コロナ対応の特措法/感染症法・検疫法改正案に修正要求

 今日から自民・立憲民主両党間で、政府提出の特別措置法・感染症法・検疫法改正案の修正協議が始まりました。

 この修正協議に先立ち、日本共産党の修正要求を両党に提示しました。

 特措法に、事業者や医療機関・医療関係者、個人に対する「正当な補償」を明確に規定するよう要求。同時に、懲役・罰金・過料などの罰則強化・制裁的措置を削除するよう要求しています。

 特措法については、現行でも緊急事態宣言発出などで、科学的知見に基づく要件が曖昧で、政府の裁量の余地が大きすぎると指摘。政府案に盛り込まれた「まん延防止等重点措置」は国会への報告も義務付けていないなど、さらに曖昧なものであり、創設する必要はないとしています。

 また、特措法の対象を見直し、指定感染症の一部も特措法の枠組みが使えるように拡大することはやめて、対象の追加は新型コロナ感染症に限定するよう求めています。

 さらに、感染症は、歴史の反省の上にたって、患者などへの「良質かつ適切な医療の提供の確保」が明記されているものであり、患者の自宅療養を法的に位置づけることは削除するよう要求しています。

 また、検疫法についても、海外からの入国者で感染の疑いがある者でも「自宅待機」を法的に位置づけることは、検疫による水際対策に穴をあけることになるとして、削除を求めています。


 日本共産党が26日、新型コロナ対応の特別措置法、感染症法、検疫法改定案の修正協議に提出した修正要求は次の通りです。

【特措法関係】

■罰則について

 政府案の以下の罰則強化・制裁的措置は削除を求める。

・「緊急事態措置」下において、事業者が施設の使用制限の命令に応じない場合、50万円以下の過料

・「まん延防止等重点措置」下において、事業者が営業時間の短縮などの命令に応じない場合、30万円以下の過料

・事業者が、立ち入り検査・報告・徴収を拒否した場合、20万円以下の過料

■「まん延防止等重点措置」について

 現行の特措法は、「政府対策本部の設置」や「緊急事態宣言の発出」の際の科学的知見に基づく要件がもともと曖昧であり、私権制限の規定も曖昧で、政府の裁量の余地が大きすぎる。政府案は、緊急事態宣言の前に「まん延防止等重点措置」を創設するが、肝心なところを「政令で定める」としており、国会への報告も入っていないなど、さらに曖昧な措置である。

 科学的知見や国会の関与がないまま、私権制限を行使する「まん延防止等重点措置」は必要ない。

■補償について

 事業者、医療機関・医療関係者、個人に対する「正当な補償」を、明確に規定すること。

■特措法の対象について

 政府案は、特措法の対象を見直し、指定感染症(病状の程度が重篤であり、かつ、全国的かつ急速にまん延するおそれがあるもの)を含めることとしている。これにより、指定感染症の一部についても、特措法の枠組みが使えるようにするものである。

 私権制限を含む特措法の改正は、本来、慎重な審議が必要なものであり、今回の改正に当たって対象に追加するのは、新型コロナ感染症に限定すべきである。

【感染症法関係】

■罰則・制裁的措置について

 政府案の以下の罰則強化・制裁的措置は削除を求める。

・入院措置に応じない場合や入院先から逃げた場合、1年以下の懲役、100万円以下の罰金

・コロナの患者・疑似症患者・無症状病原体保有者等が、積極的疫学調査の拒否や虚偽等をした場合、50万円以下の罰金

・医療関係者・民間等の検査機関が、緊急時の協力勧告に応じない場合、公表する

・感染者が、宿泊療養・自宅療養の協力要請に応じず、入院勧告・措置となった場合、入院費用の自己負担を徴収できる

■自宅療養について

 感染症法は、歴史の反省に立って、患者等の人権を尊重し「良質かつ適切な医療の提供の確保」を明記した法律である。家庭の事情で自宅療養を余儀なくされる方は除くとしても、患者に対して自宅療養を法的に位置づけることは削除する。

【検疫法関係】

■「自宅待機」について

 検疫法は、「感染症の病原体が国内に侵入することを防止」することを目的とした法律である。検疫における水際対策に穴をあけるものであり、「自宅待機」を法的に位置づけることは削除する。