【内閣委員会】児童手当の削減やめよ/大企業・富裕層の優遇税制見直せ

児童手当の削減に反対

 児童手当から一定の所得以上の人を外す児童手当法改定案について質問しました。

 私は、政府が少子化対策の財源として社会全体で負担する『安定財源』を検討するとしていることに触れ、消費税増税かと質問。

 坂本哲志少子化担当相は「消費税に限らず検討する」と否定しませんでした。

 私は、子育て支援の財源は、改正案にある児童手当の削減のような子育て世代への給付減や消費税増税で行うべきではない。大企業・富裕層優遇税制の見直しで確保せよと強調。児童手当の削減に反対しました。

放課後児童支援員の配置基準参酌化の影響を追及

 さらに、放課後児童支援員の配置基準が「従うべき基準」から「参酌基準」に緩和された問題を追及。支援員の配置がゼロであるクラブ数を質問しました。

 厚生労働省の大坪寛子審議官は、参酌化前は「ゼロ」で、参酌化後は「711か所、全体の2%」と増加している実態を認めました。

 私は、関係者が危惧していた事態が現実化したと指摘。子どもの安全性確保に支障が生じる事態だと批判。

 大坪氏は「市町村に安全対策の計画を立てるよう求めている」と自治体任せの姿勢を示しました。

 私は、支援員が経験を蓄積し、子どもと安定的に継続して関わりを持つために必要なのは、支援員が就労を継続できる条件整備・処遇改善だと強調。参酌基準化の撤回を求めました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月9日 内閣委員会 17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 おとといに続きまして、児童手当法附則改正の検討規定についてお尋ねをいたします。
 財源の在り方の検討とはどのような検討を行うのかというおとといの質問に対して、附則改正の検討規定部分を読み上げただけで、具体的なことは何も答弁しなかったところでした。
 改めてお尋ねしますが、財源の在り方についてどのような検討を行うのか、具体的に説明をしていただけますか。
○嶋田政府参考人 この検討規定につきましては、今後の少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況や、子供、家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいりますということでございますが、じゃ、具体的にどのような財源とかどういう内容かということでございますが、現時点で具体的な財源を想定しているわけではございません。
 ただ、財源確保の在り方については、これは様々な御意見があるものと承知しているところでございます。
○塩川委員 現時点で想定しているわけではないという話でした。
 そこで大臣にお尋ねしますが、少子化社会対策大綱では、「更なる少子化対策の充実・強化」の項目で、「今般、消費税の引き上げにより確保した二兆円規模の恒久財源を子供や子育て世代に大胆に投資し、保育の受け皿の大幅な整備、幼児教育・保育の無償化、真に経済的支援が必要な子供たちを対象とした高等教育の修学支援などを実現した。少子化の進展が国民共通の困難であることに鑑み、更に強力に少子化対策を推し進めるために必要な安定財源の確保について、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていく。」とあります。
 ここで言う安定財源とは何なのかについて御説明いただけますか。
○坂本国務大臣 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策につきましては、様々な議論があると承知しております。
 少子化社会対策大綱にも示されておりますとおり、必要な安定財源の確保につきましては、国民各層の理解を得ながら幅広く検討を進めていく必要があると考えております。
 将来世代の負担増を招くことがないように、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○塩川委員 幅広く検討という話でした。
 しかし、ここの大綱の文章の流れを見ても、その前段に、消費税の引上げで二兆円の財源を確保したということがありますので、当然、消費税の増税というのも選択肢としてあるのか、この点についてはどうですか。
○坂本国務大臣 財源確保の方策につきましては、消費税に限らず、様々な議論があるものと承知しております。
 将来世代の負担増を招くことがないよう、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○塩川委員 消費税に限らず幅広くという話ですから、消費税増税も否定されておられません。やはり、逆進性の強い不公平税制である消費税で行うというのはふさわしくないということを申し上げておきます。
 続けて、令和三年度の財政制度審議会の建議ですけれども、少子化対策の安定財源の確保として、このように述べています。社会保険制度においては、妊娠、出産、子育てに関する現金給付がかねてから存在している、少子化対策は、賦課方式を取る我が国の社会保険制度の持続性の確保や将来の給付水準の向上につながるものであることを踏まえると、医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方も、将来的課題として検討する余地がある、少子化対策の安定財源確保の在り方については、税財源のみならず、こうした考え方も含め幅広く検討を行っていくべきである、このようにあります。
 ここで述べている、医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方というのは、どういうものでしょうか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
 今御議論いただきましたとおり、少子化対策大綱にもうたっておりますけれども、少子化対策を推進するに当たっては、将来の子供たちに負担を先送りすることのないよう、安定的、恒久的な財源を確保することが重要であるというふうに考えてございます。
 これまでも、今御指摘のあった消費税の引上げ、あるいは事業主拠出金の追加拠出などによって安定財源を確保しながら、少子化対策を推進してきたところでございます。
 財政当局といたしましては、将来的な課題として、こうした中で、例えば、我が国の社会保険制度において、妊娠、出産、これは出産育児一時金あるいは出産手当金でございますが、あるいは、子育てとして育児休業給付金などに関する現金給付が社会保険制度においてかねてより存在していることも参考にしながら、将来的な課題として、少子化対策の財源確保の在り方として、税財源のみならず保険料財源も含めて幅広く検討することが適当であるというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、税財源あるいは保険料財源、事業主拠出金あるいは制度の見直しなど、将来の子供たちに負担を先送りすることのない形で恒久的な財源を確保しつつ、少子化対策を推進することが重要であるというふうに考えてございます。
○塩川委員 財政審の建議において、消費税でもなく、また事業主の拠出金でもなく、その他ということも書いていなくて、保険料による少子化対策の安定財源だけを取り上げているというのはどういう意味なんですか。
○宇波政府参考人 財政審の建議でございますので、そういう意味では、財務省が事務方としてこれに何かの解釈を加えることは難しいわけでございますが、財政当局といたしましては、保険料財源だけを何か殊更に申し上げているわけではなくて、繰り返しになりますが、税財源、保険料財源、事業主拠出金あるいは制度の見直しなど、将来の子供たちに負担を先送りすることのない形で恒久的な財源を確保することが重要であって、その財源の在り方については幅広く検討することが必要であるというふうに考えてございます。
○塩川委員 財政審の議論を見ての、この建議に至る過程で事前に事務方が用意したペーパーの中に、この文言そのものが入っているんですよ。ですから、事務方が用意をした文書どおりのが建議に盛り込まれているんです。
 もちろん、その他の財源もということはありながらも、しかし、ここでの具体的な例示そのものは、特出しで社会保険の制度。医療保険を始めとしてという言い方ですから、公的な保険制度を念頭にということで、だけとは言いません。これを特出ししている理由は何ですか。
○宇波政府参考人 財政審の建議におきましても、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方も、将来的課題として検討する余地があるというふうに考えているわけでございます。
 幅広くいろいろな財源の在り方を検討する必要があるという趣旨で、これを事務方の方は記述しているわけでございますけれども、財源の在り方としては、将来の子供たちに負担を先送りすることのないようにするということ、それから恒久的な財源を確保していくという、この二点が大事でありまして、財源の在り方としては、先ほどから御答弁申し上げているように、幅広く検討する必要があるというふうに考えてございます。
○塩川委員 幅広く検討するという話ですから、公的医療保険だけではなくて、公的な介護保険ですとか公的年金保険とか、あるいは雇用保険などの社会保険方式を組み合わせるといったことなども当然念頭にはあるということになるんでしょうかね。
○宇波政府参考人 先ほど例示で申し上げました社会保険制度におきましても、出産育児一時金は、これは医療保険制度における仕組みでございます。それから、育児休業給付については、これは雇用保険制度における仕組みであります。それから、現在、児童手当の財源の一部あるいは保育所等運営費の財源の一部には事業主拠出金が充てられているということでございますので、保険料という形式でも、また様々なものがあるというふうに考えております。
 現在そういう形になっておりますので、こうしたことも参考にしつつ、幅広く検討する必要があると考えております。
○塩川委員 かつて自民党内では、こども保険ということで、公的年金保険に付加するような形での提案などもあったところです。それが消費税増税分の使い道の変更という格好で立ち消えになったという経緯もありますから、そういう意味では、そういった幅広い検討の中にはいろいろなメニューもあってということだと思います。
 今回の児童手当の削減については、やはり、今回の措置のように、子育て支援の財源を子育て世代間でのやりくりで行うことはやるべきではないということを申し上げ、また、逆進性の強い消費税増税は認められない、行うのであれば、大企業、富裕層優遇税制の見直しで確保すべきではないかと。大臣にお答えいただきたい。
○坂本国務大臣 子育て世代に対します支援といたしましては、これまでも、幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに今般、不妊治療の助成の拡充や新子育て安心プランの実施によります待機児童の解消などを行いまして、子育て世帯全体への支援を充実させてまいりたいというように思っております。
 このうち、待機児童問題につきましては、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することで最終的な解決を図るということといたしました。この運営に毎年度必要とする追加費用約一千四百億円につきましては、社会全体で子育てを支援していくとの大きな方向性の中で、今般の児童手当の見直しにより生じる財源等に加え、私自身も経済界に何度も足を運びまして、企業の方からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しているところであります。
 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策については、富裕層への課税に限らず、様々な議論があると承知しています。引き続き、少子化社会対策大綱に基づきまして、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○塩川委員 今、国際的にも法人税の引下げ競争は見直そうという流れが大きく広がっております。アメリカやイギリスでは、行き過ぎた法人税減税を改め、引上げをするという取組も始まっております。アマゾンのベゾスCEOが法人税引上げを歓迎すると述べたということも話題になっておりました。これなどもいろいろ企業としてのスタンスも当然あるんでしょうけれども、日本においてもやはり法人税、特に大企業への優遇税制を見直すべきでありますし、低過ぎる金融所得課税も引き上げて、こういったものを少子化対策などの財源にしっかり充てていく、これこそ行うべきではないかと考えますが、改めてお聞かせください。
○坂本国務大臣 それぞれの国にそれぞれの考え方があると思いますけれども、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として進めていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 低所得者の方を含む国民に負担増を強いるような消費税増税は認められませんし、こういった応能負担に沿った税制の改革を行う中での子育て財源の確保を求めていくことを改めて申し上げるものであります。
 次に、学童保育についてお尋ねいたします。
 学童保育において、放課後児童クラブ運営指針にもあるとおり、学童保育の指導員である放課後児童支援員には、その職務に当たって専門性が求められていると思いますが、この点について確認をいたします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでして、放課後児童支援員につきましては、お子様の発達段階に応じました主体的な遊びや生活が可能となりますように、自主性ですとか社会性及び創造性の向上などを職務としていることから、専門性が求められるところでございます。
 このため、国が定めております放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準、これは省令でございますが、この中で、放課後児童支援員につきましては、保育士等の基礎資格に加えまして、都道府県知事等が行う研修を修了したものではならないというふうにしております。
 こういった形で、厚生労働省といたしましては、質が担保されますように、放課後児童支援員に対する研修により支援員の質の向上を図るなどを行っているところでございます。
○塩川委員 答弁にありましたように、放課後児童支援員には放課後児童クラブを運営する上で必要となる専門性が求められるということであります。
 そこで、第九次地方分権一括法により、放課後児童クラブの職員に関する基準が、従うべき基準から参酌基準に改正をされました。どのような改正だったのかについて説明してください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の第九次地方分権一括法により改正されましたクラブの職員に関する人員配置、資格要件でございます。
 これは、当該基準が今まで従うべき基準であったことによりまして、様々地方から、実態に合わせていろいろ、例えば児童が少ない場合に、二人配置しなければいけないということになっておりますと、児童が少ない放課後ですとか、また夕方、土日、こういったときに必ずしも二人要らないのではないかといった地域からのお声をいただきまして、二年間の検討を経まして、ここを自治体の方で責任と判断に基づいてお考えをいただく参酌基準という形にしたところでございます。
○塩川委員 職員に関する基準ということで、放課後児童支援員を二人以上配置をする、ただ、うち一人を除いて補助員の代替可という要件もあるということですから、実質一人は必ず支援員を置くというのが基準となっていたわけでありますが、それが自治体においての判断に委ねるという中身になっているということです。
 そこで、やはり現場からは、まさに専門性が求められている支援員の配置基準を後退させるというのは、子供たちの環境を考えても、安心、安全を損なうものではないのかという強い批判の声が上がっているところであります。
 自治体のいろいろな都合はあるわけですけれども、この間、条例の改正も行われてきたと思うんですが、参酌化に伴う自治体による条例の改正状況はどうなっているのかを御説明ください。
○大坪政府参考人 お答えを申し上げます。
 厚生労働省では、元々、放課後児童クラブの実施状況を毎年調査を行っております。それに加えまして、今回、参酌化が図られまして条例改正があったことを踏まえまして、その状況を併せてお調べをしております。
 これが、昨年九月三十日現在ということで調査の結果が出ておりますが、人員配置、資格要件に係る基準の参酌化につきまして、そもそも、放課後児童クラブを設置しているところが全市町村千七百四十一のうち千六百二十三ございます。条例改正を行ったところが五百七十五か所、三五・四%ということを確認をしております。そのうち、放課後児童支援員の研修修了要件の経過措置を延長する改正、これが最も多うございまして、五百六十の自治体、三四・五%に当たります。それ以外ですと、人員に関する改正を行ったところが三十二自治体、二%。改正を行った自治体の人口規模は小さいところが多いような傾向がございました。これが調査の結果でございます。
○塩川委員 今紹介がありましたように、放課後児童支援員に係る認定資格研修修了要件の経過措置の延長というのが五百六十か所とか、放課後児童支援員の員数に関する改正が三十二か所とかいうお話がありました。
 そこで、この調査で、放課後児童支援員の人数について、規模別での調査なども行っております。令和元年、二〇一九年において、まず放課後児童クラブの支援の単位数の全数が幾つかという話と、そのうち放課後児童支援員数がゼロ名というクラブというのはあるのか、分かりますか。
○大坪政府参考人 お答えを申し上げます。
 放課後児童クラブの令和二年七月現在のクラブの数が二万六千六百二十五か所、先生、単位数でお尋ねがございましたので、三万四千五百七十七単位ということでございます。
 もう一つお尋ねがございました。放課後支援員の数が規模別にゼロであるところというお尋ねがあったかと思いますが、そこは、市町村の条例基準に基づく放課後児童支援員がゼロとなっている支援の単位数が七百十一か所で全体の二%、国が定めておりました設備運営基準を満たす放課後児童支援員数がゼロとなっている支援の単位数が一千二百九十九か所で全体の三・八%というふうに承知をしております。
○塩川委員 今のは令和二年の数字で、その前の年の、令和元年の数字が分かればと思ったんですが、分かりますか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 令和元年のお尋ねでございましたので、クラブの数で申し上げますと二万五千八百八十一か所、単位数で申し上げますと三万三千九十でございました。
○塩川委員 その上で、放課後児童支援員数がゼロというところは幾つか。
○大坪政府参考人 これは令和元年ということでよろしいでしょうか。令和元年、恐れ入ります、ちょっと規模別で今即座に足し合わせていないのですけれども、令和二年でしたら、先ほど申し上げた市町村の基準ですと、七百十一か所で二%……(塩川委員「規模別のゼロのところ」と呼ぶ)そうなんです。規模別を、ゼロのところを全部足し上げるのにちょっと今時間を要するものですから……(塩川委員「ゼロのところはゼロでしょう」と呼ぶ)はい、そうです。令和元年は参酌基準になる前ですね。施行前はゼロか所ということになります。
○塩川委員 ですから、全国で三万以上のクラブの単位がある中で、参酌基準の前の令和元年度においては、放課後児童支援員数がゼロというクラブの単位というのはゼロなんですよ。それが令和二年になると七百十一ということになってきます。
 実施規模で見ても、もちろん小さいところでもゼロというところはあるんですが、七十一人以上という大規模のクラブにおいても、放課後児童支援員数がゼロ名というところが三十三もあるんですよね。これは、子供の安全性確保に支障が生じるような事態が生まれているんじゃないでしょうか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、令和二年四月一日から参酌基準ということにしておりますので、その段階で、これまでゼロであったところから、幾つかのところがそういった事案が生じているということは承知をしております。
 この調査結果に基づきまして、まずは、一義的には、地方が条例により定めているものではございますので、各自治体において、自治体の十分な責任と判断により、地域の実情に応じて適切な対応を取っていただくことが一義的には筋論でございますが、今回の調査結果を踏まえまして、事業をいかなる体制で運営する場合でも、やはり子供の安全の確保、こういったところに支障がないのかどうか、最大限留意するということが必要であるというふうに考えております。
 市町村においては、こういう安全確保の対策はどう取られているかということを、国の方としても計画を立てるようにということを求めているところでもございまして、放課後児童支援員や補助員に対する研修の推進ですとかこういった調査の結果などをお知らせすることで、また安全性の、質の確保というものに努めてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 先ほどの答弁の中でも、児童が少ないような場合に二人要らないんじゃないのかという話がありました。でも、実態は、七十一人以上のクラブでもゼロというところが三十三もあるんですよ。要は、児童が少ないところだけではなく、大規模クラブにおいてもこういうゼロという事態が生まれているんですよね。
 この地方分権一括法の議論が行われたとき、私、質問もしましたけれども、そのときに、厚労省の説明は、人員配置基準の参酌化に当たって、登録児童数が少ない場合、地域の人口が少ない場合など、地域の特性によっては継続的にクラブの運営が難しい状況が生じているということを理由にしていたんです。
 だけれども、実態は、小規模クラブだけの話じゃなくて、七十一人以上という大規模クラブでも放課後児童支援員がゼロという状況になっている。これは、厚労省としても、私は元々認めていませんけれども、厚労省が容認したという実情、条件と比べても、余りにも食い違っている事態ではありませんか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、これは、令和二年四月一日に改正をされました後に、九月三十日現在の時点ということで調査をかけさせていただきまして、厚生労働省としても、その結果を確認させていただいたところでございます。
 これにつきましては、先ほど申し上げましたように、地方自治体の一定の責任の下においての判断とはいえ、安全対策などにも十分留意をしていただきたいというふうにも申し上げておりますところですので、この結果をまた自治体の方にお示しをしながら、安全対策の確認など、また、改正内容が遵守されているかどうか、こういったことを、自治体ともよく連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 実態把握は当然しっかりやっていただきたいわけですけれども、しかし、参酌基準化によって、子供たちの安全を整える環境であるこの支援員の配置そのものが大きく後退している、この事態が、まさに危惧が指摘されていたことがそのまま現実のものとなっているということで、看過できない事態だ。こういう事態を改めるという立場で厚労省は対応すべきじゃありませんか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来申し上げておりますように、先生の御指摘のとおり、安全性の確保、質の担保がなされているかどうかということを、市町村とも共に連携して、確認をしてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 こういったように、実際に支援員の配置がかえって後退するという事態というのを放置することはできません。
 そもそも、専門性が求められているというこの支援員の仕事について、やはり、それにふさわしい処遇が行われていない。この間、保育士の問題も取り上げてまいりましたけれども、学童クラブの指導員、放課後児童支援員についても同様のことが言えるわけであります。
 厚労省として、こういった指導員が経験を蓄積をし、子供と安定的に継続して関わりを持つために必要なのは、指導員が就労を継続できる条件整理、処遇改善ではないのか。お答えください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、処遇、待遇を改善するということは、人材を確保する意味でも、適切な、安定的な運営を図る上でも極めて重要だというふうに考えております。
 そのため、厚生労働省といたしましては、これらの支援員の方々が長期にわたって安定的に就業できるように、処遇改善ですとか労働環境の整備ということに努めてまいったところでございます。具体的に申し上げますと、平成二十九年度より、放課後児童クラブの勤続年数ですとか研修実績などに応じました処遇改善の経費を補助いたします放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業、これを実施をしておりまして、これまで適宜、月額は引上げを行ってきたところでございます。
 また、それ以外でも、育成支援の周辺業務を行う方たちの配置をすることで業務の改善を図る、こういったことの必要な経費の補助なども行ってきたところでございまして、こうした政策を通じまして、放課後児童クラブの安定的な運営が図れるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 元々処遇が低いものですから、キャリアアップと言われても、キャリアアップに行く前に、今の処遇では食べていけない、暮らしていけないということで継続できないというところの実態こそ改善しなければならない。そういう意味でも、抜本的な処遇改善が求められているということです。
 坂本大臣、是非、この点で、受け止めをお聞きしたいと思います。
○坂本国務大臣 厚労省の動きをしっかりフォローアップしていきたいと思います。
○塩川委員 今、坂本大臣は地方分権一括法の担当ですね。第九次の地方分権一括法で行われたのがこの参酌基準化なんですよ。こういう状況でいいのかというのが問われているんじゃないでしょうか。
 この参酌基準化によって、緊急時の対応に困難が生じたり一人一人に丁寧な対応が困難となる、そういった支援員の配置が大きく後退をするという事態が全国で生まれている。このこと自身が大きな問題となっている。子供たちの様子を本当に理解することを困難にするような参酌基準化がもたらした支援員の配置の後退、これをつくった参酌基準はやめるべきじゃありませんか。
 従うべき基準にしっかり戻していく、国として、こういった学童クラブにおける安全を確保するような対策をしっかり行う、参酌基準はやめるべきだということを大臣から是非取り組んでいただきたい。いかがですか。
○坂本国務大臣 厚労省の方としても、放課後児童支援員や補助員に対する研修の推進、そして活動内容に関する質の向上のための評価の推進、さらには好事例の普及、展開、放課後児童クラブを巡回し育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置、さらには育成支援の周辺業務を行う職員の配置等々を行うことというふうに私としては承知しております。
○塩川委員 いや、厚労省が想定しているよりも、実際に、大規模クラブなんかでも支援員が配置をされないような事態が生まれているという点では、この参酌基準化がこういった学童クラブにおける安全対策を損なうような実態になっているということを指摘しているわけですから、この参酌基準化そのものを見直すということを行うべきときじゃないのか。参酌基準化はやめるべきだ、この点についてお答えください。
○坂本国務大臣 厚労省にいろいろ話を聞いてみたいというふうに思います。
○塩川委員 じゃ、厚労省、一言。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 こういった育成の現場というのは、やはり地元の市町村の現状ですとか御意見ということが非常に重要なんだろうというふうに思っておりますので、これが、地方分権の中で御提言いただくものが全て悪いということではないと思っておりまして、この制度の中でいかに安全性を、質を確保しながら自治体の方での安定的な運営が行っていけるか、こういったことを自治体とともに連携しながら考えていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 質の確保が損なわれているから見直せと申し上げて、質問を終わります。