【内閣委員会】五輪中止を/集団免疫間に合わず/専門家が警鐘

 五輪・パラリンピック開催に専門家から感染拡大の強い懸念が出されていることをあげ、開催中止を求めました。

 私は、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、五輪関係者の感染対策の重要性を指摘し、感染リスクなどに関する見解を国際オリンピック委員会(IOC)に伝えたいと述べていることをあげ、IOCは、専門家の見解を受け止める用意があるかと質問。

 内閣官房十時(ととき)内閣官房審議官は「提言が出されれば、IOCと共有する可能性はある」などと明確には答えませんでした。

 私は、五輪開催が国内外でコロナウイルスを広げることになりかねない。政府として五輪開催の判断基準を示すべきだと強調。尾身会長は、ワクチンによる集団免疫について、7月8月の段階では感染レベルが抑えられるという考えは早すぎると警鐘を鳴らしていると指摘し、政府の認識を質しました。

 河野太郎ワクチン接種担当大臣は「専門家が判断することだ」と答弁しなかったのに対し、私は、政府としての考えを持っていないのかと批判。オリパラ中止の決断をせよ、と主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年6月9日 内閣委員会 第31号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 オリンピック・パラリンピックとコロナ対策について質問いたします。
 大臣は最後の質問になりますので、よろしくお願いします。
 オリンピック・パラリンピックの事務局の方にお尋ねしますが、大会関係者の行動管理の問題です。
 海外から来る大会関係者は、陰性証明書さえあれば入国後の待機はありません。検疫所が確保する宿泊施設での待機について、インドなど六か国については十日間の待機ですとか、また、その他の国でも、六日間の待機が三か国、三日間の待機が三十二か国ありますが、大会関係者については待機がありません。大丈夫でしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 東京大会に参加する大会関係者の出入国に係る措置の在り方につきましては、四月二十八日に開催いたしましたコロナ調整会議において対策を取りまとめております。
 この中で、大会関係者につきましては、原則、入国後十四日間、宿泊施設で待機することとしておりますが、入国前の予定や入国後の活動内容などによって、入国後十四日以内に活動を開始しなければ大会の運営に支障がある場合には、定期的な検査、用務先の限定、受入れ責任者による監督などの厳格な行動管理、そして公共交通機関の不使用等を条件といたしまして、国内の方々と接触しないという措置を十分取って、防疫措置を講じた上で待機緩和を認めることとしております。
○塩川委員 ホテルの問題なんですけれども、大会組織委員会は、大会関係者の宿泊については、組織委員会のあっせんしたホテルのみならず、メディアを含めて、入国者が自己手配したホテルも全て組織委員会が把握をするとしています。
 組織委員会のあっせんしたホテル数、また入国者が自己手配したホテル数というのはどのぐらいなんですか。
○十時政府参考人 大会関係者の宿泊、ホテルについての御質問でございますが、現在、組織委員会において、引き続き、大会関係者の来日者数、人数を精査しておりまして、組織委員会があっせんするホテルについては調整中と承知をしております。また、関係者が自己手配しているホテルというのもございましたけれども、これらについても、情報の集約を図っているところでございまして、現時点では確定していないものと承知をしております。
○塩川委員 情報集約して、現時点で確定していないということですが、大会組織委員会は、これらのホテルについては全て、自治体とも連携した上で、組織委員会が監督者を置くなどして関係者の行動を管理するとしています。
 しかしながら、熊谷千葉県知事は、幕張とかに組織委員会が大量にホテルを予約をしているが、それが誰なのか、情報が共有されていないと報道で述べておられました。自治体と連携できていないんじゃないでしょうか。
○十時政府参考人 大会組織委員会と自治体の連携ということでございますが、様々な場面で事務的にも連絡を取るようにしていただいていると思いますが、大会関係者の宿泊につきましては、現在、組織委員会において、選手そして大会関係者のために会場周辺でホテルの手配を進めていると承知をしております。
 まだ、宿泊する関係者の数や配宿、宿の配分等について変動しているという状況だということで、組織委員会において具体的な情報を関係自治体に提供するため準備を進めているという段階だということでございまして、自治体の方とその点について十分情報が共有できていなかったということかと存じます。よろしくお願いいたします。
○塩川委員 ですから、おおよそどのホテルにどんな人が入るのかというのは既に示しているわけですよね。そういうことについて、千葉県だったら千葉県にしっかりとした説明が必要だと思うんですが、今後はどうされるんですか。
○十時政府参考人 今ほど申し上げましたように、現在、具体的な情報を整理しておりますので、早急に組織委員会と関係自治体で情報提供、情報共有を進めるように促してまいりたいと存じます。
○塩川委員 自己手配ホテルの入国者の方について、本当に行動の管理ができるのかという疑問があるんですが、この点はどうでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 選手や大会関係者につきましては、国内にお住まいの方々と交わらないようにするため、用務先については、大会運営に必要不可欠な用務先に限って、本邦活動計画書に事前に登録し訪問することができるということとしておりまして、この計画書に登録のない場所には外出することは禁止されております。
 また、宿泊施設は、組織委員会が管理するホテル又は地元自治体と協議の上で組織委員会が防疫措置が講じられているということを確認し登録したホテルに限定をいたしまして、組織委員会が管理者を置くなど、宿泊する関係者の行動を管理することとしております。
 こうした方針は、大会の主催者であるIOC、IPC、組織委員会が作成する、全ての大会関係者が遵守すべきルールを記したプレーブック第二版にも反映されておりまして、これらの実効性を担保するため、受入れ責任者が管理を行い、ルールに違反した場合には大会参加資格を剥奪することもあり得るとしております。
 政府としては、引き続き、安全、安心を最優先といたしまして、内外の感染状況等を注視しながら、東京都、大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携いたしまして、大会に向けた準備を着実に進めてまいります。
○塩川委員 報道では、メディアですとかオリンピックファミリーについても入国後十四日間はGPSによる行動管理を行うというのがありましたが、これはそういうことなんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 昨日開催されました大会組織委員会の理事会におきまして、橋本会長の方から、GPS等も活用しながら行動管理を図っていくという御発言があったということは承知しております。
○塩川委員 本当にできるのかというのもありますし、やる場合については非常に窮屈な話だなということも改めて思っております。
 尾身分科会会長は、バブルの中の関係者の感染対策も必要で、IOCや日本の組織委員会、政府、自治体が同じ目線、方向性で実施していくことが大事だ、IOCにも日本の状況を知ってもらい、理解してもらうことが大事だと、感染リスクなどに関する見解をIOCにも伝えたいと述べておられます。
 IOCには、このような専門家の見解を受け止める用意はあるんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 大会組織委員会におきまして、コロナ対策、こちらはもちろん最優先の課題として取り組んでいただいております。IOC、IPCとも常日頃から、事務的、実務的に、コロナ対策の検討状況、準備状況について情報交換、情報共有をしておりまして、そういったタスクフォースといったものも設置をして、専門家も交えながら議論、検討しているところと承知をしておりまして、我が国における検討、準備の状況については、IOCともしっかり共有をしながら、準備に向けて着実に進めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 いや、私がお聞きしたのは、コロナの対策の分科会の会長でもある尾身会長などが取りまとめる提言、見解について、IOCにはそういった見解を受け止める用意があるのかということなんですが。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の提言につきましては、そういった報道があることは承知をしておりますけれども、まだ具体的に出されているものではないと承知をしておりまして、その内容も明らかになっておりませんので、コロナ対策の検討に当たっては、従来から、政府、東京都、組織委員会と、様々な専門家の方々の知見も踏まえながら検討を進めさせていただいておりまして、そうした提言が出されるとなりましたら、その知見も活用しということで、IOCの方にも何らかの形で共有をしながら検討が進められるものと理解をしております。
○塩川委員 ですから、尾身会長などの提言が出された場合には、それはきちっとIOCに伝えますか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまも申し上げましたとおり、現時点におきまして、報道は承知しておりますけれども、提言なるものの具体的な内容について承知をしておりませんので、その中の具体的な知見として活用すべきものがあれば、組織委員会そして組織委員会を通じてIOCとも共有し、検討していくという可能性があると考えてございます。
○塩川委員 IOCの委員などが利用するホテルですけれども、この間、オリンピックファミリーについて、五つ星、四つ星ホテルのスイートルームを含む専用客室の提供を大会組織委員会として行っているということも示されているところであります。
 こういったIOC関係者が宿泊するホテルについては、大会特別料金で一括して契約しており、組織委員会がIOCとの契約に基づきその一部を負担しているということですが、この分担について見直しが進んで、IOCが全額負担する方向で調整されているという国会でのやり取りも承知しておりますが、IOCが全額負担することにはなったんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 大会関係者用の宿泊施設については、大会の一年延期に伴う簡素化によってホテルの契約の見直しが行われるとともに、来日するIOC関係者の削減によって、当初予定していたIOC関係者向けの部屋数からは減少する見込みと聞いているところでございます。
 失礼いたしました。ちょっと御説明を間違えました。
 全額負担という御質問でございました。
 全額負担の件につきましては、先日の衆議院の厚生労働委員会で御答弁申し上げたところですけれども、組織委員会に確認いたしましたところ、IOC委員及び職員が宿泊するホテルについては大会特別料金で一括で契約をしておりまして、組織委員会はIOCとの契約に基づきその一部を負担することとなっておりましたけれども、その分担について見直しが進みまして、現在IOCが全額負担する方向で引き続き調整がなされていると伺っているところでございます。
○塩川委員 特段その後進展はないということですね。
 大会関係者に陽性者が出た場合、感染症対策センターと東京都の保健所が連携して対応するということですが、今でも大変な保健所業務に更に負担をかけることになりはしないか。
○十時政府参考人 アスリート等に感染者、疑い例が発生した場合の対応の仕組みといたしまして、コロナ対策調整会議で取りまとめました中間整理においては、地域の保健衛生機能を強化し、大会運営側との緊密な連携の下で対応できるよう、保健衛生の拠点を構築することが示されておりまして、さらに、四月二十八日に公表した追加的な対策におきましては、七月からの本格稼働に向けて、感染症対策センター、そして東京二〇二〇大会保健衛生支援東京拠点を設置し、その連携を図るというイメージが示されたところでございます。
 選手村等におけるアスリート等への積極的疫学調査については同拠点が対応いたしまして、アスリート等の健康観察や入院、搬送調整等は感染症対策センターと連携して対応するなど、地域の保健所に御負担をかけないように配慮されているものと伺っております。
 また、同拠点に配置される医師、保健師等のスタッフにつきましても、地域の保健所職員ではなく、主に東京都の職員が派遣されるものと伺っているところでございます。
 地域の保健衛生に支障を生じさせず、必要な体制を確保することは極めて重要でありまして、引き続き、東京都、組織委員会等と緊密に連携を図りながら、安全、安心な東京大会の実現に向けて準備を進めてまいります。
○塩川委員 オリンピック開催が国内外でのコロナウイルスを広げることになりかねません。オリンピック開催に当たっての判断基準を示すべきではありませんか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 国民の命と健康を守ることが政府としての責務であり、まずは緊急事態宣言を解除できるように政府として対策を徹底しているところと承知をしております。
 その上で、この夏の東京大会の開催に当たりましては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じるとともに、国民の命と健康を守っていく、これが大会開催の前提であると考えているところでございます。
 こうした中で、具体的な感染対策といたしまして、アスリートや大会関係者については、アスリート等への毎日検査を始め、定期的な検査や厳格な行動管理、健康管理などの防疫上の措置を徹底するとともに、国内にお住まいの方々との接触を厳に回避することにより、大会関係者の感染を防止し、安全、安心な大会運営を確保することとしております。
 こうした方針はIOC、IPC、組織委員会が作成するプレーブック第二版にもしっかりと反映されておりますが、引き続き、本年七月の大会本番における具体的な運用も含めて、今後の感染状況等も踏まえつつ、更なる具体化、精緻化に向けた検討を進め、六月にも第三版を公表する予定で作業が進められております。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、安全、安心を確保することを最優先として、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツイベントにおける感染対策の取組や専門的知見も踏まえながら、東京都や大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して、準備を着実に進めてまいります。
○塩川委員 判断基準を示さないまま突き進むということでは、国民の皆さんの不安を解消することはできないということを申し上げます。
 大臣にお尋ねします。
 尾身分科会会長は、七月とか八月の段階でワクチンの接種率が少し上がったとしても、個人のプロテクションはできるけれども、それによって感染のレベルが抑えられる、集団免疫みたいな考え方はとても早過ぎると、夏までに集団免疫の達成は困難との見通しを示しておりましたが、大臣も同じ認識でしょうか。
○河野国務大臣 私が命ぜられているのは、このワクチン接種に関する総合調整を担当せよということでございますので、いわば運び屋でございます。一月十八日に任命されてから今日まで、ワクチンのスケジュールにオリンピックは入っておりません、これは別ですということを繰り返し申し上げてまいりました。
 オリンピックについては、こうしたコロナ禍で安全にオリンピックを開催するためには、どういう条件で、どうやったら開催できるのかというところを組織委員会やIOCが検討されているというふうに思いますので、そこをしっかり見極めて、しっかり開催をしていただきたいというふうに思っております。
○塩川委員 オリパラの話はちょっとおいておいても、集団免疫の話です。ワクチンの接種がこの七月、八月とか進んだとしても、この夏の段階で集団免疫みたいな考え方はとても早過ぎると。つまり、夏までの集団免疫は難しいのではないのかという尾身会長のこういう認識については、大臣はどのように受け止めておられますか。
○河野国務大臣 集団免疫その他については、これは専門家が科学的に御判断されることだと思いますので、私から申し上げるべきものではないと思っております。
○塩川委員 ただ、運び屋といっても、まさに現場で取り組んでおられるお話ですから、そういった問題について、集団免疫の考え方などについて、当然、政府としての共通認識なりがおありなのではないのかと思うんですが、そういう点では、政府としては、そういうのを、そもそも集団免疫についての考え方を持っていないということなんでしょうか。
○河野国務大臣 そういうことについては、厚労大臣から恐らく御発言があるものと思います。
○塩川委員 現状はそういうふうになっていないというのが率直なところであります。
 感染拡大のリスクですとか医療提供体制への大きな負荷を考慮して、オリパラ中止の決断を是非とも総理に進言していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。