【内閣委員会】災害対策/できないことがあれば新たな制度を作る立場で

 台風15号、19号と大雨の災害対策について、避難所の生活環境改善と住宅応急修理の活用についてただしました。

 私は、一部損壊の住宅まで対象が拡大された住宅応急修理制度の活用について、床下浸水も対象となるのか。床下に断熱材など重要な設備があることもある。被害の実態を見るべきだ、と質問。

 内閣府防災は「一次調査における外観調査では対象になりづらいが、必要に応じて住家内に入っての二次調査も行う。被災者の要望に応じて調査する」と答弁しました。

 また、私は、公営住宅に入ると住宅応急修理制度が使えないと説明する自治体もあったこと指摘。

 内閣府防災は「被災者が一時的に避難先として公営住宅を利用する場合、住宅応急修理制度が活用できる」と述べました。

 菅義偉官房長官が被災者支援について「できることはすべてやる」と述べたのに対し、私は、現行制度はすべて活用すると同時に、できないことがあれば新たな制度を作る立場で臨むべきだ、と強調。

 菅官房長官は「柔軟に弾力的に対応する」と答えました。

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「議事録」

<第200通常国会 2019年10月30日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 それでは、残りの時間で台風十九号等の災害対策についてお尋ねをいたします。
 最初に、武田大臣にお尋ねをいたします。
 ぜひ、この台風十九号を始めとしたこの間の被災状況についての大臣の認識をお伺いいたします。

○武田国務大臣 十九号の被害状況について御説明を申し上げますが、三十日七時現在、人的被害、死者七十九名、災害との関連死ゼロ、心肺停止者ゼロ、行方不明者七名となっております。住家被害につきましては、全壊七百四十七、床上浸水三万四千五十八棟となっております。国管理河川七河川十二カ所で堤防決壊などが報告されているのが現状であります。
 また、十月二十五日からの大雨につきましては、人的被害、死者十一名、災害との関連死一名、心肺停止ゼロ名、行方不明者二名。住家被害につきましては、全壊八棟、床上浸水一千二十二棟などが報告をされております。
 私も、発災直後より被災地を訪問させていただいておりますけれども、改めて今回の台風、大雨による被害の大きさというものを実感しているところであります。
 政府としましても、台風第十九号が通過後の十三日には非常災害対策本部を設置しました。関係省庁が緊密に連携して、被災者の救出、救助、電気や水道等のライフラインの早期回復、被災者の支援等に当たるべく、本部会議を開催し、各省の取組状況や情報収集した被害状況、必要となる対策について確認、共有しながら、災害応急対策を強力に推進してまいっております。
 また、被災者への生活支援も重要であり、御党からも数々のアドバイスをいただきましたが、各省横断の被災者生活支援チームを設置し、水、食料、段ボールベッド、暖房器具等のプッシュ型支援、避難所の生活環境整備、被災自治体への職員派遣、災害廃棄物の処理、住まいの確保など、必要が生じる事柄を先取りし、政府一丸となって迅速に進めてきたところであります。
 加えて、総理からも、被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージを早急に取りまとめ、予備費等を活用してしっかりと被災自治体を支援するよう指示をいただいたところであります。
 引き続き、国としてできることは全てやるとの方針のもと、現場主義を徹底し、被災者の皆様が一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻せるよう、早期の復旧に向け、全力を尽くしてまいりたいと存じます。

○塩川委員 亡くなられた方々に哀悼の意を表します。被災された方々のお見舞いを申し上げ、被災者支援のためにも全力で取り組んでいきたいと思っています。
 菅官房長官にお尋ねいたします。
 官房長官は二十六日、台風十九号の被害や復旧状況を確認をするため、埼玉県の坂戸、東松山、川越にも足を運んだとお聞きしております。現場の状況や被災者の方との意見交換の話、されたと承知しておりますので、被害状況等についての御認識を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 今御指摘いただきましたように、埼玉県の被災地の視察を先週末にしてまいりました。被害の実態を目の当たりにして、そしてまた、直接被害に遭った国民の皆さんとお話をさせていただく中で、地域の皆様のそうした切実な思い、それに何としても政府としては応えなきゃならない、できることは全てやる。武田防災担当大臣が先ほど申し上げましたけれども、その姿勢で取り組まなきゃならない、そういう思いになったことも事実であります。

○塩川委員 できることは全てやるという点でのお話がありました。
 その上で、具体的な対策の問題、幾つか事務方の方にもお聞きしたいんですけれども、武田大臣や菅官房長官も現場に行かれて、避難所の改善ということでもいろいろ指示等を出されていると承知をしておりますけれども、この避難所のパーティションの問題があります。
 私は、ある埼玉県内の避難所の話として、パーティションが設置されていないところがあるというふうにお聞きしました。プライバシー確保のためにも、こういうパーティションの設置というのは不可欠ではないのかと率直に思いますが、この点について、内閣府防災としてはどのように考えておられるか、お聞きします。

○小平政府参考人 今、避難所におきますパーティションの御質問をいただきました。
 避難生活における避難所の生活環境の改善は、政府としても、被災者を支援する上で極めて重要なことであると認識してございます。
 内閣府といたしましても、平時から、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針などにおきまして、プライバシーの確保等、生活環境の改善対策を講じることについて、自治体に周知し、適切な対応を求めているところでございます。
 今回の台風十九号に伴う災害におきましては、内閣府といたしましても、災害救助法が適用される自治体に対して、間仕切り用パーティションを整備した場合の費用について国庫負担になる旨を通知し、避難所の生活環境の整備を促してございます。
 加えて、被災自治体に職員を派遣いたしまして、自治体や避難所の個々のニーズや課題を把握するとともに、間仕切り用パーティションを含め、生活に必要な物資について、状況に応じて、自治体の要請を待たないプッシュ型の支援もしているところでございます。
 内閣府といたしましては、引き続き、関係自治体と連携して、避難所におけるプライバシーの確保が図られるよう適切に対応してまいりたいと思います。

○塩川委員 ぜひ、関係自治体に改めて趣旨の周知を行っていただきたいと思います。
 次に、住宅応急修理の活用についてお尋ねします。
 内閣府は、告示を改正をし、一部損壊に対しての支援を拡大をしました。制度の詳細はどうなっておりますか。

○小平政府参考人 応急修理の拡充の件でございます。
 災害救助法によります住宅の応急修理は、応急的な修理により、もとの住家に引き続き住むことを目的として、その破損箇所を修理する制度でございます。台風十五号による被害を契機といたしまして、今般、一部損壊の住宅のうち、日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅につきましても、災害救助法の応急修理の制度を拡充し、恒久的制度として支援の対象とすることとしたところでございます。
 十月十四日には、台風十九号に関する被災認定調査に係る通知を発出いたしまして、運用指針の記載にかかわらず、暫定的に、損害割合が一〇%以上二〇%未満の住宅につきましては、一部損壊、今、準半壊と呼んでございますけれども、の区分を設けて、記載するよう依頼するということと、十月二十三日には、内閣府の告示を出させていただきまして、住家の損害割合が一〇%以上二〇%未満の場合は、三十万円を限度として応急修理を行うこととしたところでございます。
 今般の十九号による被災地を含む各自治体に対しましては、改正後の制度の周知を図るため、被災地におきまして、さまざまな説明会であるとかテレビ会議システムを活用した説明会等を開催いたしまして、改正後の制度が適切に運用されるよう、自治体に周知を図っているところでございます。

○塩川委員 十九号等々、十五号以降についても適用するという話でした。
 この住宅応急修理の一部損壊の拡充については、床下浸水にも活用することができるということでよろしいですか。

○小平政府参考人 お答えいたします。
 今、一部損壊の被災の程度に応じ、一〇%以上二〇%未満というお話をさせていただいておりますけれども、今までの我々の検討の中では、床下浸水のみにとどまる場合におきましては、そこに至らないのではないかと考えてございます。

○塩川委員 その実態を見て考える必要があると思うんですよ。床下といってもいろいろなレベルがありますし、床下部分にさまざまな、生活にとって不可避な、そういう設備が設置をされているような場合もあるわけですよね。それはやはり個々の判断ということになるわけですけれども、当然そういうことも考慮するという中身ということでお考えになっているかどうか。

○小平政府参考人 お答えいたします。
 住宅の被災度の調査につきましては、一次調査で外観の調査をする場合が多うございますけれども、必要に応じて、内部に入りまして、二次調査という形で個別に調査をすることもございます。
 被災者の要望に応じまして、その可能性は、調査をすることはあろうかと思います。

○塩川委員 ぜひ、弾力的な運用ということですけれども、そういう弾力的な運用という趣旨で当たっていただきたいと思いますが、その点。

○小平政府参考人 いずれにいたしましても、住家内に入っての調査が必要であるという申出がございました場合には、適切に対応してまいりたいと思ってございます。

○塩川委員 住宅応急修理制度について、ある県のホームページには、当初、公営住宅に入ると住宅応急修理が使えないとしていましたが、これはおかしいんではないかと思ったんですが、その点、どうでしょうか。

○小平政府参考人 お答え申し上げます。
 災害救助法の中で、応急修理と応急仮設住宅がございますけれども、災害救助法におきます住宅の応急修理は、住宅が半壊等の被害を受けて日常生活が困難ではあるけれども、応急修理を行うことで住宅における日常生活が可能となる場合を対象としてございます。
 一方、応急仮設住宅につきましては、住宅が滅失し、みずから住宅を確保できない方に対しまして、仮の住まいとして提供するものでございまして、応急修理とはその対象が異なるもので、両者を併用することは認めていないところでございます。
 このような考え方を踏まえまして、今おっしゃっているのは栃木県のケースだと思いますけれども、この県におきましては、応急仮設住宅の提供と同等の性格を持つ公営住宅の無償提供を受けた場合には、応急修理を併用できないというふうにしていると承知しております。
 ただ、一方で、公営住宅を避難先として使用する場合は、もとの住宅で日常生活を営むことができるようになるまでの一時的な使用ということですので、災害救助法に基づき応急修理を利用することを認めているものと理解をしてございます。

○塩川委員 避難先として一時的に利用する場合であれば、公営住宅を使った場合でも住宅応急修理が使える、そういう趣旨が十分伝わっていない自治体もあったということでもありますので、そこのところも改まっているというふうには聞いているわけですけれども、いずれにせよ、そういったことについてしっかりと理解が届くように対応してもらいたいと思います。
 こういった件について、告示で二十三日、一部損壊を出しましたけれども、全体の趣旨について、改めて、内閣府として、通知の発出で関係自治体に周知をする、そういうことについてもぜひやってもらいたいと思うんですが、いかがですか。

○小平政府参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、被災直後に、新しい住宅の被災度調査のやり方であるとか災害救助法等に関しまして、自治体職員向けに説明会をしているところでございますけれども、御質問等がありましたらいつでも随時受け付けることとしております。
 中身につきましては、適宜お問い合わせいただくなり、こちらからもリエゾンが行っているところもございますので、そういう点についてまた周知の徹底を図ってまいりたいと思います。

○塩川委員 最後に、官房長官に一言。
 先ほど、できることは全てやるというお話をいただきました。現行制度は全て活用していくということと同時に、できないものがあれば新たな制度をつくる、こういう立場でぜひ臨んでいただきたい。その点についての官房長官の発言をいただきたい。

○菅国務大臣 徹底して柔軟に弾力的にやる、このことは政府として一貫をいたしております。
 そして、新しい制度として、例えば千葉県、風によって多くの民家が一部破損がありました。一部破損というのは今まで支援の対象になっていなかったんですけれども、新たな措置として、国として、三十万、一部破損についても新たな仕組みで今対応させていただいています。
 できることは全てやるという観点の中で、まさに、被災地の皆さんの思いに、声にしっかり耳を傾けながら、こうしたことを進めていきたい、こう思います。

○塩川委員 不十分であれば新たな制度をつくる、こういう立場で全力を挙げてもらいたい、そのことを求めて、質問を終わります。