【内閣委員会】特別職の官邸官僚/倫理規程なし/塩川議員「ルール作れ」

 山田真貴子・前内閣広報官が、総務省在籍時に、東北新社だけでなくNTTからも接待を受けていた問題。総務行政の信頼が問われている。総務省として調査を行えと質問。

 総務省は「倫理法違反については、山田氏はすでに退職しており、総務省として調査する立場にない」としつつ、行政が歪められた疑惑については東北新社接待問題を検証する第三者委員会にて「山田氏の在職時も含めて、過去の衛星基幹放送の認定プロセス等について検証が進められると考えている」と調査対象になると答えました。

 また、私は、人事院に対し、国家公務員倫理法が持つ汚職防止のための事前規制としての役割を確認。

 人事院は「その通り」と認めましたが「特別職は倫理法の所管外。担当する府省庁が対応することだ」と述べました。

 私は、加藤勝信官房長官に対し、内閣官房として、倫理法・倫理規程に相当するルールを作るべきだと主張。

 加藤氏が「内閣官房職員の訓告等に関する規程がある」と答えたのに対し、私は、訓告は懲戒処分ではないと追及。

 加藤氏は「高い倫理観をもって職務に励んでほしい」と本人の自覚任せの姿勢を示しました。

 私は、官邸機能強化で、官邸官僚の力が強くなっているときに、恣意的な運用とならないようにルール作りを行えと強調しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年3月10日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 続きまして、総務省接待問題をお尋ねをいたします。
 総務省にお聞きしますが、三月八日、総務省は、NTT接待に関する倫理規程違反の疑いがある会食一覧を国会に提出をいたしました。その一覧表では、上記以外の会食についても確認中といいますけれども、調査範囲はどうなっているでしょうか。山田真貴子元内閣広報官はその調査対象に入っているのか、この点をお尋ねします。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
 三月八日に提出いたしました会食の一覧につきましては、国家公務員倫理規程に違反する疑いのある四件の会食について事実関係の特定を早急に行い、現時点で確認できたものを途中経過として御報告したものでございます。
 これまでもコンプライアンス対応で相談させていただいております弁護士の方に加えまして、検事経験のある弁護士の方にも新たに参加していただきまして、御指摘ありました調査対象とか調査の手法まで御指導を仰ぎながら、ヒアリングにもできる限り御同席していただくなど、常に第三者のチェックをいただきながら、引き続き確認を進めてまいるつもりでございます。
 また、山田真貴子前総務審議官につきましては、既に総務省を退職しておるところでございまして、総務省といたしまして、倫理法違反の疑いにつきまして調査を行う立場にはございません。
 以上でございます。
○塩川委員 調査対象の範囲はまだはっきりしていないということですか。
○阪本政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しました弁護士の方と相談して、現在精査しているところでございます。
○塩川委員 NTTとの関与というのは非常に重大な中身でありますので、その範囲をしっかりと広げていくということが必要だということを申し上げるとともに、山田真貴子元内閣広報官については、総務省在籍時に、利害関係者である東北新社から接待を受けていただけではなく、NTTからも接待を受けていたということになりました。しかし、今回の会食一覧では、参加者の一人として名前が挙がっているだけであります。
 やはり、総務審議官時代の利害関係者との会食になっていく問題ですので、単に退職したからもう関係がないという話じゃないんですよ。総務省の仕事をしているときに起こった、こういう倫理規程違反が問われる問題について、総務行政への信頼が問われているわけです。総務行政への信頼、これを回復しようというのであれば、当然のことながら、その当時の関係者である山田さんについてもしっかりと総務省として調査する必要があるんじゃないですか。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど、倫理法違反の疑いについての調査について回答させていただきました。
 御指摘のような、まさに総務省の行政についてということでございますが、今後立ち上げます第三者による検証委員会では、山田前総務審議官の在職期間中のものも含めまして、過去の衛星基幹放送の認定プロセスなどにつきまして検証が進められることになる、そう考えておるところでございます。
○塩川委員 第三者検証委員会にしっかりやってもらって、関係者をしっかり呼んでもらうと同時に、やはり、倫理法違反、倫理規程が問われる、この問題について、必要な関係者の意見を聞く必要があるんじゃないですか。利害関係者の側だって民間の方であるわけで、総務省の人ではないけれども、そういう方にしっかり話を聞くということがあるわけですから。
 当事者の中の山田さんについて、今のお立場であっても話を聞きに行くというのは当然必要なことなんじゃないですか。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになって恐縮でございますが、山田真貴子前総務審議官につきましては、既に総務省を退職しておりますので、総務省が倫理法違反の疑いについて調査を行ったり処分を行ったりという立場にはないという状況にございます。
○塩川委員 倫理法違反の全体像を明らかにする上でも、当事者の方の話を聞くということは必要なことであって、山田氏を始めとして徹底調査を行うことを改めて求めておきます。
 次に、人事院にお尋ねします。
 この国家公務員倫理法及び倫理規程は、もちろん倫理規程に関わる問題について対応するわけですけれども、贈収賄のような重大な汚職事件を回避するための未然防止策としての役割もあるんじゃないですか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
 倫理法は公務に対する国民の信頼を確保することを目的とするものでございまして、贈収賄等を規定している刑法とは趣旨、目的が異なるものと承知をしております。
 もっとも、倫理法令は贈収賄に問われないような行為も規制対象としており、職員はより厳格な対処が求められていることから、結果として、委員御指摘のような効果もあるものと考えております。
○塩川委員 過去、過剰接待、事務次官の贈収賄事件もあった、その教訓の上にこの倫理法ができているという経緯を考えても、公権力行使を律するという点で、その入口として、こういった倫理法、倫理規程というのが重大な汚職事件を回避するための未然防止策としての役割にもつながりますし、このこと自身が、利害関係者との対応について公務員の側を守るという、そういう側面にもつながってくるわけであります。
 そういったときに、一般職の国家公務員は当然、倫理法、倫理規程があるわけですけれども、政治任用の特別職の国家公務員においてどうなのか。
 人事院にお尋ねしますが、内閣広報官や総理秘書官、総理補佐官などの特別職のいわゆる官邸官僚に適用される倫理法、倫理規程はどうなっているのか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
 倫理法は一般職の国家公務員に適用されるものでございまして、特別職の国家公務員については所管外となっているところでございます。
○塩川委員 それでいいのかという問題なんですけれども、人事院としては、その点についてはどうですか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
 特別職の国家公務員といいましても、その性質は様々でありますことから、担当する府省等において必要と判断されれば、それぞれにおいて検討されるものと理解をいたしております。
○塩川委員 まあ、いろいろあるということですけれども、必要に応じてそれぞれの省庁で考えることということですが、そういう点では、官邸における官邸官僚、特別職についてどうするのかという問題になってまいります。
 加藤官房長官にお尋ねをいたします。
 政権中枢で政策の企画立案や総合調整を担う特別職の官邸官僚というのは、極めて重い仕事を行っていることになります。こういった特別職の官邸官僚への規律が求められている。特別職の官邸官僚に対する倫理法、倫理規程に相当するルールづくりが必要ではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 内閣官房に置かれている特別職については、内閣の長である総理を直接補佐し、内閣と一体となって行動する幹部職員であり、いわゆる政治任用の国家公務員という位置づけになるんだろうと思います。したがって、その服務等については一般職と異なった取扱いになっており、国家公務員倫理法についての規定がなく、それぞれの特別職ごとに、その根拠法において必要な措置が講じられるところと承知をしております。
 倫理法の適用の有無にかかわらず、内閣官房に置かれる特別職の方々は、内閣の長である内閣総理大臣を直接補佐するという重責を担っていることを自覚し、国民全体の奉仕者として、一層高い倫理観を持って日々の職務に当たることは重要と考えております。
○塩川委員 自覚任せというわけにはいかないという話でありまして、まさに権力の中枢にいるわけですから、少なくとも最低限の倫理規程が必要なわけです。まさに、官邸で必要であればつくればいい話ですから、つくったらいいじゃないですか。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、特別職については、まさにそれぞれの特別職ごとに、その根拠法において、服務、懲戒等によって必要な措置は講じられているところであります。
○塩川委員 倫理規程に相当するものをつくる必要があるんじゃないかというふうに聞いているんですが。
○加藤国務大臣 まず、服務の根本基準である国家公務員法の九十六条等については内閣広報官も適用されるわけであります。それ以外に、内閣官房職員の訓告等に対する規定が別途用意されているところであります。
○塩川委員 訓告は懲戒処分じゃありませんから。懲戒処分相当の措置を行う倫理規程に相当するものを、官邸官僚について、内閣官房、官邸として定めるべきじゃないのか。改めて。
○木原委員長 加藤長官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○加藤国務大臣 ですから、現在において、特別職については、内閣官房について、あるいは今御指摘の内閣広報官については、国家公務員法等の準用等、もう既に規定がなされているわけでありますから、それにのっとって対応していく。
 さらに、先ほど申し上げたその重責を踏まえて、国民全体の奉仕者として、高い倫理観を持って職務に当たっていただけるよう、これは励んでいただきたいというふうに考えております。
○塩川委員 官邸機能強化の下で官邸官僚の権限が強くなっているときに、それが恣意的な運用にならないようなしっかりとしたルールづくり、今つくるべきだということを申し上げて、質問を終わります。