【内閣委員会】重要事項の決定は政府の一存/経済安保法案質疑

 経済安保法案の質疑に立ち、国会の関与は予算に関する最低限のものである一方、政省令への委任か所が138に上ることを内閣官房の答弁で明らかにし、政府への白紙委任だと言われても仕方がない、と批判しました。

 私は、法案の対象に災害や感染症、気候危機が含まれているかと質問。

 小林鷹之担当大臣は「ただちには含まれない」とあいまいな答弁。

 私は「国民の生存に必要不可欠」で「外部に過度に依存」している「特定重要物資」には、食料、衣服、エネルギーが含まれるかと質問。

 小林大臣は「基本指針で定めるので、現時点で予断を持って言及することは控える」と述べ、食糧、エネルギーは既存の法制度があることもふまえ検討するとして明らかにしませんでした。

 私は、さらに、法案では国家安全保障局の事務に安全保障に関して、経済政策の基本方針などを司ることを追加していることをあげ、外交・防衛政策と一体に、経済政策が運用されることになると指摘。土地利用規制法も経済安保の一環として位置付けられていることは重大だと批判しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月23日 内閣委員会 第11号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 経済安保推進法案について質問をいたします。
 今日は、まず、フレームの点についてお尋ねいたします。
 本法案では、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を害する行為という文言が何か所も使われております。ここで言う外部とは何なのかについて御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為とは、例えば、外国政府等の主体により行われる我が国の国家及び国民の安全を害する行為をいいます。
 例えば、基幹インフラにつきましては、二〇一五年に、ウクライナの変電所に対するサイバー攻撃によって大規模かつ長期にわたる停電が発生した事案などが発生いたしました。
 国家の関与の下、我が国に対してそのような攻撃が行われるとすれば、それは、外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為に該当し得ると考えられるものでございます。
○塩川委員 外国政府によるという話でありました。
 そうしますと、外部から行われる行為、国家及び国民の安全を害する行為という点について言うと、例えば、自然災害ですとか感染症ですとか気候危機というのは、そういう形では含まれるというものではないということでしょうか。
○小林国務大臣 原則、外部というのは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、一般論として申し上げますと、今委員から御指摘のございました災害あるいは感染症、気候危機といったような事象というのは、我が国の外部から行われる行為によって引き起こされたものとは考えにくいので、単にそうした事象のみでは、直ちにこの法案に言う外部から行われる国家国民の安全を害する行為には含まれないと考えられるというものでございます。
○塩川委員 それだけでは当てはまらないというお話であります。国民的な受け止めというのはいろいろ幅がありますので、そういった点での、法案が何を位置づけているのかというのを明らかにすることは重要だと考えます。
 それから、本法案で、政令、省令委任という箇所というのはかなり出てくるんですけれども、本法案における政省令への委任箇所数というのは全部で幾つなのか、この点、お答えください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 委任箇所の数は、作成される政令数で数えるか否かといった論点がありますが、確定的にお答えすることは困難でございまして、ただ、この法案において、政令という言葉は五十一回、省令を示す言葉、これは主務省令とか内閣府令という言葉がありますけれども、それは八十七回使用されております。
○塩川委員 政令で五十一回、省令、内閣府令や主務省令ということで八十七回ということですから、単純に足せば百三十八か所という点で、かなりの数に上るということであります。
 それ自身が、重要事項のほとんどが政省令事項になっているという点でも、こういった中身について、やはり、例えば政令の考え方などを示すということというのは是非やっていただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 あらゆる事項を全て法律に規定いたしますということになりますれば、それ自身は大変困難であると考えてございます。加えまして、行政の複雑性でありますとか、あるいは行政に求められる機動性に対応するためには、必ずしも適切とは言い難い、このように考えてございます。
 下位法令への委任につきましては、委任事項の多寡ではなくて、委任事項の内容が重要でありますところ、一般的には、手続的な事項でありますとか、あるいは技術的な事項、事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想される事項につきまして委任をすることがあるものと承知してございまして、本法におきましても同様の考え方で規定をさせていただいているところでございます。
 その上で、本法案の委任事項につきましては、例えば、物資につきましては要件を法律上明確に示す、事業につきましては、法律上の要件の下で、法律上に限定的に列挙する十四事業の中から定めることとする、技術分野につきましては、法律上の要件の下で、国際特許分類等をもって定めることといたしますなど、法律上、可能な限り明確化するように努めているところでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 でも、そういう程度しか説明がないわけですから、大事なところが政令や省令に委任をされているという点についても考え方を示すということはあっていいわけで、今後、具体的な法案の中身というものの関係では、そういった政令についての考え方なども是非示していただきたいと思っております。
 このように政省令に委任される項目が非常に多い一方で、国会の関与の在り方、そういった点で、この法案において国会という言葉というのはほとんど出てこないんですけれども、本法案における国会関与の仕組みというのはどうなっているのか、この点について御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 御指摘の国会報告につきましては、サプライチェーンの強靱化に関する制度として、この法案の第三十四条第九項、そして第四十三条第二項におきまして、主務大臣が安定供給確保支援法人基金及び安定供給確保支援独立行政法人基金に係る業務に関する報告書の提出を受けたときは、基金における予算の執行状況を対外的に明らかにすることで執行の透明性を確保する観点から、これに意見を付して国会に報告しなければならない旨を規定しているところでございます。
○塩川委員 安定供給確保支援法人基金、また安定供給確保支援独立行政法人基金の業務報告書についての国会報告の義務という点だけであります。これは予算措置との関係がありますから、これについて国会への報告義務を課すということだろうと思います。法律で基金を設けるときに係る国会報告として行われるものであって、ある意味、最低限の規定でしかありません。
 重要事項が、多く政省令で、政府の一存で決まり、国会関与がほとんどないような、こういう仕組みというのは、率直に言って、政府にお任せ、白紙委任と言われても仕方ないんじゃないでしょうか。
○小林国務大臣 この法律の施行に当たりましては、安全保障を確保するための経済施策の全体に関わる事項を規定する基本方針を策定した上で、この基本方針に基づいて、四つの施策ごとに、有識者の意見を聞いた上で、各施策に固有の事項を規定する基本指針を策定することとしております。
 こうした基本方針や基本指針の策定に当たりましては、国会での御審議も十分に踏まえたものとしていかなければならないと考えております。また、この法律案の施行に必要な予算につきましては、予算審議の際に当然国会に御審議いただくこととなります。
 こうした形で、国会での御審議の内容も踏まえつつ、この法律案、成立しましたら適切に執行していきたいと考えているところであります。
○塩川委員 是非、審議を通じて明らかにしていただきたいと重ねて要望するものです。
 こういった法律が作られる場合、その執行体制の点ですけれども、現行の国家安全保障局経済班の役割はどういうものなのかについてまず御説明をいただけますか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 国家安全保障局は、国家安全保障に関する司令塔である国家安全保障会議の事務局として同会議を恒常的にサポートするとともに、国家安全保障に関する企画立案、総合調整等を行ってございます。そして、その中で経済班は、経済安全保障の確保が我が国の外交、安全保障上の喫緊の課題となっている中、経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、令和二年四月に設置され、安全保障と経済を横断する領域で生ずる様々な課題に対し、関係省庁と連携しながら、法制度の検討作業を進め、関連施策を推進しております。
○塩川委員 経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うということで、外交・防衛政策と経済の一体的な推進、その点については、そういうことでよろしいですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のあった点、今回の法案でも関連はしております。今回の法案の附則において、内閣法そして国家安全保障会議設置法等の改正を行ってございます。
 具体的に申し上げますと、今回の法案の附則第九条でございまして、今回の法整備に合わせまして内閣法第十六条を改正いたしております。これは国家安全保障局の所掌を追加するものでございます。具体的には、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に加えまして、国家安全保障に関する経済政策についても、その基本方針及び重要事項に関する企画立案及び総合調整を国家安全保障局の所掌の一つとして明示する、こういうものでございます。
 そして、附則の十条でございますけれども、国家安全保障会議設置法第二条を改正いたしまして、国家安全保障局の所掌と同様に、国家安全保障会議の審議事項を追加するものでございます。具体的には、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に加えまして、国家安全保障に関する経済政策についても、同条第一項第十一号に定める審議事項の一つとして明示するというものでございます。
 そして、最後に附則の第十一条でございますが、内閣府設置法第四条を改正いたしまして、本法案の施行に必要な事務を内閣府の所掌に追加することとしております。行政各部の施策の統一に必要な総合調整等を行うこととするとともに、個別施策の実施及び推進に関する事務を行うこととする、こういうこととしてございます。
○塩川委員 附則の九条から十一条の説明がありました。本法案による内閣法の改正で、国家安全保障局の事務として、これまでの国家安全保障に関する外交政策、防衛政策に加えて、経済政策の基本方針に関する事務をつかさどることになるということですが、これは現行とこの法改正で何がどのように変わるということでしょうか。
○小林国務大臣 従来からNSS、国家安全保障局では、我が国の安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項として経済分野に関する事項についても企画立案、総合調整を行ってきたところでございます。
 今回の法改正によりまして経済政策が国家安全保障局の所掌の一つとして明示されることを踏まえまして、この法律案に基づいて実施する安全保障の確保に関する経済施策を含め、経済安全保障を強化するための取組を更に加速していくということでございます。
○塩川委員 国家安全保障政策として、外交政策、防衛政策、こういう政策と並んで経済政策が掲げられるようになる、国家安全保障政策として外交・防衛政策と一体に経済政策が運用されることになるということであります。
 そこで、附則の第九条と第十一条についての説明で、経済安全保障における国家安全保障局と経済安全保障を所掌する内閣府の関係、経済安全保障における国家安全保障局と内閣府の関係について説明をしてもらえますか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法律の施行を担う組織として、今般新たに内閣府に所掌事務を追加するということでございます。その上で、内閣官房においては、先ほど先生もおっしゃられたとおり、元々の総合調整機能を担っておりますので、国家安全保障に関する外交、防衛に加えて経済というものを明示する、こういう形になります。
 以上でございます。
○塩川委員 国家安全保障局は、今回の法律によって、経済安全保障全般の企画立案、総合調整の事務を担う。内閣府の方は、経済安保推進法の範囲内で、企画立案、総合調整の事務、内閣補助事務を行うとともに、経済安保推進法に基づく個別の事務、分担管理事務を行う。そういう整理ということでいいですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的に内閣府設置法をどういうふうに改正するかと申し上げますと、内閣府設置法の四条の第一項、そして第三項、両方の項を改正いたします。第三項については、おっしゃられましたとおり、分担管理事務として、今回の法案の施行に関する事務並びに安全保障の確保に関する経済施策の総合的かつ効果的な推進に関する事務、これを担わせるということでございますし、四条の第一項に関しましては、内閣補助事務として、行政各部の施策の統一に関する総合調整に関する事務、こういったものを担わせる。こういう所掌事務を二つ追加してございます。
○塩川委員 ですから、私の説明でいいということでよろしいですか。
○泉政府参考人 正確に申し上げますと、内閣府設置法四条の一項には、柱書きのところで、行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事項の企画立案……(塩川委員「国家安全保障局と内閣府の関係」と呼ぶ)
○上野委員長 済みません、指名してからお話をお願いします。
○泉政府参考人 それで、済みません、四条一項に書いてありまして、その中で、括弧書きがございまして、内閣官房が行う内閣法第十二条二項第二号に掲げる事務を除くという規定もございます。そこで入れ子のような形になっている、こういうことでございます。
○塩川委員 国家安全保障局は当然司令塔ということで位置づけられていて、その下で内閣府に必要な所掌の事務を担うところがあって、そこで内閣補助事務、分担管理事務を法律の範囲で行うという体制ということです。
 それで、実際に内閣府に置かれる組織というのは、今の経済安全法制の準備室が衣替えをして事に当たるということを元国家安全保障局長の北村滋さんがおっしゃっていたんですが、そういうことですかね。
○小林国務大臣 今回の法施行を行う組織につきましては、今般新たに内閣府に担わせることとしておりますが、具体的な体制についてはこれからということになろうかと思います。
○塩川委員 国家安全保障局は、重要土地等調査法、土地利用規制法に基づく政策の企画立案、総合調整を所掌してきました。この点、今回の法改正ではどうなるんでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のありましたとおり、NSSにおいては、重要土地調査法の基本方針に関する企画立案というものを所掌してございました。その規定については内閣法に規定があったわけでございますけれども、今般、先ほど申し上げましたとおり、国家安全保障局の所掌事務として、国家安全保障に関する外交、防衛、経済というふうに書き改めたものでございますから、そこで読めるということで、引き続き、規定ぶりは直しますけれども、国家安全保障局において所掌する、こういうことでございます。変わりはない、こういうことでございます。
○塩川委員 これは、現行の条文が削除されて、当然、改正の方に外交政策、防衛政策と経済政策が入った、この国家安全保障局の事務として新たに位置づけられる経済政策の中で、重要土地等調査法の事務を読み込むということですか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 そうすると、重要土地等調査法というのは、経済安全保障の側面もあるということですね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 経済政策の面もございますが、外交、防衛に関する部分も含まれているもの、このように整理しているところでございます。
○塩川委員 重要土地等調査法、土地利用規制法が経済安全保障の一環として位置づけられているということであります。
 昨年、土地利用規制法の議論も行いまして、自衛隊や米軍基地、原発周辺及び国境離島の住民に対してプライバシー権や財産権等を侵害する違憲立法であり、重要事項が皆、政省令事項という政府への白紙委任立法だということで厳しく批判をされた法律であります。このような土地利用規制法が経済安全保障の一環として位置づけられているというのは、極めて重大だと言わざるを得ません。
 その上で、経済安全保障法制準備室長であった藤井敏彦氏の件についてお尋ねをいたします。
 国会に提出をされました、国家安全保障局への立入り申請許可証についてお尋ねをいたします。
 この立入り申請許可証について、五枚提出をされましたが、その訪問客というのはそれぞれどなたでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 この立入り申請許可証につきましては、審議における要請を受けまして、藤井氏が直近三年で関わりのあった、不識庵で関わりのあった二十社のうち、私どもが今手元に残っております、令和二年、令和三年度の出入りの記録に残っている会社についての立入り許可証の写しでございます。
 具体的に申し上げますと、二十社のうち、二社、そして五件の立入りがあったということでございます。
○塩川委員 この二社というのはどの企業でしょうか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 大変申し訳ございませんけれども、不識庵と藤井氏の直近の関わり、二十社いずれも、現時点において社名を公表してほしくないということを申しておりますので、この二社が具体的にどの会社であるかということについては、現時点では差し控えさせていただく必要がございます。
○塩川委員 それはおかしいんじゃないでしょうか。
 この間、電機メーカーA社社員の国家安全保障局への出入りに関する調査結果というのがあって、この電機メーカーA社については日立製作所という形での答弁もあったところであります。ですから、この二社、五件のうちの二社に日立製作所は入っているということでいいんですよね。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 A社、電機メーカーA社が日立製作所であるということにつきましては、塩川先生からの度々の御要請がありまして、委員長の御指示に基づきまして、A社たる日立製作所と相談をした結果、A社が日立製作所であるということについては公表してもよいということの同意を得ましたので、公表させていただいた次第でございます。
 他方で、現時点で、二十社のいずれも、自分たちの名前を出してほしくないというふうに申しておりますので、先生御指摘の日立が二十社に含まれるのかという御質問にお答えするということは、二十社の一つのお名前を出すということになりますので、大変申し訳ないんですけれども、現時点では二十社のお名前を出すということはできないということで御理解いただければと思います。
○塩川委員 委員長、是非、この点をはっきり答えるように言ってもらえませんか。
○上野委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○塩川委員 政府は、電機メーカーA社について、日立製作所と認めております。
 この立入り申請許可証、五枚出してもらったわけですけれども、そのうちの四枚は、この立場でいっても、A社関係者の来訪日、つまり、このA社は日立製作所となっているわけですから、日立製作所が来訪した日が令和三年の二月四日、三月十日、四月五日、四月八日となっています、その日付に対応するように、出された五枚のそれぞれの立入り申請許可証、うち四枚がこれに対応していますので、立入り申請許可証五枚のうち四枚は日立製作所社員の国家安全保障局への立入りということでいいですよね。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の四つの期日が一致しているという点につきましては、これは客観的事実としてそのとおりでございますけれども、繰り返しになって大変恐縮でございますが、日立製作所はA社が自分たちであるということは対外的に公表していいと言っていますけれども、二十社いずれも、まだ、二十社に自分たちが当たりますということについて同意をしてくださっておりませんので、その段階におきましては、私どもとして勝手にお名前を公表するということは難しいという点につきましては、改めて御理解ちょうだいできればと思います。
○塩川委員 こんな答弁をずっとやっている以上、まともな議論はできないじゃないですか。委員長もおかしいと思いませんか。
○上野委員長 室田審議官、的確な御答弁をお願いいたします。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 二十社の中で、名前を出していいという会社が出てきたら、それはきちんと御報告させていただきたいと思いますが、今この瞬間で申し上げれば、二十社全て、名前を出してほしくないという状況でございますので、今ここで、私の一存で会社のお名前をお伝えするということはできないということについて、お願いをいたします。
○塩川委員 私、二十社全部を出せという話はそもそもしていないんですよ。電機メーカーA社が日立製作所でした、日立製作所が国家安全保障局に出入りをしていた、その際の立入り申請許可証の四枚について、ちょうどこの政府が出されているペーパーにある日付と合うようにこの申請証が出ているものだから、それは日立製作所ですよねという当たり前の確認をしているだけなので、日立製作所に関する話なんですけれども、その点、何で答えられないのか不思議でならない。委員長も不思議と思いませんか。
○上野委員長 相手方があることでございますので、そのような判断かと思います。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 日付が四つ全て同じであるということは、私も、そのとおりというふうなところでございますけれども、いずれにしましても、二十社の中で一社につきましてでも、その会社の御了承を得ないとやはり我々としてはお名前を出せないということでございますので、まさに、今、度々の御要請ございましたので、二十社全てとの関係で、相談をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 元々、二十社と関係ない話で私は聞いていたんですよ。元々、この電機メーカーA社の国家安全保障局への出入りについてのペーパーの話をしているわけで、これは直接、二十社の話と関係ないですから。A社が日立製作所と認めたということだから、この四回は日立製作所が来ているよね、単純にそういうことですよね。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 A社が日立製作所であるということと、二十社の中に日立製作所が含まれているか否かという問題は、私どもとしては別の問題としてやってまいりました。
 日立製作所との関係においては、A社は日立製作所かという点については同意を得られております。他方で、二十社いずれも、大変、繰り返しになって恐縮でございますけれども、自分たちの名前が二十社の一つとして出るということに今のところ同意をしていないという状況、これも客観的事実としてございます。
 しかし、今、再三の御要請がありましたので、特定の一社ではなくて、我々としては二十社平等に扱う必要があると考えていますので、二十社全体につきまして、お名前を出していいかどうかについて事後に確認をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 それはそれで出してください。でも、二十社と関係ない話を聞いているんですよ、これ。
 皆さんが出した三月九日付の国家安全保障局のペーパーの中で、この電機メーカーA社の国家安全保障局の出入りの調査結果があります。この電機メーカーA社が日立製作所と認めました。だとしたら、日立製作所の来訪日に、令和三年の二月四日、三月十日、四月五日、四月八日、来ていますよね、日立製作所がこの日に来訪していますよねということは言えるでしょう。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 私、今申し上げられますのは、三月九日に発表させていただきました、電機メーカーA社、すなわち日立製作所の国家安全保障局への出入りに関する調査結果といったことで、日立製作所は、令和三年二月四日、同年三月十日、同年四月五日、同年四月八日に国家安全保障局を来訪している、これは申し上げることができます。
○塩川委員 こういった短期間、二か月の間で四回も日立製作所の社員が藤井氏を訪ねて、国家安全保障局を来訪している。国家安全保障局というのは、こんなに頻繁に特定の民間企業が来訪するところなんでしょうか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 国家安全保障局におきましては、内規に基づきましての、外部の人間の出入りをきちんと規制をしておりますけれども、今の御質問、こんなに短い間に一つの会社が来るものなのかどうかということについて申し上げれば、必要があるときにはそういうこともあろうかと思いますし、必要がなければそんなに頻繁に来ないということは申し上げられるかと思います。
○塩川委員 どんな必要があったんでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 A社、すなわち日立製作所との関係につきましては、日立製作所から聴取をした結果としては、話題は最近の経済状況等であったということで、より具体的に申しますと、藤井氏が専門にしておりますCSR、企業の社会的責任、あるいはESG、環境、社会、ガバナンスといった問題についての議論を行っていたということでございます。
 では、これは国家安全保障局として必要なことだったのかと言われれば、率直なところ、国家安全保障局としての本来業務ではないと思います。他方で、そのような本来業務でないお客さんが来てはならないというほど、我々としても厳しく規制をしているということでも必ずしもございませんし、私どもにとって重要なことは、そのような四回の会談において、法案の内容の漏えいであるとか不適切な職務上の便宜供与があったかどうかということでございますけれども、それについてはなかったということを先方からも確認しておりますし、その点について、結果として四回の訪問というものがあったということ自体が特段の問題であったというふうには考えておりません。
○塩川委員 この問題、しっかり明らかにしていただいた上でまたお尋ねしますけれども、基幹インフラ役務に係るような安定的な提供の確保の制度をつくる、そういったときに、この日立製作所の社員の人が上下水道分野や治水、利水分野などを領域とする水事業部の担当部長だったという点でも、経済安全保障との関わりがどうだったのかというのは明らかにする必要がある、これでは疑念を拭うことができないということを申し上げ、納得いく答弁ではないということを重ねて申し上げて、次の機会に譲ります。
 それから、サプライチェーンの関係ですけれども、特定重要物資ですが、この特定重要物資というのは何か。国民の生存に必要不可欠で、外部に過度に依存している食料や衣服やエネルギーというのは含まれるものでしょうか。
○小林国務大臣 この法案では、特定重要物資の指定に当たりましては、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活又は経済活動が依拠している重要な物資であることに加えまして、外部に過度に依存しているか又は依存するおそれがあること、それに加えまして、外部から行われる行為によりまして国家及び国民の安全を損なう行為を未然に防止する必要があること、そして、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められること、この四つの要件で絞り込むこととしております。
 この法案において、どのような物資を特定重要物資として指定するかということにつきましては、この指定の具体的な考え方、要件など基本的な考え方については、有識者の意見を聞いた上で、安定供給確保基本指針において定め、また、個別物資ごとに特定重要物資としての指定の必要性を判断していくため、現時点で予断を持って言及することは控えたいと思いますが、その際、特に、委員御指摘の食料やエネルギーに関しましては、既存の法的枠組みや政策体系で既に備蓄を始めとする安定供給確保のための措置が講じられているケースがあることも踏まえまして、本法案に基づき更なる安定供給確保のための措置を講ずる必要性があるか否かという点については、しっかりと検討していく必要があると考えております。
○塩川委員 食料、エネルギーもこの法案の対象となり得る、そういうこともあり得るということですか。
○小林国務大臣 先ほど、冒頭、四つ要件を申し上げたと思うんですけれども、そのうち最後の、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められるか否かという基準に照らして判断しなければなりません。今の時点で、この食料、エネルギーが必ず入るのかということについては申し上げることができません。
 今、先ほど言った、既存の法体系がある中で、四つ目の要件である安定供給確保を図る必要が特に認められるか否かという点について、しっかり検討していく必要があると考えております。
○塩川委員 なかなか一言でこうだということがお答えいただけない。政府への白紙委任と言われても仕方がないということを重ねて申し上げます。
 それから、供給確保計画の記載事項はどういうものなのか。その中身で、供給確保計画において取引先企業の情報も記載することになるんでしょうか。
○小林国務大臣 供給確保計画は、特定重要物資の安定供給確保に取り組もうとする事業者が、主務大臣、これは物資所管大臣ですけれども、この大臣の認定を受けるために作成するものです。
 この計画におきましては、例えば、安定供給確保を図ろうとする特定重要物資又は原材料の種類ですとか、供給能力、技術獲得などの目標、あるいは取組の具体的な実施内容、実施期間、また申請者が取組を行う際の組織や人員等の実施体制、また、例えば緊急時における供給体制の強化など需給逼迫時の対応、そして特定重要物資などの生産、輸入、販売の現状に関する情報などの事項を記載していただくことを想定しているところでございます。
 今委員から御指摘のあった取引先の件につきましては、生産、輸入、販売の現状として、この法案の第九条第三項第八号に掲げる事項として、供給確保計画に記載いただくことを想定しているところでございます。
○塩川委員 これは、第八号の方で、現状どうなっているという際に取引先の情報も書くことになりますねということと、今後の計画として出す第四号の方の取組の実施体制、そちらの方でも取引先の情報を出すというふうになるんでしょうかね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 取引先の情報につきましては、先ほど大臣から答弁させていただきましたように、法案の第九条第三項第八号に掲げます供給確保計画の作成者における当該特定重要物資等の調達及び供給又は使用の状況ということとして記載いただくということを想定してございます。
 以上でございます。
○塩川委員 第四号の取組の実施体制のところで取引先の情報を書くというようにはならない。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました第四号ではなく、第八号に掲げる事項として記載いただくということを想定してございます。
○塩川委員 いや、第八号は現状ですので、計画として、今後の話として、第四号に、取組の実施体制を書くとなっているから、これからの計画において、こういう取引先とやりますよ、そういった情報を提供するのかどうかということなんですけれども。
○泉政府参考人 重ねての説明になりますけれども、供給確保計画というのは、民間事業者の方がこういった取組をしたいといって主務大臣に提出する計画でございます。したがいまして、この四号というのは、申請者、こういう取組をするんですという申請者の方の組織、人員の体制、これを念頭に置いてございます。
 したがいまして、実際、物資についての取引先の情報云々というのは、何度も申し上げておりますとおり、八号、こちらに記載する、こういうことを念頭に置いております。
○塩川委員 企業秘密だったサプライチェーンを政府に報告することに今懸念の声が上がっているわけですけれども、その点については、大臣、どういうふうに受け止めておられますか。
○小林国務大臣 この法案に基づくサプライチェーンの調査は、当然、本法の施行に必要な限度で実施することとしているほか、国家公務員がサプライチェーン調査を通じて知った民間事業者の機微情報を漏らした場合には、通常の秘密漏えいよりも重い罰則を設けております。
 こうした中で情報管理体制を整備しておりまして、企業秘密が外部に漏えいすることがないように特に配慮しているところでございます。
○塩川委員 今までやっていないところまで踏み込むような対応ですので、懸念は拭えないということを申し上げて、また次の機会にしたいと思います。
 ありがとうございました。