【予算委員会】社会全体の賃上げに逆行/公務員の賃下げはやめよ

 岸田文雄首相が看板政策として賃上げを掲げる一方で、幅広い労働者の賃金に影響を与える公務員の賃下げを進めていることを告発し、賃上げの好循環を作るのならば公務の賃金引き下げはやめよと強調しました。

 岸田首相は自民党総裁選で、賃金が公的に決まるにもかかわらず報酬が十分でない職員の収入を思い切って増やすとして「公的価格を抜本的に見直す」と打ち出しました。2月から保育、介護などの分野で3%(月額9000円)の処遇改善が実施されます。

 私は、保育士の賃金は全産業平均と比べて9万円以上低く、引き上げは不十分だと指摘。さらに公立保育所の保育士の賃上げは、1月28日時点で申請のあった134自治体のうち、公立を対象としたのは34自治体のみだったことを確認し、なぜ自治体は消極的なのかと質問。

質問に使ったパネル(クリックで拡大します)

 まともに答えない岸田首相に対し、私は、理由を明らかにしなければ打開のしようがないと批判。自治体が消極的な理由として、2022年度の地方財政計画の給与関係経費をマイナス人勧を反映して2709億円も削減し、総務省からは地方公務員給与を人勧に基づき下げるよう通知まで出していることを指摘、一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂だと批判しました。

 私は、『公的価格の抜本見直し』というのなら賃金に係る最大の『公的価格』が人事院勧告に基づく公務員給与改定だと強調。人勧の影響は800万人近くの労働者に及ぶとして、「マイナス人勧に基づく公務員の賃下げは撤回せよ」と主張。

 岸田首相が「人勧は民間準拠だ。民間を含めて全体の賃上げが実現すれば、人勧の引き上げにつながる」と答えたのに対し、私は、過去、人勧を値切って賃下げを押し付けた事例はいくつもあると指摘。それを棚上げしてマイナス人勧は押し付ける。こういうやり方が公立保育所の保育士の賃上げを妨げることにもつながっているとして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ。公務員の賃下げ押し付けはやめよと強調しました。


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論戦ハイライト/本気で賃上げ図っているのか/衆院予算委/塩川議員の追及

「しんぶん赤旗」2月19日・2面より

公立保育園賃上げ/わずか34自治体/人勧に基づく賃下げ撤回を

 日本共産党の塩川鉄也議員は18日の衆院予算委員会で、岸田首相の目玉政策である「公的価格」の見直しについて「やっていることが支離滅裂で、本気で賃上げしようとしているのか」と迫りました。

 保育士の賃金は全産業平均比で月額9万円以上低い(2020年賃金構造基本統計調査)のが実態です。政府は22年2月から9月の間、保育士などの賃金を月額9000円引き上げる処遇改善事業を進めています。

公定価格に左右

 塩川氏は「今回の取り組みでこの格差を解消するのか」と追及。岸田文雄首相が「女性保育士は全産業の女性の平均並みまで引き上がる」などと答弁しました。塩川氏は、女性の中での賃金格差の話ではなく男女一体での格差の解消を問うていると批判し「一桁少ないというのが現場の声だ」と指摘しました。その上で「本当に保育士の賃金は上がるのか」とただしました。

 保育士などの賃金は、国が定める「公定価格」に左右される仕組みとなっています。塩川氏は、保育士の賃金も公務員賃金に準じて算定されるため、22年度(21年度比)は公務員賃金が0.9%引き下げられたことが保育士の賃金に連動していると指摘しました。

 減額分に対応する額を上乗せしていると述べた岸田首相に、次のようにただしました。

 塩川 処遇改善事業を行う場合は穴埋め分も措置するとしているが、今回の事業を実施しないと、賃上げどころか引き下げられてしまうのではないか。

 野田聖子少子化担当相 夏の人事院勧告の状況を見つつ、10月以降も引き上げが維持されるよう対応を検討する。

 塩川 答えていない。本気で賃上げを図ろうとしているのか。政府の責任は重大だ。

800万人近く影響

 さらに塩川氏は、公立保育園で賃上げの動きになっていない実態を告発しました。

 処遇改善事業の第1回申請で、申請があった183自治体のうち公立保育園も賃上げするのは34自治体です。塩川氏は「5分の1しかない」と指摘し、自治体が賃上げに消極的な背景には、22年度地方財政計画で地方公務員の賃金にかかわる給与関係経費が減額されているからだと追及しました。

 岸田首相 予算・補助金等はしっかり措置している。まだ1回目。手続きの問題だ。

 塩川 答えていない。2600億円の処遇改善事業を行う一方で、22年度地方財政計画の給与関係経費は2709億円の削減だ。さらに昨年11月、総務副大臣通知で、地方公務員のボーナスも国家公務員にならって引き下げを行えと自治体に押し付けている。賃上げが進まないのは当然だ。

 塩川氏の批判に対し、岸田首相は否定できず、うなずくだけでした。塩川氏は、人勧が影響する労働者は800万人近くに及ぶことをあげ、「収入を上げるというなら、人勧に基づく賃下げを撤回すべきだ」と求めました。


「議事録」

<第208通常国会 2022年2月18 予算委員会 第16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、岸田総理の看板政策の一つであります、公的価格の抜本的見直しについてお尋ねをいたします。
 岸田総理の自民党総裁選政策集には、「あなたの所得が増える「公的価格の抜本的見直し」」、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすため、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格を抜本的に見直すとあります。
 昨年十月の所信表明演説では、看護、介護、保育など、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきますと述べております。
 総理に伺います。
 賃金が公的に決まるというのは、どういうことでしょうか。
○山際国務大臣 委員御指摘のように、新しい資本主義を実現するために、保育、看護、介護等の分野において、その仕事に見合った適切な処遇が行われるように、賃金の引上げが持続的に行われる環境整備を行うというふうに我々としてはしております。
 その中で、今委員がお示しした、公的に決められるというのは、例えば、保育士の賃金に関して申し上げるならば、子ども・子育て支援新制度における公的価格など、サービスの対価等として各事業所に支払われる額でありまして、これを原資として、各事業所において保育士等の賃金が決められることになります。
 今般、収入を三%程度引き上げるために公的価格の引上げ等を行い、この引上げ分が確実に賃金の引上げに充てられるよう、措置を講じることとしております。
○塩川委員 保育士の話については、その公定価格で公的にサービスの対価が決定される、賃金の原資が公的に決められるということであります。
 看護職員、介護・障害福祉職員、保育士、幼稚園教諭等は、政府の関与によって賃金が左右されるという仕組みになっています。
 総理、お聞きしますが、保育士の賃上げについてです。
 二〇二〇年の賃金構造基本統計調査を見ると、全産業平均では月額四十・六万円ですが、保育士は三十一・二万円です。その賃金格差は月額九万円以上になります。
 今回の賃上げの取組によって、この格差を解消するんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 保育士の給与は他の職種に比べ低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があると思います。
 このため、これまでの累次の処遇改善に加えて、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、保育などの現場で働く方々の給与を三%程度、月額九千円程度引き上げることといたします。
 引上げに当たっては、それが継続的なものになるよう、補正予算により本年二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降については、当初予算において、公的価格の見直し等により措置することとしております。これにより、女性保育士の賃金は、全産業の女性の平均並みまで引き上がることになると認識をしております。
○塩川委員 女性の中での賃金格差の話じゃなくて、男女一体とした中での賃金格差の解消という点で、保育士の場合では全産業と九万円以上の差が月額である。今言っているのは、三%、九千円、それも頭割りにするともっと少なくなるという点では、一桁少ないというのが現場の声であります。
 コロナ禍の保育現場で、子供たちの感染防止に細心の注意を払いながら、自らも感染しないように外出も控えるような暮らしを続けている、こういう仕事に報いることこそ必要だというのが元々の趣旨ではないでしょうか。
 その上で、本当に保育士の賃金が上がるのかという問題であります。
 保育の公定価格の算定に当たっては、人件費や事業費、管理費等について、各々対象となる費目を積み上げて算定しており、そのうち人件費の額については、国家公務員の給与に準じて算定をしています。
 来年度の公定価格の人件費は増えているんでしょうか。
○野田国務大臣 従来から、保育所等の公定価格における人件費は国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行う予定でありますが、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するよう、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公定価格の減額相当を含めて補助を行うこととしています。
 また、令和四年度十月以降についても、本年の人事院勧告の状況を見つつ、処遇の改善の効果が継続されるよう対応してまいります。
○塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減っているということでいいですね。
○岸田内閣総理大臣 公定価格の人件費、これは国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行うことが予定されているということであります。
 しかし、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するように、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公的価格の減額相当額も含めて補助を行うということにしております。減額分もしっかり勘案した上で、その上にこの金額が今度出てくるようにしっかり措置を行うということであります。
 また、令和四年十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討してまいります。
○塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減額となっています。
 そこで、パネルを用意いたしました。保育士の賃金改善率ということですが、実際には、近年ではマイナスとなっているのが現状です。保育士の賃金は、人事院勧告に準拠して、公務員賃金に準じて算定をされます。一番左の棒グラフ、二〇一九年度に比べて、左から二番目の二〇二〇年度は、公務員賃金が〇・三%引き下げられたために、保育士に係る人件費も引き下げられてしまいました。
 左上に書いたように、全産業の平均賃金月額四十・六万円に対して、保育士の平均賃金は三十一・二万円で、九・四万円も低いものです。大幅な賃上げこそ必要なのに、逆に引き下げてしまったというのは極めて重大であります。
 さらに、一番右の棒グラフにありますように、二〇二一年度に比べて、二〇二二年度、来年度は、やはり公務員賃金が〇・九%引き下げられるために、保育士に係る人件費も引き下げられています。そこで、さっき総理もお答えになったように、右から二番目のグラフ、三%、九千円引上げの処遇改善事業を行う場合は、公務員賃金引下げに準じた保育士の人件費引下げ分については減額対応措置を取るとしています。
 この三%、九千円引上げという処遇改善の臨時措置が実施されないと、公務員賃金に連動した公定価格に基づく保育士の賃金は、賃上げどころか引き下げられてしまうんじゃないでしょうか。つまり、この三%の臨時措置を実施しないということになると、そのまま減額分が反映をして、保育士の賃金が引き下げられることになるというのが実態として生まれるんじゃないですか。
○野田国務大臣 確かに、平成二十四年度からずっと、令和三年度までの十年間で、人事院勧告というのはプラスになったりマイナスになったり、そういうふうに出ていますけれども、今回の場合は、令和四年十月以降の対応についてだと思いますが、これは、本年の夏の人事院勧告の状況をしっかり見つつ、三%程度の引上げが維持されるよう対応を検討することになると考えているところです。
○塩川委員 答えていないんですけれども。
 賃金が公的に決まる仕組みである公定価格の人件費の減額によって、保育士の賃金が引き下げられる懸念があります。
 岸田総理は、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいて、しかし、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすと言っていたのに、本気で賃上げを図ろうとしているのか、政府の責任は極めて重大であります。
 この点で、本当に賃金が上がるのかということを、特に公立保育所で賃上げの動きになっていないと聞きます。お尋ねしますが、この公立保育所の職員について、賃上げを行うという自治体はどのぐらいになるんでしょうか。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 今般の処遇改善に係る交付金の第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三自治体のうち、公立保育所を対象に賃上げを行う予定の自治体数は三十四自治体となっています。この自治体数は第一回交付申請の状況の数字ですので、今後の第二回交付申請の状況をよく見ていきたいと考えております。
○塩川委員 第一回目の申請ということで、第二回は来週ということで締切りになるわけですけれども。
 実際、第一回の申請の状況を見ても、手を挙げている市町村の中で、民間は上げるかもしれないけれども公立は上げない、こういうところが、申請した全ての百八十三のうち、公立も対象とするというのは三十四自治体だった。五分の一でしかなかった。つまり、五分の四は、公立保育所は賃上げの対象にしないということを市町村が申請をしているという状況になっています。
 公立保育所での賃上げ実施は五分の一しかない。これでは、多くの公立保育所で賃上げが行われないことになります。なぜ自治体は賃上げに消極的なんでしょうか。総理、はっきりお答えください。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 先ほど答弁いたしましたが、第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三のうち三十四ということになっていますが、自治体が公立保育所の賃上げに消極的なのかどうかについては、今後の状況をよく見ていきたいと考えています。
 他方、地方公務員である公立施設の職員の賃金については、自治体によって、職種ごとや、会計年度任用職員の給与体系が様々であるとともに、賃金改善には給与条例の改正が必要な場合があり、地方議会の議決等に一定の時間を要すると承知しています。
 内閣府では、これまでも、昨年十二月の都道府県等の説明会で、公立施設の職員について今般の補助金の対象としていることを説明し、二月九日には、各施設における処遇改善の実施見込みに基づく概算による申請も可能であることなどを周知しており、こうしたことを自治体に御理解いただいた上で適切に御判断いただくものだと考えています。
 さらに、二月十七日に事務連絡を発出し、補助金の活用に取り組む市町村の具体例をお示しし、積極的に検討を行っていただくよう重ねて依頼したところであり、引き続き、理解を得られるよう取り組んでまいります。
○塩川委員 公立保育所をしっかりと賃上げしてほしいんですよ。だけれども、第一回目の申請で、公立保育所を上げるという自治体が五分の一しかないんですよ。それはなぜなのかということをきちっと深めなければ、打開のしようもないんじゃないですか。
 総理、なぜ五分の一しか公立保育所は上げないのか、その理由は何なのか。
○岸田内閣総理大臣 これは手続の問題でありますが、第二回、第三回、こうした申請は行われることになっていくと認識をしております。
○塩川委員 一回目に申請した市町村のうち、五分の一しか公立保育所は上げないと言っているんですよ。手続の話じゃないんです。既に百八十三の自治体において五分の一しかなかったということなんですから。なぜそうなのかということをはっきり見極めなければ、この問題についての解決が見えてこないというのは明らかです。
 私は、こういった五分の一しか公立保育所の賃上げをしないという状況に、国が示す二〇二二年度の地方財政計画において給与関係経費が減額となっているからじゃないですか。国の地財計画上、給与関係費が減額となっていることが、自治体が賃上げに消極的になっている理由をつくっているんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 予算、この補助金等はしっかり措置しているわけでありますから、これは、自治体としっかり意思疎通を図った上で適切な対応を考えていただく、こうした環境をつくっていくことが重要であると考えます。
○塩川委員 いや、だから、国が示す地方財政計画において給与関係経費が減額されているから自治体が消極的なんじゃないかと言っているのに対して、お答えになっていないんですよ。
 ケア労働者の賃上げを目指すため、二千六百億円の処遇改善事業を行う、これは総理の目玉政策の財源措置ですけれども、他方で、地方財政計画の給与関係経費において、マイナス人勧を反映した給与法に基づく削減分は二千七百九億円になります。
 一方で二千六百億円の処遇改善事業を行いながら、他方でマイナス人勧を反映をした二千七百九億円の給与関係経費、地財計画、削減をしている。これでは賃上げが進まないのは当然じゃないでしょうか。お答えください。
○岸田内閣総理大臣 まず、先ほど来、再三説明しておりますように、人勧による減額分をしっかり手当てした上で、その上に、この三%、九千円の処遇改善、これを用意しているということであります。
 令和四年度十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討していきたいと思っています。
○塩川委員 ここのパネルにも示したように、三%の上乗せ、人勧のマイナス分の減額対応、穴埋めということを行うというのが総理の施策として挙げているわけですけれども、公立保育園については手を挙げていないところが多いということが一回目の申請ではっきりしたんですよ。それはまさに、地財計画上、給与関係経費を減らしているという国の施策の下で、自治体が消極的になっている理由じゃないかということを述べているわけですけれども、そういうことについてお答えがない。否定しないということですね。
 もう一つ、昨年十一月に総務省が発出をした、「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」では、国家公務員に倣って昨年度分のボーナス引下げを行いという自治体への通知を出しています。国が自治体に賃下げを押しつけている、こういう下で、自治体が公立保育園における賃上げの措置に消極的になっているということが示されているわけであります。
 一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂であります。本気で賃上げをする気がないということであります。
 総理にお尋ねしますが、この問題の大本にあるのが人事院勧告による給与引下げであります。この人事院勧告による給与の引下げこそやめるべきであります。賃金に係る最大の公的価格が、人事院勧告に基づく給与法による公務員給与改定であります。公的価格の抜本的見直しというのであれば、マイナス人勧をやめることこそ、賃上げのために行う仕事じゃありませんか。
 人勧が影響する労働者というのは、公務員に限られません。公務公共サービスに従事する労働者は八百万人近くに及びます。公的価格の抜本的見直しというなら、コロナ禍で奮闘している保健師など保健所職員や、看護師、保育士の賃金も引き下げることになる、人勧に基づく給与法による賃下げこそ、撤回をすべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 まず、人事院勧告自体は、民間に準拠する形で、制度としてこの取決めが続けられています。こうした考え方は一つ重要であると思います。
 そして、申し上げている保育士の処遇につきましては、人勧による減額分もしっかり補填した上で、更にその上に三%、約九千円の上乗せをする、こうした取組を用意しているということであります。
 保育士の処遇を考えた場合に、こうした賃金の上乗せ、これは大変重要な取組であり、政府としてもしっかり予算を用意して、結果を出していきたいと考えています。
○塩川委員 民間準拠といいますけれども、過去、人勧を値切って賃下げを押しつけた例というのは幾つもあるんですよ。そんなことは棚上げにして、民間準拠だということでマイナス人勧を押しつけるということが公立保育所における賃上げを妨げることにもなっているということへの、そもそもの反省が必要だということを言わざるを得ません。
 今回の処遇改善事業においては、保育士などの公定価格でマイナス人勧の穴埋め措置を取る、総理もお答えになったとおりであります。こういった措置を公務員全体に対しても広げていく。そもそもマイナスの人勧を撤回する。だって、社会全体で賃上げをしようと言っているんでしょう。社会全体で賃上げを行おうと言っているんじゃないですか。マイナス人勧をやめるということ。
 岸田総理は、経団連始め経済三団体に三%を超える賃上げを要請しています。民間に賃上げを求めるならば、まずは公務の賃下げを撤回して、賃上げの道筋こそつけるべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 人勧につきましては、民間準拠だということを先ほど申し上げました。だからこそ、国が率先して民間の賃上げの呼び水となるべく環境整備をすることが大事だということを再三申し上げてきているわけであります。
 民間も含めて全体の賃上げが実現したならば、人勧においても引上げということにつながっていく、全体の引上げにつながっていく、こうした環境ができ上がっていくと考えます。
○塩川委員 全体として賃上げを行うときに、民間に対しても三%を超える賃上げをお願いしたいと要請をして、その呼び水として、今言ったエッセンシャルワーカーなどについての三%、九千円という話が出てくるわけですけれども、そうであれば、そもそも賃上げの好循環をつくるんだったら、公務での賃金の引下げをやめる必要があるんじゃないのかと。賃金の公務のマイナス、これをやらなければ、結果とすれば、賃金の好循環に逆行することになる、このことこそ問われているということを言わなければなりません。改めて、賃上げの道筋をつけるべきだと。
 過去、人勧を値切った例というのは幾らでもあると言いました。一方で、今回のように減額対応するようなこともやっているんですから、同じようなことをやればいいじゃないですか。この機会に、まさに八百万人に影響を与えるような、労働者に賃下げを押しつける、こういったマイナス人勧は撤回をして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ、人への投資というなら公務員への賃下げを押しつけるのはやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。