【内閣委員会】PCR拡充と財政支援/行政検査全額負担を

 新型コロナウイルス感染防止のためのPCR検査等の体制拡充と自治体、医療機関などへの財政支援を求めました。

 検査体制については、厚生労働省にコロナ対策の助言を行う「アドバイザリーボード」でも、季節性インフルエンザが流行し発熱患者が増える冬に備え、各自治体の外来・検査体制を整備する方針が議論されています。

 PCR検査等の拡充のためには、自治体の負担軽減が必要だ。私は、国と自治体の折半となっている行政検査の費用を国が全額負担すべきだと主張。

 厚生労働省の依田泰審議官は、自治体の負担については地方創生臨時交付金の対象だと答えました。

 全国知事会からは臨時交付金が足りないという声が出ている。帰国者・接触者外来等の設置数について、都道府県ごとに大きなばらつきがある。検査可能な医療機関を増やすために、東京都世田谷区が行っている発熱外来の運営に対する1日当たり4万1700円の補助のように、国が医療機関に対して支援を行うべきだ。検査体制を拡充するために、自治体・医療機関へ十分な財政支援を行うべきだと強調しました。

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 また、世田谷区が、感染が広がると深刻な影響がでる医療機関や高齢者介護・障害者施設等で働く人への定期的な検査を実施する「社会的検査」の費用を国が助成するよう求めています。

 厚労省はクラスターが発生している地域にある医療施設、高齢者施設等の職員・入所者については、当該施設に感染者がいなくても検査が可能だとしつつ、「社会的検査」が行政検査として認められるかは明言しませんでした。

 私は、抜本的な検査拡充のために、地方創生臨時交付金をはじめ自治体、医療機関への十分な財政支援が必要だと強調しました。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年8月26日 内閣委員会 21号>

○塩川委員 次に、コロナの検査体制の抜本的な強化について、医療機関、自治体への支援を求める問題について質問をいたします。
 厚労省にお尋ねをいたします。
 PCR検査等の拡大に伴う自治体の費用負担についてでありますけれども、行政検査の費用は公費で負担されますが、それについては国と自治体が折半をするということだそうですけれども、しかし、それが自治体としての負担に積み重なっていく、こういう点では、やはり国が全額負担する必要があるんじゃないのか。この点についてお答えください。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
 感染症の蔓延防止の観点から行われる行政検査の費用負担につきましては、感染症法の規定により、都道府県等が支弁することとされており、国においては都道府県等が支弁した費用の二分の一を負担することとなっているところでございます。
 国におきましては、一次補正予算及び第二次補正予算におきまして、PCR検査経費のほか、地域外来・検査センターの運営経費などにつきましても必要な額を確保しているところでございます。
 それから、お尋ねございました地方負担でございますけれども、先ほど申しましたように、国において感染症予防事業費等負担金におきまして二分の一を負担することとしているところでございますが、自治体の負担の分につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の算定対象となっておりまして、地方自治体の財源として措置されるものと考えているところでございます。
○塩川委員 地方創生臨時交付金の話がありましたけれども、全国知事会におきまして、ワーキングチームにおきまして、この地方創生臨時交付金を活用している、三兆円だ、しかし、それでも足りないという現場の声が出ているわけであります。そういう点でも、地方の負担をいかに軽減して、実際の検査体制を大きく拡充をしていく、こういうところへの財政支援こそしっかりと行うべきだ、このことを申し上げるとともに、もう一点、保険適用の行政検査の場合には、初診料や実施料や判断料など、患者の一部負担金は発生します。ですから、検査については公費負担ではありますけれども、初診料等患者の一部負担は発生する、この部分について、やはり公費できちっと措置すべきじゃないのかと知事会からも緊急提言でも要望があるところですが、これについての対処を求めたいと思いますが、いかがですか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
 行政検査につきましては、保健所等が行うものにつきましては全額公費で負担をしているほか、また、これはいろいろな議論を踏まえまして、一般の医療機関等におきまして保険診療で行われているものについては保険でカバーしていただいた上で、その自己負担分については、行政検査として、三割分については公費で負担をするというようなことで取り進めているところでございます。
○塩川委員 いや、本人の一部負担金についても公費負担にすべきじゃないのかと。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと繰り返しになりますけれども、いわゆる検査費用として、まさにこれは行政検査といたしまして実施しているものとの兼ね合いのもとに、保険診療についても、その検査部分については、行政検査と同等とみなし得るという考え方のもとに、公費で負担しているものでございます。
 一方、保険診療といたしましては、いろいろな診断でございますとかそういうものがございますので、保険診療の範囲の中でやっていただいているというところでございます。
○塩川委員 ですから、保健所なり行政検査であれば本人の負担はないわけだけれども、保険診療の行政検査となると一部負担金が発生するわけですから、こういったことについてきちっとした手当てというのは、それはやはり具体化すべきじゃないですか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、行政検査といたしましては全額公費で負担をしているわけでございまして、一般の医療機関におきます保険診療として行われるものにつきましても、検査部分に相当する分については、自己負担が発生する分については、行政検査と同様の効果を持つものだということをみなしまして、その分については公費で負担させていただいているというところでございます。
○塩川委員 ですから、初診料は本人負担というところは変わらないと。そういうところこそきちっと見直して検査体制の拡充につなげていくということを求めていきたい。
 検査体制の拡充については、世田谷区が非常に熱心に取り組んでおられます。世田谷区は、発熱外来の運営に対して、一日当たり四万一千七百円の補助を行って支援をすることにしました。資料にも全国の帰国者・接触者外来等の一覧表があります。多い県、少ない県いろいろありますけれども、こういうところをどんどんふやしていくということが極めて重要で、このような帰国者・接触者外来等の医療機関に対して世田谷区のような支援措置を国がしっかりと行って、こういう発熱外来の設置をふやしていく、そういう医療機関をしっかりとサポートしていく、こういうことを行うべきだと思いますが、いかがですか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
 帰国者・接触者外来等の運営につきましては、患者を診察した際の診療報酬が支払われるほか、行政検査に係る自己負担分につきまして公費で負担しており、さらに、必要に応じて、備品や消耗品等について感染症予防事業費等負担金を用いることが可能となっているなど、自治体の検査体制に応じた支援を行っているところでございます。
 また、支援策といたしましては、第一次、第二次補正予算におきまして創設いたしました新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金におきまして、発熱患者の診療を行う外来の設置についても対象としているところでございまして、プレハブ、テントの設置、またドライブスルー方式等の費用についても全額国費で支援しているところでございます。
 こうした支援策を通じまして、地域における検査体制の整備に努めてまいりたいと存じます。
○塩川委員 医師確保のための支援も必要なんですよ。ですから、必要な備品ですとかテントなども当然ですけれども、医師を特別にオンするような格好で確保するという考え方で、東京都などではそういう支援についての議論もあるそうですけれども、そういった取組を世田谷区がやっているということを応援をする、こういうことを求めていきたいと思います。
 全国知事会も緊急提言で、予備費を活用して新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金を増額をし、早急に追加の交付を行うことと要望しています。こういうのにしっかりと応える必要がある。
 それと、もう一点、世田谷区では、社会的インフラを継続的に維持するためのPCR検査、社会的検査に十月から取り組むことを公表しました。介護事業所、保育園、幼稚園、特養ホーム等の施設入所予定の人を対象に実施をします。今後、障害者施設で働く職員や小中学校の教職員などを対象にしていくことを予定しております。世田谷区は、社会的インフラを支える人たちへの継続的な検査を実施する社会的検査の費用に対して国の助成を求めています。
 こういう要望に応えてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症に係る検査につきましては、検査が必要な方がより迅速かつスムーズに検査を受けられるようにするとともに、濃厚接触者に加えまして、感染拡大を防止する必要がある場合には広く検査が受けられるようにする必要があると考えているところでございます。
 こうした考え方のもと、地域の感染状況を踏まえた幅広い検査を実施することといたしまして、クラスターの発生など地域における感染状況を踏まえまして、感染拡大を防止する必要がある場合には、感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することも行政の判断で行っていただくことは可能となっているところでございます。
 また、先般でございますけれども、感染者が多数発生している又はクラスターが発生している地域に所在する医療施設、高齢施設に勤務する方や、また入院、入所する方につきましては、当該施設に感染者がいない場合であっても幅広く検査することは可能であるといったこともお示ししているところでございます。
 これらの新型コロナウイルス感染症の検査に係る費用につきましては、先ほどございましたけれども、行政検査として行うものについては公費で賄うこととしているところでございます。
 その上で、世田谷区が実施を検討されているものにつきまして、私ども直接相談を受けているわけではございませんが、行政検査として認められるものということであれば、その費用については公費において負担されるということになっているところでございます。
○塩川委員 世田谷区のこの社会的な検査については、知事会、あるいは先ほどの尾身先生でもその必要性、支援の重要性について触れておられるところです。ぜひ、検査体制の抜本的強化、医療機関への減収補填、地方創生臨時交付金についてはその増額を求めて、質問を終わります。