【内閣委員会】ケア労働者の賃上げ/国の責任で行え

 岸田文雄首相が看板政策として掲げるケア労働者の賃上げについて、国が責任を持って賃金格差を是正し、賃上げを進める取り組み行うことが重要だと迫りました。

 私は、保育士等処遇改善事業と放課後児童支援員処遇改善事業の申請状況について質問。

 内閣府は2月25日時点の経過的な数字として、保育所等については申請のあった市町村数は990、うち公立保育所を対象としているのは331、放課後児童クラブについては、申請のあった市町村数は778、うち公立の放課後児童クラブを対象としているのは249だと答弁。申請していない自治体数については、まだ申請を受付中だとして明らかにしませんでした。

 私は、申請しない自治体が一定数ある可能性を指摘したうえで、申請している自治体でも、公立を対象外としているところが3分の2ある。賃上げを促す取組が必要だと強調。

 野田聖子少子化担当相は「事務連絡で積極的な検討の依頼をしている。都道府県を通じて、申請していない市町村の意向を把握していきたい」と答えました。

 私は、総務省が昨年12月に出した公的部門における処遇改善についての通知は、主に会計年度任用職員に関するものだと指摘し、常勤職員への活用を促す働きかけを行えと追及。

 総務省は「地域における民間水準との均衡を踏まえ、各自治体で判断してほしい」と、やる気のない姿勢を示しました。

 私は、自治体からの財政措置を求める声に応える対策を行えと強調しました。

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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月4日 内閣委員会 第6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 ロシアによるウクライナの侵略は極めて重大であります。ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略を糾弾をし、ロシアの軍事行動の中止を強く求めるものであります。
 国連憲章では、主権の尊重、領土の保全、武力行使の禁止などを加盟国に義務づけており、ロシアの行動は国連憲章違反の侵略であります。核兵器で世界を恫喝するようなことを許してはなりません。ロシアの侵略を抑えるために、国際社会が一致して行動するときであり、経済制裁を始めとして、一番大事なのは国際世論を大きく広げていくということ、ロシア非難決議が過去最多の賛成百四十一か国で上がったということも極めて重要で、プーチンは侵略をやめよ、国連憲章を守れ、こういう一点での団結、国際社会の共同を進めていくということが求められていると思います。
 その上で、今、核共有の議論が出ておりますが、非核三原則を国是とする日本で、このような議論は容認できません。日本原水爆被害者団体協議会、日本被団協も、核共有の議論を掲げた日本維新の会の提言の撤回を求めております。核兵器の廃絶こそ日本が目指すべき道であり、その国際的な世論と運動の前進が生み出した核兵器禁止条約に日本が参加をする、この方向こそ求められているということを述べておきます。
 そこで、今日は、保育士や学童保育指導員の賃上げ政策について、野田大臣にお尋ねをいたします。
 岸田首相の下で、公定価格の抜本的見直しといって、診療報酬、介護報酬、子ども・子育て支援新制度の公定価格など、賃金の原資が公的に決められる労働者の賃上げを掲げました。国が責任を持って賃金格差を是正をし、賃上げを実現する取組を行うということが極めて重要であります。
 そこで、この取組の状況なんですけれども、月額九千円、三%の賃上げを図るという保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の直近の申請状況についてであります。申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数、そもそも申請しなかった自治体の数、これが分かるでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の処遇改善に係る交付金につきましては、御承知のとおり、第一回、一月二十八日、第二回、二月二十一日を交付の申請の期限としておりました。
 現在、二月二十五日までに保育所等について申請があった市町村数でお答え申し上げますと、九百九十市町村で申請がございました。そのうち、公立の保育所を対象に賃上げを行う予定としている市町村につきましては三百三十一市町村となってございます。
 なお、二月二十一日の交付の申請の期限は、緩やかに、少し遅れてもいいですよというふうに申し上げておりましたので、現在でも順次受け付けているところでございますので、申請をしなかった市町村数というのはちょっと現時点でお答えができないということでございますけれども、今の集まり具合を見ますと、最終的には、都道府県レベルでは全都道府県から申請をいただけるというふうな見込みは立っております。
○塩川委員 申請しない自治体数も一定数あるということなんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 第二回の二月二十一日の交付の申請の期限というふうなことを緩和をいたしまして、今現在もまだ受け付けておりまして、来ておりますので、四十七都道府県からの申請はそろうだろうというふうに思っております。
 ただ、そこの中身をよく見てみたときに、じゃ、各都道府県レベルで全市町村がその中に入っているかどうかということについては、現時点でその市町村数をお答えすることは難しいですが、今精査をしているところでございます。
○塩川委員 是非、申請していただきたい、賃上げの努力をお願いしたいと思っているわけですけれども、一定数の自治体で手を挙げないという話も聞いております。そして、申請した自治体数九百九十に対しても、公立公営で行うと言っているのはその三分の一の三百三十一しかないんですよ。公立の施設については申請の対象外にしているという状況があるということです。
 大臣にお尋ねしますが、これは余りにも少ないんじゃないのか、今後どうするお考えか、この点についてお答えいただけますか。
○野田国務大臣 数字の方は先ほど参考人から答弁がございました。現在、順次申請を受け付けているところです。
 申請した市町村数が少ないかどうかについては一概には言えませんけれども、今後の状況をよく見ていきたいと考えているところです。
○塩川委員 一概に申し上げにくいというふうにおっしゃいましたけれども、一つは、そもそも手を挙げていない自治体があるんじゃないかというところは、ちょっと数が分からないので、今の段階では、そういうのが少なくなることを求めていきたいと思うんですけれども、申請した自治体のうちで、民間の方はやるんだけれども公立についてはやりませんというのが三分の二もあるんですよ。それは余りにも少ないんじゃないかと思うんですが、そこの点についてはどうですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 申請があった、保育所、九百九十自治体のうち、公立保育所を挙げておられる市町村でいえば確かに三百三十一という状況でございます。
 公立保育所につきましては、給与俸給表ですとか、条例若しくは規則、様々な条件がございますし、一概に自治体の地方公務員の方の給与についてどうすべきというふうなことを我々の方から申し上げることは難しいですけれども、地方公務員の保育所についても積極的に検討いただきたいということは総務省と連携をしながらお知らせをしております。
 そういったことから、具体的に、先行して公務員について賃金を上げようとしておられる具体的な例も少しずつ分かってまいりましたので、そういった具体例を示しながら積極的な検討をお願いをするというふうなことを現在続けております。ただ、一義的には、最終的には、各自治体の御判断で、自治体自治体の給与の実態なども踏まえながら適切に御判断をいただくべきものというふうに考えてございます。
○塩川委員 是非、前に動くように取り組んでいただきたいと思っているんですが、今後の対策ということで、大臣、お考えになっていることがあれば是非お示しいただけませんか。
○野田国務大臣 今、参考人から対策を含めて話があったんですけれども、なお、公立施設の職員の賃金改善については、先ほど申し上げたとおり、内閣府としては具体的例を示しつつ積極的な検討を依頼するなど取組を行っているんですが、重ね重ねになりますが、第一義的には、各自治体において今回の処遇改善の趣旨をしっかり理解していただいた上で適切に御判断いただく、そういうふうに考えているところです。
○塩川委員 実態は思ったよりも少ないという状況で、是非ともこれを促す取組が重要だと思います。
 もう一つ、放課後児童支援員処遇改善臨時特例事業の直近の申請状況について、申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数、そして申請しなかった自治体の数、分かるでしょうか。
○藤原政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、申請があった市町村数は七百七十八市町村、これは同じく二月二十五日現在でございます。そのうち、公立の放課後児童クラブを対象に賃上げを行う予定としている市町村数は二百四十九ございます。
 なお、最終的に申請をしなかった市町村数は、先ほどと同じ状況ですので、まだ今も、現在受付中でございますので、申請しなかった市町村数ということをお答えすることは現時点では困難でございます。
○塩川委員 放課後児童支援員、学童クラブの指導員の方というのは、本当に子供に接した、専門職としてのお仕事を務めておられる方です。しかし、実態はワーキングプアと言われるような深刻な処遇の状況ということ、ここを大きく改善をするということこそ必要だと思うんです。
 この取組というのは非常にまだまだ不十分ではないかなと思うんですが、その点についての評価と、どうするのかということについて、大臣から答弁を求めたいと思います。
○野田国務大臣 放課後児童クラブの支援員の方、本当によくやっていただいて感謝をしております。
 この処遇改善については、先ほど申し上げた保育士等の処遇改善と同様に、まず、昨年十二月の都道府県等説明会の実施、そして概算による申請も可能であることの周知、さらに、事務連絡による公立施設の取組の具体例を示した上での積極的な検討の依頼など、取組をずっと行ってきたところであり、引き続き周知徹底に努めてまいります。
 今後の取組、さらに、その上で、内閣府においては都道府県を通じて補助金の交付申請の状況や申請をしていない市町村の意向把握をしっかりしてまいりたいと考えています。
 これは繰り返しですけれども、公立施設の職員の賃金改善については、第一義的には、各自治体において今回の処遇改善の趣旨を理解していただいた上で適切に御判断いただくものと考えています。
○塩川委員 総務省にお尋ねします。
 昨年十二月に総務省が発出をした、公的部門、保育等における処遇改善事業の実施状況についてというのが、これは一見すると会計年度任用職員に関する通知に見えるわけですね。やはり常勤職員、しっかりとこういった賃上げの対象なんだということをはっきりさせているわけですから、常勤職員への活用を促すような働きかけをしっかり行う必要があるんじゃないかと思うんですが、その点について総務省から御答弁を求めたいと思います。
○山越政府参考人 お答えいたします。
 内閣府における今般の処遇改善事業では、地方公務員の常勤、非常勤職員共に事業の対象となっていることを承知しておりまして、このことを踏まえて、総務省から昨年十二月二十四日付で発出した通知では、会計年度任用職員である保育士に限らず、常勤の保育士も含めた取扱いについて記載しているものでございます。
○塩川委員 その辺で常勤職員をしっかりと賃上げにつなげていく、こういった立場で、総務省として、その趣旨が伝わるような新たな通知を出すとか、一工夫するということは是非行っていただきたいと思うんですが。
○山越政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、昨年十二月二十四日付で発出した通知の対象は、会計年度任用職員のみならず、常勤の保育士も含めたものでございます。
 その上で補足をいたしますと、会計年度任用職員につきましては、職務経験や保育業務の専門性が考慮されておらず、給与水準が低い場合があるなど、多くの地方公共団体におきまして本事業を活用しての処遇改善について検討いただくべく余地があることが想定される一方で、地方公務員法上の常勤の保育士につきましては、一般行政職と同様の給与体系である地方公共団体が多く、全国平均で見ますと、民間保育士と比べると給与水準が高くなっている状況にございます。
 総務省としては、こうした全体的な状況認識の下、この通知による助言を発出したところでございます。
 いずれにしましても、地方公務員に係る本事業の活用につきましては、地域の実情に応じまして、各地方公共団体において、地方公務員法に基づき、各地域における民間等との給与水準の均衡も踏まえ、適切に御判断いただきたいと考えております。
○塩川委員 全国平均で見ると給与水準が高くなっているというのは、ちょっと私は受け止め難いんですけれども、実際、施設の調査で行ったときでも、民間と公務の保育士の賃金の差というのはほとんどないんですよ。そういう点では、一般の全産業に比べても極めて低いというのが保育士の置かれている状況ですから、そういった改善こそ必要だと思います。
 最後に、大臣にお尋ねします。
 今回の処遇改善の臨時特例事業というのは、申請期限が二月からの賃上げ実施を前提にしたものとなっています。ですから、この現状のままで推移すると結局やらないままで終わるようなところが多くなりはしないのかという懸念があるので、是非、これで打切りにしないで、これからでも賃上げに参加できるようなスキームを具体化をする必要があるんじゃないのか。この点について是非対応を求めたい。
○野田国務大臣 今回の処遇改善の交付金については、令和四年度に市町村から国に対して、令和三年度分も含めて交付申請を行うことも可能としています。
 一方、今回の令和三年度の補正予算による処遇改善は、昨年十一月の経済対策において、民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、本年二月から前倒しで実施することとしたものであることから、市町村が国に対していつ交付申請を行うかにかかわらず、私立の施設は二月分からの賃金改善を年度内に実際に行っていただくこと、公立施設は二月分からの賃金改善を行う条例案等を年度内に議会へ提出していることという補助要件としています。
 内閣府ではこれまでも、二月十七日に市町村に対して事務連絡を発出して、市町村からの国への交付申請については、管内の施設における処遇改善の実施見込みを基に概算による申請を行うことも可能としていることや、第二回申請期限である二月二十一日までの申請が難しい場合には個別に御相談いただきたいことも周知するとともに、補助金を活用して公立施設の処遇改善に取り組む市町村の具体例を示したところであり、引き続き、交付金の申請状況等を見つつ、積極的な検討を行うよう働きかけてまいります。
○塩川委員 公的価格の抜本的見直しと強調している国、公的に賃金が決まるこういったケア労働者の皆さんの賃上げを大きく図るというところで踏み出すということは極めて重要であるわけで、自治体からの財政負担を求める声もあるといったときに、それにしっかりと応える、対応策の検討も行うということを強く求めて、質問を終わります。