▼2020通常国会の取組み▼【4】予備費10兆円批判 (1)財政民主主義反する/2次補正に予備費10兆円 (2)巨額予備費は政権の都合優先/財政民主主義を否定

【4】予備費10兆円批判
(1)財政民主主義反する/2次補正に予備費10兆円内閣委員会、6月3日
 政府が第2次補正予算案に10兆円もの予備費を計上している問題を取り上げ、財政民主主義に反する、と追及した。

 政府は新型コロナウイルス対策として、当初予算に予備費5千億円、第1次補正予算に1・5兆円を計上し、第2次補正予算案で10兆円を積み増そうとしている。

 リーマン・ショック時の予備費は1兆円、東日本大震災の際も8000億円で、これほど巨額だったことはない。憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めており、過去に例のない10兆円もの予備費を政府に白紙委任することなど認められない、と迫った。

 菅義偉官房長官は「臨機応変に対応する必要がある。万全の備えだ」と正当化した。

 私は、戦前、国の予算は国会に決定権がなく、政府が戦費調達のために国債を乱発し、国家財政と国民生活を破綻させた反省から、日本国憲法は財政全般への国会による民主的統制を要請していると強調した。

 その上で、予備費での執行は、不透明な支出があっても国会の事前チェックが働かない。国民・野党に追及される国会は開きたくないが、お金は好き勝手に使いたいという政権与党の都合だ。大規模な対策費が必要になれば、国会を召集し、補正予算を提出するべきだ。

(2)巨額予備費は政権の都合優先/財政民主主義を否定内閣委員会、6月9日
 政府は20年度予算の予備費233億円と1次補正予算233億円を使い、全世帯に2枚の布マスク(いわゆる「アベノマスク」)を配布。異物の混入や配布の遅れもあり国民から批判が相次いだ。

 私は、「補償なき自粛要請」など政府の対応への怒りが広がるなか、批判をかわそうと実施したのがアベノマスク配布だ。思いつきのばらまきに使うことは許されない。これがまかり通ったのは、国会の事前チェックが働かない予備費だからだ。10兆円の予備費は、好き勝手に予算は使いたいが、野党に追及される国会は開きたくない政府与党の身勝手な都合を優先したものと、ただした。

 西村康稔経済再生相は「臨機応変に対応するため予備費は有意義」と述べるだけでした。

 私は、大蔵省財政史室編纂『昭和財政史』が、戦前の予算編成を「徹底的単純化」し、「戦時に緊急な施策を臨機に実行できるように予備費を増加計上」「財政上の立憲主義は、残骸だけとなった」として、「新憲法の財政条項は、戦前の非民主的規定を廃止し、重要な項目の一つ目に財政処理の権限は国会にある」と指摘している。予備費10兆円は財政民主主義を否定するものだと批判した。