【内閣委員会】PFI法改定反対/塩川議員/地方自治侵害と地元企業参入の妨げに

 民間のノウハウと資金を活用して公共事業の整備促進をはかる「PFI法」改定案を採決し、賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。
 
PFIによる情報公開後退/地方自治の侵害
 採決に先立つ質疑で、昨年からPFI事業の中止を含む大幅な見直しを行っている愛知県西尾市で、二年前の市議会に提出されたPFI事業の「提案書」が墨塗りだらけだったこと、西尾市が行った「PFI事業検証報告書」の中で「民間事業者の著作権意匠権が絡むことで、情報開示が制限された」と述べている。住民自治の観点から重大な問題だ。PFIが事業者の都合を優先するがために起こる情報開示の後退だ。
 
 梶山弘志地方創生担当相は「適切な情報公開が重要」と述べるに留まりました。
 
地元企業参入の障害に
 水道事業へのPFIコンセッション方式導入を進める静岡県浜松市が、内閣府からの全額補助で行った調査報告書の中で、コンセッション方式導入によって、地元事業者が排除されれば安定的・継続的な水道事業への障害となる懸念を指摘している、と質問。
 
 梶山大臣は「もっともな指摘だ」と認めました。
 
 日本PFI・PPP協会作成の「PFI選定代表企業ランキング」では、ランキング上位は大手ゼネコンばかりで、上位10社だけで全体の35%を占める。結局、PFI事業は大企業の参入を促進し、地元企業を排除する仕組みとなっている。
 
 梶山大臣は「PFI導入は自治体の判断だ」と述べました。
 
 PFI事業は、地方自治を侵害し、地元企業の参入を妨げ、住民サービスの後退につながると批判した。
 
質問で使用した資料↓クリックで拡大
 

<第196通常国会 2018年05月11日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 PFI法改正案について質問をいたします。
 きょうは、具体の事例も紹介しながら、自治体におけるPFI事業の現状について、問題点についてお尋ねをいたします。
 内閣府にお尋ねしますけれども、愛知県の西尾市は、計画をしていたPFI事業について、中止を含む抜本的な見直しを行っております。この事例について、内閣府は承知をしておられますか。

○石崎政府参考人 西尾市のPFI事業は、平成二十三年四月に合併した四市町の公共施設の統廃合と再整備、維持管理の計三十二事業を一括してPFI方式により民間企業に委託するものであったこと、また、大手建設企業を入れず、事業主体を地元中心の運営企業で構成する方式だったことなどの特色を持った事業として、平成二十八年六月に契約されたものと認識してございます。
 しかしながら、二十九年六月に市長の交代を受け、三十二事業のうち十事業を取りやめるなど、PFI事業としては維持しつつも、大幅な見直し方針を打ち出したというふうに承知してございます。

○塩川委員 今紹介してもらいましたように、三十二事業一括ですとか大手の建設企業を入れないとか、そういう特徴がある西尾市方式PFI事業と言われていたものですけれども、市民の大きな声もあって変更になっている。
 この西尾市方式PFI事業については、大規模な一括方式なのに、短期間の募集期間のため、一社のみの応募で競争なしに決まったことや、計画内容が明らかにされず、計画の問題点を指摘しても事業者は見直しをしようとしなかったこと、地元企業によるSPCといいながら建設工事は市外の大手任せだったことなど、多くの批判が寄せられました。
 西尾市は、PFI事業に対する市民の批判の声を受けて、中止を含むPFI方式の大幅な見直しに着手をいたしました。
 資料をお配りしております。二枚目を先にごらんいただきたいんですが、これは、西尾市は、ことしの三月に「西尾市方式PFI事業 検証報告書・見直し方針」をまとめております。その中で、アンダーラインを引いたところを引用しますが、
  市の保有する情報は、民間事業者の著作権意匠権などが絡むことで、これまでのように一存で開示判断できるものが限られるようになり、公文書開示請求への対応が問題となった。さらに事業が進むに従って、市の内部でも事業の全容を把握しているのはごく一部の職員となり、議会への対応、説明が不十分だとされた。その結果、それが情報隠しであり事業の実施経緯が不透明だと批判が高まり、住民訴訟が提起されるまでの事態となった。
こういう背景があって、市長選挙もあって、市長がかわると、大きな抜本的な見直しにもつながったというのが背景であります。
 大臣にお尋ねしますけれども、住民が主人公というのが自治体です。その自治体の事業でありながら事業者の都合を優先して、情報開示が後退をし、住民の不信を拡大することとなった。こういうPFI事業というのは住民参加を妨げるものとなっているんじゃないのかと率直に思いますけれども、大臣はいかがですか。

○梶山国務大臣 御指摘のように、情報の開示不足について、西尾市が平成三十年三月に公表した「西尾市方式PFI事業 検証報告書・見直し方針」において、民間事業者の著作権や意匠権などが絡むことで公文書開示請求への対応が問題となった旨が記載されていることは、承知をしているところであります。
 このような点も原因の一つとして、西尾市は、三十二事業のうち十事業を取りやめるなど、PFI事業の大幅な見直し方針を打ち出したものと認識をしております。
 当該PFI事業の推進に当たっては、西尾市議会において一定の議論がなされた上で、議会において必要な手続を経て実施されたものと考えておりますが、一般論として言えば、PFI事業も他の事業と同様の判断基準のもと、情報公開制度に基づいた適切な情報の開示がなされるべきものと考えております。

○塩川委員 適切な情報の開示がなされるものというお話がありましたけれども、大臣のお話の中にもあったように、西尾市議会で一定の議論があって実施をされたということですが、資料の一枚目をごらんください。これは、西尾市が二〇一六年の市議会六月定例会に提出をした西尾市方式PFI事業の提案書の一部であります。つまり、PFI事業者が出した提案書について、墨塗りで、こういう形で出しているということであります。
 市は、この議会にPFI事業の契約議案と債務負担行為額を約百九十八億円に再設定する議案を提出しましたが、その際の説明資料であります。事業者が出したものについて、市が墨塗りをして出さざるを得なかったというものになっているわけです。
 PFI事業者の要求によって多数の黒塗りとなっております。左側が「構成企業・協力企業各社の役割と特徴」と、項目は全て墨塗りになっておりますし、右側の「事業スキーム図」も墨塗りばかりとなっています。
 この図の西尾市の下に特別目的会社、SPCの構成がありますけれども、この右側のところ、墨塗りになっているというのは、建設を請け負う事業者の部分が書かれていたわけですけれども、この建設工事の受注企業が書かれていたところも墨塗りです。
 これは、PFI事業者は地元企業ということで建設工事を受注するんだという話をしていたんですけれども、地元企業といっても、西尾市の事業者じゃなくて愛知県内が地元だということで、実際には名古屋市の事業者がこれを受注するという運びになっていたということでもあったわけで、こういうものでまともな審議ができるのかということだと思うんですよ。
 ですから、私は、こんなことになるというのも、このPFI事業に伴う情報開示の後退、これがまさに問題となっている具体の事例だと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

○梶山国務大臣 委員御指摘のような地元企業の参入という点では、東日本大震災から、災害時の対応ということで、大変やはり重要なことであると思っております。ほかの市町村においても、そういった点を考慮しながらいろいろな事業についても入札等を行っていると思っております。
 ただ、この西尾市の例に関しましては、やはりコンセッション対象事業をどう選んでいくかとか、そういう課題が今後もまた残ってくると思いますし、適切な情報開示のもとに行われるべきであると私自身は考えております。

○塩川委員 結局、PFI事業者に包括的に絵を描いてもらうということですから、それが企業秘密にかかわるような話となって、実際にこういう非開示がどんどんどんどんふえていく。ですから、PFI事業に伴うようなこういう情報開示の後退という点が、私は、自治体の住民が主人公となるべきその仕事が、その住民にも知らされないままどんどんどんどん進められることになっているというのが、この西尾市で計画がひっくり返るということにつながったということを重く受けとめるべきだと思うんです。
 あわせてもう一つ指摘をしたいのが、資料の三枚目であります。
 これは、浜松市ですけれども、「浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業 公共施設等運営権実施契約書」であります。これの一番上の部分を見ていただくと、この契約書の第五十条は、「反対運動及び訴訟等」とありまして、アンダーラインの引いているところを読みますと、「運営権設定対象施設の存在自体に対する近隣住民の反対運動や訴訟等により、事業期間の変更、本事業の中断・延期及び運営権設定対象施設の物理的破損等が発生した場合であって、かかる事象に起因して運営権者に増加費用又は損害が発生した場合、市は、当該増加費用又は損害について補償するものとする。」となっているわけであります。
 内閣府は、こういった事例を承知しておられますか。

○石崎政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、この浜松市の公共下水道終末処理場運営事業の契約書におきまして、契約書の五十条に、今御指摘いただきましたように、運営権の設定対象施設の存在自体に対する近隣住民の反対運動、訴訟等によりこの事業計画の変更その他が起きましたときには、市が当該増加費用又は損害について補償するものとすると条文があることは承知してございます。

○塩川委員 こういうコンセッションの施設ができる、その運営のあり方の問題をめぐって、例えばそれが中断とか延期をするというような場合があったときに、住民の声で、そういうことというのは当然あり得るわけですよ。そういった際に、本来対象となるべき事業者の責任ではなくて市の方にツケ回しをする、こういう規定というのが本当にまかり通っていいのかと率直に思うわけですね。
 こういった契約項目を設けているようなPFI契約というのは、ほかにもあるんですか。

○石崎政府参考人 他の契約事例をつぶさに把握しているわけではございませんが、施設本体を設置し運営すること自体に直接起因して、要するに、その事業の運営とかでなく、施設本体自体の原因に起因して近隣対策が必要となった場合に自治体が負担するとされている例はほかにもあるというふうには認識してございます。

○塩川委員 後でそういう事例も紹介してもらいたいと思いますけれども。
 大臣にお尋ねします。
 やはり、いろいろな施設をつくる際に、住民の皆さんのいろいろな意見があるわけですよ。そういった際に、ある意味、こういう形で、コンセッション方式でやるという場合であっても、当然のことながら、その際に市が責任を持つのは当然ですけれども、でも、当該事業者が進めるわけですから、その当該事業者のさまざまな責任を市の方にツケ回しをするというやり方というのは、住民の要求に背を向けるPFI事業者の姿勢をいわば容認するものということでは極めて重大だと思いますが、大臣の率直な受けとめをお聞きしたい。

○梶山国務大臣 コンセッション事業は、施設を公共が所有した上で、官と民が役割分担をしつつ行うものであります。
 事業の実施に際して生じるリスクや損害については、管理者側と民間事業者の間でどのように分担をしていくかについて、当事者同士の契約で決まっていくものでありまして、これまでの議論でも、いろいろなリスクがあるということを、やりとりをしてきたわけでありますが、浜松市の下水道コンセッションの実施契約書によると、御指摘の点については、運営権設定対象施設の、先ほど来申し上げていますけれども、存在自体そのもの、施設そのものに対する近隣住民の反対運動や訴訟等の場合について規定されていることから、施設の所有者である浜松市がリスクを負うことについても一概に否定をできるものではないと考えております。

○塩川委員 いや、実際、リスクは自治体に、それでもうけは事業者にといった形では、そもそも、やはりこのあり方そのものが問われると率直に言わざるを得ません。
 PFI事業というのが住民や議会への情報開示を後退させて、市議会と住民による行政監視を損なうものとなっている事例は今取り上げたところですし、PFI事業者の利益を優先して住民要求に背を向けるものとなっているという点で、住民自治、地方自治の障害となっているということを言わざるを得ません。
 もう一つ指摘をしたいのが、地元企業参入との、PFI事業の関係であります。
 PFI事業が地元企業参入の妨げになるという懸念の声があります。先ほどの西尾市のPFI事業においても紹介しましたように、建設工事は地元企業と言っていたのに、実際には、西尾市の事業者ではなくて愛知県内の事業者が、地元企業だといって名古屋市の大手事業者が受注することになっていた。これまで公共事業を請け負ってきた市内業者からも反対の声が上がっていると聞いております。
 資料の四枚目をごらんいただきたいんですが、これは、浜松市上下水道部が作成をしました、浜松市水道事業へのコンセッション導入可能性調査業務報告書であります。
 この導入可能性調査は、内閣府の上下水道コンセッション事業の推進に資する支援措置に基づき、国の全額補助で実施をされたものと承知しておりますが、そのとおりですか。

○石崎政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 国が全部お金を出してつくった、その報告書ということになるわけです。
 アンダーラインを引いたところを見ていただきますと、この報告書の「コンセッション方式実施における利点、課題」を見ると、「経営・料金」の項目で、「利点」として、「単年度予算主義など制約がある公共調達ルールから、民間の調達ルールで行うこととなるため、調達の自由度が拡がり、調達に関する工数や経費(発注価額)の低減に繋がる。」と述べています。これは、コストダウンになるという利点として述べているわけですけれども。
 しかし、それぞれ自治体においては、国もそうですけれども、官公需法というのがあって、官公需法に基づき、中小企業への発注を優先するというスキームというのはつくっているわけですよね。そういう取組を行っている地方自治体も多数あるわけであります。
 そうしますと、こういったことをメリットとしているということになると、官公需法に基づく地元中小企業への優先発注といった自治体独自の地域振興策とそごが生じる、こういうことになりはしませんか。

○石崎政府参考人 どのような形で地元企業に対して配慮していくかという、各公共団体でいろいろなことをお考えいただいているというふうに認識してございます。
 PPP、PFI事業自体も、幅広い分野や地域に根づくためには、また、それぞれの地域に合った事業の展開を図るためには、地域の町づくりを担う地域の企業、金融機関がどのように関与していくか、よく検討することが必要だと認識してございます。
 このため、これまで実施されているPPP、PFI事業においては、地元事業者が参画しやすくするための取組として、地方公共団体の判断により、事業者選定に当たって、例えば、代表企業に市内工事の受注実績があることを義務づけたり、構成員に市内企業を含むことを義務づけ又は加点したり、地元企業の活用に関する提案を採点上有利に扱う手法を実施するなどの例があるというふうに承知してございます。
 このような取組につきましては、内閣府においても、公共団体や地域の民間事業者が集まる会議の場等を通じて周知を行ってございます。

○塩川委員 いや、でも、実際にこういったスキームを利点としている以上は、地元中小企業への発注というのはこれに逆行するものというふうにならざるを得ない。
 そういった懸念もここでは指摘をしているわけで、お隣の「課題」のところを見ていただくと、アンダーラインを引いたところにありますように、「公共事業を担う以上、民間事業者自身の業務の繋がり(受発注関係者の企業体としての安定)のみを考えるのではなく、広く公共事業全体の安定性・継続性を視野に入れた業務への取組み姿勢の醸成が必要となる。」「地元事業者とのネットワーク形成の方策を検討する必要がある。」。
 つまり、外からPFI事業者が入ってきますといったときにどうするのかということが課題となっているということで、つまり、PFI事業者が外から自分の系列、下請企業を連れてきて、これまで業務を担ってきた地元事業者を排除することになれば、安定的、継続的な水道事業への障害となる懸念を指摘をしている。
 これは非常にもっともな指摘だと思うんですが、大臣もそう思われますか。

○梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、もっともな指摘だと思っております。
 このコンセッションを進めていく上で、例えば水道の件でありますけれども、公益性、特に、安全、安定供給、料金ということを考えなければならないということと、一方で、今度は受注側でありますけれども、まずは大きな企業に関してはリスクの分担の、先ほど来の議論があると思います。あとは、地元の企業がこれまでどおりしっかりと地域のインフラ維持のために受注ができるかどうかということになるかと思いますので、そういった点も含めて、災害協定等を結ぶとかさまざまな支援の協力なども含めて、総合加点方式であるとかそういったことも含めて、ネットワークの形成に努力をしてもらいたいと考えているところであります。
 そういったことも含めて、それぞれのコンセッション事業についてしっかりと応援をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 もっともな指摘という話がありました。
 ただ、浜松市では、既に下水道事業においてヴェオリアが参入をしております。現場の話で聞きますと、地元業者の仕事というのは、設備の据置きとか植栽の植えかえとかいう話で、管路について入れないという話なんかも聞いています。
 資料の五枚目をごらんいただきたいんですが、この同じ報告書で「想定されるリスクと対応方針案」のところがあります。「運営権者に起因するリスク」ということで、線の引いてあるところを見ていただくと、「地元事業者の経営困難」と。
 つまり、先ほど言ったように、大手が入ってきて、外から自分の下請とか系列を連れてくるような場合に地元の事業者の仕事が減ってしまうという意味で、そのために、「運営権者の発注選別や過度のコスト削減要求により地元事業者の経営が悪化した場合」という想定をしている表になっています。
 これを見ますと、結局、運営権者に起因するリスクなんだけれども、この負担はどちらがとるのかというと、市の方になっているんですよ。これは先ほどもちょっと指摘をしたことですけれども、運営権者に起因するリスクなのに、そのリスクが市の負担となっているというのはおかしいんじゃないですか。どうですか、大臣。

○石崎政府参考人 これは浜松市の水道事業ということで、要するに、現在、これから検討していくという事業、下水道事業じゃございませんで、これから検討していく水道事業の導入可能性調査の中での検討でございますので、この報告書を踏まえて浜松市がどのように検討するかというのはまさしくこれからの御判断、浜松市の御判断なんだろうというふうに考えてございます。

○塩川委員 さっき大臣が、安定的、継続的な水道事業の障害となるという指摘については、もっともだというお話をされました。
 だけれども、ここにあるようなリスク分担の話にしますと、結局は、地元でこれまでずっと取り組んでこられた、そういった事業者が排除されるような場合についても、それはもうPFI事業者の責任でなくて市の方で受け持ってくださいよ、リスクを負担してくださいという話というのは、これは通る話じゃないなと率直に思うんです。こういう枠組みで検討を進めるという話になるということになると、これは重大な事態につながるんじゃないのか。
 浜松市は南海地震など大規模災害の備えが必要であり、その際に誰がライフラインの復旧を担うかといえば、地元の事業者の方であります。地元事業者を排除することになりかねない、こういったPFI事業ということでは、安定的、継続的な水道事業の障害にやはりなるんじゃありませんか。

○梶山国務大臣 これは、下水道ではなくて上水道に関して今検討をしているということでありまして、市も十分その点は意識していると私自身は聞いております。
 国内企業が、事業の中心となる企業として参入すること、中心となる企業と連携して事業を実施する協力会社に参入することは、国内にコンセッション方式を広く用いるために、これからも先例として非常に重要なことであると思っております。そのために、地元に密着した事業の提案を行った事業グループを高く評価するなど、国内企業の参加を促す工夫は有効と考えられております。
 事業者選定に当たっては、地元企業の参画、地域住民雇用を評価項目に加えて審査を行った結果、地元企業を構成員に含むグループが選定をされているということであります。
 内閣府では、このような取組事例の周知を積極的に行うとともに、地域の関係者が集う地域プラットホームの形成を支援することにより、より多くの国内企業また地元企業がマーケットに参加できるように後押しをしてまいりたいということでして、これに関しては今検討を行っているということでして、先ほど来、繰り返しになりますが、市も十分に意識した上でこういった話合いも進められていると聞いております。

○塩川委員 もちろん、これは上水道の話ですから、検討ということでの報告書になっているわけですけれども、既に下水道ではヴェオリアが参入しているわけで、上下水道一体にという話なんかもいろいろ出ているわけですよ。
 そういった際に、この報告書そのものが、やはり地元企業が排除されることになるんじゃないかという懸念を指摘する。それはもっともだとおっしゃる。それはやはり、安定的、継続的な水道事業という観点では重要だと大臣もおっしゃるわけですから。
 しかし、それにそぐわないような方向に行くんじゃないのかというのが、やはりこのPFI事業の問題点ではないのかということを指摘しているわけであります。
 要は、PFI事業そのものが、地元事業者へのこれまでの協力を行っていく仕組みを大きく変えるものになってしまうのだというのは、資料の六枚目に紹介をいたしましたが、日本PFI・PPP協会が作成していますPFI年鑑二〇一七年版に掲載している「PFI受注 選定代表企業ランキング」に基づき、グラフをつくりました。
 左の表にありますように、大林や大成、清水、東洋食品、鹿島等々、ランキング上位というのは、大手ゼネコンを始めとした大企業ばかりであります。上位十社だけで、まさに全国のPFI事業の選定の数にすると三五%、三分の一を超えるということになっています。
 大臣、お尋ねしますけれども、結局PFI事業というのは、PFIという形態で一括、包括的にということになれば、結果として、大手の参入を促進をし地元企業を排除する、こういう仕組みにならざるを得ないんじゃないかと考えますが、いかがですか。

○梶山国務大臣 ノウハウという点で、大手企業も評価をされるべき点があると私は思っております。
 ただ、この中で全てが地方を除外した形になっているかということは、一つ一つまた詳細に見ていかなければならないと思いますが、コンソーシアムを組んでかなりの数の議論をしているということも含めて、地元の理解も得られなければこういったことはなかなか進められないということもあり、そういった点に留意をしながら、これからも進めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 地元の理解といいながら、西尾市の事例とか浜松市の事例を紹介したように、地元の声や住民の要求に背を向けるようなスキームが出ているという点でも、私は、率直に言って、PFIというあり方そのものが問われている制度だということを言わざるを得ません。
 こういったPFI事業は、おととい質問したように、自治体の方も一回やって懲りたという状況のときに、国の方が、いや、もっと検討してくれ、優先的に検討してくれ、こういうことで旗を振っている。いわば国が主導して推進しているのがPFIだということになるわけで、自治体に強く要請をし、優遇措置を次から次へと打ち出さないと成り立たないのがPFI事業ということです。
 国交省にお尋ねしますが、上水道のコンセッションのモデル事業をつくるということですけれども、浜松市の上下水道次長という人は国交省からの出向者ではありませんか。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 市の方の上下水道部次長につきましては、当省の水管理・国土保全局の下水道部下水道企画課の課長補佐をした者が、現在出向してその任についております。

○塩川委員 国交省の下水道部の水道企画課課長補佐を務めた方が、今浜松市で旗を振っているということですよね。
 国交省が進める新下水道ビジョン加速戦略というのがありますが、重点項目の第一に官民連携の推進を挙げております。トップセールスの継続的な実施ということになっているわけですが、ここにあるように、国が金も出して人も出して、音頭をとって推進しなければ成り立たないのがPFI事業じゃないのか。浜松市は国が進める上下水道PFI事業のための実験場じゃないといった声なんかも上がっているわけであります。
 大臣、ちょっと率直に、こういった、結局、人まで送って進めているのがPFIと。これは自治体にとってどうなのかと率直に思うんですが。

○梶山国務大臣 いろいろな形で支援をしております。人的な支援、これは多分、PFIを進めるという決定のもとに、こういう人材が欲しいという場合もあるかと思います。そして、財政面の支援もそうですし、情報面での支援、技術面での支援ということもさせていただいております。
 いずれ、やはりその自治体においても財政上のリスクを、ずっと将来のリスクというものを考えながら、取り入れるかどうかというのは自治体の判断であります。そういった中で、今、導入する時点でどれだけの支援ができるかということを国が考えながらしているということであります。

○塩川委員 国が旗を振らないと進まないというのが今の率直な現状であって、地方自治を侵害し、地元企業の参入を妨げ、大企業が地方の仕事を奪うことにつながるのがPFI事業です。
 今まで以上に国が自治体にPFI推進を押しつけて、水道の公共性や公益性を侵害し、住民サービスの後退につながるPFI事業を推進するものとなる本改正案は認められないということを述べて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第196通常国会 2018年05月11日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。
 きょうの質疑でも明らかにしたように、PFI事業は、地方自治を侵害をし、地元企業の参入を妨げ、大企業が地方の仕事を奪うことにつながり、住民サービスの後退につながるものであることを強く指摘をいたしました。
 本法案について、反対理由の第一は、政府が地方自治体に対し、より一層PFI推進を押しつける仕組みをつくるものだからです。
 新たに法定化されるPFI事業に関するワンストップ窓口と、内閣総理大臣が公共施設等の管理者に対しPFI事業に関する報告の徴収と勧告を行える仕組みの創設で、政府が窓口で事業者から要望を聞き取り、それをもとに政府が自治体に回答を迫ることが可能となります。
 また、本案によって、基本方針に新たな事項が追加されることになりますが、この内容について、内閣府は、地方公共団体に対しPFI事業を優先的に検討するよう求める趣旨だと説明しています。
 本案は、政府の自治体へのPFI押しつけを強化するもので、住民のための公共サービスをゆがめられる懸念が強いと言わざるを得ません。
 第二の理由は、地方自治法が定める指定管理者としての利用料金と、指定管理者の指定手続規制を緩和し、議会のチェック機能と住民の関与を後退させるものだからです。
 PFIや指定管理者制度は、公共サービスなどを民間事業者が営利目的に行うものであり、その事業が住民全体の福祉につながるかどうかは、議会や住民が自律的に検討することが必要不可欠です。
 こうした観点から、地方自治法では、指定管理者の利用料金の設定には自治体の長の承認を求め、指定管理者の指定手続には議会の議決が必要と定めています。本案はこれを後退させるものであり、反対です。
 第三の理由は、公が責任を持って提供すべき生活の基盤である上下水道に、コンセッション方式を推進するため、国の負担で補償金を免除するものだからです。
 安倍政権は、今国会に提出した水道法改正案で、水道事業におけるコンセッション方式の拡大を狙っており、本案は、上下水道事業においてコンセッション方式を導入する自治体への動機づけとして、国からの貸付金の補償金を免除することで、それを後押しするものです。
 水道事業は、憲法二十五条に基づく国民の生存権、命にかかわるサービスです。民間事業者の営利が優先されるコンセッション方式に適さないことは明らかであり、コンセッション方式の推進は認められません。
 なお、修正案は本案の問題点を解消するものになっていないため、賛成できません。
 以上、討論を終わります。