体に比べ約二倍高く、携帯電話使用等の危険性は高いものであるというふうに認識をいたしております。
 さらに、スマートフォン用ゲームアプリを使用しながら自動車を運転したことに起因する死亡事故が発生するなどしたことをきっかけにいたしまして、被害者の御遺族や各自治体から、携帯電話使用等に対する罰則の強化を求める要望を受けているところでもございます。
 このような点に照らしながら、携帯電話使用等は交通事故防止の観点から対処すべき重要な課題と認識をいたしておりまして、このたびの道路交通法改正でも罰則を強化することとしているところでございます。
 他方で、自動運行装置、これを適切に使用して自動車を運転する場合には、運転者が常に前方や周囲の状況を確認しハンドル等の操作を行うことが不要となるため、携帯電話の使用やカーナビ等の画像の注視を一律に禁止しなくとも安全上の問題はないものと考えております。
 したがいまして、同じ改正法案において、罰則を強化する一方で、携帯電話の使用等を許容することといたしました。それは、それぞれの根拠に基づくものでございまして、特段の問題はないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、自動運転中の運転者も、先ほどあったように安全運転義務を負っておりまして、走行環境条件外となる場合には運転操作を適切に引き継ぐことができる状態でいなければ携帯電話の使用等はしてはならない、そういったことをよく理解していただくことが極めて重要であるというふうに思っております。

○塩川委員 特段の問題はないという御指摘ですけれども、しかし、今回の法改正で罰則を強化するとしているながらスマホについては、今御答弁にありましたように、交通事故防止の観点から対処すべき重要な課題であります。そういうときに、他方で、自動運転という条件のもとではありますけれども、このながらスマホを容認する改正を行うというのは、ドライバー、国民の皆さんに誤った理解を生じさせることにつながるのではないのか。その点を懸念するわけですが、この点についてはいかがですか。

○山本国務大臣 今ほど御指摘のとおり、二つの、いわば、罰則を強化するということと、それから、一方では、カーナビ等の注視を一律に禁止しなくとも安全上問題ない、一見、相反するというふうに見えますけれども、先ほど申し上げたとおり、それぞれのいわゆる根拠に基づいて今回法改正をするところでございまして、我々といたしましては、特段問題はないというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 ながらスマホについてというのはそもそも安全運転義務違反の典型であるわけで、その場合に、この場合とこの場合を使い分けるような対応というのは、国民に誤解を招くようなものとなる。ふさわしくやはり対処すべき、国民、ドライバーの理解を求めるという点でも、これについて容認するというわけにはいかないということを申し上げておきます。
 レベル3の自動運転の解禁となる本法案の背景には、安倍総理による二〇二〇年までの実用化発言があります。国際的にも結論が出ていない安全面での課題が残されております。安全性の確保が置き去りにされているのではないかと危惧するものであります。拙速な対応を改めるべきだということを申し上げたい。
 その上で、関連して、子供や高齢者など歩行者を守る交通安全対策を進めるための予算措置についてお尋ねをいたします。
 警察庁の方に確認ですが、生活道路や交差点での交通事故が相次いでおります。道路交通安全対策の予算措置はどうなっているのかを確認したいと思います。
 交通安全施設等整備事業、国庫補助事業と地方単独事業がありますけれども、これがどんな事業なのかについて簡単な御説明をしていただきたい。あわせて、その予算額の推移、五年刻みぐらいで結構ですから、お答えください。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、交通安全施設等整備事業の枠組みということでございますけれども、こちらは、交通安全施設等整備事業の推進に関する法律という法律におきまして、都道府県公安委員会が行う事業、それから道路管理者が行う事業が掲げられております。
 都道府県公安委員会が行う事業といたしましては、信号機、道路標識、道路標示、交通管制センターの設置が定められております。
 国家公安委員会及び国土交通大臣におきましては、道路における交通事故の発生状況、交通量等の事情を考慮して定める基準に従いまして、特に交通の安全を確保する必要があると認められる道路を指定いたしまして、その道路における交通安全施設等整備事業に要する費用を負担し、又は補助をするとされてございます。
 お尋ねの、この枠組みに従ったところの国の補助事業の推移を、五年置きということでございますので、平成十年以降で申し上げますと、平成十年度が約四百五億円、平成十五年度が約三百五十億円、平成二十年度が約四百六十七億円、平成二十五年度が約三百七十二億円、平成三十年度が約三百八十九億円という、これは事業費ベースでございますが、額となってございます。

○塩川委員 地方単独事業の予算についても同様に説明いただけますか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 交通安全施設等整備事業の地方単独事業の予算でございますが、平成三十年度におきましては約五百四十億円となってございます。先ほど申し上げました、平成十年度が約九百七十億円でございましたので、この二十年間で見ますと約四四%の減少という金額になってございます。

○塩川委員 資料を配付させていただきました。一枚目に、交通安全施設等整備事業費の推移ということで、補助事業と地方単独事業について分けてあります。今御答弁いただいた数字がここにも出てくるわけです。
 こういった数字を見ても、国庫補助事業は直近の十年間を見ると大きく減らしているんですけれども、これはどういう事情なんでしょうか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 都道府県公安委員会が行います交通安全施設等整備事業、これに対する国の補助の予算につきましては、十年前と比較いたしますと減少しているところでございますが、厳しい財政状況の中、さまざまな社会情勢の変化を踏まえつつ、必要な予算の確保に努めているところでございまして、この二年間では増加しているところでございます。
 中でも、平成二十七年度を初年度といたしております現在の社会資本整備重点計画におきましては、老朽化した信号機の更新につきましても重要施策とされまして、これに要する経費についても補助しているところでございます。
 交通の安全と円滑を図るために、警察庁といたしましては、都道府県公安委員会が交通安全施設等を適切に整備できるよう、必要な予算の確保に引き続き努めてまいります。

○塩川委員 信号機の老朽更新は当然必要な措置であります。でも、それを除いた場合に、これは減っているんじゃないかという懸念があるわけですよね。新設の場合なんかはどうなのか、そこに本当に必要な予算の確保はされているのか、そういう懸念があるんですが、そこはどうですか。

○北村政府参考人 私どもといたしましては、厳しい財政状況の中、さまざまな社会情勢の変化を踏まえつつ、必要な予算の確保に努めているところでございます。
 具体的な社会情勢といたしまして、例えば補助について定めております交通安全施設等整備事業の促進に関する法律、先ほど申し上げました法律の枠組みにおきましては、自動車等の一日当たりの交通量でありますとか、特定の地区の面積当たりの交通事故の件数でありますとか、小学校、保育所等の施設の設置状況などを勘案して補助をするという枠組みになってございます。
 また、交通違反をした場合の交通違反の反則金を原資といたします交通安全対策特別交付金等に関する政令におきましては、そのお金を都道府県、市町村の交通安全施設の整備に用いることとなっておるわけでございますが、その交付基準は、交通事故の件数でありますとか、人口集中地区の人口でありますとか、あるいは改良済みの道路の延長というようなものを根拠に、対象として配賦するという計算式がございますが、こうした交通量でありますとか、交通事故の状況でありますとか、道路延長でありますとかそういうものを勘案しながら、必要な予算の確保に努めているところでございます。

○塩川委員 老朽更新は必要だ、その予算の確保、これはわかります。それを除いた場合に、新設などの対応がどうなっているのか、あるいは改修などの措置がどうなるかという説明がありませんでした。これは、きちっと分析する必要があると考えます。
 それで、地方単独事業についても、答弁で、平成十年と平成三十年を比較をすると四四%減少と、大きく減っているわけです。これはどういう理由なんでしょうか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 地方単独事業の予算が減少している要因につきましては、地方公共団体におけます財政状況でありますとか、先ほど例示させていただきましたような社会情勢の変化というものが挙げられると考えておりますけれども、こちらは、地方公共団体それぞれの個別の事情もあると考えておりまして、はっきりとその要因を申し上げることは困難でございます。
 いずれにいたしましても、各都道府県においては、交通安全施設等の整備に必要な予算の確保に努めているものと承知いたしております。

○塩川委員 東京都の交通安全施設整備の予算、決算がどうなっているのかを、二枚目、三枚目につけました。
 二枚目には、平成二十九年度の主要施策の成果ということから出ているんですが、こういった交通信号機や道路標識、道路標示の整備についての予算現額と決算額を比較をしていますけれども、これは執行率が七〇%なんですよ、右上の方を見ていただくと数字がありますけれども。あるいは、交通信号機の新設、予算上は五十八カ所なのに、決算では三十九カ所と大きく少ないんですよね。それを経年で示したのが三枚目の資料で、東京都の交通安全施設整備に関する事業費の推移を見ていただくと、二〇〇九年度以降の数字で、交通安全施設整備費、執行率のところだけ見ていただくと、八割台、七割台なんですよ。
 何でこんなに、いつもいつも執行率を低いままにとどめているのか。信号機の新設の要望というのは、都道府県の議員をされている方なんか、一番の要望の眼目がこの信号機の新設でありますけれども、これは、予算上やっているものも、こなしていないんですよね。これが単年度じゃなくて、毎年のようにそうなっている。何でこうなっているのかについて、どういうふうに受けとめておられるんですか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 東京都、警視庁におきます交通安全施設予算の執行状況につきましては、先ほど委員お示しの資料のとおりでございまして、昨年、平成二十九年度について言いますと、百六十一億円の事業予算に対して約四十八億円の不用額が発生しているということでございます。
 このような不用額が発生いたしました理由といたしましては、入札を行ったものの不調となった、道路改良工事がおくれて入札できなかったなどの理由があるというふうに聞いております。具体的には、労務単価の上昇等による入札の不調がありましたほか、下半期に多くの発注を行ったということが不調の要因の一つにもなっているということでございまして、この状態を放置するということは許されないだろうと考えております。
 警視庁におきましては、先ほど申し上げましたように、下半期に多くの発注を行っているということが不調の要因の一つと考えておりますことから、債務負担行為の導入、すなわち、工事の完了、支払いが翌年度以降になるという枠組みの導入でありますとか、予算の早期執行、計画的な執行を行うことによりまして、不用額は改善される見込みであるというように聞いてございますが、いずれにいたしましても、引き続き不用額の削減に取り組んでいく必要があると考えてございます。

○塩川委員 ですから、こういう状況がずっと十年も続くということは、このままでいいのかというのは、現場で事故もある、要望もある、それに応えられていないという状況が続いているということについて、やはり国としてもしっかりと見ておく必要があるんじゃないのかということを申し上げ、最後に大臣にお尋ねいたします。
 このように、国庫補助事業も減り、地方単独事業も減り、そしてその執行状況も必ずしも一〇〇%執行するような状況にない、七割、八割台という東京都の状況も紹介をいたしました。前回、音響式信号機の設置状況について、一割しかない、これについて、努力したいという大臣の答弁がありましたけれども、ぜひともこういった、しっかりと予算確保に努めて、その責務を果たせるように努力したいとお答えいただいた、そういうことを踏まえて、こういう状況についてどう受けとめておられるのか。その上で、生活道路の交通安全対策の予算措置を抜本的に拡充すべきではないのか。その二点について大臣からお答えをお願いしたい。

○山本国務大臣 警察といたしましては、交通の安全と円滑を図るため、必要な信号機それから道路標識、道路標示等の交通安全施設等の整備を適切に推進する必要があるというふうに考えておりまして、近年の厳しい財政状況の中でございますけれども、必要な予算の確保に努めているところでございます。
 今ほど、議員の方から、東京都のこのような事業費、不用額がふえているというような資料をいただきました。これは、我々としても重く受けとめていかなければならないというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今後とも交通安全施設等整備事業に必要な予算の確保に努めてまいりたいと思いますし、それが交通事故の撲滅につながるような努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 生活道路の交通安全対策を抜本的に強化する、そのことを求めて、質問を終わります。