【内閣委員会】菅長官を追及/愛媛県知事の反論に答えず/真相解明に背

 菅義偉官房長官は、加計学園疑惑をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁を「真実ではない」と批判した中村時広愛媛県知事のコメントや新たな県の公表文書について「コメントする立場にない」と繰り返し答弁。私は、真相解明に背を向けていると批判しました。

 柳瀬氏は参考人招致された10日、2015年4月2日に官邸で学校法人「加計学園」幹部と面会したと認める一方、同県や今治市職員の同席は「記憶がない」と主張し、同県の面会記録も一部を否定。中村知事は、「(県には面会記録)改ざんの余地はない」「県の信頼を損ねる発言があった」と批判。面会時に交換したという柳瀬氏の名刺や県側の発言メモを新たに公表しました。

 新たな証言や資料により政府への疑念が深まっている。この事態を放置するのか。きちんと答えるべきだ。真相解明に努めるのは政府の当然の責務だ。柳瀬氏の証人喚問、中村知事の参考人招致を求めました。

 菅長官は、内閣官房に同県の面会記録が残されているかについて「調査の結果、確認できなかった」と答弁。学園との面会を繰り返した柳瀬氏への「慎重に行動すべきだった」との指摘には「その通りだと思う」と述べました。

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「議事録」

<第196通常国会 2018年05月11日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 昨日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑を踏まえて、菅官房長官、また関係の役所にお尋ねをいたします。
 官房長官、お尋ねしますけれども、きのうの柳瀬氏のさまざまなやりとりを通じて、加計学園側と面会をしたという話がありました。二〇一五年の二月から三月が一回、四月二日が二回、六月の時期に三回目と。もともと会ったのは、二〇一三年五月の総理の別荘、河口湖におけるバーベキューのときに加計の理事長また事務局の方とお会いしたという経緯が述べられたわけであります。
 ですから、いわばそういった、加計学園と繰り返し、官邸で三回も会っている、また、特区関係の面会というのは民間は加計学園だけだといったことも非常に驚きを持って受けとめられたわけで、率直に、加計学園優遇が際立つ、特別扱いが拭い切れないという声というのは当然上がっているわけです。
 このような、特定事業者と繰り返し首相秘書官が面会をする、これはやはり、官邸勤めの人間として、こういう特定の事業者と繰り返し面会をするということは、本来慎重に行うのが普通ではありませんか。率直にお伺いします。

○菅国務大臣 通告になかったものですから、詳細について私は申し上げる立場ではありませんけれども、ただ、慎重にというのは、そうだと思います。

○塩川委員 記者会見でもそういう趣旨でおっしゃっておられたというふうに承知はしております。
 そういった加計学園の特別扱いという問題について、やはり非常に疑問が持たれるということがありますし、加えて、昨日の質疑の中で浮き彫りとなったのが、加計学園との面談について安倍総理に一切報告していなかったということもあったわけであります。
 その点では、安倍総理が加計学園が事業者だということを知った時期がまさに焦点になってきているわけで、私は、その点で、官邸の職員の仕事のあり方として、総理の秘書官としての仕事のあり方として、そういった問題について総理に報告しないということは普通考えられないと思うんですけれども、その点、官房長官はそのように思いませんか。

○菅国務大臣 先ほど梶山担当大臣が阿部委員に対して答えておられましたけれども、それは内容によりけりじゃないでしょうか。

○塩川委員 いや、その点で、この首相秘書官は総理の命を受けて事務を補助するということで、その安倍総理が主導する国家戦略特区、そういう中でも、獣医学部の新設のことについても強調されておられたと。それにかかわる案件について報告しないということはあり得ないんじゃないのかなと率直に思うんですが、いかがですか。

○菅国務大臣 本人は報告していないと言われていたんじゃないでしょうか。

○塩川委員 それが極めて疑念が浮かぶところで、本当のことを語っているのかということがまさに問われてくる問題だということであります。
 あわせて、あのような柳瀬氏の発言を受けて、一方の当事者であります愛媛県側で、中村時広知事が記者会見などで述べておるのも報道されております。
 県職員が作成した面会記録の一部を否定したことについては、県職員は一言一句を漏らさずに報告したい気持ちで、ありのままを書いている、改ざんの余地はない、時折、県の信頼を損ねる発言があったのは残念だというふうに述べておりました。また、県職員三人はメーンテーブルに柳瀬氏側の三人と向かい合って座っていた、柳瀬氏と名刺も交換をし、しっかりと県の立場を発言をしているということで、名刺と発言メモを公表したということであります。
 そうしますと、柳瀬氏の発言と愛媛県側の主張が大きく食い違っているわけです。そういったときに、まさに政府の中心となる官僚の発言と愛媛県側の発言が食い違っているわけで、政府の信頼も問われているといったときに、政府の信頼が問われるような事態をこのまま放置するのかということが問われていると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

○菅国務大臣 県の作成した文書、そして県の発表されたこと、私は承知をしておりませんでした。
 先ほど夕刊を見たわけでありますけれども、そういう中で、そうした地方自治体のことに対して、一つ一つに政府としてコメントする立場ではないと思います。

○塩川委員 いや、でも、そういって大きく食い違っているのを放置するのかということだと思うんですよ。そこが問われているんじゃないですか。
 であれば、やはり政府の方からしっかりと、疑念ということであれば、それを晴らすという積極的な対応こそ必要だと思うんですけれども、そういうことはお考えにならないですか。

○菅国務大臣 詳細について承知していません、きょう国会中でありましたから。
 それで、地方自治体が国に対して一つ一つ、いろいろなことを言ったことについて、そこはコメントはすべきじゃないということを、私、先ほど記者会見でも質問されて、申し上げてきました。

○塩川委員 国側、政府側の元首相秘書官が発言したということに対して、県の方がそれは事実と違うと言ったんですから、まさに出発点は政府の側の発言なんですよ。政府の側の発言に対して県の方がそれは違うと言っているんですから、その違うという点について明らかにするというのは、政府の方にその責任は返ってくるんじゃないですか。政府の方としてきちっと答えるということこそ、筋じゃありませんか。

○菅国務大臣 地方自治体が言われたこと、地方自治体の文書、さらに、きょう、知事がですか、コメントを発出したのは。そうしたことについて、私自身、詳細は承知していませんでした。そして、先ほど、記者会見で質問されるということで、事前レクを受けました。
 そういう中で、政府の立場としてはコメントは差し控えたい、このように申し上げてきたところです。

○塩川委員 もともと経緯を言えば、愛媛県が備忘録として作成をした首相案件という文書が出てきて、その中身について、知事としてはこれを認めるということで、そのことを改めて契機として柳瀬氏の発言が問題となって、昨日の参考人質疑になったわけで、そうしたら、その参考人質疑での柳瀬さんの発言について、やはり事実と違うという話ですから、そういう意味ではやりとりになっているんですよ。
 今度は、やはり改めて、こういった中村知事の対応に対して、政府として責任を持って答えるということに努めるのが今本当に求められているんだと思うんですが、改めていかがですか。

○菅国務大臣 知事が発言をされたことに対して政府の立場でコメントは、やはり控えたいと思います。

○塩川委員 その政府の姿勢のあり方そのものが、政府の信頼を大きく損なうものと言わざるを得ません。
 改めて、柳瀬さんについて事実関係をただすという点での証人喚問は必要だと思いますし、中村知事にもお越しいただいて参考人としてお答えいただく、そういう場をぜひ設けるべきだと思います。
 この点について、委員長、お取り計らいいただきたいと思います。

○山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

○塩川委員 それでは、今やりとりしました愛媛県が作成した首相案件とされる文書についてですけれども、先日のこの委員会で、関連する省、文科省や農水省、厚労省などの調査についての発表がされたときに、内閣官房についてそれを行っていなかった、調査をするという官房長官の答弁がありました。
 内閣官房内の調査はどうなったでしょうか。

○菅国務大臣 さきの委員会において、塩川委員からの御質問に対し、私より、愛媛県が作成したとされる文書の有無について、内閣官房において調査を行う、こう申し上げました。そして、私から、事務の副長官に対して、事務方に対し指示をし確認を行わせましたけれども、御指摘の文書については確認できなかったという報告を受けています。

○塩川委員 確認できなかったというんですけれども、調査の範囲はどういうところになっているんでしょうか。

○原政府参考人 調査を行いましたのが事務方でございますので、私の方からお答え申し上げたいと思います。
 愛媛県作成文書及びそれに伴うメール等の文書が保存されていないかについて、平成二十七年四月からこれまでに国家戦略特区に関連性のある部署に在職した関係のある者に対し、確認調査を行ったところでございます。

○塩川委員 平成二十七年四月以降現在まで、国家戦略特区にかかわる職員。その国家戦略特区にかかわる職員というのはどういう範囲なのかを教えてほしいんですけれども。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房副長官補室、それから官邸の関係者ということであり、百名程度ということでございます。

○塩川委員 内閣官房副長官補室、本室と分室もあると思うんですけれども、それは三人の副長官補の全部の本室及び分室ということを言っているのか、それ以外のところ、例えば内閣総務官室ですとか、ちょっと具体的にもう少し説明してください。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房副長官補室関係は、補室の本室、それから戦略特区にかかわりがあるということで、広い意味で、まち・ひと・しごと創生本部の事務局、それから日本経済再生総合事務局、それから官邸におきましては、関係の総理秘書官、長官秘書官、それから総理補佐官担当等々でございます。

○塩川委員 総理秘書官、それと官房長官の秘書官もということですね。
 この間、柳瀬氏も説明しておられましたけれども、あの二〇一五年四月二日の際に二人が同席していました、それについては文科省と農水省から出向された内閣官房の職員の方と。それはそういうことだと思うんですけれども、それはそれでいいですか。

○原政府参考人 その方も含まれているということでございます。

○塩川委員 ですから、二〇一五年の四月以降で在籍をしていた文科省、農水省、厚労省からの出向者については確認をしたんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 確認いたしてございます。

○塩川委員 総理秘書官は聞いたということですけれども、その総理秘書官のスタッフについても確認をされたんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 関係する職員については、確認しているところでございます。

○塩川委員 メール等の電子媒体については、個人のファイルとかの確認はされたということですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 共有フォルダ等について確認を行っております。なお、個人フォルダについても、本人の承諾を得た上で、確認をしているところでございます。

○塩川委員 例えば、出向された方が内閣官房からもとの省に戻る、大体二年ぐらいでローテーションで戻る、そういう戻っている方についても、今言った対応をされておられるということですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 戻った職員についても、確認してございます。

○塩川委員 改めて精査をしたいと思います。
 ないという可能性ももちろんあるわけですけれども、事の次第についてやはり官邸、内閣官房が大きな役割を果たしているということは明らかですから、こういったことについて真相解明に努めるということは政府の当然の責務であります。
 こういった、加計学園の特別扱いが際立っている、首相案件という疑念が拭えない中では、国政私物化が問われているこの問題についての徹底解明が必要だということを申し上げて、質問を終わります。