【内閣委員会】経済安全保障法案/研究開発の情報保全に罰則導入を批判

 経済安全保障法案の「官民技術協力」についてただしました。

 私は、経済安全保障法案が「指定基金」として想定している「経済安全保障重要技術育成プログラム」(2021年補正予算で計上)において、成果の「公的利用」には軍事技術が含まれるのかと質問。

 小林鷹之担当大臣は「将来的に防衛省の判断で活用されることはあり得る」と答弁しました。

 その上で、これまで研究開発において、秘密保護法を除いて、機密情報の保全措置を求める法的枠組みはなく、罰則による担保がなかったことを確認。今回、踏み込んだ情報保全策について、罰則までもうけるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになると批判しました。

 また、小林担当大臣が情報保全策に更なる策の追加を検討していることに関して、適正評価制度(政府保有の秘密情報の使用者に情報を扱う適性があるか判断)についても追及。

 小林担当大臣が「個人の情報に対する調査を含む」と答弁していることについて、私が、個人情報に対する調査とはどういうものか、とただすと、小林担当大臣は「秘密保護法を踏まえる」と明言しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月30日 内閣委員会 第13号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 経済安全保障推進法案について質問いたします。
 今日は、官民技術協力の関連でお尋ねをいたします。
 最初に、大臣、デュアルユース技術というのはそもそも何なのか、この点について御説明をお願いいたします。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 委員御質問のデュアルユース技術についてでございますけれども、必ずしも確固たる定義があるわけではございませんが、一般的には、民生にも軍事にも用いることが可能な技術を指すものと承知をしております。
 例えば、国際的な輸出管理の枠組み、ワッセナー・アレンジメントですけれども、このワッセナーのアレンジメントにおきましては、例えば、工作機械、半導体、コンピューター、こうした貨物ですとか、その関連技術がデュアルユースに含まれておりまして、一般的に幅広い概念であると理解しています。
 また、例えば、電車に乗る際のICカード、あるいは携帯電話に用いられる暗号技術につきましてもデュアルユースとして輸出管理の対象とされているなど、幅広い概念であるものと理解をしております。
○塩川委員 デュアルユース技術は、民生にも軍事にも用いられる技術。この点、昨年六月閣議決定の成長戦略実行計画におきまして、経済安全保障の推進の冒頭に、「経済成長と安全保障の両面から大きな可能性を有する、半導体、AI、量子、5G等のデュアルユース技術(軍事転用可能な民生技術)への関心が高まっている。」とあります。デュアルユース技術というのが、軍事転用可能な民生技術ということであります。
 補正予算で計上されました経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、国のニーズを実現する研究プロジェクトを実施するとしております。説明では、「研究成果は民生利用のみならず、成果の活用が見込まれる関係府省において公的利用につなげていくことを指向。」とありますけれども、この公的利用には軍事技術が含まれるということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、経済安全保障の確保そして強化の観点から、委員今言及いただいたAI、量子、あるいは宇宙、海洋といった技術分野に関しまして、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して、先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございます。
 また、このプログラムの開発対象となる先端的な重要技術は多義性を有しておりまして、その成果としては、具体的製品の開発、試作に至る前までの段階の様々な分野、用途への活用可能性を有する技術の創出を目標としているところでございます。
 したがいまして、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発や、個別の政府インフラや防衛装備品などの特定のニーズのみを念頭に置いた研究開発を推進するものではございませんが、将来的に、例えば、得られた成果が、民間における用途のみならず、防衛省自らの判断によって活用されることはあり得ると考えております。
○塩川委員 防衛省の判断によって活用されることはあり得る。その点で、やはり、こういった研究プログラムにおいて、科学技術の軍事利用の側面が出てくるということであります。
 そこで、協議会についてお尋ねをいたします。
 経済安全保障重要技術育成プログラムについては、協議会の設置が必須となっております。また、ムーンショットなど国の資金により行われる特定重要技術の研究開発のプロジェクトについて、その資金を交付する関係府省の大臣が、研究開発の内容や進捗状況を踏まえ、研究開発に有用か、これまで提供できなかった機微な情報の共有等が適当と認められる場合に、特定重要技術開発基本指針に基づき協議会が設置をされる、こういう仕組みだということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 その理解で正しいと思います。
○塩川委員 協議会では機微な情報の共有が行われるということになります。
 経済安全保障法制に関する有識者会議では、先端技術の実装を進める意味では、警察、海保、防衛といった政府部門の具体的なニーズを研究者と結びつけていくことが非常に重要との議論がありました。
 官民協議会は、防衛、軍事など政府側のニーズを研究者と結びつける場にもなるということでしょうか。
○小林国務大臣 官民協議会は、これまでも申し上げますとおり、政府からの、ある意味、一定の、協議会の構成員の方々の同意を得た上でですけれども、守秘義務がかかるということになっておりますので、そうした枠組みの中で、国のニーズというものを、しかるべき進捗状況などに応じて共有をしていくことになると想定しています。
○塩川委員 有識者会議にある、警察、海保、防衛といった国のニーズを研究者と結びつける場にもなるということであります。そういう意味では、科学技術の軍事利用の観点で、研究者を組み込む仕組みにもつながっていく。
 そこで、官民で情報の交換などを行う協議会では、その構成員に安全管理措置を設けるとともに、国家公務員並びの守秘義務を課して、罰則による担保を行うなどの技術流出対策の措置を講じるといいます。
 大臣、答弁でもおっしゃっておられたんですが、確認ですけれども、従来の研究開発では、秘密保護法を除き、政府が提供する機密性の高い情報に対して保全措置を求める法的枠組みはなく、守秘義務契約を締結する場合でも、罰則による担保はなかったということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 委員の御理解でよろしいかと思います。
○塩川委員 そうしますと、罰則まで設けるやり方で、研究活動に大きな制約を持ち込むことになるんじゃないのか、こういう懸念が出てくるわけですが、その点はいかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回は、協議会に参加される構成員の方には、守秘義務を前提として、政府の持っております機微な情報を共有させていただくということでございますけれども、この罰則につきましては、主な情報提供者となることが想定されております政府職員とのバランス、これを確保するということとともに、企業や研究者の方が萎縮して本法案の協議会の枠組みへの参加をちゅうちょすることのないようにという両方の観点を踏まえまして、国家公務員と同等の罰則を伴う守秘義務を課させていただく、このような枠組みにさせていただいているところでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 ですから、こういった罰則まで設けるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになりはしないか、こういう懸念についてどうお答えされるのか。
○小林国務大臣 それは、何か協議会に自分の意思に反して入らなければいけないというものではなくて、あくまで、研究者代表の同意を前提に協議会というものが設けられます。
 今回、守秘義務を設けることによって、今答弁にもありましたけれども、機微な情報、それは、国のニーズだけではなくて、サイバーのインシデント情報、あるいは、これまで国がやってきた研究開発の成果、様々なそういう情報をしっかりと円滑に安心して共有できることによって、先端技術の官民の協力した形での育成というものが逆に進んでいくというメリットがあるというふうに考えまして、今回、こういう枠組みを設けた次第であります。
○塩川委員 今、基礎研究の予算がどんどん減らされる中で、こういった特定の目的に沿った、国のニーズに基づく、同意を前提にしてといいますけれども、そういったプログラムの予算が拡充をしていく。こういう点での研究活動への不自由さの懸念、公開でこそ学問研究は発展する、このことを申し上げておきます。
 次に、セキュリティークリアランス、適性評価制度の問題であります。
 小林大臣は、セキュリティークリアランスについて、今後の検討課題と答弁をされています。このセキュリティークリアランス、適性評価制度とはどのようなものか、御説明ください。
○小林国務大臣 委員の質問にお答え申し上げます。
 その前に、今委員がその前の質問で、研究開発の成果は公開をというふうなお話がありましたが、我々としても、この枠組みの中で、成果については公開を基本とするというふうに考えておりますので、その点は御理解いただければと思います。
 その上で、セキュリティークリアランスですけれども、いわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、主要国を中心に、諸外国では、機微技術に関するものを含め、主として政府が保有する秘密情報の保全等の観点から、秘密情報へのアクセス資格を有することを決定する制度として導入されているものと承知をしております。
 我が国におきましては、特定秘密の保護に関する法律に基づいて、政府が保有する特定秘密の取扱いが見込まれる者に対しまして、第五章に適性評価とあるんですけれども、適性評価として、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価が実施されていると承知をしております。
○塩川委員 今お答えいただきましたように、セキュリティークリアランス、適性評価制度は、政府が保有する機微情報、秘密情報を取り扱わせようとする者について、秘密情報を取り扱う適性を有するかを判断する制度であります。秘密保護法においては、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められた者のみに特定秘密の取扱いの業務を行わせる適性評価制度が導入をされています。
 そこで、今回の経済安全保障の推進法案に係り、経済安全保障の取組として、政府は、このセキュリティークリアランスについてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 いわゆるセキュリティークリアランス制度につきましては、各国との共同研究などを民間部門も含めて進めていく上で、我が国でもクリアランスを取得できないかといった声があることは承知をしております。実際、この委員会の審議の場でも幾つかの党からそういう声もいただきました。
 他方、クリアランス制度につきましては、個人の情報に対する調査を含むものであって、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合い、そして海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえた上で、今後の検討課題の一つになり得るものと認識をしております。
 まず、今回のこの法案の中におきましても、技術流出対策の防止という観点からは、先ほど議論になっていたこの協議会の枠組みというものを設けさせていただいておりますけれども、お尋ねのセキュリティークリアランスにつきましては、これまでも海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところでございます。
○塩川委員 海外の調査を行ってきたという点でのお話だったんですけれども、経済安全保障法制に関する有識者会議においては、このセキュリティークリアランスについてはどのような議論が行われたんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 経済安保法制に向けた有識者会議、これは、十六回に及ぶ議論の中で、セキュリティークリアランスについて一部言及があったのは事実でございます。
 具体的には、特許非公開に関する分野別の検討会合におきまして、非公開とされた特許出願を取り扱う職員として、クリアランスを受けた者が関与するのが重要ではないかとの意見がございましたが、その後、この法制にクリアランスを含むべきとの議論にはならず、この有識者会議の提言にも含まれなかったことから、今回の法案には反映されていないところであります。
○塩川委員 このセキュリティークリアランスの政府における検討の状況ですけれども、有識者会議では盛り込むべきという議論にはならなかったという話ですけれども、経産省にお尋ねします。
 二〇一九年の経産省産構審通商・貿易分科会安全保障貿易管理小委員会の中間報告ですけれども、我が国の情報保全に係る制度としては、特定秘密保護法に基づく特定秘密やMDA秘密保護法に基づくMDA秘密があるが、これらに該当しない機微技術に係る情報については制度が不十分であるとして、機微技術に関する国際共同研究開発に我が国企業が参加できないという指摘もあり、産業保全に関する今後の対応について検討すべきとしております。
 この中で、セキュリティークリアランスについてはどのように記載をされておりますか。
○風木政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の二〇一九年の中間報告でございますが、安全保障貿易管理小委員会における同年の有識者の御議論を取りまとめたものです。
 この中では、技術流出防止策だけで技術優位性を確保することには限界があり、機微技術情報を把握する取組や、技術優位性を伸ばし脆弱性を解消する取組も必要とされているところであります。
 その上で、日本が機微技術に関する国際共同研究開発のパートナーとして受け入れてもらえるよう諸外国との情報保全対策の同等性確保が必要とされており、セキュリティークリアランスを含む産業保全について、今後の対応について検討すべきと記載されているところです。
○塩川委員 セキュリティークリアランスを含む産業保全についての検討を行うという話です。
 機微情報の情報保全のため、セキュリティークリアランスを含む産業保全の対策を検討することを求めたといった中間報告でしたが、経産省としては、その後どのように対応されたんでしょうか。
○風木政府参考人 経済産業省においては、この報告書を出した後に、私どもが承知しているのは、二〇二〇年の統合イノベーション戦略の中に、一部、諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討すべき、こういう記載がされたと承知しております。
○塩川委員 統合イノベーション戦略二〇二〇で、「諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討。」とあります。
 この統合イノベーション戦略二〇二〇を踏まえて、政府としてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
○小林国務大臣 先ほどお答え申し上げましたけれども、このいわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところであります。
○塩川委員 元々、政府での検討と同時に自民党としての検討をしてきているというのを承知をしております。二〇二一年五月の自民党新国際秩序創造戦略本部の骨太に向けた提言でも、セキュリティークリアランス制度を提案をしております。政府・与党内でセキュリティークリアランスの検討が積み重ねられてきたわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、小林大臣は、セキュリティークリアランスとは個人の情報に対する調査を含むものと先ほども答弁をされました。個人情報に対する調査というのはどのようなものでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 私がいわゆるセキュリティークリアランスにつきまして個人の情報に対する調査を含むものと申し上げたのは、諸外国の例や我が国の特定秘密保護法に基づく適性評価制度を踏まえて、これら諸制度の調査が個人の情報に対するものを含むことから、あくまでも一般論として申し上げたものでございます。
 これまでも答弁申し上げておりますが、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると考えておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといった具体的な検討には至っておりません。
○塩川委員 諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえての検討ということで、個人の情報に対する調査というのが、諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものというお話でした。
 そうしますと、秘密保護法の適性評価制度に準じてこの機微技術に関するセキュリティークリアランスを検討しているということでよろしいでしょうかね。
○小林国務大臣 今申し上げましたけれども、現時点で、どのような調査を行うかといったことも含めて、具体的な検討には至っていないということを申し上げたいと思います。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものということが前提といいますか、念頭に置いてということでよろしいですかね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 重ねて大臣から御答弁申し上げておりますけれども、セキュリティークリアランスについては、これまで海外の制度の状況について調査を行ってきましたほか、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的な事例の把握を行っているところでございますので、その具体的な制度の在り方についてはいまだ検討はしておらないということでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 内閣情報調査室のトップの内閣情報官を務め、また国家安全保障局長だった北村滋氏の著作に「情報と国家」というのがありますけれども、その中で、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みにはなっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれておりますが、このことは御承知でしょうか。
○小林国務大臣 このことというのは、済みません、どのことをおっしゃっているのか、明確におっしゃっていただければと思います。
○塩川委員 北村滋氏の「情報と国家」の中の記載において、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みには現行なっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれていることについては、承知はしておられるか。
○小林国務大臣 私自身も北村氏のその著書については拝読しておりますので、承知をしております。
○塩川委員 この方向で、いわば、秘密保護法の適性評価制度にとどまらず、民間事業者を対象とした適性評価制度の検討を行っていくというお立場ということで。確認です。
○小林国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると思っておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといったことを含めまして、具体的な検討には全く至っておりません。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえてというお話がありました。
 そこで、秘密保護法の適性評価制度における調査事項というのはどういうものなのかを説明してください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 適性評価のために調査する事項は、特定秘密保護法第十二条第二項に規定されております。全て明確に申し上げますけれども、まず、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項、二つ目として犯罪及び懲戒の経歴に関する事項、三つ目として情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項、四つ目として薬物の乱用及び影響に関する事項、五つ目として精神疾患に関する事項、六つ目として飲酒についての節度に関する事項、七つ目として信用状態その他の経済的な状況に関する事項、これらについて調査を行い、当該調査の結果に基づき、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価を実施するものでございます。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度における調査事項には、犯罪及び懲戒の経歴や薬物の乱用、影響に関する事項、飲酒についての節度に関する事項、精神疾患に関する事項、信用状態その他の経済的な状況に関する事項という点でいえば、非常にセンシティブな情報というのが含まれているわけであります。
 大臣は、クリアランス制度に対して、国民の理解の醸成の度合いなどを踏まえた上で、今後の検討課題の一つと述べておりますが、こういった非常にセンシティブな個人情報を調査事項とするということについて、やはり国民の懸念の声があるということはお考えでしょうか。
○小林国務大臣 正確に申し上げますと、今後の検討の課題になり得ると申し上げているところであります。
○塩川委員 実際に検討していく際に、こういった個人情報についての懸念の声が国民にあるということについては、念頭に置かれておられるでしょうか。
○小林国務大臣 例えばセキュリティークリアランスによる個人情報保護に関する懸念についてどう考えるかという形でお答えをさせていただきますと、諸外国の例を見ますと、いわゆるセキュリティークリアランス制度には個人の情報に対する詳細な調査が含まれておりまして、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合いを十分に検証する必要があると私は考えております。
 諸外国の例や特定秘密保護法の適性評価の調査項目を例とすれば、機微な情報にアクセスするポストへの異動や国際共同研究などを行うに先立ちまして、通常は上司などに報告義務のない犯歴、薬物やアルコールの依存症歴、また精神疾患、信用状態その他の経済的状況などのセンシティブな個人情報を報告させて調査することとなっておりまして、本人の同意を得るとはいえ、そうした調査に応じることとなることへの理解ですとか、あるいは、その評価対象者のみならず、関わりが深い家族や同居人についても特定有害活動やテロリズムとの関係について調査することへの理解、調査の結果、クリアランスが与えられなかった者が企業や研究機関内に生まれることへの理解などが社会一般に醸成される度合いというものを検証していく必要があるものと考えております。
○塩川委員 そういう点でも、家族や同居人への調査なども含めて行われるという点でも、このセキュリティークリアランスが、プライバシー侵害の重大な危惧が生じる、こういうことは拭えないということを申し上げておきますし、本人が不同意の場合ですとか、クリアランスが否定や撤回された場合の不利益取扱いの問題というのも当然あると思うんですね。そういったことなども視野に入っておられるのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関しまして統一的な運用を図るための基準におきまして、適性評価は、特定秘密の取扱いの業務を行った際に特定秘密を漏らすおそれがないことについての評価であり、人事評価又はその他の能力の実証を行うものではなく、人事評価のために適性評価の結果を利用等してはならないこととされております。特定秘密の保護以外の目的で利用されることは禁じられております。
 なお、適性評価の実施に同意しなかった者や、適性評価の結果、特定秘密を漏らすおそれがないと認められなかった者は、特定秘密を取り扱わない部署に配置換えされたり、特定秘密を取り扱う部署には配置されなかったりすることにはなりますが、これは特定秘密の保護のための措置であって、不利益な取扱いには当たらないと認識をしております。
○塩川委員 そこは異見のあるところだと思います。
 時間ですので終わりますが、セキュリティークリアランスは、今言った労働者の不利益取扱いなどの問題、プライバシーの侵害や学問研究の自由の侵害の問題が生じる。そういった秘密保護法、そもそもその前提となっている秘密保護法が、秘密の範囲は政府が決めて、国民には何が秘密かも秘密だ。国民の知る権利や報道の自由を奪う。今回の経済安全保障推進法案の官民技術協力は、経済安全保障推進法案において秘密保護法制を拡大することにつながる、そういう問題があるということを指摘をして、質問を終わります。