【議院運営委員会】森友「再検査予定ない」と答弁/会計検査院検査官候補聴取

 国会同意人事案件のうち、政府が再任案を示した会計検査院の岡村肇検査官候補(現検査官)の所信を聴取し、質疑。学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐる会計検査についてただしました。

 憲法上の機関である会計検査院は、独立して国の会計検査を実施。検査を実施する事務総局の指揮監督をし、意思決定を行っているのが3人の検査官です。森友学園の問題では、国会の要請を受け2017年に検査を実施、文書改ざん問題が発覚した翌年にも要請を受け再検査し、国会に報告しました。

 私は、18年の再検査報告以降も新たな事実が明らかになっていると指摘。今年3月には、財務省による公文書改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局職員の遺書の公表で財務省本省の指示であったことが明らかになったとして、再検査を行う考えがないかと質問。

 岡村氏は、財務省の会計検査に対する不適切な対応については既に国会に報告しているとして、「必要な検査を行ったので、再検査は予定していない」と答弁しました。

 私は、改ざんの経緯を詳細にまとめたファイルが存在すると語った元上司の音声データを遺族が先月の裁判で証拠として提出している。このようなファイルについて再検査しないのかと質問しました。

 岡村氏は、18年までに関係者への質問などを行ったとして「再検査は予定していない」と繰り返しました。


「議事録」(森友学園問題)

<第203通常国会 2020年11月6日 議院運営委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 森友学園への国有地売却問題の検査についてお尋ねをいたします。
 参議院の決算委員会は、おととし、二〇一八年の六月、「会計検査院における検査体制の強化に関する決議」を上げました。
  会計検査院は、本院からの検査要請に基づく、学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する検査に際し、財務省が提出した決裁文書の真正性について国土交通省にも確認するなどの検証を行わず、財務省による言語道断な決裁文書の改ざんを見逃すこととなった。また、平成二十九年十一月に本院に提出された、検査結果の報告書では、地下埋設物の撤去・処分費用の試算が明示されていなかった。
  会計検査院は、今般の事態を深刻に受け止めて、経緯を検証し、今後の検査に当たり、資料の信ぴょう性について適切に確認するなど、再発防止を徹底するとともに、独立した憲法上の機関であることを自覚し、検査の過程及び内容に疑念を抱かれないよう、会計検査体制を強化すべきである。
このようにありますが、この決議の受けとめと、その後どのように対応されたのかをお聞きしたいと思います。
○岡村参考人 御質問ありがとうございます。
 御指摘のように、決裁文書の改ざんを見抜けなかったことについて、大きな御批判をいただいたところでございます。
 資料の真正性の検証ということにつきましては、全ての管理監督職員に対して特別の研修を行い、収集した書類等が会計経理等の真実を裏づけ、検査上の判断の基礎とすべき信頼性を備えているかなどに留意することの重要性について周知するなどしたところでございます。
 そして、今後も継続的に資料の信憑性の確保等を適切に行うことができるよう、研修体制の充実強化といたしまして、検査に当たる職員の能力開発に携わるスタッフを強化拡充しております。加えて、各階層の職員を対象とした研修のカリキュラムの見直しを行ったところでございます。
 仮に、今回御同意いただき検査官に再任された場合には、引き続き、このような取組を通じて、厳正に会計検査を実施していくために力を注いでいく所存でございます。
○塩川委員 三月の十八日に、財務省による森友公文書改ざんに関与し自殺をされた、近畿財務局職員であった赤木俊夫さんの遺書が明らかになりました。
 遺書の中では、国会、国会議員、会計検査院への各対応も、本省で基本的な対応のスタンスが決められていた、特に、会計検査院への対応では、決議書等の関係書類は検査院には示さず、本省が持参した一部資料の範囲内のみで説明する、応接記録を始め、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は、文書として保存していないと説明するよう事前に本省から指示がありました、このように述べていますが、このような財務省本省からの指示は、会計検査院法に違反するものではありませんか。
○岡村参考人 財務省の会計検査に対する不適切な対応でございます。
 これは、三十年十一月に参議院予算委員会の理事会懇談会に御報告させていただいておりますけれども、会計検査院法第二十六条に違反する行為があったというふうに認定をしているところでございます。
○塩川委員 この三月に明らかになった遺書を踏まえて、再検査を行う考えはありませんか。
○岡村参考人 三十年十一月に、先ほど申しましたが報告させていただいたところでございますが、財務省の会計検査に対する不適切な対応につきまして、法律相談文書が提出されなかった件も含めて、提出を求めていた資料が提出されなかったことにより、検査の実施に支障を生じさせたものであるというふうに報告しているところでございまして、この点につきましては、いずれにしても変わらないというふうに考えているものでございます。
 会計検査院といたしましては、これらの報告を行う過程で、関係者に質問するなどさまざまな方法で検査を行ったところでございまして、必要な検査を行ったと考えておりますので、再検査は予定しておりません。
○塩川委員 赤木俊夫さんの妻の雅子さんは、十月の裁判におきまして、俊夫さんの元上司が弔問に訪れた際の音声データを証拠として提出し、メディアにも公表しました。
 その上司は、赤木さんが改ざんの経緯を詳細にまとめたファイルを作成していたと明かしております。上司は、ファイルにして赤木さんがきちっと整理している、全部書いてある、何が本省の指示か、前の文書であるとか修正後のやつであるとか、何回かやりとりしたようなやつがファイリングされていて、これを見たら我々がどういう過程でやったのかが全部わかると述べています。
 こういったファイルについて再検査をする考えはありませんか。
○岡村参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますが、三十年十一月までの過程で、関係者、これは直接の関係者ばかりではなく幅広く関係者に対して質問するなどさまざまな方法で検査を行ったというところでございまして、必要な検査は行ったと考えておりますので、再検査は予定していないところでございます。
○塩川委員 再検査は予定していないということですが、新たな資料が出ているわけです。それを脇に置いて、それを行わないというのは、参議院の決議が言っている、森友問題の経緯を検証したと言えないのではないかと思うんですが、その点、どうでしょうか。
○岡村参考人 財務省の会計検査に対する不適切な対応ということについては、先ほども申し上げましたが、検査の実施に支障を生ぜしめたものである、中には会計検査院法の二十六条に違反する行為もあったというふうに認定をしているということでございます。
 こういった認定までにさまざまな方法で必要な検査を行ったというふうに考えておりますので、再検査は予定していないということでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 衆議院が要求しました森友問題の予備的調査、これの提出が来週に予定されていますが、それを踏まえて、新たな事実があれば再検査をするお考えはありませんか。
○岡村参考人 国会でのさまざまな御審議等の状況については常に留意をしているところでございますので、それはまた検討をさせていただければというふうに思います。
○塩川委員 終わります。


「議事録」(検査官候補聴取)

<第203通常国会 2020年11月6日 議院運営委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 会計検査院の天下り問題についてお尋ねします。
 二〇一六年十一月の質問主意書に対する政府答弁書では、会計検査院からの検査対象法人への再就職について、二〇〇五年八月から二〇一六年六月までの十二年間に三十九人としています。
 また、衆議院調査局が二〇一九年十月にまとめた国家公務員の再就職状況に関する予備的調査では、会計検査院と密接な関係にある営利企業への天下りについて、二〇一〇年から二〇一八年の九年間に二十二人としております。
 会計検査院が検査対象にしている法人への再就職、天下りは、会計検査院が当該法人に対する検査に手心を加えるのではないのか、このような国民の疑念を招くのではないか。このことを懸念しますが、お答えいただきたいと思います。
○岡村参考人 会計検査院の職員は、一般職の国家公務員として、国家公務員法の適用を受けております。
 会計検査院としては、当然のことでありますが、職員の再就職について、この国家公務員法の退職管理の諸規定を遵守し、職員の営利企業等への再就職のあっせんは一切行っていないところであります。
 元職員による再就職は、いずれも元職員本人と再就職先との合意により再就職したものと承知をしております。
 会計検査院としては、元職員が在籍する検査対象の団体等であっても、厳正な検査を実施して、指摘をして、検査報告に掲記しているところでございます。
 会計検査院としては、今後とも、厳正な検査を実施していくことが極めて重要と考えておりまして、国家公務員法を遵守するのはもちろんのこと、検査に影響を及ぼすようなことや国民の信頼を損なうことがないように、引き続き努力してまいります。