【議院運営委員会】緊急事態宣言延長/罰則ではなく『正当な補償を』/総理答弁に立たず

 新型コロナウイルス対策の特措法に基づく緊急事態宣言の延長について菅義偉総理から報告を受け、質疑。

 冒頭、菅総理は、政府・自民党の要職を務めていた衆院議員3氏が、緊急事態宣言のさなか、東京・銀座で深夜に会食し、離党処分になったことについて謝罪しました。

 私は、深夜の会食について、政治の信頼が問われる大問題だ、と批判。感染症対策に逆行することを行いながら、国民に罰則を科す特措法・感染症法等の改正を求めることは国民の理解を得られない、と強調。

 さらに、菅総理に対し、感染症法改正について議論した厚生科学審議会感染症部会では、罰則に反対する意見が多数で、「国民の協力を得にくくする」「感染コントロールを困難にする」と厳しく指摘されている。この意見を無視するのか、と追及しました。

 菅総理は答弁に立たず、代わりに西村康稔担当大臣が「最終的にはおおむね了承が得られたと聞いている」と強弁しました。

 私は、罰則の導入は国民、事業者を「犯罪者」扱いし、国民に責任を転嫁して、国が行うべき補償を免れようとするものだと強調し「罰則を撤回せよ」と迫りましたが、菅総理はやはり答弁に立ちませんでした。

 私は、政治への信頼が問われているときに総理が答弁しない。この姿勢が厳しく問われている。国民、事業者、医療機関への『正当な補償』を法律に明記し、罰則は撤回せよ、と主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年2月2日 議院運営委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、菅総理が冒頭お話もされました、政府・自民党の要職を務めていた田野瀬太道文科副大臣、松本純自民党国会対策委員長代理、大塚高司自民党議運理事の緊急事態宣言下の会食についてお尋ねをいたします。
 菅総理は、自ら任命した田野瀬文科副大臣が、国民に外出や会食の自粛を求めながら、自らは守らず、深夜の銀座で会食していたことについて、田野瀬副大臣を更迭処分にしました。また、田野瀬、松本、大塚三議員について、自民党として離党勧告の処分を行いました。
 そこで、菅総理にお尋ねをいたします。
 菅総理は、田野瀬文科副大臣については更迭する処分を行いましたが、菅総理自身が行った会食については、処分はなく、おわびだけでありました。この三人の会食と菅総理が行った会食と、一体どこが違うんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 私の会食については、大いに反省をしているところであります。
 私自身のその会食の際に、緊急事態宣言でもありませんでしたし、当時、十時まで許されていたというふうに記憶をしております。
 ただ、いずれにしろ、あってはならないことだと大いに反省をいたしております。
○塩川委員 冒頭の話の中に、田野瀬副大臣がこの日まで明らかにしなかったと、会食の事実を明らかにしなかった点を指摘しました。
 会食の事実を明らかにしなかった、事実を隠した、うそをついたから更迭や離党勧告という処分を行ったというなら、一年以上うそをついていた、事実を隠していたのに何の処分もない安倍前総理の場合と、一体どこが違うんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 安倍総理につきましては、先般、自らの発言の相違点について、この議運の委員会の中で説明をされてきたのじゃないでしょうか。
○塩川委員 まさに政治への信頼が問われている大問題であります。
 政府・与党の幹部が深夜の銀座で会食するという感染症対策に逆行することを行ったときに、国民、事業者に罰則を科す法改正を求めることは、国民の理解は得られません。
 総理にお尋ねします。
 コロナ対策について、総理は専門家の意見を聞いて判断すると述べてきましたが、感染症法改正に関して議論した専門家の会議、厚生科学審議会感染症部会では、罰則に反対する意見が多数でした。罰則導入は、国民の不安、差別を助長させ、保健所業務に支障を来し、国民の協力を得にくくし、感染コントロールを困難にすると厳しく指摘がされました。
 総理にお尋ねします。
 こういった専門家の意見は聞きおくだけで、その意見は無視をするということですか。
○西村国務大臣 感染症法等の改正につきましては、一月十五日の感染症部会で議論を行い、罰則を設けることも含め、改正の方向性について、慎重な運用が必要といった趣旨の指摘も多くありましたが、最終的にはおおむね了承が得られたと聞いております。
 また、今般の法案については、先般の与野党の協議を経て、罰則を過料にするなどの修正が衆議院で行われたところでございます。
 いずれにしましても、今後、法律案が成立した場合、現場の声をしっかりと受け止め、人権に配慮した丁寧な運用に努めることとしております。
○塩川委員 総理。
○高木委員長 質問を続けてください。
○塩川委員 厚生科学審議会感染症部会において、保健所の所長は、罰則導入が知事会の要望だと言うが、保健所から知事に対し要望を上げてくれと言われたことはないと述べております。
 公衆衛生の現場の声に耳を傾けない姿勢では、コロナを抑えることはできません。罰則の導入は、コロナ感染で不利益を被る国民、事業者を犯罪者扱いし、国民に責任を転嫁して、国が行うべき補償を免れようとするものであります。
 国民、事業者、医療機関への正当な補償こそ法律に明記すべきであって、総理、罰則導入は撤回をすべきではありませんか。
○西村国務大臣 法制定時の議論あるいは憲法二十九条に係る判例など、私ども、法制局と慎重に慎重に整理をした上で、今回の改正法において、実効性を高めていくために、罰則の導入と、そして、事業者の皆さん、影響を受ける方々への支援を講じるという規定も置かせていただいたところであります。
 いずれにしましても、事業者の皆さんにも様々な影響がありますので、この規定に基づき、しっかりと支援を行っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 政治への信頼が問われているときに総理が答弁をされない、このことが厳しく問われていると申し上げて、質問を終わります。