【衆院本会議】TPP11関連法案可決/「経済・食料主権を侵害」本会議で反対討論

 米国を除く11力国が署名した環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の採決が衆院本会議で強行され、自民党、公明党、維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は反対しました。

 TPP11は、TPPを丸ごと組み込んだものであり、国会決議に真っ向から反する。経済主権や食料主権を侵害するもので、断じて認められない――と反対討論しました。

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反対討論は以下の通りです。


 私は、日本共産党を代表して、TPP11関連法案に断固反対の立場から討論を行います。

 何よりまず、本法案の質疑を短時間で打ち切り、採決を強行したことに厳しく抗議するものです。本法案の審議に対し野党は、関係委員会との連合審査、テーマ別審議、中央・地方公聴会、参考人質疑、さらなる総理質疑などを求めてきました。

 このまま審議を打ち切れば、アメリカが抜けたTPP11が、日米の「新協議」と相まって、日本経済と国民生活にどのような打撃を与えるのか、国民に問題点を明らかにできず、国会の責務を果たしたとは到底言えません。

 TPPは、2年前の国会でも国民の厳しい批判にさらされ、審議中にアメリカが離脱したにもかかわらず、政府・与党が採決を強行したものです。今回のTPP11は、この間のわずかな審議でも、重大な問題点が明らかになっています。

 TPP11は、TPPを丸ごと組み込んだものであり、TPPと同様、米、牛肉・豚肉、乳製品など重要五項目を関税撤廃交渉から除外することを求めた「国会決議に真っ向から反する」ものであります。経済主権や食料主権を侵害するもので、断じて認めることはできません。

 そもそもTPPは、国境を越えてもうけを追求する多国籍企業の活動を後押しするものです。関税の原則撤廃や投資の自由化、規制緩和を行おうとするその本質は、そのままTPP11でも維持されています。多国籍企業が投資先国を提訴するISD条項、食の安全や金融サービス等などの危険性も基本的に変わっていません。情報開示や説明はまったく不十分であり、到底みとめることはできません。

 また、政府はTPP11による農業生産の減少は「ない」とする試算を発表しましたが、この政府試算は「影響がないように対策するから影響がない」と言っているにすぎません。対策を検討するための試算になりえないことは明白であります。

 さらに、4月の日米首脳会談で、日米経済対話に加えて新たな経済協議の枠組み「FFR」創設に合意したことは重大です。

 安倍総理は、わが党の笠井議員の質問に対し「TPPですでに譲歩しているもの以上は譲歩できない」と答弁しましたが、TPP交渉で日本が『国際公約』したとみなされる関税・非関税措置撤廃を出発点に、「日米新協議」でさらなる譲歩を迫られることは明らかです。

 すでに日米経済対話で、USTR(米国通商代表部)が公表している「外国貿易障壁報告書」の要求項目に対し、具体的な措置が取られました。さらに、USTRは、BSE(牛海綿状脳症)問題は解消したとして、牛肉市場の完全な開放を求めています。アメリカの要求を受け入れ、食の安全基準を損なうことなど断じて認められません。

 日米の「新協議」は、アメリカの身勝手な「貿易障壁」撤廃を受け入れる場となり、さらには日米FTA(自由貿易協定)へとつながるものとなります。日本経済と国民生活に大打撃を与えることは必至であります。

 安倍総理は、TPP11は「成長戦略の柱」だといいます。しかし、その路線が導く先は何か。TPPは、日米の多国籍企業が、アジア・太平洋地域で自分たちが儲けられるルールを広げたい、ということが本質です。この路線は、一握りの大企業を肥え太らせ、各国で国民の貧困と格差を拡大させるものでしかありません。

 日本が進むべき道は、TPP、TPP11、「日米新協議」ではありません。各国の経済主権や食料主権を尊重し、平等・互恵の貿易ルールづくりによって経済関係を発展させる道にすすむことであります。このことを強調し、反対討論を終わります。