【内閣委員会】予算書の説明資料、過去最多の誤りについて質問

 今国会に提出されている、政府が予算を提出する際の説明資料である各目明細書に、誤りがあった問題について質問しました。

 私は、今回、総務省・法務省・文部科学省・国土交通省の4省で誤りがあり、過去最大で、きわめて重大だと強調。

 財務省は、各目明細書の誤りが、平成以降5件、報告されていることを明らかにしたうえで、これら誤りがあった年は、年末や年始に衆院解散総選挙が行われていたことを認めました。

 私は、今回はどんな事情があったのかと質問。

 財務省は、今回の当初予算の閣議決定から国会提出までの日程は24日間であったと答弁。

 私は、24日間での提出は過去最短であったことを指摘し、政権の都合で無理な日程を押し付けたことが誤りの大本にあると強調。昨年の通常国会では法案の誤りが合計181件あったが、その教訓が生かされていない、と批判しました。

 松野博一官房長官は、誤りがあったことについてお詫びを述べ、「同じような誤りが発生しないよう、再発防止策を検討していく」と答えました。

 私は、この間、実務を担ってきた公務員が減らされてきた影響が出ていると指摘した上で、必要な人員の配置など、再発防止策をしっかりと取るべきだと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 次に、予算書、各目明細書の間違いについて松野官房長官にお尋ねをいたします。
 各目明細書は、予算書の説明資料として、予算が国会に提出されたら直ちに財務大臣に送付しなければならないものであります。国会提出義務づけの文書に準ずる予算関連文書として国会に提出をされてきました。
 その各目明細書が、総務省、法務省、文科省、国交省の四省で間違いがありました。こんな、四省も各目明細書に間違いがあったのは過去最多であります。極めて重大な問題だと思いますが、その点についての官房長官の認識を伺います。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 今般、各省庁所管予算の各目明細書について、総務省、法務省、文部科学省、国土交通省の四省の所管予算の各目明細書の記載に誤りがあったところであり、大変遺憾であり、おわびを申し上げます。
 今般の誤りの背景等を分析をし、同じような誤りが発生しないよう、財務省と各省庁とが連携をし、再発防止策を検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 その中では、例えば総務省における各目明細書では、統計委員会委員の手当の部分が欠落をするといった、予算審議にも影響を及ぼす中身だったという点でも重大であります。
 財務省の方に事実関係の確認をいたしますが、過去も各目明細書の間違いが数件あります。平成以降、各目明細書に誤りがあった事例というのは何件でしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 平成以降、各目明細書の誤りが報告されたのは五件ございます。
○塩川委員 この五件のうち、補正予算が一つあって、当初予算は四件ということになります。
 当初予算のうち二件は、国会への提出日が二月の二十八日と、通常一月中に提出される当初予算が大変遅れていたというときでありました。
 このように、二月二十八日という、提出日が遅れた理由というのは何だったんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、平成二年度予算、それから二十五年度予算、この二回の予算に関わる各目明細書に誤りがあったわけでございますが、こちらの予算の提出日が例年より遅うございました。これは、年末ないし年始に衆議院の解散・総選挙が行われたことによるものと承知してございます。
○塩川委員 一九九〇年度の当初予算は、海部内閣のときで、二月の十八日に総選挙がありました。ですから、総選挙前に暫定予算を組んで、総選挙が行われ、当初予算がその後、二月二十八日に提出をされたという経緯があった。非常にイレギュラーな事態だったわけであります。
 それから、二〇一三年度の当初予算は、十二月十六日の総選挙で第二次安倍政権が発足をして、予算編成が遅れて二月の二十八日に提出となった。
 過去、当初予算で各目明細書に誤りがあった事例の二つというのが、こういう非常にイレギュラーな事態の中で、役所の対応も大変だったということが背景にあると思います。
 いずれもイレギュラーな事態が背景にあっての誤りだったという点でいうと、今回はどういう事情があったんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の各目明細書の記載誤りの原因につきましては、関係省庁から、入力のミス、あるいは確認作業を怠っていたということとの報告を受けてございますが、いずれにしましても、今後、今般の誤りの背景等をよく分析いたしまして、同じような誤りが発生しないよう、再発防止策をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 四省で誤りがあるという過去最多のミスだったわけですけれども、今回の場合というのは、当初予算の閣議決定から国会への提出までの期間が過去最短だったんじゃないですか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今般、当初予算の概算閣議から提出までの日数でございますけれども、二十四日間でございます。これは、例えば平成六年度の場合には、平成六年二月十五日から三月四日までの十七日間ということで、今回よりも短かった例はございます。
○塩川委員 それもイレギュラーなときですけれども、この二十四日間というのが、そういう点でいえば、通常のサイクルでいったときに、非常に、一番短期間だったということは明らかですよね。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今回、二十四日間ということでございます。同様の例で申しますと、例えば、平成二十年度の予算編成、二十五日間、平成十年度予算編成、二十五日間、平成十一年度予算編成、二十五日間といったような、類似の期間のものもございます。
○塩川委員 いずれも最短という、日数が二十四日間という点でありますと、やはり、政権の都合で政治日程を決めた、こういうことが多くの間違いを発生する大本にあったんじゃないのか、その点は、官房長官としての認識はいかがですか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 これまで、各目明細書の誤りが報告された事例においては、例年と比較をして、概算決定から予算を提出するまでの期間が長かった事例もあり、予算の国会提出日程と何らかの関係があるとは言えないのではないかと考えていますが、いずれにしても、今後、誤りの背景等を分析をして、同じような誤りが発生しないよう再発防止策を検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 政権の政治日程で無理な作業を押しつけないようにというのが基本であります。
 昨年の通常国会では、法案の誤りが問題になりました。閣法において合計百八十一件もの誤りがあった。そのうち案文が十四か所もあったという点でも、極めて重大でありました。
 こういった昨年の通常国会での法案の誤り、間違いの教訓が生かされなかったのか、この点はどうでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の通常国会におきまして、各府省庁提出の法律案及び参考資料に多数の誤りが発生したことを受けまして、同年三月に、内閣官房副長官を長とします法案誤り等再発防止プロジェクトチームを発足させ、同年六月、誤りの内容や原因等を踏まえまして、複層的なチェック体制の充実、ノウハウの蓄積、周知徹底などの再発防止策が取りまとめられたものと承知してございます。
 各目明細書につきましては、法案とは作成過程の業務フローなどが異なりますが、いずれにせよ、国会に提出する資料の誤りが本年においても発生したということは大変遺憾であると考えてございます。
 今後、今般の事案を受けまして、誤りが発生した経緯、原因など、背景をよく確認、分析いたしますとともに、それを踏まえまして再発防止策を検討してまいりたいと考えてございますが、検討に当たりましては、昨年取りまとめた法案誤りについての再発防止策についても、参考とすべき点はしっかりと参考にしてまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 今回、文科省で各目明細書の間違いがあったという点でも、私も拝見しましたけれども、非常に分かりにくいといいますか、よく見つけたと思うような誤りもあったわけですけれども、これも、ベテランの職員の人が自分の担当以外のところをチェックをした中でその誤りを発見したということがありまして、去年の法案間違いというのも、ベテランの職員の人からすれば考えられないような誤りもあったという点で、率直に言って、霞が関において、実務を担ってきたベテランの公務員が減っている、この間の公務員削減のマイナスの影響が出ている、このことを指摘せざるを得ません。必要な人員の配置など、再発防止策をしっかり取っていただきたい、このことを改めて求めておくものであります。
 ここまでで、官房長官と関係の政府参考人の方は御退席いただいて結構です。
○上野委員長 松野長官、御退席ください。また、御関係の政府参考人の皆さんも御退席をお願いいたします。