【内閣委員会】五輪大会関係者7万8千人来日/感染拡大のリスク/五輪中止の決断を

 五輪・パラリンピック大会関係者が多数来日する計画を示し、感染拡大のリスクと医療提供体制への負荷を考慮し、大会中止の決断をせよと主張しました。

 五輪組織委員会は、来日する大会関係者は約7万8千人としています。

 私は、「オリンピックファミリー」3千人が来ることを確認。ここにIOC役員の家族は含まれているかと質問。

 内閣官房十時内閣審議官は「含まれている」と認めつつ「参加者は、大会運営に必要不可欠な方に限定する」と答えました。

 私は、スポンサーも大会関係者に含まれることを指摘。IOC役員の家族やスポンサーは大会運営に必要不可欠なのかと追及。

 内閣官房は「精査中」だとして答えませんでした。

 私は、医療提供体制への影響が大きいと指摘。看護協会へ依頼していた看護師派遣について返事はあったのかと質問。

 内閣官房は回答が来ていないと認めました。

 私は、五輪は国内外でコロナウイルスを広げることになりかねない。オリンピック開催にあたっての判断基準を示せと強調。

 加藤勝信官房長官が「大会に向けた準備を進める」と強弁。

 私は、判断基準もなしに進めるのは、国民の不安を拡大するだけだと批判しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年6月2日 内閣委員会 29号>

○塩川委員 次に、オリンピック・パラリンピックとコロナ対策に関連してお尋ねします。
 オリンピック・パラリンピックの事務局にお尋ねしますが、組織委員会が、海外からのオリンピック・パラリンピック大会関係者の人数について、先日、明らかにしました。そのときの人数は約七万八千人ということでしたけれども、その内訳についてお尋ねをします。
 オリンピックファミリー、パラリンピックファミリーとありますけれども、この人たちはどのような人で、何人来られるのか。その中には、IOCやNOC、各国のオリンピック委員会の役員の家族の人も含まれているんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 アスリート以外の大会関係者の来日数については、組織委員会によれば、委員御指摘の、先日の組織委員会の理事会で資料として発表されたものでございますけれども、オリンピックで五万九千人、パラリンピックで一万九千人とされております。
 オリンピックファミリー、パラリンピックファミリーという言葉については、関係者の間で様々な定義、範囲があり得るとは思うんですけれども、この理事会の資料の中で整理している際には、IOCの委員と職員、IPCの委員と職員、さらには、スポーツ仲裁裁判所の役員ですとか、世界アンチ・ドーピング機構の役員等が含まれていると伺っているところでございます。
 現時点において、オリンピックファミリーは約三千人、パラリンピックファミリーは約二千人ということで発表されておりますけれども、大会関係者につきましては、更なる削減に向けての取組を進めているところと伺っております。政府としては、引き続き、来日者数の精査についてお願いをしてまいります。
○塩川委員 もう一点お聞きしているんですけれども、IOC及び各国のオリンピック委員会の役員の人が来られるんでしょうけれども、その家族の人も入っているんですか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 理事会の資料で発表されましたオリンピックファミリー約三千人、パラリンピックファミリー約二千人という数字の中には、IOC役員の家族は含まれておりますが、NOC役員の家族は含まれていないものと伺っているところでございます。
 これらについて、いずれにしても、先ほど申し上げましたとおり、大会関係者について更なる削減に向けての取組を進めているところと伺っているところでございます。
○塩川委員 IOC役員の家族の方も含まれているということでした。
 それから、マーケティングパートナーとあります。オリンピックスポンサーのゲストというふうに説明を受けていますけれども、このマーケティングパートナーというのはどういう人で、何人の予定なのか教えてもらえますか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 オリパラ大会におきまして、マーケティングパートナーとは、大会に協賛し、大会の呼称やマーク類の使用権のような知的財産の使用を承認する代わりに、大会の安定的な運営、日本代表選手団の国際競技力向上に協力いただいている企業を指していると承知をしておりまして、巷間言われておりますようなオリンピックスポンサーと言われるのがほぼ同じような意味ではないかというふうに理解しておりますので、オリンピックスポンサーのゲストということではないと理解をしております。ちょっとどちらで委員がそのような御説明を受けられたか分かりませんけれども、私どもの理解ではそういうことでございまして、訂正をさせていただければと思います。
 東京大会につきましては、ゲストプログラムは取りやめ又は削減となりまして、参加者は大会運営に不可欠な方に限定することで精査を進めておりまして、マーケティングパートナー企業の参加者数についても、現在、組織委員会で精査中と伺っているところでございます。
○塩川委員 IOCの役員の家族の方とかマーケティングパートナーというのは大会運営に必要不可欠な人なんですか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたように、まさに現在組織委員会において大会運営に不可欠な方に参加者を限定するということで精査を進めているということで理解をしておりますので、その中で適切に判断されると理解をしております。
○塩川委員 医療体制の点ですけれども、看護師の確保については看護協会に依頼をされた五百人という数での依頼の話をお聞きしていますが、返事はあったんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 組織委員会では、日本看護協会に対して、大会期間中、競技会場の医務室等において御活動いただくことを念頭に、五百人を目安に看護師の方々の協力を要請しておりますが、組織委員会に確認いたしましたところ、現時点でまだ回答は来ていないと伺っております。

 引き続き組織委員会と日本看護協会との間において調整が行われるものと承知をしております。
○塩川委員 スポーツドクターの方の応募については二百に対して四百とかという話がありましたが、看護師の確保について看護協会に依頼しても返答がないというのは、実際に医療の現場の実情を考えたときに、とても対応できないということの反映だろうと思います。
 それから、大会指定病院について、都内と同時に都外で三十か所ということがありますが、埼玉なんかもオリンピックの会場になっているところは幾つもありますけれども、県別に、指定病院としている、その数だけ教えてもらえませんか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 アスリートへの外傷等を中心とした治療に当たるため大会指定病院を確保することとしておりまして、現在、組織委員会が都内九か所の病院からおおむね内諾をいただいているほか、都外二十か所の病院とも調整を進めていると承知をしております。
 都外については、関係自治体九道県を対象にして組織委員会において調整を進めていると伺っておりまして、現在調整中の状況であることを踏まえ、道県別の内訳については回答を差し控えさせていただきたいと存じます。
○塩川委員 非常に、その拠点病院となるようなところというのは地域医療を担っているようなところで、まさに、コロナ感染症の広がりの中で、地域医療に負荷をかけることになりかねないという状況であります。
 官房長官にお尋ねいたします。
 オリンピックの開催が国内外でコロナウイルスを広げることになりかねない。オリンピック開催に当たっての判断基準をしっかりと示すべきではありませんか。
○加藤国務大臣 これまでも申し上げておりますとおり、東京大会については、昨年のIOC総会において競技スケジュールとその会場が決定され、現在、感染症対策をしっかりと講じ、今年の夏に安全、安心な大会を実現するため、大会関係者が一丸となって準備に取り組んでいるところであります。
 最大の課題は、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症への対策であり、国等も入ったコロナ対策調整会議において実効的な対策が検討が行われ、昨年の十二月には中間整理が、この四月二十八日には変異株など大会を取り巻く状況の変化にも対応した追加的な対策が示されたところであります。
 大会の内容については、感染対策については省略をさせていただきますけれども、更に関係者等々の御意見もいただきながら、更に感染症対策を具体的に詰める、具体的な感染対策、これをしっかりと詰めていく、そしてその徹底を図っていく、同時に、国民の皆さん方にそうした対応について一つ一つ丁寧に説明していくことが重要だと考えております。
 政府としては、引き続き、安全、安心を最優先に、内外の感染状況を注視しつつ、また、これまでの専門的な知見や感染対策の取組を踏まえ、東京都等関係者と緊密に連携をしながら、大会に向けた準備、これを引き続き着実に進めていきたいと考えております。
○塩川委員 判断基準もなしに臨むということ自身が国民の不安を拡大するだけなんですよ。
 やはり、今の現状を考えたときに、感染拡大のリスク、また医療体制への大きな負荷を考慮したときに、オリパラ中止の決断を総理に進言すべきだ、このことを強く申し上げて、質問を終わります。