【議院運営委員会】緊急事態宣言拡大/変異株や医療ひっ迫/政府の現状認識不十分

 緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の適用拡大にあたり政府から事前報告を受け、質疑を行いました。

 私は、専門家らによる分科会を受け、政府方針から一転して緊急事態宣言の適用を拡大することに関し、政府と分科会の専門家の間に乖離があったのはなぜかと質問。

 西村康稔担当大臣は、変異株や医療状況に関する専門家の指摘を受け、適用拡大すると説明するのみでした。

 私は、変異株や医療ひっ迫について政府の認識が不十分だったと批判しました。

 さらに、オリンピック・パラリンピック選手らを受け入れる病院確保について、「対応できる状況ではない」(黒岩神奈川県知事)、「県民より選手を優先できない」(大井川茨城県知事)との発言が出ていると指摘。政府分科会の尾身茂会長が「感染リスクと医療負荷を前もって評価してほしい」と発言したことを挙げ、評価を設けるのかと迫りました。

 西村大臣は影響評価について言及しませんでした。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年5月14日 議院運営委員会 35号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 政府が作成しました基本的対処方針の原案には、緊急事態宣言の追加はありませんでした。それが、分科会の議論を経て、北海道、岡山、広島を緊急事態宣言の区域に追加をしました。政府方針案の根幹部分の変更は初めてであります。
 政府と分科会の専門家の間に現状認識に大きな乖離があった、それはなぜですか。
○西村国務大臣 日々、専門家の皆さんと御議論を重ねておりまして、まさに、感染が拡大していることの危機感を共有し、対策の強化については一致をしてきているところであります。
 その上で、私どもとして、先般の基本的対処方針の改定で、蔓延防止等重点措置の地域であってもお酒の提供やカラオケの提供をやめていただく、こうした強い措置が取れるということにしたところでございます。
 そうした中で、今回、北海道、岡山、広島についてもそうした強い措置をそれぞれの知事に講じていただくことによって感染を抑えていく、そうした方針で諮問したところでありますけれども、今日は全員そろわれているわけでありますので、その二十何名かの専門家の皆さんから、それぞれの立場で、病床のことや、感染症の今後の見通しのこととか、あるいは、コミュニケーションの専門家からは、国民にやはり強いメッセージが必要だというようなことを含めて御指摘をいただき、緊急事態宣言の対象としたところであります。
 私どもとしては、危機感は共有をし、また、対応についても方向性は一致をしているという認識をしておりますが、最終的に、専門家の御意見を尊重して判断をさせていただいたところでございます。
○塩川委員 専門家から変異株の影響や医療逼迫の状況の話があった。そうしますと、変異株や医療逼迫についての政府の認識が不十分だったということになりませんか。
○西村国務大臣 私どもも、日々、分析を行い、そして専門家の意見を聞き、これはもう何度も私も答弁させていただいております、変異株が急速に、もう今や九割になっているという報告もあるわけでありまして、この急速な拡大が、感染拡大につながる、そして医療も逼迫するという、当然、そうした様々な事態を想定して対応してきております。
 そうした中で取るべき措置にどういった措置が必要かというところも含めて、今回、専門家の皆さんから強い御意見をいただきましたので、まさに、専門家の皆さんの御意見を聞いて最終的に判断をしていくということでありますから、日々、何人かの先生方とは意見交換をしているとはいえ、全員がそろった形で意見交換をしていく中でそうした意向が示されましたので、私どもとして、専門家の皆さんの御意見を尊重して、しっかりと受け止めて、こうした判断をさせていただいたということでございます。
○塩川委員 現状認識が非常に不十分だったという点を指摘しなければなりません。
 医療機関の逼迫状況は深刻です。
 オリンピック・パラリンピック組織委員会は、選手や大会関係者を受け入れる大会指定病院を都内十か所、都外二十か所程度確保するため、競技会場周辺の医療機関と調整しているといいます。都道府県別の大会指定病院数を明らかにしていただきたい。
○西村国務大臣 大会指定病院のことでございますね。
 御指摘の大会指定病院につきましては、アスリート等に対して、まさに必要な場合に治療が受けられる、搬送する仕組みとなっているわけでありますが、現在、組織委員会においては、都内約十か所程度、都外約二十か所程度を念頭に、競技会場周辺などの大学病院などを大会指定病院の指定先として調整しているというふうに伺っております。
○塩川委員 都外二十か所の県別の数字が知りたいんですが。
○西村国務大臣 済みません。ちょっと、通告をされていたのかどうか含めて、手元にはございませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。
○塩川委員 神奈川県の黒岩知事は、十一日、組織委員会から、コロナに感染した選手らを受け入れる病院の確保を打診されたが、特別に病院を用意するのはとても対応できる状況ではないと断ったことを明らかにしました。また、茨城県の大井川知事も、十二日、選手らの専用病床確保の要請に対して、県民より選手を優先できないとして断ったといいます。千葉の熊谷知事も、昨日、五輪関係者に優先対応しないと述べていました。
 大井川知事は、オリンピックは必ずやらなければならないことではない、状況に応じて中止の決断もあり得ると発言をしておりますが、このような知事らの発言をどう受け止めておられますか。
○西村国務大臣 それぞれの知事の発言全てを私も把握しているわけではないんですけれども、黒岩知事の発言は、同県が行っております神奈川モデルと呼ばれる入院調整の仕組みが非常に効率的であり、その中で対応したいという趣旨で話されたものと聞いております。
 また、茨城県の大井川知事の発言につきましては、県民と選手を分け隔てすることはできないために、現在、県が行っている入院調整の仕組みの中で対応したい、そういう趣旨でお話しされたものと承知をしております。
 いずれにしましても、組織委員会においては、各自治体の意向を踏まえ、新型コロナウイルス対応を含めたアスリート等の受入れの在り方について、丁寧に調整が行われるものというふうに聞いております。
○塩川委員 尾身会長は、オリンピック・パラリンピックについて、感染リスクと医療の負荷について前もって評価してほしいと述べておりましたが、どう対応されますか。
○西村国務大臣 まず、分科会はそうしたオリンピックの開催の可否を議論する場ではないということを尾身会長も御理解された上で、ただ、今の感染拡大、まさに緊急事態宣言、その措置を範囲を拡大している中で感染拡大を抑えていく、そうした中で、安全、安心の大会とするためにどうした対応が必要か、そうした観点から様々お考えになられていると思いますし、専門家の中で意見交換をされているんだと思います。
 私どもとしては、調整会議に私どものコロナ室長も入っておりますし、また、専門家の代表として、尾身会長の代理を務めていただいております岡部先生にコロナ調整会議には入っていただいて御意見を言っていただいておりますので、そういう意味で、専門家の様々なこれまでの経験、知見の集大成をそうした場でも岡部さんの方から表明いただいて、対策をしっかり講じていくというふうに理解をしております。
○塩川委員 オリパラ開催に当たってのコロナの影響の評価というのは設けないのか。
○西村国務大臣 今申し上げましたとおり、コロナ調整会議の中で、どういった対応が必要かということについて、様々対策を講じていくことになると思いますので、尾身会長の代理を務めていただいています分科会の岡部会長代理に代表として、二人のうちの一人に岡部さんが入っていただいておりますので、そうした場で様々な意見がなされ、安全、安心の大会となるよう全省庁挙げて取り組んでいるというふうに理解をしております。
○塩川委員 感染拡大のリスク、医療体制の大きな負荷を考慮して、オリンピック・パラリンピックについては中止の決断をコロナ担当大臣として進言すべきではありませんか。
○西村国務大臣 これはもう何度も言われていますけれども、東京大会に関する最終的な判断権限はIOCにある、そして、IOCにおいて、この夏の大会を開催するということが何度か確認をされてきている、いろいろな発言もされているところであります。
 私の立場としては、国民の皆さんが安心してこの大会に臨めるように、全力を挙げて今の感染拡大を抑えていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 終わります。